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映画「グッドフェローズ」マフィアに憧れてその仲間になったが 1990年制作

2018-09-27 16:18:52 | 映画

          
 ヘンリー・ヒル(レイ・リオッタ)は少年のころからマフィアに憧れていて学校にも行かず使い走りをした。1950年代のニューヨークは、警官も買収されていてギャングのやりたい放題。そういう力のあるギャングが輝いて見えたのだろう。レイ・リオッタの主演作品はあまり多くないが、リオッタ36歳の記念すべき作品。 

 ジミー・コンウェイ役のロバート・デ・ニーロ47歳、トミー・デヴィート役のジョー・ペシ47歳。この3人がグッドフェローズ(気の置けない友達)となり、ジョン・F・ケネディ国際空港でのエア・フランス現金強奪事件で42万ドルを手にする。

 マフィアには掟があってイタリア系でないと幹部になれない。従ってアイルランド系のヒルやジミーは限界がある。それに引き換えトミーはイタリア系で、もしトミーが幹部になればヒルやジミーはトミーの指図を受けることになる。それでもヒルとジミーは従うと言うグッドフェローズだ。

 このトミー、鼻っ柱が強くちょっとしたことで喧嘩を吹っ掛ける。そして殴り殺したり拳銃で撃ち殺したりする。グッドフェローズはそれを大目に見ている。それよりも目先の大金を鵜の目鷹の目で探している。

 そして1978年、ジョン・F・ケネディ国際空港でのルフトハンザ航空現金強奪事件を成功させ600万ドルと言う巨額の金を得た。ヒルの妻カレン(ロレイン・ブラッコ)は、普通の家庭出の女性だが、ギャングの妻などとつき合ううちに染まっていって鼻っ柱の強い女になっていた。買い物に行くと言えば、ヒルから札束の贈り物がある。贅沢な生活だがマフィアだけの狭い世界でもある。

 集まりはクリスマスや誕生会などもいつもの顔ぶれ変わり映えしない。堅気と言えば弁護士や検事で普通の人間とは付き合わない。ヒルも気が緩んだのかご法度の麻薬に手を出して3000ドルでクビ同然の状態に置かれた。

 このころから潮目が変わり始めた。世の中変わったのかもしれない。FBIの追求や知りすぎた男ヒルとしてマフィアの仲間に殺される恐怖も押し寄せてくる。

 仲間を裏切るのは死を意味するが、ヒルは司法取引に応じてジミーをはじめ主な幹部も逮捕され裁判にかけられた。このころトミーは、すでにこの世にいない。幹部に登用するからと油断をさせて車に乗せガレージで射殺された。短気で喧嘩早い気性が仇になったのか、バーで出所してきたある幹部と喧嘩になり殴り殺して捨てた。その報いを受けたというわけ。

 証言台に立ったヒルは、証人保護プログラムで身の安全は保障された。毎朝隠れ家から新聞をとりに出るのが日課となった。映画はここで終わるが、この実話には続きがある。ヒルは1990年代前半の度重なる犯罪で保護プログラムを外される。2002年以降も麻薬取引でたびたび収監された。そして2012年6月心臓疾患のため69歳で死去した。ようするに懲りない男だった。

 監督のマーティン・スコセッシの好みかもしれないが、BGMが1950年代から60年代の曲が次から次へと流れる。最初は、「Rags to Riches(貧乏人から大金持ちへ)」をトニー・ベネットが歌う。何やら暗示的だ。

 マフィアでも恋はする。ボールルームで歌われる「Pretend you don't see her(彼女を見ないふりをしている)」という甘いバラードはイタリアの美声と言われたジョニー・ベール。

 本作は評価が高くヴェネツィア映画祭銀獅子賞(監督賞)をはじめ、1991年のアカデミー作品賞、助演女優賞(ロレイン・ブラッコ)、助演男優賞(ジョー・ペシ)がノミネートされ助演男優賞のジョー・ペシが受賞した。ジョー・ペシの圧倒的な演技は見もの。

 マーティン・スコセッシは、本作の成功で1995年「カジノ」、2006年「ディパーテッド」を製作、「ディパーテッド」でアカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、編集賞を受賞している。
  
  
  
