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またまた物議をかもしそうな朝日新聞

2015-01-31 18:12:12 | 時事

 「イスラム過激派組織「イスラム国」とみられるグループによる日本人人質事件で、外務省が退避するよう求めているシリア国内に、朝日新聞の複数の記者が入っていたことが31日分かった。
 同省は21日、日本新聞協会などに対し、シリアへの渡航を見合わせるよう強く求めていたが、朝日のイスタンブール支局長はツイッターで、26日に同国北部のアレッポに入り、現地で取材した様子を発信していた。
 朝日新聞社広報部は「イスタンブール支局長はシリア政府のビザを取得したうえで、取材のために入っている。記者は当初の予定・計画に従って行動・取材をしている」と回答。同省から記者を出国させるよう要請があったかについては「回答を差し控える」としている」と本日付で読売新聞が伝えている。

 まあ、行くのは自由だけど捕らわれて日本政府や関係国に迷惑をかけないでほしい。仮に身代金10億円の要求があれば、かなり悩ましい問題になる。払えない金額でないからだ。今でも日本人二人は国際的に迷惑をかけているんだからいい加減にしてほしい。

 朝日のこの言い草は何だ。「取材のために予定・計画に従って行動している」とは理由にもならない。自粛勧告なんだから自重すべきだ。少なくとも今の人質事件が決着するまででもいい。朝日は政府と敵対しているから嫌がらせに写るのは私だけか。まるで子供だ。
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こんな役をよく引き受けたなあ! と思う「黄昏に燃えて」1987年制作

2015-01-31 17:28:41 | 映画

               
 ホームレスの哀歓を切々と語る映画。ジャック・ニコルソン41歳、メリル・ストリープ38歳。まだ若いといってもいい二人が、くたびれて少々精神を病んでいるという役柄を見事に演じているのには驚いた。

 第一、ホームレスの映画なんて興味があるわけがない。すえた匂いまで漂うような画面が楽しいはずがない。そうではあっても画面から目が離せないとなると、制作者や俳優に敬意以外表すものがない。

 教会の慈善の食事にありついて 寒い夜のハロウィーンを震えながら過ごす。なんともはや暖房で暖かい部屋で観ていても、すき間風に背中を撫でられたような感覚に包まれる。

 フランシス(ジャック・ニコルソン)が親しくしていたヘレン(メリル・ストリープ)とルディ(トム・ウェイツ)が逝ってしまった場面も、大げさな悲嘆もまくただ冥府へ送る乾いた言葉が人生の現実を如実に表しているようで、かえって厳粛な気持ちになる。心にずっしりとした重みが残る映画だった。
          
          
          

 ちなみに、原題が「IRONWEED(アイアン・ウィーズ ヤグルマギク)」でピューリッツア賞を受賞したウィリアム・ケネディの作品。花言葉は、「教育」「信頼」「デリカシー」「優雅」「独身生活」とある。
          
監督
ヘクトール・バベンコ1946年2月アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。

キャスト
ジャック・ニコルソン1937年4月ニュージャージー州ネプチューン生まれ。
メリル・ストリープ1949年6月ニュージャージー州生まれ。
キャロル・ベイカー1931年5月ペンシルヴェニア州ジョンズタウン生まれ。
トム・ウェイツ1949年12月カリフォルニア州ボーモーナ生まれ。
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20分毎に乗客を一人ずつ殺す!脅迫のメールを受け取る航空保安官「フライト・ゲーム’14」

2015-01-29 17:00:54 | 映画

                  
 邦題よりも原題のNon-stopのほうがよかった気がする。ニューヨークからロンドンに向かう旅客機の中で「1億5千万ドルを支払え。でないと20分毎に乗客を1人ずつ殺す!」というメールを受け取ったビル・マークス航空保安官(リーアム・ニーソン)。

 旅客機の中でのパニックを予想すると危険を乗客に知らせることは出来ない。限られた空間と時間。乗客の中に犯人がいることは確かだ。さあ、どうする? 

