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「追憶の町 エンパイア・フォールズ」2005年制作の海外ドラマ、テレビ・ミニシリーズ。

2018-05-03 20:57:37 | ドラマ

             
 アマゾン・プライムの無料視聴の映画。出演者が実力派揃い。この映画の製作にも関わっているキレイに老けたと言われたポール・ニューマンも製作時80歳。髭面の目のあたりに面影が残っているかなと思われるメイクがより年寄りに見せている。 が、髭のない写真では往年の面影があって、素敵に加齢したなと思わせる。

 1986年「ハスラー2」でアカデミー主演男優賞受賞の彼も2008年9月帰らぬ人となった。この映画で妻のジョアン・ウッドワードと出演しているのがせめてもの慰めだろう。

 主役はマイルス・ロビー(エド・ハリス)。アメリカ合衆国でのヨーロッパからの移民で出来た最も古い地域のニューイングランド。メイン州のノックス川流域にあった織物工場、シャツ工場と上流の製紙工場がさびれて平凡な町となったエンパイア・フォールズ。

 この町を100年以上牛耳って来たのがさびれた工場で財をなしたホワイティング家。町なかにある「エンパイア・グリル」をホワイティング家のフランシーン(ジョアン・ウッドワード)がマイルスに店を任せている。マイルスが時折思い浮かべる過去の出来事を挟んでフランシーンとの関係が明らかになっていく。

 こんなことを思ったことはないだろうか。乗り合わせた電車の中で目にとまった人に思いを巡らす。何才だろうか。職業は? 独身? 趣味は? 家庭があればどんな家庭だろう。
 英国の作家ヴァージニア・ウルフを語った本の中にこんな場面がある。ロンドン行きの列車の中、ウルフは友人の息子に話しかける。「あそこに座っている男の人、どんな職業でどこに行くのだろう。どんな家庭だろうと思わない?」

 作家は興味の対象が無数にあるというのだろうか。作家の専売特許ではない。私だって考えることもあるんだから。この映画は、こんな風に事情が明らかになっていく。

 ぐうたらな父マックス(ポール・ニューマン)の過去。家に寄りつかずいつも留守がち。本人いわく「出稼ぎだ」。今でもフロリダから電話をかけてきて、酒と女に囲まれた酔いどれのノー天気。

 亡くなった母グレース(ロビン・ライト)の過去。頼りにならないマックスを当てにせずささやかな職業で糊口をしのいでいる。ある日、母とマイルスがレストランで夕食をとった時、メニュー選びを助けてくれたのがチャールズ・B・ホワイティング(フィリップ・シーモア・ホフマン)。

 ホワイティング家の御曹司。歴代のホワイティング家の男たちに共通しているのが女性に恵まれないこと。チャールズもフランシーンと結婚しているが、フランシーンが一族で唯一大学出で恋の駆け引きにも長けていた。富裕な財産を狙われたチャールズ。メキシコを10カ月も放浪するチャールズだから夫婦関係は明らか。

 夫に恵まれないグレース、妻に愛されないチャールズ。この二人が急速に親密になるのは時間の問題だった。マイルスがいつも思い出す過去は、母とチャールズ。

 そのマイルスの現実はと言うと、元妻ジャニーン(ヘレン・ハント)との間に生まれた娘ティック(ダニエル・パナメーカー)が唯一の気掛かり。親権をジャニーンが握っていて娘と暮らせないのが悩み。ジャニーンの自分勝手な気性もはたから見ていて危なっかしいし、借金があって実質財産ゼロの男と結婚するジャニーンを不安視もする。

 優しいマイルスに思いをかける女性もいる。ホワイティング家の娘シンディ(ケイト・バートン)。シンディは3歳のとき家の外で車にはねられ片足が不自由。一途な思いだが、マイルスにしては心が動かないから友達のままがいいと思っている。

 娘ティックのクラスにはいじめっ子といじめられっ子がいる。いじめっ子は警官の息子。いじめられっ子は、電気もつかない家に住むジョン(ルー・テイラー・プッチー)。どうやらこのジョンがティックに思いを寄せているようなのだ。とはいってもティックがそれに応える気がない。いじめによるフラストレーションが溜まったのか、教室でジョンは銃を乱射する。一命を取り留めたティックも恐怖にぶるぶると震えるばかり。