 マフィア物って独特の雰囲気を感じるが、それは鋭い刃先の上を歩いている感覚とともに甘い哀愁も感じるというものだ。それはオールディーズの影響かもしれない。その一例としてジョニー・ベールの「 Pretend you don't see her」を聴いてみましょう。

監督
マーティン・スコセッシ1942年11月ニューヨーク、クイーンズ生まれ。

キャスト
レイ・リオッタ1954年12月ニュージャージー州ニューアーク生まれ。
ロバート・デ・ニーロ1943年8月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ジョー・ペシ1943年2月ニュージャージー州ニューアーク生まれ。
ロレイン・ブラッコ1954年11月ニューヨーク、ブルックリン生まれ。
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野球「Two-way player(二刀流)大谷翔平選手」ルーキーの通り道、歌の洗礼

2018-09-25 14:14:41 | スポーツ

    
 MLB公式サイトのCut4にこんな記事があった。「大谷翔平に出来ないのは何だろう? 日本の二刀流は、打って投げてそして月曜日には歌うことが出来るのを知った。彼がジャスティン・ビーバーの「デスパシート」を移動中のバスの中で歌うのを目撃する幸運に恵まれた」マイクだけで歌っていてチームメートからやんやの拍手が賑やか。

 本日(日本時間9月25日)テキサス・レンジャーズとの試合で第1打席に21号ホームランを放った。ここしばらく無安打が続いていたがまた息を吹き返すのか。しかし、第3打席は三振だった。大谷は2ストライクが先行すると三振の確率が高い。三振が多い印象を持つが、エンジェルス主砲38ホームランのマイク・トラウトが119個に比べ98個ならこんなもんかとも思う。(24日現在)

 いずれにしても野球だけではダメでエンタテイメント性も試される。上記のサイトはこちらからどうぞ!

さて、その「デスパシート」だが、ラブソングに違いないが詩がストレート、1950年代や70年代のオールディーズ好みから言えば品がないなあ、が感想。しかし現代の若者は大好きなんでしょう。それでは、Justin Bieberの「DESPACITO」をどうぞ!

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映画「カットバンク」観客を騙そうとしたぞ!(アマゾンプライム)

2018-09-22 15:50:09 | 映画

          
 映画の雰囲気が「ファーゴ」に似ているなあ、と思っていたら、2014年「ファーゴ シーズン1」で監督のマット・シャックマンは一翼を担っていた。

 モンタナ州カットバンク。広大なお花畑でドウェイン・マクラーレン(リアム・ヘムズワース)とカサンドラ・スティーリー(テリーサ・パーマー)が、カサンドラが州のコンテストに出る練習をビデオカメラで収録していた。カサンドラの背景の遠くの農道で郵便配達夫のジョージ・ウィッツ(ブルース・ダーン)が銃で撃たれるところだった。

 カサンドラの父ビッグ・“スタン”・スティーリー(ビリー・ボブ・ソーントン)に告げ、ローランド・ボーゲル保安官(ジョン・マルコヴィッチ)がやって来た。そのビデオを見せて犯人探しを依頼。州の規定があって事件の目撃証拠があれば10万ドルの賞金が出るというのがある。

 ちょっと不思議なのが、スティーリーとボーゲル保安官が顔を合わせても、なにか冷やかで顔を合わせたくないとでも言いたげな雰囲気。ドウェインもカサンドラの父に対して「サー」付けの返事をする。冷え冷えとした空気が漂っている。

 そんな空気の中にもう一つの得体のしれないものが加わる。度の強い眼鏡をかけボロボロの車に乗るダービー・ミルトン(マイケル・スタールバーグ)と言う男。郵便局の窓口で「ミルトンね。どこへ行ってたの? 久しぶりね」などと声をかけられる。地元住民でほとんど姿を見せなかった不思議な男。この男、意外に腕っ節が強い。右手一つで相手の喉を締めあげることが出来る。しかも頭のいい男。

 この男が徐々に、あるからくりに近づいてくる。そのからくりと言うのは、10万ドルの賞金をせしめるからくりのこと。ウィッツは死んでいないし(後でミルトンに殺されることになるが)ドウェインも、カサンドラも、ウィッツも、ビッグ・“スタン”・スティーリーも、 ボーゲル保安官もすべて仲間だった。

