Wind Socks

気軽に発信します。

ぴあの個人情報流出は、謎の「ダークウェブ」の仕業か。それを地で行く映画「持たざるものが全てを奪う」

2017-04-29 16:10:12 | 映画

               
 この映画の原題は、Hacker。そして4月25日の紙面を賑わせたのが「チケット販売大手のぴあは25日、同社がプラットフォームを提供し運営を受託しているプロバスケットボール・Bリーグのチケットサイトとファンクラブのサイトがサイバー攻撃による不正アクセスを受け、個人情報約15万件が流出した可能性があると発表した」というもの。

 こういう悪さをするのは「特殊なソフトを使わないと接続できず、発信元の特定が困難な「ダークウェブ」と呼ばれるインターネット上のサイト」らしい。

 この映画でもダークウェッブと称する「銀行を攻撃する」と言う覆面の男がテレビに映し出されていた。

 カナダの田舎町に住むアレックス(カラン・マッコーリフ)は、子供の頃からパソコン・オタクで夜中までちまちまとクリックして、塵も積もれば山となるの喩えどおりに靴箱に現金を貯め込んでいた。アレックスの両親は、父親が働かず銀行に勤める母親が家計を支えていた。夫婦喧嘩が絶えることがない。

 そういう口げんかを聞きたくないアレックスは、夜半にふらりとカフェで時間をつぶす。ひと気の少ない店内にテレビは「ダークウェブ」の犯行を伝えていた。帰宅して知ったのは、母が銀行をクビになったことだった。そうなると家のローンが払えない。悲嘆にくれる母親。
 アレックスは靴箱を母親に差し出す。「当面はなんとかなる。後は任せて」とアレックス。アレックスにはパソコンを使う違法取引の才能があるが、今最終目標を母をクビにした巨大銀行をぶっ潰すことを決意する。そのためには、「ダークウェブ」とコンタクトを取る必要がある。すべてはここから始まり可愛らしい恋人キーラ(ロレイン・ニコルソン)を得、闇世界から足を洗うというお話。

 一応ミステリー風に作ってあるが、ラブストーリーとアクション混合がよかったんじゃないかと思う。トロントで知り合った三人。アレックスとサイ(ダニエル・エリックゴールド)それにキーラ。ビジネスを始めるとキーラが買い手を見つけてくるが、トラック一杯の商品もすぐに売れてしまう。疑問を持つが「叔父の紹介よ」というだけ。

 実は、当局の手先がキーラ。当局はダークウェブ解明にやっきになっていると言うこと。これをアレックスが知るのは、タイで偽造カード使用の罪で2年の刑期を終えて出所、待っていたキーラが明かしたときだった。

 これを最初から観客に知らせて構成すれば、スリルとサスペンス味も加えられ甘いラブーストーリにもなったかも。一般の劇場公開にしなかったのは、こういう切れ味が欠けているからだろう。

 出演の三人、カラン・マッコーリフ、ロレイン・ニコルソン、ダニエル・エリックゴールドは、将来有望という話だから注目していこう。ロレイン・ニコルソンを見ていると、どうして白人系はこんなに透き通るような白い肌なのかと思わざるを得ない。鏡に映る自分の顔を見ながらいつも思うんだよね。この歳になっても……。

 ニコルソンは可愛いがこういう女優は一杯いる。どういう風に抜け出すか楽しみ。男たちもルックスは悪くないから、これからの成長を期待しよう。エリックゴールドは、ちょっと歳を食っているかな。

 この映画は、「未体験ゾーンの映画たち2017」と銘打った日本未公開作品ばかりが集結する劇場型映画祭で上映された。上映劇場の数は少ない。2015年制作 劇場未公開

監督
アカン・サタイエフ1971年12月カザフスタン生まれ。

キャスト
カラン・マッコーリフ1995年1月オーストラリア生まれ。
ロレイン・ニコルソン1990年4月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
ダニエル・エリックゴールド1975年9月ロサンジェルス生まれ。

面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5月14日は母の日「マザーズ・デイ」2016年制作 劇場未公開