 マイルスの店にしても、メニューの変更やアルコール類の販売にはフランシーンの許可がいる。そしてフランシーンの過去。シンディの事故の日、チャールズはフランシーンに激怒して車庫から車を急発進させ娘を轢いてしまった。フランシーンは、父親を求めるシンディから彼を遠ざけた。一方ひき逃げの作り話で彼をかばい恩に着せて攻め続けた。彼のグレースとの恋を邪魔するために。

 メキシコから帰って来たチャールズは、拳銃を手にフランシーンの部屋へ行く途中シンディの喜びの「パパ!」という声を聞き、殺意を自らの制裁に向けた。ノックス川畔に立つ東屋で、拳銃は彼のこめかみに当てられ鋭い銃声がこだました。

 原作・脚本を担当するリチャード・ルッソのピューリッツア賞受賞長編小説のテレビ化で、3時間以上の2部構成となっている。エンディングに向けてやや急ぎ足になった感があるが、一人の女に翻弄される田舎の小さな町に起こる人間模様を余情豊かに描いている。お勧めの作品。
  
監督
フレッド・スケピン1939年12月オーストラリア、メルボルン生まれ。

キャスト
エド・ハリス1950年11月ニュージャージー州生まれ。アカデミー賞助演男優賞にノミネート3回の実力派。
フリップ・シーモア・ホフマン1967年7月ニューヨーク州フェアポート生まれ。2014年2月没。2005年「カポーティ」でアカデミー主演男優賞受賞。
ヘレン・ハント1963年6月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。1997年「恋愛小説家」でアカデミー主演女優賞受賞。
ポール・ニューマン1925年1月オハイオ州生まれ。2008年9月没。妻ジョアン・ウッドワード。1986年「ハスラー2」でアカデミー主演男優賞受賞。アカデミー主演男優賞にノミネート7回。
ロビン・ライト1966年4月テキサス州ダラス生まれ。
エイダン・クイン1959年3月イリノイ州生まれ。
ジョアン・ウッドワード1930年2月ジョージア州トーマスヴィル生まれ。1957年「イブの三つの顔」でアカデミー主演女優賞受賞。
ダニエル・パナベイカー1987年9月ジョージア州生まれ。
ケイト・バートン1957年9月スイス生まれ。父はリチャード・バートン。
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海外テレビドラマ アマゾン・プライム「グッドファイト」

2018-01-23 16:27:34 | ドラマ

      
 2017年12月25日から配信のリーガルもの。「グッドワイフ」からのスピンオフ作品。「グッドワイフ」が法律事務所が舞台で、この「グッドファイト」も法律事務所が主舞台。サイド・ストーリーに新人弁護士マイアの父が詐欺容疑でFBIに逮捕されるというお話が絡まる。

 主な俳優クリスティーン・バランスキーとクシュ・ジャンボがスピンオフしていて、新たにマイア(ローズ・レスリー)という新人弁護士も加わる。

 ロックハート&リー法律事務所の代表パートナーの一人でもあるダイアン・ロックハート(クリスティーン・バランスキー)は引退を宣言。理由の一つに代表パートナーが多すぎるというジョークを交えて、これからは人生を楽しみたいというもの。

 ちなみに代表パートナーが8人もいる。受付では「ロックハート、デクラー、ガスマン、リー、ライマン、ギルバート=ルーサー、ケーガン、タネンバウム法律事務所です」と言わなければならない。いくらなんでも長すぎる。

 それはともかく、ダイアンは引退に備えて南仏の150万ユーロ(約1億7千万円)の「光の邸宅」を購入すべく手付金を支払い済み。ダイアンの顧客、投資会社経営のヘンリー・リンデル(ポール・ギルフォイル)の娘マイアの名付け親ともなっている。そのマイアは、イリノイ州の司法試験に合格してロックハート&リー法律事務所に就職した。上顧客のヘンリーの口添えもあって法律事務所側は受け入れたようだ。

 ダイアンの引退まで決着が必要な案件「ケンダル」がある。警官3人からの殴る蹴るの暴行を受けたとして裁判沙汰になろうとしている件だ。裁判になるとケンダル対クック郡となる。クック郡の弁護をするのはダイアンのロックハート&リー法律事務所で、被害者を弁護するのは黒人経営のレディック&ボーズマン法律事務所。

 証言録取の時に現れたのが、かつてダイアンの事務所で働いていたルッカ・クイン(クシュ・ジャンボ)と同事務所の代表パートナー、エイドリアン・ボーズマン(デルロイ・リンドー)だった。