 実地調査にやって来た州の検事補ジョー・バレット(オリヴァー・プラット)が言うには「賞金は2,3カ月先になる」。

 従ってドウェインは退職金と称して一部を貰い受け、カサンドラと「モンタナ州カットバンクはここまで」の立て看板を車の背後に追いやって目指すは大都会。夕日に向かって疾走する車にカントリー・ミュージックが追走する。ハンク・ウィリアムズ、ジュニアが歌う「Cut Bank, Montana」2014年制作 劇場未公開
  
   
   

   
監督
マット・シャックマン1975年8月生まれ。「ドクター・ハウス」シーズン3~4 シーズン6~8がある。

キャスト
リアム・ヘムズワース1990年1月オーストラリア生まれ。
テリーサ・パーマー1988年2月オーストラリア、アデレート生まれ。
ビリー・ボブ・ソーントン1955年8月アーカンソー州ホットスプリングス生まれ。
ブルース・ダーン1936年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
マイケル・スタールバーグ1968年7月カリフォルニア州ロングビーチ生まれ。
オリヴァー・プラット1960年1月カナダ生まれ。
ジョン・マルコヴィッチ1953年12月イリノイ州クリストファー生まれ。
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映画「Q&A」尋問調書から浮かび上がる疑惑(アマゾンプライム)

2018-09-19 13:56:34 | 映画

          
 腕利きのベテラン刑事マイク・ブレナン(ニック・ノルティ)が麻薬の売人を射殺する事件を起こす。若手のニューヨーク地方検事補アル・ライリー(ティモシー・ハットン)は、ニューヨーク郡検察殺人課課長ケヴィン・クイン(パトリック・オニール)に呼び出され、ブレナンの射殺事件調査を命じられる。

 調査を進めるうち目撃者の一人麻薬ディーラー、ボビー・テックス(アーマンド・アサンテ)の証言とQ&A(尋問調書)が食い違うことに気づく。

 ボビー・テックスの内縁の妻ナンシー・ボッシュ(ジェニー・ルメット)は、アルと学生時代に恋仲だった。ナンシーが父親を彼に紹介したとき、黒人であることに表情を変えた。ナンシーは、彼のもとを去った。しかし、彼は今でもナンシーを愛している。そんな因縁が事件に絡んでくる。

 ボビーの語る裏事情は、ブレナンが裏組織の殺し屋として雇われていること。また、事件の黒幕がアルの上司ケヴィン・クインであること。しかも、クインの少年時代チンピラ仲間と殺人事件を犯していたこと。ブレナン事件は次第に検察当局に難題波及の様相を呈してきた。

 窮地のブレナンは、ボビーをはじめ関係する人間を殺し、警察署でアルに襲いかかって銃撃戦となり射殺される。アルは全容が明らかになるものと思っていたが、ブレナンの単独犯行として検察当局は隠ぺいを選んだ。

 同僚のベテラン検事から言われる。「目をつぶって昇進を選んで郊外に瀟洒な家を建てるか、愛想を尽かすかのどちらかだ」

 アルは愛想を尽かした。そして小さな島にいるナンシーの元へ。「君がどうしても嫌なら、僕は去っていくよ」

 こういう実直で一途な男の将来は……青臭すぎると思うが、それは私が若者でないからかもしれない。この映画も、この二人のその後が知りたいとも思う。ニック・ノルティのワルぶりが見事で必見。1990年制作
  
  
  
監督
シドニー・ルメット1924年6月~2011年4月ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。1957年「十二人の怒れる男」でアカデミー監督賞にノミネートされたが受賞にはいたらず、今でも名作として語り継がれるている。

キャスト
ニック・ノルティ1941年2月ネブラスカ州オマハ生まれ。
ティモシー・ハットン1960年8月カリフォルニア州マリブ生まれ。
ジェニー・ルメット1967年2月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。父がシドニー・ルメット。
アーマンド・アサンテ1949年10月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
パトリック・オニール1927年9月26日~1994年9月9日フロリダ州オカラ生まれ。
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映画「評決のとき(A Time to Kill)」黒人だから有罪なのか?(アマゾンプライム)

2018-09-16 18:18:19 | 映画

         
 アメリカの作家ジョン・グリシャムが3年をかけた「A Time to Kill(殺すとき)」は1989年に上梓された。しかし、28社の出版社から断られ出版したのは5000部だったという。(ウィキペディア)