2017-04-27 16:23:49 | 映画

               
 ジュリア・ロバーツぐらいになると出番が少なくてもクレジットの3番目の位置になるんだよなあ。アカデミー主演女優賞も貰っているし観客動員に寄与するってワケだ。個人的な好みから言えば敬遠するタイプ。

 主役は、ジェニファー・アニストン、次に位置するのはケイト・ハドソン。あれあれ彼が出ているよ。もう終わったTVシリーズ「JUSTIFIED俺の正義」で主役のレイラ・ギブンズを演じたティモシー・オリファント。結構気に入ったシリーズだった。

 役どころはジェニファー・アニストンの元夫で別の女性と結婚したとわざわざ伝えに来る男。人間のクセと言うのは直らないようで、この映画でもレイラ・ギブンズだった。

 このJUSTIFIEDがセリフにも取り入れられていて、翻訳は「当然の報いよ」とあった。1990年に「プリティ・ウーマン」でヒットを飛ばした監督ゲイリー・マーヤルではあるが、特別印象に残るものはなかった。

 ゲイリー・マーシャルは、この年2016年7月に他界した。ジュリア・ロバーツは、「プリティ・ウーマン」の縁でお付き合いか。
暇つぶしにどうぞ!

監督
ゲイリー・マーシャル1934年11月ニューヨーク市生まれ。2016年7月没。

キャスト
ジェニファー・アニストン1969年2月カリフォルニア州オークス生まれ。
ケイト・ハドソン1979年4月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
ジュリア・ロバーツ1967年10月ジョージア州生まれ。
ティモシー・オリファント1968年5月ハワイ州ホノルル生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

発情期のネコを連想する「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」

2017-04-17 16:10:58 | 映画

              
 第1作が2001年、第2作が2004年それから12年後に本作。レギュラー出演は、レニー・ゼルウィガー、コリン・ファース。前2作にはヒュー・グラントが出ていたが今回はパトリック・デンプシーに変わった。

 ヒュー・グラントが「もう、ラブコメは嫌だ」と言ったらしい。自分の年齢を意識したのか、もう一段の飛躍を望んだのかそれは分からない。

 お話はまったく他愛のないものでふとしたことから二人の男と同時期にセックスをして妊娠する。どちらの男が父親かをドタバタと繰り広げられる。その二人の男コリン・ファースとパトリック・デンプシーだが、もともと役者の格が違う。アカデミー主演男優賞受賞者のコリン・ファースとテレビ界での役が多いパトリック・デンプシーだが、父親がどちらがふさわしいか火を見るよりも明らかだ。

 見たところコリン・ファースは純粋の白人に見えるが、パトリック・デンプシーは南米出身者の風貌だ。生まれてくる子供を見ればどちらかがハッキリする。そういう風に観ているとDNA鑑定なんて退屈な話になってしまう。

 案の定白人の子供が産まれ、コリン・ファースと結婚式を挙げるレニー・ゼルウィガー。DNAの話を持ってこないと、人種差別批判になる恐れを回避したか。

 もう50歳に近いレニー・ゼルウィガーの新鮮味が薄れおばちゃんという雰囲気。それに引き換え60歳に近づくもコリン・ファースのすっきり感が目立った。損な役回りのパトリック・デンプシーは、彼を目当てに観ようとは思わない俳優と言ったら言い過ぎか。これで「ブリジット・ジョーンズの日記」は終わったんじゃないかな。2016年制作 劇場公開2016年10月
 
監督
シャロン・マグアイア1960年イギリス生まれ。

キャスト
レニー・ゼルウィガー1969年4月テキサス州ケイティ生まれ。2003年「コールド・マウンテン」でアカデミー助演女優賞受賞。
コリン・ファース1960年9月イギリス、ハンプシャー州生まれ。2010年「英国王のスピーチ」でアカデミー主演男優賞受賞。
パトリック・デンプシー1966年1月メイン州生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トム・クルーズ、もう一つのアクション・ドラマ「ジャック・リーチャー」

