まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 1105 

2016年05月02日 |  マツタケの林地栽培 

        写真1 各年代の球果、上から当年(雌花)、去年、2年前

5月になりました.
 香川山でも、色んな植物の芽生えが見られる.最近のDNA塩基配列の解析による生物分類で、植物の定義も曖昧になり、植物と言う表現も変えようという動きまである.APG体系(被子植物系統分類研究グループ)による分類で、所属する科などに大幅な変更もあり、大変です.
 アカマツの生長も素晴らしい.マツタケは、未だに、何度も愚痴っていますが、胞子源が近くに無いため、受け入れ体制を整えた林にもシロの形成がないのですが、マツタケが感染するネズの雄花(写真2)とアカマツの雄花(3)が目立たずひっそりと咲いている(風媒花).
 植物形態学の勉強です.
  一番下に付いているアカマツの子葉と真ん中にたっている初生葉(4).葉の基部の短枝(茶色部分)上につき2本の針葉が見られる尋常葉(赤丸内 本葉 5).若い球果上に見られる鱗片葉(鱗状のものを指す 6).3世代揃った球果、赤丸の中:上から当年雌花(球果になる)、真ん中の赤丸は去年の球果、下のものは2年前の球果(1).ところで、アカマツの受精には、受粉後 1年半ほどの時間を要する.アカマツ林に、足を踏み入れるのも素敵だし新しい発見があります.写真は、左クリックで拡大します.

 2ネズの雄花  3アカマツの雄花  4子葉と初生葉  5本葉が見える(赤丸) 6 若い球果に鱗状に見える鱗片葉

5月7日(土)はまつたけ山復活させ隊第536回活動日です.本日は松本シェフ自慢のカレーが昼食です.午前10時に京都市左京区岩倉 村松138-20 香川山(自称)にお集まり下さい.活動報告は榎本 輝彦さんです.当日夜、ブログで是非ご覧ください.

【まつたけ山復活させ隊の心得・7箇条】
 悔いの残らないようにするには! 

 参加者数が増えてくると、当然と言えば当然でしょうが、まつたけ山復活させ隊活動に「えっ、これでいいの」と首をかしげたくなることをする人がやってくる.あるいは加齢で自分しか見ていない人に堕してしまい、潜在的帰属意識だけが判断基準となる.それもうるさいものだ.今までの個人的体験を捨象して、老害とか最近の「若いもの」はといわれないようにしたい.
 そんな人たちを迎え入れていると想定外の「不都合事件」がおき、仲間から不満がでる.まつたけ山復活させ隊としての人と人との繋がりは、どうすれば育て守られるのか.その答えは? ほんの少しの思いやりを持つだけでよく、これは決して難しいことではない.その後には楽しみがやってくるだろう.

1.あせらず!むりせず!ゆっくり!とまつたけ山づくりを楽しみましょう!
2.チェーンソーで立木を伐る作業は、取り扱いを習熟するまで厳禁です.事故が起こったら自己責任とは言え、班の世話人はその責任を問われます.
3.掛かり木の処理で死亡者が続出だそうです.伐木作業の『基本は忘れずに!』.掛られ木の始末は慎重に!
4.急斜面に残された切り株につまづき小径木の切り株で顔面を怪我する大事故もあります.切り株を残さないように地際から伐りましょう!
5.マダニ対策の徹底を!
イノシシやニホンジカの行動エリアが非常に増え、マダニと接触するチャンスが飛躍的に増えている.SFTSウイルスの媒介、リケッチアの媒介、治癒しても後遺症の残るダニ媒介性脳炎症も日本に存在する.脱いだ衣服やリュックなどは地面に置かないように習慣づけ、マダニ対策の常識としましょう! 
6.アシナガバチ・マルハナバチに刺されないように(アナフィラキシーショック)、オオスズメバチも活動が活発になっています.
7.熱中症にも気をつけましょう!こまめに水分と日陰で休息をとりましょう. 
   

里山の変質で生き物が追われている
 里山林が放棄されアカマツやコナラという植物が駆逐され始めて久しい.私達は、マツタケの生活する里山林・アカマツ林を再生しようとしている.里山林土壌が富栄養化して、アカマツやコナラの住める場所がなくなってきている.もちろんマツタケが準絶滅危惧種になったこともその現われである.
 里山林で、ほ乳類、昆虫、鳥類、植物、きのこなどが住んだりエサを摂っている.また、葉面には特殊な細菌が生活し人にも貢献している.今の時代に合わなくなった「赤松亡国論(本田静六)」がまだアマチュア達に無意識下の記憶としてあり、彼らは里山林を生物多様性上貧弱な空間であるとか経済的に無価値な林であると間違った認識を持っている.