 その後、「法律事務所」のベストセラーもあって人気作家となり、著者第1作の「A Time to Kill(殺すとき)」が映画化される。

 ミシシッピー州カントンで黒人のカール・ルー・ヘイリー(サミュエル・L・ジャクソン)の10歳の娘が、若い白人の男二人にレイプされ瀕死の重傷を負わされた事件が発生する。犯人二人は逮捕される。報復を口走るヘイリーに若き弁護士ジェイク・ブリガンス(マシュー・マコノヒー)が自重を促す。しかし、ヘイリーは警察署内で犯人が階段を移動する隙を見て二人をライフルで射殺する。警官一人が巻き添えになって負傷する。

 逮捕されたヘイリーが弁護をジェイクに依頼する。このヘイリーに憎悪の炎を燃やしているのがフレディ(キーファー・サザーランド)だった。レイプ犯の一人がフレディの兄だった。弁護を引き受けたがこの地方の人種差別意識の強さを侮るわけにいかない。陪審員に白人が多いと死刑判決という最悪も予想される。裁判地変更もあっさりと判事は却下した。

 フレディは白人至上主義者の団体KKK(クー・クラックス・クラン)と結託してジェイクの家に火をつける。ジェイクの妻カーラ(アシュレイ・ジャッド)は恐れをなして子供とともに実家へ。そんなとき現れたのが死刑廃止論者で有名判事を父に持つロースクールの学生エレン・ロアーク(サンドラ・ブロック)だった。

 対する検察側は、次期州知事を狙う検事補ルーファス・バックリー(ケヴィン・スペイシー)で、敏腕と言われる。裁判はジェイク側に有利かと思われたが、バックリーの叩き込むような質問に、証人席のヘイリーは「レイプ犯は死刑が妥当」と答えてしまった。弁護側の断然不利な状況で最終弁論が開始される。

 女子学生のロアークは、たびたび窮地を救ってくれた。ロアークはジェイクに好意をもったが、ジェイクの妻思いには勝てなかった。そしてジェイクの最終弁論は、10歳の少女のレイプ犯の行状を、陪審員に目をつぶらせて語り始める。聞きながら陪審員の表情が暗く沈むのが分かる。そして最後に「その少女は白人だった」と言う。評決は無罪。被告が白人だったら無罪だろ? 

 映画的にはこれでいいかもしれない。しかし、法のもとではどうかという思いは残る。マシュー・マコノヒーの出世作と言われるこの作品、出演者は今では彼ら一人で映画一本出来るぐらいのレベルの人たちだ。1996年制作
  
  
  
  
監督
ジョエル・シューマカー1939年8月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
原作ジョン・グリシャム1955年2月アーカンソー州生まれ。

キャスト
マシュー・マコノヒー1969年11月テキサス州ウバルデ生まれ。
サンドラ・ブロック1964年7月ヴァージニア州アーリントン生まれ。
サミュエル・L・ジャクソン1948年12月ワシントンDC生まれ。
ケヴィン・スペイシー1959年7月ニュージャージー州サウス・オレンジ生まれ。
ドナルド・サザーランド1935年7月カナダ・ニューブランズウィック州セントジョン生まれ。
キーファー・サザーランド1966年12月イギリス・ロンドン生まれ。
アシュレイ・ジャッド1968年4月加州州グラナダヒルズ生まれ。
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映画「リカウント」2000年のアメリカ大統領選挙の混乱の詳細が分かる(アマゾン・プライム)

2018-09-11 16:46:06 | 映画

          
 「RECOUNT」という題名で2000年のアメリカ大統領選挙の混乱の背景を描く。共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党ビル・クリントン政権の副大統領だった、アル・ゴアとの戦いだった。

 結果的にジョージ・W・ブッシュが選ばれたが、一般投票で敗北し選挙人投票で勝利したという大統領になった。これはどうやら112年ぶりのことだったらしい。

 一般投票で相手候補を上回れば、各州に割り当てられている選挙人すべてを得られる。フロリダ州の開票前の選挙人獲得数は、ゴア255人、ブッシュ246人だった。フロリダ州の選挙人は25人で、全米選挙人537人の過半数268人以上を獲得するにはこの25人を必要とする。

 途中経過で一旦はアル・ゴアが敗北宣言まで進んだが、フロリダ州州務省の開票結果がブッシュ290万7351票、ゴア290万7351票で1784票差になった。フロリダ州法では差が0.5%以下の場合は、機械による再集計が必要とある。