2017-04-15 16:42:22 | 映画

              
 トム・クルーズが製作にも関与するシリーズ物に1996年から始まったイーサン・ハントを主人公の「ミッション・インポシブル」があり、爾来5本を数えるヒット作品と2012年のジャック・リーチャーを主役とした「アウトロー」につづく二作目となる本作。

 ジャック・リーチャーとは、何者か。本名だがその存在はゴースト。運転免許の取得暦なし、住所の登録暦なし、クレジット・カード、携帯電話、eメール、すべてなし。
 しかし、経歴は分かる。軍歴あり。海外の基地育ち。母親はフランス人で父親は海兵隊員。本人は帰国して陸軍士官学校に入り、4年で海外派遣。イラク、アフガニスタン、バルカン半島で殊勲に輝いた。銀星章、青銅星章、勲功賞を受賞。憲兵隊に籍を置き捜査・取調べに精通。

 そして彼の能力は、時計なしにいつでも思った通りの時刻に起きることができる。特定の武術のエキスパートではないが、様々な格闘技に熟練した能力を発揮することができる。優れた狙撃能力。軍のライフルやピストルの射撃大会での優勝経験を持ち、拳銃のインストラクターも務めていた。いろいろなタイプの火器、銃・武器について精通している。鋭い観察眼を持ち、敵との対決で発揮される。

 しかし、トラブルを起こして大尉に降格、その後少佐に復帰したが、その後に除隊。恩給の振込銀行から、時折金が引き出される。移動の手段は主にヒッチハイクかバス。いわゆるさすらいの人。

 「アウトロー」で女性弁護士として行動を共にする相手役がロザムンド・パイクだったが、本作ではターナー少佐としてテレビ界出身のコビー・スマルダーズが務める。もう一つ、ジャックの娘だというサマンサにダニカ・ヤロシュを加えドラマ性が強調された。

 ジャック・リーチャーは、ターナー少佐に電話をかけた。二人のやり取りは過去に職務上の貸し借りがあるようで、面識がないが通じるものを感じているようだ。ターナー少佐を訪ねることを約束するジャック・リーチャー。

 ところがターナーを訪ねると「スパイ容疑で逮捕され解任された」と言う。軍の弁護官モアクロフト大佐を聞き出し本人に会うと「来ると思っていた。キャンディス・ダトンという女性から君が養育費の不払いで軍に支払を要求している」と言われる始末。見せてもらった書類の15歳の少女の写真を抜き取り、モアクロフト大佐には退役を待つ哀れな人間だと捨て台詞を投げて去っていった。

 正義は自分流でやると言うジャック・リーチャー。まんまとターナー少佐を独房から救い出す。救い出すと言っても脱獄に変わりない。胡散臭い謀略をかぎつけたジャックに襲い掛かる何者か。その間にサマンサとも接触。サマンサにも危険が迫りジャック、ターナー少佐、サマンサが逃げ惑ったり、追いかけたりニューオーリンズでの死闘の末、一件落着と相成った。

 このDVDには、トム・クルーズのチョットした解説も入っている。で、ニューオーリンズでの撮影、トム・クルーズは犯人を追いかけながらテレビ局のバンをボンネットから車の屋根に、そこから二階のフェンスに取り付いて、軽々と身を躍らせてベランダに飛び降りる。スタントなしで54歳のトム・クルーズがやってのける。いやはやびっくりした。

 ヴァガボンドのジャック・リーチャーは、身を落ち着けることが出来ない。復帰したターナー少佐との別れ。軍服に身を包んだコビー・スマルダーズが素敵だ。数少ない別れの言葉の中で「おもしろいわね。私でなくサマンサとの絆ができた。結末を教えてね」それは肉親でないと分かったサマンサとの絆を言っている。

 そのサマンサとの別れもぎこちなさが漂うが、「また旅をするの? 寂しくない?」サマンサの問いかけに「時々ね」と憂いを含んでジャック。別れて歩き出したときサマンサが振り返って勢いよくジャック・リーチャーの胸に飛び込んできた。強く抱きしめるリーチャーではあるが、これ以上は俺の流儀じゃない。