 乗客すべてが犯人に見えてしまう。そこから絞り込む悪戦苦闘が始まる。面白いのはマークス航空保安官が離陸から水平飛行への道程を怖がっていることだ。われわれから見れば航空保安官なんだから飛行機になれている筈と思う。第一、飛行機が怖くて航空保安官を希望するのかとも思う。水平飛行に入るとけろりとしているから、私と同じだと思って見ていた。

 機長が殺され乗客の一人も死亡。しかも時限爆弾も発見される。犯人探しも忙しいし、差し迫る危険もちびるぐらい怖い。一時はマークスがハイジャックしたようなテレビ報道もされたが、その怖い空間でベストを尽くす。原題どおりnon-stopアクションだ。

 一つ疑問が湧いてきたのは、アメリカ本土にある本部とスマホで音声連絡をしているマークスだが、何らかの方法で本部がメールの発信源を突き止められないのだろうか。ふとそんなことを思った。もっとも、早々と突き止めてしまえば映画にはならないが。
 少々の瑕疵はとやかく言わないでおこう。お暇なときに時間つぶしに好適な映画ではある。劇場公開2014年6月
            
            
            
            

監督
ジャウマ・コレット=セラ1974年3月スペイン、バルセロナ生まれ。

キャスト
リーアム・ニーソン1952年6月イギリス、北アイルランド生まれ。
ジュリアン・ムーア1960年12月ノースキャロライナ州生まれ。
ミシェル・ドッカリー1981年12月イギリス生まれ。
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ハンフリー・ボガートが見たくて「マルタの鷹」1941年制作

2015-01-27 21:50:13 | 映画


2007年版アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の歴代ベスト100で33位、ミステリー部門ではベスト10の6位となっていて、いわゆる名画の部類に入るのだろう。ハードボイルド・タッチの先駆者とも言われる監督のジョン・ヒューストンの作品。原作はダシール・ハメット。

私立探偵サム・スペード(ハンフリー・ボガート)のクールさが際立つといてもいい。海賊が強奪した黄金と宝石で出来ているという鷹の彫像を取り合うというお話。ほとんどがホテルやアパートの一室で舞台劇を映画化したような感じ。

もともとギャング・スターで売り出したボガートだが、この私立探偵役が転機となったようだ。あの有名な「カサブランカ」で地位を不動のものにした。ちなみに「カサブランカ」は歴代ベスト100の3位となっている。

劇中のサム・スペードはクールというか非情な男のようで繊細さも見せつける。もともと依頼人だったブリジッド(メアリー・アスター)は、見かけの上品さはウソもので根はしたたかな女と見抜くサム・スペード。そんな女に気を許すという甘ちゃんでもある。一応、女に手を出すのが早いと言われているが。

最後は冷酷な男に変貌する。ブリジッドがサムの同僚マイルズを射殺したのが分かり警察に突き出す前に吐く言葉。
「運がよけりゃ、20年もすれば刑務所から出られる。出たら来たまえ。そのかわいい首を吊らなけりゃいいがな。20年たてば釈放されるかもしれん。待っててやるよ。絞首刑になったら時々思い出してやろう」
「やめて、冗談にもそんなことを。びっくりしたわ。本気にするじゃない」
「本気だよ。君が犠牲になるんだ。相棒が殺されたら男は黙っちゃしない。君がどう思おうと関係ない。俺たちは探偵だ。相棒が殺されたら犯人は逃さない。それが探偵ってものさ。君が俺を愛しているかも、俺が君を好きかもしれん。俺の話が分からなければ忘れるがいい。だが俺は忘れない。忘れたいけどな。君はそれを計算に入れていたんだ」

この字幕、どうもしっくりこないんだよね。なんだかチンピラの言葉みたいで。それはさておき、未練たらしい言葉に聞こえなくもない。サム・スペードは女に弱いんだ。探偵業がうまくいくかな。まあ、きっちりとケジメはつけたようだ。

ハンフリー・ボガートの声は抜群にいい。それにしても喋るのが早い。セリフを棒読みしているみたいだよ。今どきの映画と比べると、ちょっと物足りない気がしないでもない。

1941年といえば和暦でいえば昭和16年。昭和16年といえば太平洋戦争勃発の年だ。そうした国際情勢が緊迫した中でも、私立探偵ものを撮っていたんだ。当時の映画人は戦争なんて関係ないよというのだろう。

