まつたけ山復活させ隊運動ニュース

 松茸は奈良時代から珍重されてきたが、絶滅が心配される.松茸山づくりは里山復活の近道であり里山の再生は松茸復活に繋がる.

まつたけ山復活させ隊 NEWSLETTER 892

2014年03月11日 |  マツタケの林地栽培 

 今日は3月11日です.大変気が重いことが二つあり、また、字数に制限もあるためほんの障りだけふれさせて戴きます.
 
 一つ目は、東日本大震災の破壊現場の復興が進まないことの要因の認識違いに愕然としている点である.僕は16年ほど東北に住んでいましたが、素晴らしい環境(自然:これも活用されないから残っている)に恵まれているから、人がそこで生活できるのではない.簡単にいうと、基本的には、そこに仕事があることが必要なのである.

 現在も国を領導しているのは、政府内閣政治家ではなく高級官僚である.彼らは自らの地位保全と利権拡大にしか興味がない.巨大な土木工事で住宅団地づくりや防潮堤造りを優先した.大震災を非常事態と捉まえて、各企業の工場一つを強制的に被災地に移動するような大胆な施策が必要だったのである.
 
 また、里山造りに林野庁や企業なども助成をしているが、東北太平洋岸ベルトの里山再生に限って、当然のことながらボランティア向けでないこれが大切なんだが、予算を付けるべきである.

 人が糊口をしのげる業を、まず最初に確保しなかったから、大量の住民流出現象が雪崩のごとく連鎖的に起こったのである.そのため住宅計画も狂ってきているという.災害地復興予算3.3兆円の使い道がないことになる.高級官僚も人間である、ミスをすることを認めるべきだろう.
 
 二つ目は、STAP細胞騒ぎである.ES細胞製作でもないiPS細胞製作でもなく、比較的簡単に細胞を初期化でき、なおかつそれらを胎盤にも分化させることができる手法の発見に期待が集まったのだが、その真偽が問題となったことである.それが事実であるかどうかということの前に考えねばならないことがある. 
 
 Natureに依頼されたレフェリー達も当論文の著者たちも共に大学で鍛えられなければならない基本を学んでいないように見える.論文の書き方などを学んでいない、もしくは学んではおられない状況下に彼らがあることがこの事件の根底にある.当論文の幾つかのタイプミス(?)を見逃すこともその現れだろう.

 ノーベル賞選考委員会も利益を生む研究にのみ賞を出す状況にあり、世界の主要論文もその67%がねつ造された物というデータもある.研究者を育てる組織は大学を含む教育システムであるが、それが狂っているのだ.

 この2点の事件は、実は軌を一にしている.官僚も研究者も大学で教育を受けるのだが、今の大学は名前だけ大学で機能的には大学の役割を果たしていないことが課題として根底にある.国鉄の民営化、郵政の民営化と続く大学の解体という一連の施策の大きな負の側面を見て取らねば、これらの問題の解決はできないだろう.

 
 2月の終わりには暖かくなったが、ここ数回の活動日は、寒の戻りといえば身もふたもないことですが、真冬並みの超一級寒波が居座り、春に目覚めた心身にとってはつらさを伴う寒さ攻撃でした.
 
 それも12日から暖かくなるようです(写真1:開花したアブラナ科植物).この花を見ると我々は春なんだなと思ってしまいませんか? 3月6日大阪管区気象台発表の1ヶ月予報は、1週目(8日~14日)は平年より寒い確率が70%.2週目(15日~21日)は平年より高い(40%).3~4週目は平年並みと予想している.
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 ちなみに第1週目の京都アメダスの平年気温は、最高気温が12.1~13.2℃、最低気温は2.9~3.7℃となっていて、活動日14日は最低3.8℃、最高13.4℃となっています.
 活動日の予想気温は、4~10℃となっていて、岩倉の気温は1~2℃低いでしょうが、曇り時々晴れ、雨や雪はなく、まずはアウトドア日和に思える日となりそうです.

 暖かくなってくると気になることは、SFTSウイルスに感染したマダニに咬まれることです.大阪の仲間・松田さんがマダニに咬まれない為には、スプレーボトルに以下の溶液をつくり4時間おきに衣服等に撒布するとよいとフェイスブックにあったと連絡を呉れました.
 