 ハイウェイの路肩で親指を立てて止まる車を待つ。携帯の着信音が響く。取り出してみると、いつの間にこの携帯をポケットに入れたのかサマンサのメールがある。「もうわたしに会いたい?」ほのぼのとした気分にさせてくれるエンディングだった。2016年制作 劇場公開2016年11月
 

 
監督
エドワード・ズウィック1952年10月イリノイ州シカゴ生まれ。

キャスト 
トム・クルーズ1962年7月ニューヨーク州シラキース生まれ。
コビー・スマルダーズ1982年4月カナダ、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー生まれ。
ダニカ・ヤロシュ1998年10月ニュージャージー州生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!・

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

南北戦争で引き裂かれた二人の運命「ジェーン」2016年制作 劇場公開2016年10月

2017-04-11 16:02:20 | 映画

              
 南北戦争終結6年後の1871年、ニューメキシコ準州の乾ききった平原に建つハモンド一家に災厄が見舞う。もともと夫のビル(ノア・エメリッヒ)は、無法者たちを率いていて2000ドルの賞金がかかっているお尋ね者だ。妻ジェーン(ナタリー・ポートマン)との間には娘ケイティを儲けて夫婦仲はいい。

 遊ぶケイティの像がゆがむ窓から平原を眺めながらパン生地をこねていたジェーン。ケイティの「パパ」と言う声に表に出てみると、ビルが馬から転げ落ちた。銃弾が二発背中にめり込んでいた。ジェーンは、一発は取り出したが残る一発は取り出せない。お尋ね者ゆえ、医者に頼れない。

 「ビショップ(ユアン・マクレガー)たちが追ってくる。ケイティを連れて逃げろ」とビルが言う。ジェーンは「逃げない。あなたをここから無事に出す」

 ライフル、拳銃、黒いテンガロン・ハットに身を固め、娘をインディアンの女に預け、かつての恋人ダン・フロスト(ジョエル・エドガートン)に助けを求める。

 この黒いテンガロン・ハットをかぶるナタリー・ポートマンがなかなかいい。意志の強い西部の女にぴったり。インディアンの女の家に行く風景も、緑がないが砂塵の舞うすすけた茶色が土地の匂いや吹く風の冷たさも感じられ行ってみたいと思わせる。こういう風景の中を4WDの車を駆ってみたいと思ったりする。

 別の男と結婚したかつての恋人の依頼は、男の意地が阻み「帰ってくれ」とジェーンを追い返す。ジェーンはその足で助っ人を雇おうと町に出る。悪いことに、ならず者につかまっていたぶられる寸前ダンが現れる。隙を見てジェーンは、ならず者を撃ち殺す。ダンの「逃げよう」で二人はジェーンの家へ。結局、ビショップたちの襲来を待つことになる。

 迎撃体制を整える合間に、ジェーンとダンのいきさつが語られる。結婚を約束した二人だったが南北戦争の勃発でダンは入隊、ジェーンに音信がなかったのは捕虜になったからだった。そういう境遇のジェーンには別の道を歩ませることになる。

 再び力を合わせる二人に勝利は微笑む。ビルは弾丸を抜き取れないせいで命を落とす。ビショップと何人かの「お尋ね者」のポスターを剥がし、夫の「2000ドル、ビル・ハモンド」はそのまま残す。せめてもの夫への惜別と女のプライドか。

 ざっくりと賞金を手にして、ダンと娘二人と共にカリフォルニアを目指す。久しぶりに落ち着いて西部劇を観た気がした。かつて仕事や人間関係で悩んだとき、シネマスコープの西部劇を観て気分転換したことを思い出す。悩みのあるときアルコールに頼ると、ろくなことがなかった。爾来、西部劇が私にとって清涼剤となった。

 そういうことでこの映画をわくわくしながら観ていた。疾走する場面の馬の美しさ。ビショップたち二十数人の乗る馬が三手に分かれる描写は、まるで航空自衛隊のブルーインパルスの編隊飛行を思わせる素晴らしいショットだった。
 