面白いのは、日本では1月1日付けで映画館でニュース映画の上映が義務化されたという。軍部がしゃにむに戦争にのめりこんでいるようで振り返ると悲しくなる。




監督
ジョン・ヒューストン1906年8月ミズーリ州ネバダ生まれ。1987年8月没

キャスト
ハンフリー・ボガート1899年12月ニューヨーク生まれ。1957年1月没。
メアリー・アスター1906年5月イリノイ州クインシー生まれ。1987年9月没。
ピーター・ローレ1904年6月ハンガリー、ローゼンベルグ生まれ。1964年3月没。
シドニー・グリーンストリート1879年12月イングランド生まれ。1954年1月没。
ウォード・ボンド1905年4月コロラド州デンヴァー生まれ。1960年11月没。
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劇場で一度だけの観賞なら消化不良間違いなしのファンタスティック・ラブストーリー「サード・パーソン」

2015-01-25 16:58:17 | 映画

               
 2013年制作の映画。観終わってストンと胃の腑に落ちるという感じではない。頭の中がなんだかもやもやとしていて、あの場面はどうしてあのようになるのだろう。あれはどういう意味なんだ。落ち着かない気分にさせられる。

 それもそのはず、この映画の監督ポール・ハギスは、「これは3つのラブストーリーのフリをしているけれど、実はパズルのような映画なんだ。特に視覚的な面でね。たくさんのヒントを劇中に仕掛けたので、なんでこんなことが起こっているんだろうって思ってほしい。こんなこと有り得ない、じゃあ何が本当なんだろうって。そして最後に繋がっていくんだ。この映画にすべての答えは用意していない、映画の後に友達とディスカッションして自分なりの答えを見つけてほしい」という訳で正解はない。

 多分この題名Third Person(第三者)を頭に入れておくと自分なりの結論を得られると思う。どうやらキーワードが「見ててね。watcne me」にあるようだ。

 ピューリッツアー賞受賞作家のマイケル(リーアム・ニーソン)は、パリのホテルで二作目に苦しんでいる。彼の妻エレイン(キム・ベイジンガー)をアメリカに残していて、フランスでは若い恋人アンナ(オリヴィア・ワイルド)がいる。

 ニューヨークでは、ジュリア(ミラ・クニス)がリック(ジェームズ・フランコ)と親権を争っている。

 ローマでは、スコット(エイドリアン・ブロディ)とモニカ(モラン・アティアス)のなにやら駆け引きのような男女関係。

 三つの街と三組の男と女。共通点は、妻帯者と子供。中心となるテーマは苦悩。その苦悩は、マイケルが30秒間目を離した隙にプールで息子を溺死させたこと。以来、小説の人物を通してしか物事を感じられないという。

 そして作家は、出版社の編集者も納得する自虐的な告白小説を完成させる。マイケルの小説を映画化したのがこの映画といえる。架空の人物にいろんなことをやらせているわけで、実際の人物は誰だろうと考えるのも面白い。

 当然、本人マイケルと妻のエレイン。それに雑誌の編集者。マイケルの恋人アンナはどちらだろうか。というのも作家が創造する女性に恋をするということもあり得るからだ。

 映画のシーンに移ろう。アンナがマイケルに強烈な侮辱を与える場面がある。エレベータの扉が開いていて中には何人かの人が乗っている。そんな状況で「なぜ既婚者を選んだと? 傷つけられることがないからよ。好きに別れられるしね。手に入るまで愛を求め続ける男なのね。新しいお相手を探したら?」

 このアンナという女性、ものすごく気分屋の癖がある。この場面は違和感を覚えてよく分からない。そういえば登場するジュリアも精神的な問題があり、ローマのモニカも一筋縄でいかない気分屋でもある。

 アンナを演じたオリヴィア・ワイルドは、すごくキレイに見えるときと、そうでもないときがある。この顔立ちは、目の色が黒であれば日本人にもいる気がする。

 それより60歳に届いているキム・ベイジンガーがキレイだった。出る場面が少なかったが、もう少し見たかった。

 そういえばポール・ハギスも2005年に「クラッシュ」でアカデミー賞脚本賞受賞以来目立つものがない。これは自分と重ね合わせた皮肉なのだろうか。
          
          
          
          
          

監督
ポール・ハギス1953年3月カナダ、オンタリオ州生まれ。

キャスト
リーアム・ニーソン1952年6月イギリス、北アイルランド生まれ。
ミラ・クニス1983年8月ウクライナ生まれ。
エイドリアン・ブロディ1973年4月ニューヨーク生まれ。
オリヴィア・ワイルド1984年3月ニューヨーク生まれ。
ジェームズ・フランコ1978年4月カリフォルニア州生まれ。
モラン・アティアス1981年4月イスラエル生まれ。
キム・ベイジンガー1953年12月ジョージア州生まれ。
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いつの時代も犯罪者は得体の知れない人間「冷血 In Cold Blood 」1967年制作