 録画を見せられるとクック郡には不利な状況だった。それを覆すヒントを見つけたのがマイアだった。ダイアンの満足な顔。

 ところが一転して顔面蒼白となる事態が発生する。上顧客でマイアの父親ヘンリー・リンデルが、投資詐欺容疑でFBIに逮捕される。資金を集めたが運用を一切していない。金はどこに? ダイアンはこの投資話を広めていた。事務所に引退を撤回したが受け入れられない。しかも、親しい友人から今の状況ならどこも雇ってくれない。しばらく静観したら? とまで言われる始末。

 破産し働き口もない。そんなとき救いの手を差し伸べてきたのは、なんとライバルのレディック&ボーズマン法律事務所のボーズマンだった。事務所を拡張するので白人枠でどうだというもの。事務所内で揉めたがルッカの「情熱と理想と狡猾さを併せ持つ弁護士です」の一言がダイアンを受け入れる決め手となる。マイアと抱き合わせでレディック&ボーズマン法律事務所の一員となったが、これが第1話になり黒人系の事務所でどのように活躍するか。面白い展開になりそう。一味違うドラマだ。

 マイアがレズビアンで黒人法律事務所が舞台。マイアの相手は検事補のエイミー(ヘレン・ヨーク)。こちらも美人。マイア役のローズ・レスリーは、お姫様だよ。スコットランドの15世紀から一族に伝わる住居「リクリーヘッド城」で育った。なんとなく気品があるなあと思っていたよ。育ちが分かろうというもの。それでももう30歳だ。最近婚約したらしい。残念ながら今のところ、レンタルDVDやブルーレイはない。
  
キャスト
クリスティーン・バランスキー1952年5月ニューヨーク州バッファロー生まれ。
クシュ・ジャンボ1985年イギリス、ロンドン生まれ。
ローズ・レスリー1987年2月イギリス、スコットランド、アバディーン生まれ。
デルロイ・リンドー1952年11月イギリス、ロンドン生まれ。
ヘレン・ヨーク1985年2月カナダ、ヴァンクーバー生まれ。
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海外テレビドラマ「ハウス・オブ・カード野望の階段シーズン5」

2018-01-07 16:38:05 | ドラマ

  
 2013年から放映の政治・社会派サスペンス。ネット配信で公開されたドラマ・シリーズとして史上初めて夜間番組を対象としたプライム・タイム・エミー賞を受賞した。

 ハリウッド・スター、ケヴィン・スペイシーとロビン・ライトを起用、この二人とも野心家で冷酷という性格設定でホワイト・ハウスを利用して国民を騙す。こういう大統領なら独裁者よりも恐ろしい。微笑みに隠れた殺人者であるからだ。

 フランシス・アンダーウッド(ケヴィン・スペイシー)が副大統領時代、ワシントン・ヘラルドの新聞記者ゾーイ・バーンズ(ケイト・マーラー)と肉体関係を持つが、自身の秘密を嗅ぎつけられ地下鉄のホームで突き落として自殺に見せかけて殺す。相手を陥れたり脅迫したりは日常茶飯事。

 それらに協力する妻のクレア(ロビン・ライト)。クレアもしたたかな女で究極の目的は、史上初の女性大統領。シーズン5でそれが実現するが、その過程で邪魔者を排除するのをいささかも躊躇しない。

 フランシスが自身の伝記のためとスピーチ・ライターとしてホワイト・ハウスに招き入れた作家のトム・イェーツ(ポール・スパークス)とクレアが肉体関係を持つようになる。アンダーウッド夫妻は、廊下を挟んで向き合う寝室で別々に就寝する。フランシスは、クレアとトムの関係を知りながら黙認する。不思議な感覚の夫婦ではある。しかし、仕事では見事な協調がある。

 アレックス・ロメロ下院議員(ジェームズ・マルティネス)が大統領選での不正を調査委員会で追及し、ホワイトハウス内部からのリークを入手したワシントン・ヘラルドの編集長ハマーシュミット(ボリス・マクギヴァー)はゾーイ・バーンズ殺害を追及する空気が漂い始める。

 実はホワイトハウスからのリークもフランシスの恣意的な行為にほかならない。実に悪の策士だ。不都合な真実を知られたら亡き者にするリストの中にスピーチライターのイェーツがある。