 で、映画はアル・ゴア陣営のロン・クレイン(ケヴィン・スペイシー)を中心に描かれる。もう過ぎ去った遠い過去の出来事ではあるが、まだまだ記憶に残っている大騒ぎを思い出す。各陣営には強力な弁護士を抱えておりロン・クレインもその一人。ゴアを大統領に当選させれば、自らも政府の要職も夢ではないしまた弁護士としても優良顧客獲得の道筋も見える。その逆になれば、考えるのも恐ろしい。一人ひとりがいろいろな背景を持って選挙活動を行う。それを映画は緊迫感を持って描かれる。

 フロリダ州州務長官キャサリン・ハリス役のローラ・ダーンも馬鹿さ加減をうまく演じていた。最終的にはジョージ・W・ブッシュ獲得選挙人271人、得票数50,456,002票 アル・ゴア266人、50.999.897票。

 アル・ゴアの敗因にはクリントン大統領のモニカ・ルインスキーとのセックス・スキャンダルが多いに影響しているといわれる。それにしても、世界の動静を左右する判断を下す大統領執務室でのモニカとのセックスは私の常識では考えられない場所ではある。クリントンは野暮な田舎ものだった。

 共和党の選対委員長「平和に権力が移行された。これは人々がわが国の憲法の力と法の支配を信頼しているという証しだ」

 アル・ゴアは「アメリカは党より国を優先します。敗北は勝利と同じく魂を輝かせる」と。2008年制作
              
             
              
 本作のエンドロールでロックミュージシャンのトム・ぺティ(Tom Petty)の「I Won't Back Down(おれは戻らないぞ)」が流れる。前に前に進むケヴィン・スペイシーが演じたロン・クレインの姿勢に比喩的に使ったのだろう。

 ちなみにトム・ペティは、1950年10月20日生まれ、2017年10月2日66歳で逝去。まだまだ若いが死因については、検死報告によると薬物の過剰摂取らしい。彼は臀部の骨折に悩まされていてその痛みを抑える薬を常用していたという。それにしても臀部の骨折って相当痛いだろうに。ファン第一主義の結末。で、その「I Won't Back Down」をどうぞ!

監督
ジェイ・ローチ1957年6月ニューメキシコ州アルバカーキ生まれ。

キャスト
ケヴィン・スペイシー1959年7月ニュージャージー州サウス・オレンジ生まれ。
ローラ・ダーン1967年2月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
デニス・リアリー1957年8月マサチューセッツ州生まれ。
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映画「バベル」一丁の銃がモロッコ、アメリカ、メキシコ、日本にもたらす愛の行方(アマゾンプライム)

2018-09-06 14:37:36 | 映画

           
 旧約聖書「バベルの塔」をモチーフにしたといわれる。バベルの塔は「実現不可能な天に届く塔を建設しようとして、崩れてしまったと言われることにちなんで空想的で実現不可能な計画を比喩的にバベルの塔と言われる」

 が、もう一つには語源から来るものがある。「正確にはバベルの塔という表現は聖書にはない。バベルはアッカド語では神の門を表し、聖書によるバベルはヘブライ語のbalal(ごちゃまぜ)からきているとされる」のがある。(ウィキペディア)この映画は、四か所の事柄を描いていて、この「ごちゃまぜ」がぴったりに思える。

 モロッコに住む一家に届けられたのは、ウィンチェスターM70ライフル。この一家にはヤギの天敵ジャッカルを撃つためのものだ。ヤギの世話は息子の兄弟に任せている。銃の試し撃ちでは、兄より弟の方がうまかった。この銃が3キロ先の標的も撃ち抜けると持ち込んだ男が言う。そういうことを聞くと試したくなるのが人情というもの。

 兄が走る車を撃っても当たらない。それではと言うことで、弟が木が一本も生えていない荒涼とした起伏の間にある未舗装道路を、縫うように進行してくる遠くのバスに狙いを定める。

 このバスにはアメリカからのツアー客が乗っていた。その中にリチャード・ジョーンズ(ブラッド・ビット)とスーザン・ジョーンズ(ケイト・ブランシェット)の夫妻も乗っていた。この二人、途中の休憩所のテーブルを挟んで座ったリチャードが「許してくれ」と言うがスーザンはハッキリとしない。何か問題を抱えている夫婦のようだ。窓際に座ってうとうととまどろむスーザンに一発の銃弾が肩を貫いた。車内は騒然とし「テロか?」リチャードは必死でガイドに救急車を求めている。