2015-01-23 16:13:10 | 映画

              
 1959年カンザス州の農家で家族全員が惨殺された。男二人、父親と息子。女二人、母親と娘。実際に起こった事件で、性的暴行の痕もないし金品が奪われてもいない。被害者宅は、周辺でも評判がよく怨恨は考えられない。自宅に現金を保管していることもない。支払いはいつも小切手だったという。捜査は難航する。

 ところが、一時期この農家で働いていたという元受刑者が捜査当局に情報をもたらす。結果は、ペリー(ロバート・ブレイク)とディック(スコット・ウィルソン)の二人が逮捕される。死刑判決から絞首刑で終わる。

 映画はモノクロで犯人の子供時代の恵まれない環境や受けたトラウマの様子に加え、犯行後の逃避行が語られる。

 ペリーはディックの「絶対損のない話がある一緒にやろう」という言葉に仮出所の身でありながらそれに乗った。

 導入部は、なかんかのもので観客の目を惹きつけてしまう。マイケル・ジャクソンを育てたといわれるクインシー・ジョーンズのジャズの旋律が雰囲気を盛り上げる。

 気がついたのは、画面のつなぎ方だ。こんなシーンがある。髭を剃っている男がいる。洗顔のために蛇口にかがむ。顔を上げた場面は別の男という具合。こういう手法を多用してある。

 尋問中はのらりくらりと逃げていたが証拠を突きつけられ、その犯行の詳細を語る。それが映像として描かれるが、手足を紐で結び無抵抗の状態で射殺する。
 撃たれた状態の映像はないが、哀願する声や銃声で凄惨さが強調される。特に娘の哀願の言葉は目に焼きついて離れない。

 原作は、トルーマン・カーポティーで犯人を取材している。中の一人に自身の過去の境遇と重ね合わせて同情する。

 そこでこの冷血というタイトルについて口さがないらしい。犯人の冷酷さを表しているのは当然として、カーポティーが同情する犯人に対して「少しでも長生きさせたい」と思う反面「作品を発表するためには死刑執行が早く行われるのを望んだ」という葛藤に苦しんだ。その二面性ゆえ作者自身を表すのではないかも言われているらしい。
 この「冷血」はカーポティーに富と名声をもたらしたが、その後は作品を一つも完成できなかったとも言われる。

 この映画を監督したリチャード・ブルックスは、1955年「暴力教室」という作品で若者の間で評判となる。学校で不良少年が暴れるというお話だから大人には受け入れられなかった。

 音楽もロックンロールの幕開けの曲とも言われるビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」がヒットした。懐かしい名前がある。ヴィック・モローとシドニー・ボワチエ。

 本作は、アカデミー賞監督賞、音楽賞、撮影賞、脚本賞がノミネートされ、アメリカン・フィルム・インスティチュート法廷ドラマ部門の8位。
            
            
 なお、クインシー・ジョーンズの音楽もいいかもしれないが、監督にまつわる音楽で調子のいい「ロック・アラウンド・ザ・クロック」をどうぞ!
    
監督
リチャード・ブルックス1912年5月ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。1992年3月没。

キャスト
ロバート・ブレイク1933年9月ニュージャージー州うまれ。
スコット・ウィルソン1942年3月ジョージア州アトランタ生まれ。
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この時代の精神病院は恐ろしい「カッコーの巣の上で」1975年制作

2015-01-20 20:45:58 | 映画

              
 人間の自由と尊厳について精神病院を舞台に描く問題作。暴力的な男マクマーフィ(ジャック・ニコルソン)は、淫行罪で逮捕され精神鑑定のためオレゴン州立精神病院へ送られる。

 廊下で最初に出会ったのが、大きな体のインディアンで無口なチーフだった。病院のラチェッド婦長(ルイーズ・フレッチャー)のやり方に不満を持つマクマーフィは、たびたびいちゃもんをつける。たとえば野球放送を観たいとか。

 その反抗的な態度は脱走前夜のドンちゃん騒ぎが婦長の首を絞める行為に発展。病院側はマクマーフィに前頭葉切除のロボトミー手術を実施。結果、マクマーフィは言葉もしゃべれず意思もなく廃人同然の姿で戻ってきた。
 仲が良かったチーフは、枕を頭に押し付けて安らかにあの世へ送る。そして、マクマーフィが取り外せなかった幾つも水栓のある大きな筐体を引き抜いて窓を破壊。チーフは暗闇のかなたへと去っていく。