 穀物酢200ccに対して水100ccを加え、臭いが気になるようなら、ユーカリ、ラベンダー、柑橘類などエッセンシャルオイル20滴を加えて4時間に一回 髪、衣服、手足に吹きかけるとよい。どなたか実験をしてくださいませんか! 実験方法は、緻密に検討願います.

 先週、3月8日の活動報告はなされていますが、日頃の食当感謝デーにあたり小原さんがメインシェフとなり昼食を準備された(写真2).午後は、久方ぶりに、マツタケ山づくり現場に出かけました.山の手入れは進んでいます(3,4,5,6).
2 3 4 5 6
 

 3月14日(金)は、まつたけ山復活させ隊第431回活動日です.午前10時に京都市左京区岩倉 村松 香川山(自称:下記の§活動拠点へのアクセスを御参照下さい)にお集まり下さい.本日の活動の様子は、内田 正明さんが報告します. 

 

マツタケ山づくり 6

 前回まで、マツタケの生活を書いてきました.マツタケが生活する林は、色々あることも分かっています.日本では、発生量が多いのは、なんといってもアカマツ林です.そのアカマツ林は里山と呼ばれる生態に含まれています.
 
 里山という語は、すっかり有名になりました.その荒廃が生物多様性上大問題になっています.マツタケも生息地の変質というレベルではなく破壊・喪失によって準絶滅危惧種になっています(京都府).
 
 里山再生は必要だと騒ぐわりには、その再生保全活動は面的増加を見せません.我々は、ボランティアである市民活動の限界も感じつつ山づくりに励んでいます.だからこそ、木材生産オンリーに替わる新林業・里山を活用する業の必要性を覚えています. 

今回も、高文研出版の「まつたけやま復活させ隊の仲間たち」を元に里山について書いていきます。

質の劣化した緑が増えている マツタケの生活しているところといえば、誰でも松林でしょうと答える。その通りで、アカマツ林は里山とか里山林の仲間である。 里山は歴史を辿るとご存じのように、縄文時代に生まれている.アカマツ林は、西暦500年頃には、日本列島に見られるようになっている。 
 
 私たちは、長い間、集落近くの山の資源を採取して生活を維持していたのである。ところが、昭和30年(1955年)以降の高度経済成長が、その長い歴史を激変させた。燃料源は山の柴や薪炭から石油中心に、肥料は植物の若枝など緑肥から化学肥料に急転換した。その時から日本の緑は、都市域であれ中山間地域であれ、かつてなく量的には豊かになってきた。
 
 なのに、である。緑が多くなったにもかかわらず、かつて私たちの周りにいた「ありふれた生き物」、たとえば、カタクリやフクジュソウやヒメシャガやツツジ類などの季節を感じさせてくれる野草や灌木など、メダカやチョウ類やニホンイシガメやニホンウサギなど、また里山の食物連鎖の頂点に生きるオオタカやイヌワシなどがおかしなことに減り続けている。

 逆にニホンザルやイノシシやニホンジカなどは増えすぎて獣害を引き起こし問題となっている。農林業に与えている損害は莫大である(金額で約200億円(農業総産出額8.9兆円の0.2%相当.H15年度))。 生態系の均衡が狂ってきている。人もそれ以外の生物も増えすぎても問題、減りすぎても問題、バランスが取れている必要がある。

 林というものに、その成林過程で見ると、原生林や里山林、人工林がある。それらの林が生まれてきた経緯の違いで呼び方が異なる。原生林は、原生林として維持する方法を生まれながらにして持っている、人工林は、人がある材を生産する目的で作り上げた林である、例外としては明治神宮の森がある。里山林は、人が林の資源を利用した結果できあがった生態である。

 放置しておいてもいい原生林に対して里山林と人工林は人の手が入らなければ、ほかの林に移行するし(極相林に遷移)、人工林も目的とする木が無くなったりもする。同じ木々の集団だからといって、決して同じではない生態系でその守り方も違ってくる。

 その維持方法で、面倒なのは里山林といえる。人工林は残す木がはっきりしていて手入れ方法がわかりやすく育林技術も進んでいる。里山林では、マツタケの生活する里山林の再生方法は、アカマツを優占させることだとわかりやすいが、そのほかの里山林は、どの木をどの程度伐るのか或いは残すのかという基準を設けにくいという難しさがある。