 東京の麻布。娘チエコ(菊池凛子)のバレーボールの試合を見守る綿谷靖次郎(役所広司)。高校生のチエコは聞こえない話せないという二重苦の持ち主、相手の唇を読むことで理解し自らはメモ帳に筆記して伝える。同級生とは手話で会話をする。無音の世界に存在するチエコの心はやや歪んでいる。

 父靖次郎ともうまくいっていない。靖次郎の気配りが鬱陶しい。放課後は渋谷や新宿で遊ぶ。しかし、男たちは聞こえない話せないと分かれば、怪物でも見るような表情になる。心のつながりのない毎日が続く。

 アメリカ、ロサンジェルス。ジョーンズ夫妻の子供デビー(エル・ファニング)とマイク(ネイサン・ギャンブル)をメキシコ人乳母のアメリア(アドリアナ・バラーサ)が留守宅を守っている。アメリアの息子の結婚式出席の不在も代わりのベビーシッターも決まっていた。ところがリチャードからの電話でベビーシッターが行けなくなったので、君に頼むと一方的に電話が切れた。アメリアは知り合いの乳母に預かってくれるよう頼むが、どこも引き受け手がない。仕方なくサンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)に車でメキシコ往復を頼んだ。

 モロッコの警察の捜査が進んでいて銃の提供先が判明した。それはモロッコ人ガイドが日本人から贈られたものだった。その日本人と言うのがチエコの父綿谷靖次郎だった。

 靖次郎の留守中、警視庁の浜野良夫と真宮賢治(二階堂智)が訪ねてきて、チエコに靖次郎からの電話が欲しいと言い残して帰って行った。

 再びモロッコ。スーザンは、ガイドが連れてきた獣医の傷口の縫合と高齢のばあさんが吸うアヘン? なのかスーザンも吸って痛みが和らぎ小康を保っている。そんな折も折、スーザンが「我慢できなくて漏らした」と言う、しかもまたしたくなった。

 リチャードはガイドから洗面器のようなものを受け取りスーザンのお尻にあてがう。痛みのあるスーザンにはリチャードの体が支え。スーザンを抱きかかえたリチャードが再び言う。「許してくれ。サムが死んだとき、僕は逃げた。怖かったんだ」スーザンも「私も怖かったわ」

 どんな状況なのか明らかでないが、他人から見れば何でもないことでも、夫婦となれば重い意味を持つ場合が多いことを思えばようやく光が見えたのだろう。そしてヘリコプターの爆音が近付いてきた。

 モロッコのもう一つの一家。警察は射入口から発射された位置を確定し、付近に散らばる薬きょうからウィンチェスターM70の持ち主にたどり着いた。父と子供二人は岩山に逃れようとしていた。警察の銃弾は、兄を死に追いやった。応戦していた弟が観念し両手をあげて「僕がバスを撃ったんだ」

 サンチャゴとともにデビーとマイクを伴ったアメリアは、弟の結婚式で嬉しそうに笑い踊った。夜遅く周囲の「飲んだんだから泊っていけ」の言葉を無視してサンチャゴは国境へ向かう。バックシートでは、デビーとマイクがすやすやと眠っている。

 検問は執拗だった。それにいらついたサンチャゴの「何か問題でも?」係官「問題があるのか?」何せメキシコ人二人が白人の子供二人を乗せている状況で真夜中となれば疑うのも当然かもしれない。「酔ってるのか。降りろ」が起爆剤。サンチャゴは国境突破で追われる身となる。しかも、アメリアと子供二人を砂漠に置き去りにして「警察を撒いたら戻ってくる」と言って去っていった。

 砂漠は歩き回るほど方向感覚を失わせる。二人の子供を抱えたアメリアは必死だった。何とか砂漠からの脱出を図ろうとして、子供二人を木陰に置いて道路を探す。幸運にもパトロールの警察車両に発見される。事情を説明して子供のいる場所に戻ったが子供はいない。砂漠の木陰はどこも似たようなもの、砂漠に不慣れなアメリアが場所を間違えたのかもしれない。