 マクマーフィが最初に出会ったのがチーフだし、最後を看取ったのもチーフで、口の悪い暴れん坊のマクマーフィに共感を憶えていたのだろう。

 実はこの題名に考えをめぐらせていた。やっと分かった。原題が「One Flew Over the Cuokoo's Nest」となっていて、ウィキペディアから引用すると「邦題も一読して意味を理解することは難しいが、原題は最後にチーフという名の患者が一人 (One) で自由を求めて、cuckoo=crazy、つまり精神病を患う人の集まる精神病院 (the cuckoo's nest) から飛び出して脱出する (flew over) ことを象徴しており、もともとの由来はマザー・グースの詩である。またカッコーの巣(cuckoo's nest)は、「精神病院」の蔑称のひとつである」とある。なるほどね。

 私は演技に詳しくはないが、ジャック・ニコルソンとルイーズ・フレッチャーを見ていると自分の役割を消化して精一杯演じているのが分かる。

 ジャック・ニコルソンの表情は当然として何気ない仕草にもその才能を見て取れる。病院の院長との面接の場面。院長が書面を見て喋っている。ジャックはふいに机の上のハエか虫を叩いた。カメラはジャックから院長に変わったが虫は写っていない。院長は、ハエか虫がいるであろうところに目をやって戻した。

 私の推測だが、たぶんアドリブだろう。精神異常を装って入ってきたジャック。普通の面接はありえないと思ったのかもしれない。そのアドリブに応えた院長役の俳優もすごいことだ。

 それにルイーズ・フレッチャーの冷たい表情。テコでも動かない信念を持つ婦長もすごい。意外とこういう女性も魅力的に思える。が、こんな場面を観ていると自分のサラリーマン時代と重ねてしまう。こんなねちねちといびられたら発狂するかもしれない。

 映画は、実在のオレゴン州立精神病院で撮られたようだ。それに、監督のミロス・フォアマンはジャック・ニコルソンについて、次のように言っている。「まさに奇跡としか言いようがない。実生活がマクマーフィそのものなんだから」と絶賛したとある。

 なお、17人の患者役は、全米で長期間に渡って行われ1200人以上の俳優の中から選ばれた。その中にダニー・デヴィートもいる。
 また、映画化権を持っていたカーク・ダグラスが息子のマイケル・ダグラスの世代でようやく実現したらしい。その間13年も費やしている。

 AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)2007年版歴代ベスト100の33位の作品でもある。
           
           
           
           

監督
ミロス・フォアマン1932年2月チェコスロバキア生まれ。

キャスト
ジャック・ニコルソン1937年4月ニュージャージー州ネプチューン生まれ。本作でアカデミー主演男優賞を受賞。
ルイーズ・フレッチャー1934年7月アラバマ州ボーミンガム生まれ。本作でアカデミー主演女優賞を受賞。
ダニー・デヴィート1944年11月ニュージャージ州生まれ。
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懐かしい! 妖艶キム・ノヴァク「めまい Vertigo」制作1958年 劇場公開1958年10月

2015-01-18 18:21:44 | 映画

             
 AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)2007年版歴代ベスト100の9位。

 キム・ノヴァクを観てめまいを起こしているわけではない。言わずと知れたアルフレッド・ヒッチコックの傑作のひとつ。

 めまいは、高所恐怖症のジョン(ジェームズ・スチュワート)の持病。これを利用してわが妻を殺害するという悪巧みをした男ギャビン(トム・ヘルモア)がいる。

 ギャビンは、ジョンの古い友人で造船業を営み「死んだ者が生きている者にとりつく。妻(キム・ノヴァク)が危険だ。あとをつけて見定めてくれ」と懇願する。

 最後にどんでん返しが待っている。ジョンは、車でつけるが、ある日サンフランシスコのゴールデン・ゲイト・ブリッジ下の海に飛び込むのを目撃。彼女を助け上げたのがきっかけで急速に二人の仲は接近する。ミステリー仕立てのラブ・ロマンス映画だ。