 

監督
ギャビン・オコナー1964年ニューヨーク、ロングアイランド生まれ。

キャス
トナタリー・ポートマン1981年6月イスラエル生まれ。2010年「ブラック・スワン」でアカデミー主演女優賞受賞。本作には製作にも参加。
ジョエル・エドガートン1974年6月オーストラリア、メルボルン生まれ。
ノア・エメリッヒ1965年2月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。



ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

死後もこだわる若い恋人への愛「ある天文学者の恋文」2016年制作 劇場公開2016年9月

2017-04-08 16:38:20 | 映画

              
 監督が1989年「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ。音楽を2015年「ヘイトフル・エイト」でアカデミー賞作曲賞を受賞、他に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」では多くの音楽賞を受賞しているエンニオ・モリコーネ。

 老境の教授に1990年「運命の逆転」でアカデミー主演男優賞を受賞したジェレミー・アイアンズ。その恋人エイミーを東洋的な顔立ちながらメイキャップによってはかなり魅力的になるオルガ・キュリレンコが演じる。

 いきなりホテルの部屋で天体物理学教授エドワード・フィーラム(ジェレミー・アイアンズ)とエイミー・ライアン(オルガ・キュリレンコ)の熱い場面。どう見ても老境の男と若い女の組み合わせ。6年も続く教授と教え子の関係。

 講演があるからと彼女の部屋で別れたあと、エイミーの電話に「電話に出られません。伝言をどうぞ!」が繰り返されるばかり。そして他教授の授業に出たエイミーが知らされたのが、教授の死だった。

 落ち込むエイミーだが、エイミーが行く時と場所それぞれに「君を想い、君を抱きしめる。決して見捨てはしない。君のエドより」のメールと共に、手紙やDVDが届く。この謎が徐々に解き明かされていく。

 イタリアの湖水地方にあるオルダ・サン・ジュリオ島で渡された最後のDVDには「人は永遠に生きるようになっている。しかし、人は過ちを犯す。どんな過ちかは分からないが、それによって生涯が決められる。私の場合は、君にもっと早く逢えなかったのが過ちだ」と言う。

 この言葉をまともに受け取れば、なにやら禅問答めいてくる。しかし、同年輩の目から見れば一言「死にたくない」といえる。若い恋人を残して死にたいとは誰も思わない。人生経験の豊富なエドからは、瑞々しい若い肉体との別離は耐え難いもののようだ。

 従って何ヶ月も前から死後の準備をした。すべてはある弁護士を通じてメールや手紙、DVDの配送が行われた。それはエイミーにとっても納得のいくものになった。唯一形のあるものとして、ジュリオ島の屋敷がエイミーへの遺産となった。

 私は現実主義者だから、むしろ教授が70歳として20歳から30歳の年の差の恋が感情移入できる。エイミーは二十歳前後の設定でかなりの年の差。オルガ・キュリレンコが37歳で二十代を演じるのはムリ。この辺が納得のいかないところ。

 若い女性から見れば「あんなに愛してくれる男性って素敵」と思うかもしれない。それはそれでいい。私の目からはほとんどあり得ないと言える。だから、これはやっぱり大人のおとぎ話だろう。エンニオ・モリコーネの音楽はよかった。ちなみに原題が「Correspondence(通信)」と味も素っ気もない。
 
監督
ジュゼッペ・トルナトーレ1956年5月イタリア生まれ。

音楽
エンニオ・モリコーネ1928年11月イタリア、ローマ生まれ。

キャスト
ジェレミー・アイアンズ1948年9月イギリス、ワイト島生まれ。
オルガ・キュリレンコ1979年11月ウクライナ生まれ。


ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カード詐欺に遇ったが…どうしたことか詐欺師と友達になった「泥棒は幸せのはじまり」