 何故ならば、人間の物資の採取(搾取)行為は、人の都合で決めていたのだ。生活に必要なものを適宜集めていたに過ぎない。でも、その生態に果たしてきた役割は選択圧をかけることであった。人が物資を選択採取することは、林内の樹種を淘汰することにつながる。このようにして今の里山林が造られ維持されてきた。その環境に適応した生き物の住まいとなっていたのである。

 その力を得られなくなった、すなわち人手の入らなくなった里山林は、樹種間の生き残り競争の激化などによって、たとえばアカマツやコナラのような優占種が生きにくい環境になったと言える。木を持ち去らない分、緑は量的に太ったが質的にはやせ細っていったのである。落ち葉などを持ち去らないことは、土壌の富栄養化を促進し、アカマツ・コナラなどの競争力を奪っていった。

 かつて人によって保たれていたバランスをなくした里山林は、人手の入っていた時とは異なる緑が増え、陽射しも風通しも悪くなった。これは半自然である里山林の変化であり、実は自然に回帰したのであるが、確実に里山林の崩壊を意味している。それは、アカマツ林という環境に適応した生き物をも駆逐することになったのである。

 これが、実は今のありのままの里山の姿である。しかし私たちは、どれだけそれに気づいているだろう。里山の荒廃と考えねば里山の回復は望めないと訴えたい。人が縄文時代から作り上げてきた生態系に適応した生物が、いま人が利用しないがために崩壊する里山から追われていると理解する必要がある。早急に何らかの手を打たねばなるまい。

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§活動場所:京都市左京区岩倉村松町138-20 香川山 (京都バス停留所「岩倉村松」から北東へ450m徒歩6分) 
 活動開始は午前10時頃から,終わりは午後4時頃.自由参加可能 ただしコアータイム昼食時は必ず参加のこと.
アクセス:
京都バスの「岩倉 村松行き」に乗車.
このバスに乗車するには、
ア)JR京都駅七条口から(バス停「C6」番、所要時間約60分)
イ)阪急京都線四条河原町駅から(四条河原町交差点河原町通り北へ上ル東側)40分
ウ)京阪本線出町柳駅から(加茂大橋東詰め北へ上ル西側、約30分)
エ)京都地下鉄烏丸線国際会館から(3番出口からバスターミナル1番)約15分
(地下鉄烏丸線はJR京都駅、烏丸四条、烏丸御池、国際会館などに停車)

§参加費は無料;ただし、消耗品費は皆さんの浄財カンパで成り立つ、或いは必要に応じて徴收.メンバー参加者には、現在、食材費+消耗品費として400円を徴収.登録外参加者・見学者などは要500円(施設利用代などを含む).

§参加や見学希望の方は、ブログ画面左にあるカテゴリーから「まつたけ山復活させ隊とは」を左クリックでご覧下さる様にお願いします.
内容
まつたけ山復活させ隊の活動について 
§1 我々のまつたけ山再生運動とは? 
§2 まつたけ山復活させ隊に参加するには 
§3 私達のマツタケ山造り(作業方法の特徴)
§4 こんな活動をしています! 
§5 今年の予定と目標?

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まつたけ山復活させ隊活動

予定日  2014年3月~6月
回  開催日  報告担当者  男厨シェフ

430 3月14日 金 宮崎
431 3月22日 土 内田
432 3月28日 金 内田
433 4月05日 土 池内   松浦
434 4月11日 金 榎本
435 4月19日 土 三輪
436 4月25日 金 宮崎
437 5月03日 土 池内   内田
438 5月09日 金 内田
439 5月17日 土 榎本
440 5月23日 金 三輪
441 5月31日 土 宮崎
442 6月06日 金 内田
443 6月14日 土 池内   川崎
444 6月20日 金 榎本
445 6月28日 土 三輪  
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§カンパありがとう!  

§カンパお願い: 運営は皆さんのカンパで成り立っています!
         みやこ松茸・里山復活! 京都の文化・景観を守るために、里山林整備に努力しています.
   
カンパの振込先
 氏名:  まつたけ十字軍 代表 吉村文彦
 銀行名: 京都銀行 山科中央支店 口座No. 普通預金 3698173

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§主 催
まつたけ十字軍運動
代表 吉村 文彦(マツタケ生態学)
京都市山科区御陵岡ノ西町38-27
090-6227-4305 redpinemushroom@gmail.com

香川理化学研究所
代表 香川 晴男

§共 催
京都大学マツタケ研究会
代表 大石 高典

 

 

コメント
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