 クレアは猛毒のつる性常緑低木から抽出したゲルセシウムを密かにウィスキーに混ぜてイェーツに勧める。この効果は約1時間後というから、最後のセックス中イェーツは昇天する。クレアは、イェーツの頬をなでて「トム」と一言。状況はクレアが大統領就任間近という時期、そんなときスキャンダラスな内容は困るというわけ。

 トムへの後の言葉を想像すると、「トム、ドジを踏んだわね」「トム、もう少し賢いと思ったけど」「トム、心から愛していたのよ。スキャンダルを持ち出そうとしたあなたが悪い」この三つのうちどれかかもしれない。

 フランシスも人を殺す。知りすぎた政治コンサルタント、リアン・ハーヴェイ(ネーブ・キャンベル)を交通事故死させ、デュラント国務長官(ジェイン・アトキンソン)を階段で突き落として殺す。

 さらにスキャンダルを避けるために、クレア大統領の恩赦で放免されるのを確約させた上でフランシスは辞任した。ところがクレア大統領のシリアへの派兵のあとフランシスを恩赦するはずが、それがなかった。

 フランシスは呟く「そうか、なら殺すしかない」あとはシーズン6に続く。しかし、問題がある。ケヴィン・スペイシーにセクハラ問題が起こった。32年前のこととはいえ2017年のハリウッドや政界のセクハラ旋風で失職や辞職が相次ぐ。

 ケヴィン・スペイシーも製作・キャストから降ろされた。シーズン6の計画もあるが、それが最終になりそう。ここまでの作品の水準は高く眠くならずに観られる。非情さの表現ではロビン・ライトのほうが凄味があった。
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アマゾン・プライムで「鬼平」を楽しんでいます。

2017-03-29 17:06:05 | ドラマ

 ご存知、池波正太郎の「鬼平犯科帳」をアニメ化して、テレビ東京が毎週月曜日深夜2:05分から放送している番組。このシーズン1は、4月3日に最終回を迎えることになっている。

 それをアマゾン・プライムで観ることが出来る。アマゾンの紹介文を引用すると「時は江戸後期。暴虐の限りを尽くす盗賊たちが、「鬼」と呼んで畏れる男がいた。「鬼の平蔵」こと火付盗賊改方ひつけとうぞくあらためかた・長谷川平蔵その人である。

 火付盗賊改方とは、一種の特別警察。江戸市中内外の犯罪を取り締まるだけでなく、他国に出て犯罪者を捕らえることもできる機動性の高い組織。しかし平蔵は職務に忠実なだけの固い男ではない。時として罪を犯した者にも情けをかけることがある。平蔵が許さないのは、非道。《盗人三箇条》--殺さず、犯さず、盗まれたら潰れるような店からは盗まない--から外れ、人の道に背く者には一切容赦はしない。

 男気と人情にあふれ、毅然としながらもどこか色気を漂わせた佇まいで人を惹きつけるオトナ。そんな平蔵と彼を取り巻くクセのあるキャラクターたちが、江戸にはびこる非道を追い込み、叩き潰す」とある。

 実際のところ、平蔵のような男がいたらモテモテだろうなあ。アニメで描かれる平蔵は、心の広い優しい男。妻久栄をこよなく愛し、ほかの女には色目も使わない実直そのもの。これが一旦刃を抜き払えば、一刀のもとに切り捨てる。イヤー格好いいねえ。

 こういうのを観ながら考えると、当時盗賊もかなりの使い手も多かっただろうから、取り締まる方もそれ以上の力量がないと生きていけないというかなり厳しい時代を想像する。だから取り締まる方もかなり荒っぽい。

 第11話は「むかしの男」で、妻久栄の過去が浮かび上がる。「平蔵の留守中、久栄宛に手紙が届いた。『明日四ツ、護国寺、門前の茶屋よしのやまで…』と書かれ、差出人の名を見て久栄ははっとした。「むかしの男」、近藤勘四郎からだったのだ。一人で指定の場所に出向き、「長谷川平蔵の妻を、何用あって呼び出された」と毅然と応対した久栄だったが、勘四郎は「屋敷へ戻って、驚くなよ」と言い放ち去っていく。その後、役宅に帰ると予告通り、驚く事態となっていた……。」とあらすじがある。

 久栄の若い頃、隣同士だった近藤勘四郎と久栄は情を通じた過去がある。それでも妻に迎えた平蔵。牢屋にぶち込んだ勘四郎からいきさつを聞かされても、一瞬間があってかかと笑う平蔵に度肝を抜かれた勘四郎の哀れ。
 

 

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