2017-04-06 15:58:11 | 映画

              
 他人の金で飲み食いするのは、楽しさ100倍なのだろうなあ。ちんまりしたデブのダイアナ(メリッサ・マッカーシー)は、サンディ・パターソン(ジェイソン・ベイトマン)に電話をかけた。

 「クレジットカードの不正使用を監視する部門の者です。お客様のカード利用を何者かが試みたようです」
「ウソだろ」
「しかし、幸運にも発見が早く未遂に終わりました。これを機に無料の保護プランに加入し、安全に利用なさいませんか?」
「イエス、無料ならばぜひお願いするよ」
「私も使ってますし、お勧めですよ。では、幾つか情報を伺います。氏名と生年月日、社会保障番号を教えてください」
「分かった。言うよ」ダイアナはガッツポーズ。

 シャワーを浴びて髪の毛を拭きながら機械を操作。サンディ・パターソンのクレジット・カードが飛び出してきた。サンディなら女性名だからダイアナも怪しまれない。

 繰り出したのがバー。テキーラをラッパ飲みするは、全員に酒を奢るは挙句の果てにシャンデリアに飛びつこうとしてフロアにバタンと倒れこんだ。普通なら大怪我だが、誰かが肩をつつくとぱっと起き上がって両手を挙げて喝采を浴びた。太ってると言うのは肉がクッションの役割を果たすのか怪我には縁遠い。

 一方、投資銀行に勤める本物のサンディ・パターソンは、ガソリンスタンドでカードが使えないのが分かる。車を運転しながらカード会社と掛け合っていると、パトカーのサイレン。

 有無を言わさず逮捕。警察署で刑事の尋問を受ける。「2週間前にフロリダで暴行罪で逮捕されてるな? 3日前の公判に姿を見せなかった。それで判事が逮捕状を出したんだ」
「そんなバカな。私はずーっとここコロラドに居ましたよ」とサンディ。

 すったもんだの挙句、取り寄せてあった手配写真を確認すると犯人は女だった。
「いつこの女を逮捕できるんです?」
「半年か1年だ」
「1年も?」
「こうした事件の逮捕率は非常に高い。ご安心を」と刑事。
「どの様な?」とサンディは突っ込む。「5~10%です」
「冗談だろ」とあきれ顔のサンディ。

 こうなると自分でこの女を捕まえるしかない。そんでもってフロリダくんだりまでやってきた。しかし、この女は手強い。投資銀行員では太刀打ちできないかもしれない。
 案の定、喉に一発くらって乗って来た車を乗り逃げされる始末。そいでもって彼女の家に押しかけて手錠をかけようとするがその抵抗の激しさは類を見ない。

 ところが男と女のギャングか、ライフルでドアをぶち破った。びっくり仰天、サンディとダイアナは手を携えて逃げるが勝ち。こうして二人はコロラドへ向かう。

 道中いろいろなことがあって、サンディは、ダイアナにも同情するところもありなんとか助けてやれないものかとも思う。ダイアナから見るサンディも家庭思いの男で悪いヤツでもない。

 途中所持金がまったくなくなりダイアナの特技を使うハメになる。それで新調したスーツを着てサンディは、ホテルのレストランでダイアナを待つ。現れたダイアナに目を見張る。見違えるほどキレイになった。今までの頭はザンバラ髪で着る物は少女趣味の変なものだったが、今は黒いドレスにブラウンのウィッグ。昔の女優ローレン・バコールの髪型といってもいい、ふんわりと横に流し少し目が隠れその目はアイライン、アイシャドウでくっきりとしている。まさに大人の女。

 サンディが座ったダイアナに「キレイだよ」と言う。観ているほうも一瞬そう思ったよ。ワインを飲みながらダイアナが語るのは「小さな田舎の村に赤ちゃんポストがある。私は友達が一人もいない。どんな親でもいてくれるだけでいい」と涙ぐむ。ほろりとするサンディ。

 そんな空気を打ち破ったのは警察官。二人は逮捕される。言わずと知れたカード詐欺容疑だ。ところがダイアナの本領が発揮される。隠し持った小さなピンで手錠を外し、パトカーのリアウィンドウを足で蹴ってぶち破る。二人はそこから転げ落ち逃げ出す。