 もう半世紀以上も前の映画だからシートベルトをつけて運転していないし、でかいアメ車も懐かしい。

 それにも増してキム・ノヴァクの妖艶さに目が離せなかった。仮に私が小説を書くとすれば、主人公の女性を喩えるのにキム・ノヴァクの容姿を拝借するだろう。

 アルフレッド・ヒッチコックは、自作に必ずと言っていいほど一場面に登場する。この映画では、造船所の門の前をずんぐりとした体型が横切るのが彼だろう。
            
            
            

監督
アルフレッド・ヒッチコック1899年8月イギリス生まれ。1980年4月没

キャスト
ジェームズ・スチュワート1908年5月ペンシルベニア州インディアナ生まれ。1997年7月没。
キム・ノヴァク1933年2月イリノイ州シカゴ生まれ。現在、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で静かに暮らすという。
トム・ヘルモア1904年1月ロンドン生まれ。1995年9月没
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カントリー・ミュージックの聖地「ナッシュビル’75」劇場公開1976年4月

2015-01-16 21:35:21 | 映画

              
 テネシー州ナッシュビルといえば、カントリー・ミュージックの聖地として有名。ケニー・ロジャース、クリスタル・ゲイル、クリス・クリストファーソン、ウィリー・ネルソン、ウェイロン・ジェニングス、ジョニー・キャッシュ、エミルー・ハリス、パッツイ・クラインという面々の曲が聞けるのかと思ったがそうではなかった。

 監督のロバート・アルトマンは、マーティン・スコセッシ、ウディ・アレンと並んでアメリカの俳優から最も尊敬されている監督の一人という。

 その監督は、「カントリー&ウェスタンの草の根の文化をさまざまな展開で描き、アメリカの感性や政治を映し出したかった」とのこと。が、完成後はこのナッシュビルでは不評だった。ナッシュビルの音楽を使っていないからという。

 監督の話では、出演俳優が2,3曲自作してのぞんだらしい。この映画には大物俳優は出ていない。脇役でよく見る顔が多い。その俳優たち24人の群像劇になっている。

 時は経て2007年版AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)によると、歴代映画ベスト100の第59位となって認知されている。

 日本でのカントリー・ミュージックは、マイナーな印象が強い。アメリカでは国民的音楽の象徴となっている。ロバート・アルトマンもそういう土壌があるからこそ、アメリカを描きたかったのだろう。

 ここでは映画とは関係がないが、カントリーの古典的なヒット曲「クレイジー」をパッツイ・クラインでどうぞ!

監督
ロバート・アルトマン1925年2月ミズーリ州カンザスシティ生まれ。2006年11月没

キャスト 
ヘンリー・ギブソン、リリー・トムリン、ロニー・ブレイクリーほか多数。
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1961年フォーク・シーンの名もなきシンガーを描く「インサイド・ルーウィン・ディヴィス’13」

2015-01-13 17:27:14 | 映画

              
 1960年代ニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジでボブ・ディランとともに活躍したディヴ・ヴァン・ロンクをモデルにした作品。

 監督ジョエル・コーエン、イーサン・コーエンで、’13カンヌ国際映画祭の審査員特別グランプリを受賞した。

 残念ながら、私はこのディヴ・ヴァン・ロンクは知らない。フォーク・ソングにそれほど傾倒したわけでもない。むしろフォーク・ソングをきっかけにカントリー・ミュージックに興味を持つ発端となった。

 家なし妻なしのルーウィン・ディヴィス(オスカー・アイザック)が、友人知人の家に泊まりあるく様子をコミカルに淡いペーソスを交えた人生模様を描く。

 一番面白いのは、トラ猫がルーウィンを翻弄するところがよかった。このトラ猫、私の家のトラ猫そっくりで思わず応援してしまった。私とすればこの猫だけで十分という気分になる。

 ルーウィンがいつも怒られるジーン(キャリー・マリガン)もよかったし、車の中でいつもいびきをかいているローランド(ジョン・グッドマン)の正体不明ぶりも笑ってしまう。
         
          
         
         

猫が出てくるシーンがあるので、それをYouTubeでどうぞ!

監督
ジョエル・コーエン1954年11月、イーサン・コーエン1957年9月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。

キャスト
オスカー・アイザック1980年1月グァテマラ生まれ。
キャリー・マリガン1980年5月イギリス生まれ。
ジョン・グッドマン1952年6月ミズーリ州セントルイス生まれ。
ジャスティン・ティンバーレイク1981年1月テネシー州メンフィス生まれ。
ギャレット・ヘドランド1984年9月ミネソタ州生まれ。
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