 集落、林、川、畑に田んぼときには採草地が入り組んだ里山の景観は、見る人にやすらぎを与える.日本人は里山との関わりの中で文化を育み感性を養ってきたからだ.その里山は、いま、木々におおわれ鬱蒼としている.日本の緑はかつてないほど豊かである.なんか昔と違うなと思いつつも「緑豊かなことは良いことだ」と納得してしまう. 
 日本では、細菌などを除いて94500種の生物が記載されている(2000年).環境省のレッドリスト(2015年)によれば、動物41924種(評価対象種数)の内3.2%、維管束植物7000種(評価対象種数)の内25.4%、菌類3000種(評価対象種数)の内2.1%に絶滅の恐れがある.
 絶滅の恐れある生物の半分が里山の生物といわれる.それほどに里山という生態系は生き物の豊かな生態だったのである.それらは縄文時代以来、人々が利用しながら維持してきた里山に、住み始めた生物たちである.里山がなければ生きていけないのである.
 周りに緑が豊かになって生き物が死ぬ.これはなんだ、変じゃないか!里山減少、もしくは里山を住まいとする生物が生活できないほどに里山環境が激変したと考えるべきであろう.
 全国の里山林も昭和30年代までは、人の活用があり元気だったが、今の林は放置され、木々は繁りすぎ林床には腐植が過剰に堆積している.人と密接に共存する関係で結ばれていたアカマツは混交する他樹種との競争で徒長し衰弱しきっている.弱ったアカマツは松枯れ病感染の危機にさらされている.
 マツノザイセンチュウ病被害は,太平洋側では岩手県中部まで日本海側では青森県を窺うところまで進んでいる.マツノザイセンチュウ病の一過性枯死はこの限りではない.
 京都の里山では、アカマツの枯死により常緑広葉樹のサカキ、ソヨゴ、クロバイがふえた.コバノミツバツツジ等の低木は林縁部ではまだ花をつけるが、閉鎖された林内では枯死がすすんでいる.里山のもう一つの代表樹種であるコナラ(ブナ科)もナラ枯れに悩んでいる.里山林はシイ林や竹林の拡大という脅威にもさらされ、元里山林となり本来の姿を失しなった.これが緑豊かの実体・本当の姿である.


【お知らせ】  興味ある方は、吉村 文彦までメールもしくは電話下さい.
1)酒蔵文化道場
  日時:5月7日(土) 午後4時から
  場所:神戸酒心館ホール 神戸市東灘区御影塚町1-8-17(最寄り駅:阪神電鉄石屋川駅・JR六甲道駅)
  講演:吉村 文彦【人と里山林そしてマツタケ】
  懇親会:午後6時~
 【会費】講演会:2000円、懇親会:4000円   申込みは神戸酒心館 078-841-1121

2)和歌山富貴試験林マツタケ山づくり作業 今回は加太「いなさ」でうまい魚を賞味、隣のペンションに1泊
  日時:5月10日(火)~11日(水)  10日午前8時 近鉄線 新田辺駅集合 現地到着後 作業実施
  会費:1万円+酒代(予定、宿泊費込み)
  参加申し込みは川本さんまで

3)南丹市園部町大河内生産森林組合 20年生 アカマツ林診断
  日時:5月23日(月)9:44JR二条駅発 10:21JR園部駅着
  老齢化した3haのマツタケ発生アカマツ林を20年前に皆伐、現在きれいなアカマツ林に再生されている.近辺に5-60年生のマツタケ発生アカマツ林があるとのことで
  、将来マツタケのシロを20年生アカマツ林に誘導できるロケーションにあるか、また手入れ方法の決定のため調査を行ないます.
   

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【まつたけ山復活させ隊とは!】
マツタケの生活する里山再生・保全のため集うものである.

 我々の仲間には、山づくりをする人、運ぶ人・軽トラを貸してくれる人、薪をつくる人、病害木を焼却する人、畑や水田を守る人、食事を作る人、道具類を整備する人、拠点を整備する人、道路を補修する人、バイオトイレを守る人、多機能窯を守る人、山を提供する人、ブログ読者など参加者と支援者がいる.すべての参加者は、運動の目的を実現するために互いに対等で支え合い助け合うことを必要とする.

活動には、目的はあっても参加者の行為を縛る規約らしいものはない.個の能力を最大限に発揮でき、参加者の数だけ面白いことが創造できるようにと願ってのことである.しかし何をしても良いわけでは断じてない.


§活動場所:
京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (自称:京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分)
活動開始は午前10時頃から、終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.

アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」終点が便利です.バスに乗車するには、

ア)阪急京都線 烏丸駅で市営地下鉄烏丸線に乗り換え、国際会館下車(ウ)に続く
イ)京阪本線 出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側)乗車 約30分
ウ)京都地下鉄烏丸線 国際会館下車 3番出口からバスターミナル1番 乗車 約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、食材費+消耗品費として現在400円を徴収.登録外参加者・見学者などは500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.また、参加日や人数などを主催者にメールもしくは電話下さい.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動日

2016年5-6月
回 開催日    報告担当者  男厨シェフ

536 05月07日(土) 榎本      松本
537 05月13日(金) 三輪
538 05月21日(土) 宮崎
539 05月27日(金) 内田
540 06月04日(土) 吉村      内田・榎本班
541 06月10日(金) 榎本
542 06月18日(土) 三輪
543 06月24日(金) 宮崎

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§カンパありがとう!

  
§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ山復活させ隊
Movement for Regeneration of Matsutake Forest
代表 吉村 文彦(微生物生態学)
京都市
090-6227-4305 miyakomatsutake@gmail.com

香川理化学研究所(香川山オーナー)
代表 香川 晴男
京都市

コメント
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