 なんとかサンディは、ダイアナを伴って自宅に帰り着く。明日はダイアナとともに会社に出て上司に事情をハッキリさせる。朝、いたはずのダイアナがいない。取り合えず出勤したサンディが見たものは、なんとダイアナが刑事に事情を説明しているではないか。

 ダイアナが罪を認めて刑を受け入れる気になった。サンディの二人の娘を笑わせてくれ、妻トリッシュ(アマンダ・ピート)にはサンディの身の潔白も証明してくれたダイアナ。カードを悪用されたことも忘れるほどサンディ一家とダイアナは友達になった。めでたし、めでたし。なぜ、これが未公開なのだろう。2013年制作 劇場未公開
 

 

監督
セス・ゴードン出自不詳

キャスト
ジェイソン・ベイトマン1969年1月ニューヨーク州生まれ。
メリッサ・マッカーシー1970年8月イリノイ州プレイフィールド生まれ。
アマンダ・ピート1972年1月ニューヨーク生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スペルを言い当てる大会に紛れ込んだ中年男。なぜ?「バッド・ガイ反抗期の中年男」

2017-04-04 15:43:02 | 映画

              
 アメリカでは子供向けの記憶ゲームとも言える難解なスペルに挑戦して、地方大会から全国大会まであって優勝者には賞金と名誉が与えられる。

 そこに規則の隙を突いて紛れ込んだのは、40男のガイ(ジェイソン・ベイトマン)。親から見れば「なんだアイツは? なんで子供の大会にくるんだ!」従って総好かんを食らう。

 中にはこんな母親もいる。仲良しになった子供チャイタニヤ(ローハン・チャンド)とホテルのレストランにいるとき、やってきた母親は「あなたの行為は努力を重ねてきた純真な子供に対する侮辱だわ」「努力は俺もしたよ」
「くそ食らえだわ」
「子供の前だ」
「もっと汚い言葉を使うでしょ」
「子供のいないところで」
「あら そう!」
「本当だ。だから汚い口を閉じてクソガキのところに戻れ。使い古したアソコと一緒に田舎町に帰るんだな。聞こえたか? 賭けてもいい君のは灰色で伸びきっている。おやすみ ご苦労さん」原題の「BAD WORDS」を象徴する言葉を投げつける。

 この催しを主宰する団体の理事長ディーガン(アリソン・ジャネイ)からも侮辱的な言葉を浴びせられるが、そんな空気にもめげず果敢に挑戦するガイ。

 ディーガンの嫌がらせの問題も出てくる。英語でもっとも長い単語の例として引き合いに出される「FLOCCINAUCINIHILIPILIFICATIONフロクシノーシニヒリピリフィケイション」だ。これも難なく正解。これには意味があってラテン語が語源で「無価値とみなすこと」とある。日常ではまず使わない言葉だろう。「To regard wothless無価値とみなす」というのもある。

 これよりもっと長い単語が映画「メリー・ポピンズ」で歌われる。「SUPERCALIFRAGILISTICEXPIALIDOCIOUSスーパーカリフラジリステックスピアリドージャス」と言うがこれにはまったく意味がないらしい。

 ガイは、インターネット新聞の記者ジェニー(キャスリン・ハーン)と同道しているが、大人の男と女が行き着く先は見えている。より親密な余暇の過ごし方と言えばわかるかな。そのジェニーが、ガイが子供の頃父親に見捨てられたと言ったことから、貸しのあるFBI捜査官に調べさせたて意外な結果を知る。

 その父親とは、この催しにも関与しテレビの解説者も務めるボウマン博士(フィリップ・ベイカー・ホール)だった。

 ガイを見捨てた父親に対し、自らの存在を知らしめ、ある種の復讐を果たしたかったかもしれない。裏返せば父親を思う息子でもある。それを成就したガイ。

 ガイから手渡した手紙を「なぜ私が君の手紙など読むと思った?」とボウマン博士は言って破り捨てた。少しの間のあと「息子からの手紙だ。だから」と言ってジェニーの手をとって去って行った。

