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正月は「ゴッドファーザー」と「ディア・ハンター」で、古い記憶を辿りながら改めて新しい感動に浸る

2015-01-05 16:37:39 | 映画

 いい映画は、いつまでも色褪せないし、むしろ時間の経過とともにその価値が増しているとすら思える。それは作品の歴史的価値とともに、多分に観る人の人生経験の積み重ねも影響しているのかもしれない。

 この二つの作品を観たいと思った動機は、なんとも子供じみていて幼稚といえる。「ゴッドファーザー」には、アンディ・ウィリアムズが歌うボーカル・バージョン「Speak Softly Love」があり「ディア・ハンター」にはジョン・ウィリアムズのギター演奏で「Cavatina」がそれぞれのテーマ音楽となっている。

 どちらもいい曲で「ゴッドファーザー」のほうは、ギャング映画とは思えないロマンティックな雰囲気と哀愁を帯びた曲だし、「ディア・ハンター」は、物悲しさが漂ってストーリーとの相性がいい。つまりいい音楽を聴いていて、その映画が観たくなったというわけ。

まず、「ゴッドファーザー 1972年」劇場公開1973年7月
                
 1945年、マフィアというギャングにはニューヨークに五大ファミリーが存在していた。その有力な一派ドン・ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)ファミリーの抗争と絆と情愛が描かれる。

 ギャング映画といえば、日本のやくざ映画と同じで固い掟のもと縄張り拡張に明け暮れる。ここには善と悪が同居していて、これの比重によって後世での人気のバロメータになるのかもしれない。

 日本では「清水次郎長」が思い出される。浪曲の広沢虎造が有名。この浪曲、今では聴く人も少なくなったようで、定時放送としてはNHKFMがある程度だ。

 さて、「ゴッドファーザー」は、100点満点で文句のつけようがない。ギャングをこんなに美化していいのか。 という程度の反発を覚えたものの画面に没入してしまった。それになかなか寝付けないという後遺症まで併発した。

 マーロン・ブランドは貫禄十分だし、三男マイケルになるアル・パチーノは当然若い。若いといえばマイケルの妻になるダイアン・キートンも同じ。当然のことながら現時点では二人とも老けている。その辺は無常を感じることになる。

 ここで裏話を二つほどウィキペディアから引用してみよう。まず、この映画の冒頭は、結婚式の風景から入る。

 それは、『コッポラが黒澤明監督作品である「悪い奴ほどよく眠る」(1960年9月公開)の、結婚披露宴から始まるという展開に感心して、本作でも採用した』という。

 アル・パチーノの起用については「製作者側はマイケル役に当時若手のロバート・レッドフォードを起用しようとした。しかしコッポラは無名のアル・パチーノこそが適役と言って譲らず、もめにもめたすえにイタリア系(母方の先祖はシチリア島出身)のパチーノの起用にこぎつけた」

 パチーノはこれで有名になったというから、人間の運命なんてどこで変わるか分からない。なお、第45回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞(マーロン・ブランド)、脚色賞を受賞している。
            
            
            


「ディア・ハンター 1978年」劇場公開1979年3月
                 
 点数をつけると80点というところか。この映画も結婚式やパーティの場面から入っている。これが長い。50分以上これに関連する場面が続く。私には冗長に見えた。もう少し短縮すればテンポがよくなった気がする。「ゴッドファーザー」より20点低いのはこれに起因する。

 お話としてはペンシルベニア州ピッツバーグ郊外のロシア系移民の町クレアトンが舞台。スティーヴン(ジョン・サヴェージ)の結婚式とパーティに出席したマイケル(ロバート・デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、スタンリー(ジョン・カザール)の製鉄工場の同僚とニックが求婚したリンダ(メリル・ストリープ)たちにベトナム戦争が与えた心の傷と友情を描く。その傷が反戦の象徴と捉えることができる。

 ベトナム戦場で偶然捕虜として出会ったのは、ニック、マイケル、スティーヴンだった。川に沈められた檻に閉じ込められたアメリカ兵に襲い掛かるのは、容赦のないロシアン・ルーレットのゲームだった。何とかこれをかわしニックはヘリコプターで、マイケルとスティーヴンは徒歩で基地へ帰還となる。

 ベトナム戦争でトラウマを抱え込んだ兵士は数多くいるという。同郷のこの3人も例外ではない。

 かつてマイケルが言ったことがある。鹿狩りは1発でしとめないとだめだ。2発はない。動物を殺すということは、苦しませてはいけないというハンターの慈悲なのだろう。この1発という言葉が、のち重度のトラウマに犯され自我を見失ったニックがわれに返ったとき、自らの頭を撃ち抜くという悲惨な幕切れに繋がる。

 ニックを埋葬したあと、友人たちが第2の国歌といわれる「God Bless America」を歌う場面は印象的だった。この曲を知ったのはこの映画からだった。
           
           
           
           
           

 なお、第51回アカデミー賞で作品賞、監督賞、助演男優賞(クリストファー・ウォーケン)、音響賞、編集賞を受賞している。

 また、AFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)の2007年版の歴代ベスト100では、「ゴッドファーザー」が第2位、「ディア・ハンター」が第53位となっている。

さて、ここでテーマ曲を聴いていただきましょう。
「ゴッドファーザー」は、アンディ・ウィリアムズのボーカル・バージョン「Speak Softly Love」。アンディ・ウィリアムズが病気上がりの頬がこけた顔が痛々しいが、心にしみる歌唱が素晴らしい。

「ディア・ハンター」は、ジョン・ウィリアムズでどうぞ! マイケル(ロバート・デ・ニーロ)が帰国して、ひとりモーテルでトラウマに悩むシーンのBGMが特に印象に残った。

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