 そんなアメリアとつき合うつもりのない警察は逮捕した。奇跡的に子供二人は発見されたと警察で告げられる。しかし、アメリカ人でないアメリアが乳母として働くことが不法就労にあたるとして強制退去を命じられる。国境で息子に迎えられるアメリア。

 タワーマンションの最上階31階にある綿谷靖次郎宅のブザーを押した警視庁刑事真宮賢治を迎えたのはチエコだった。「お話があるとか?」と真宮。チエコはうなずきながら真宮を招じ入れた。メモ帳を取り出して何かを書いて真宮に手渡した。

 そこには「母はこのベランダから投身自殺をした」とあった。真宮はベランダに出た。手摺は胸のあたりにあり乗り越えようと思えば可能だ。しかし、なぜ今そんな話を持ち出すのだろうと疑問に思いながら部屋に戻った。真宮には本当に確認したいのは綿谷靖次郎であってチエコではない。

 コートをとって帰る素振りをしたとき、チエコは顔を近づけてキスをしようとした。真宮は「だめです」と言って身を離した。チエコは黙って別の部屋に……出てきたときには一糸纏わない裸だった。そのチエコが真宮に近づいてきた。真宮はチエコの心の奥を理解した。そっと抱きしめた。

 コートをかけてやりソファに座ったチエコがメモ帳に何かを書いている。そのメモを真宮に手渡す。真宮がすぐ読もうとすると、チエコは手まねでポケットに入れよの仕草。

 真宮はエレベーターを降りて出口に向った時、一人の男とすれ違った。広いエントランス・ホールに初老の案内係がデスクに座っている。その男が声をかけた。「綿谷さん、こちらの刑事さんがご用がおありのようですよ」

 簡単な挨拶ののち、真宮はウィンチェスター銃M70について尋ねた。綿谷は自分のものでガイドにお礼としてあげたと言った。お礼を言って踵を返そうとして、綿谷の背中に「失礼ですが、娘さんから聞きました。奥様がベランダから飛び降り自殺をされたんでは?」「飛び降りてなんかいない。銃で自分の頭を撃ったんだ。最初に発見したのが娘だ」

 真宮は夕暮れの飲食店街を考え事をしながら歩き、一軒の居酒屋に入った。焼酎のお代りを注文した時、テレビのニュースが「注目されていたスーザン・ジョーンズさんが、カサブランカ病院を無事退院しました」

 それにちらりを目をやった真宮はポケットからチエコのメモ書きをとりだした。小さな字でびっしりと書き込まれていた。映画では内容を明かしていないが、チエコの苦悩と真宮へのお礼の言葉かもしれない。

 自宅に戻った綿谷靖次郎はチエコを探した。刑事の言った飛び降り自殺。娘は何故そんなことを言ったんだろう。ひょっとしてチエコ自身がこれから行おうとしてるのかもしれない。ベランダに出た。そこにはまさにチエコの裸体が部屋の照明に浮かんでいた。靖次郎はチエコに近づいた。チエコは父の顔をじっと見て飛びつくようにしがみついた。

 靖次郎は、妻が自殺に使った銃をまるで忌まわしいもののようにガイドにプレゼントした。靖次郎の心も沈んでいた。それを見ているチエコは、誰にも相手にされず父からも事務的な指示で愛情表現のない愛に飢えた一人の少女の苦悩を、靖次郎はチエコを抱きながら理解した。

 周囲のマンション群は、部屋の明かりが星屑のようにきらめき、抱き合う親子の姿もその中に溶け込んでいった。最後に次のキャプションが出る。「わが子供たち、マリア=エテディアとエリセオに 最も暗い夜の 最も輝ける光」

 まさに靖次郎、チエコ親子には、最も暗い夜の 最も輝ける光がぴったりに思える。この四つのお話に共通する愛を、一丁の銃に絡めて描くアレハンドロ・ゴンザレス・イニヤット監督の力量を見た気がする。最も心に残るのが日本編のお話だろう。

 映画を観終わったあと「その後は?」と言いたくなる場面がある。この映画では、真宮がチエコのメモを読んで考え事をする。真宮とチエコはどうなっていくのだろう。それぞれ別の人生を歩むのか、それともこれが縁で真宮とチエコが結婚して、チエコが幸せの笑顔になるのだろうか。そういう「その後」に想いを馳せる。これが余情と言うものか? 2006年制作
   
   
   
監督
アレハンドロ・ゴンザレス・イニヤット1963年8月メキシコ・シティ生まれ。2014年「バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、2015年「レヴェナント蘇りし者」でアカデミー賞監督賞受賞。本作は、監督賞にノミネートされる。

キャスト
ブラッド・ビット1963年12月オクラホマ州生まれ。
ケイト・ブランシェット1969年5月オーストラリア、メルボルン生まれ。2004年「アビエイター」でアカデミー助演女優賞受賞。2013年「ブルージャスミン」でアカデミー主演女優賞受賞。
ガエル・ガルシア・ベルナル1978年11月メキシコ生まれ。
役所広司1956年1月長崎県諫早市生まれ。
菊池凛子1981年1月神奈川県生まれ。
二階堂智1966年3月東京都生まれ。
アドリアナ・バラーサ1956年3月メキシコ生まれ。
エル・ファニング1998年4月ジョージア州生まれ。
ネイサン・ギャンブル1998年1月ワシントン州生まれ。
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海外テレビドラマ「トム・クランシー/CIA分析官ジャック・ライアン シーズン1」

2018-09-02 12:50:11 | 海外テレビ・ドラマ

          
 アマゾン・オリジナル作品で2018年8月31日配信開始。トム・クランシーは、政治、軍事、外交、諜報、陰謀、科学などの技術の脅威を扱う文学の分野であるテクノスリラーで、主に軍事や諜報活動に重点を置いた作品で人気を得る。ジャック・ライアンは、ジャック・ライアン・シリーズの主人公で「レッド・オクトーバーを追え」「愛国者のゲーム」「いま、そこにある危機」など映画化されたものも多い。

 トム・クランシーは、1947年4月12日メリーランド州ボルチモアに生まれ、保険代理店を営みながら余暇に書いた「レッド・オクトーバーを追え」がベスト・セラーに、その後作家へと転身。2013年10月1日66歳でボルチモアの病院で死去。

 このテレビ・ドラマは、テロリストを追うというテーマで、CIA(中央情報局)のテロ資金武器対策課(T-FAD)に所属する主に金融取引の分析官ジャック・ライアン(ジョン・クラシンスキー)が新任の主任ジェームズ・グリーア(ウェンデル・ピアース)に報告するところから動き出す。

 ライアンは、イエメンの金融取引を監視しいて、資金の流れの不自然さに気付き、資金がテロリストに渡っているのではないかと疑問を投げかける。それは誰かと言うグリーアの執拗な質問に「その名はスレイマン、“平和の主(あるじ)”」

 1983年レバノン、ベッカー高原。兄弟が遊んでいるとき、米軍機の爆撃で家族を失い兄がスレイマン(アリ・スリマン)と名乗りアメリカへの復讐を誓った。

 フランスでのテロやスレイマンの妻ハニン(ダイナ・シハービ)と子供たちの逃避行、それを追うスレイマンの部下とジャック・ライアン。ライアンと感染症専門の医師キャシー(アビー・コーニッシュ)とのラヴ・ロマンスを織り交ぜながらスレイマンを追いつめる。

 事件が完結した後、グリーアはロシアに転勤、後任にジャック・ライアンという構図。シーズン2は、リーダーとしてのジャック・ライアンが観られる。

 テロリストと対峙するテレビ・ドラマは、「24」が大人気であったがそこまでの域に達するかどうか、ジャック・バウアーをキーファー・サザーランドが演じた。このドラマもジャック・ライアンでジャックと言うファースト・ネームが同じながら今後の展開次第だろう。
   
   
   
   
製作にカールトン・キューズが参加、エミー賞、ゴールデングローブ賞受賞の「LOST」のプロデューサー。1959年3月メキシコ生まれ。

キャスト
ジョン・クラシンスキー1979年10月マサチューセッツ州ボストン生まれ。
アビー・コーニッシュ1982年8月オーストラリア、ニューサウスウェールズ生まれ。
ウェンデル・ピアース1966年12月ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ。
 テレビ・ドラマ「SUITS/スーツ」でパラリーガルを演じたメーガン・マークルの父親役で出演していた。そのメーガン・マークルは、イギリスのヘンリー王子と結婚してサセックス侯爵夫人となった。
アリ・スリマン1977年イスラエル生まれ。
ダイナ・シハービ1989年9月サウジアラビア生まれ。
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