 飛行機の中で息子の手紙を読むボウマン博士「あなたを傷つけののしりたいと願っても、言葉では何も変わりはしない。手紙の趣旨は違う。願わくば俺の愚行の理由を理解して欲しかった。ムリでも仕方ない。あなたの息子ガイ・トリルビーより」

 汚い言葉の連発だったが、最後は余情が漂う。2014年制作 劇場未公開
 
監督
ジェイソン・ベイトマン1969年1月ニューヨーク生まれ。

キャスト
ジェイソン・ベイトマン 
キャスリン・ハーン1973年7月イリノイ州ウェストチェスター生まれ。
ローハン・チャンドニューヨーク生まれ。
フィリップ・ベイカー・ホール1931年9月オハイオ州トレド生まれ。
アリソン・ジャネイ1959年11月オハイオ州デイトン生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

意味不明でよく分からん「ロスト・エリア 真実と幻の出逢う森」2015年制作 劇場未公開

2017-04-02 17:13:23 | 映画

              
 原題は「Driftless Area」無漂礫土(むひょうれきど)。氷河による堆積物がない地域のことらしい。原題もピンとこないし、邦題も大げさな感じ。

 この映画のあれこれを書く意味もないが、ゾーイ・デシャネルが魅力的なので書きたくなった。ゾーイには姉がいて海外ドラマ「BONESボーンズ」の女性法人類学者テンペラス・ブレナンを演じるエミリー・デシャネルだ。両人ともブルーの瞳が魅力的だ。

 さてこの映画、出だしから説明不足。車が故障してヒッチハイクに頼るピエール(アントン・イェルチン)の前に止まったのがシェーン(ジョン・ホークス)。「ガソリン代として20ドルだ」ええっ! ではあるが仕方がない。ピエールは鉢植えのバラと共に乗り込んだ。

 シェーンは、「どこの街に行くんだ」とか「兄が大金を手に入れたらしい。ちょっとヤバイ金だけど」と聞きもしないのにぺらぺらと喋る。そして突然豹変する。もう少し行けばピエールの目的地なのに「ここで降りろ」と言って聞かない。鉢植えのバラまでよこせと言う始末。

 仕方なく降りて見ていると、シェーンの運転するトラックは、フラフラとしながら路傍から落ちた。近づいてみるとシェーンが運転席で突っ伏している。その横にバッグがあって開けてみると大金が詰まっていた。これを見逃すピエールではない。後にこの金が災いをもたらす。

 この場面、シェーンがどうして倒れたのかサッパリ分からない。後で生きていたのが分かるが、倒れた原因は分からないまま。

 そして場面は過去にさかのぼる。シェーンは、言われるまま無人だと思い込んだ家を焼き払う。ところが女性が一人焼死したのが分かる。夢でうなされるシェーン。

 消防士が消火活動をしている中を素っ裸の女が歩いている。消防士は女を一瞥もしない。つまり消防士には女が見えないのだ。

 その見えない裸のステラ(ゾーイ・デシャネル)は焼死した女で、世捨て人のような暮らしをするフランク・ランジェラのもとに身を寄せる。叔母の衣服だったというのを着たステラの変わりようは、まさに女は化けるだった。ここで出会い恋に落ちるのがピエール。

 全体として真実と幻が混在してよく分からないものになっている。しかし、私はブルーの瞳には悩殺されるほうで、ゾーイ・デシャネルを見ているといい映画に思えてくるから勝手なもんだ。そういうわけで私はゾーイ・デシャネルだけで十分。
 

 
監督
ザカリー・スルーザー出自不詳

キャスト
アントン・イェルチン1989年3月ソ連、レニングラード生まれ。2016年6月没
ゾーイ・デシャネル1980年1月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
ジョン・ホークス1959年9月ミネソタ州アレクサンドリア生まれ。フ
ランク・ランジェラ1938年1月ニュージャージー州生まれ。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

全般ランキング
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする