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世界一ハンサムな男は誰か? 科学的に証明したという記事

2017-09-30 16:22:53 | 雑記

 それは「エスクァイア」というファッヨン誌に載っていた。タイトルは「科学が証明した世界で最もハンサムな男トップ10」。
 どういう風にしたかと言うと、その記事から「デジタル・フェイス・マッピング技術で唇、鼻、目、眉毛、顎、額、顔の外辺など12箇所にマーカーを置き、それぞれの距離の平均値を算出、その結果を黄金比(詳しくはネットで検索して……)と比較してスコアを付けていく内容だ」というもの。

どんなものかは下記の写真を参照。
   
結果は1位ジョージ・クルーニー(映画俳優)91.86%の精度で完璧な顔とある。
2位ブラッドリー・クーパー(映画俳優)
3位ブラッド・ピット(映画俳優)
4位ハリー・スタイルズ(イギリスの歌手)
5位デヴィッド・ベッカム(引退したサッカー選手)
6位ウィル・スミス(映画俳優)
7位イドリス・エルバ(イギリスの映画俳優)
8位ライアン・ゴズリング(映画俳優)
9位ゼイン・マリク(イングランドの歌手)
10位ジェイミー・フォックス(映画俳優・ミュージシャン)

 で、このハンサムな男で思い出すのは、ハリウッドの俳優で1939年「風と共に去りぬ」のクラーク・ゲーブルだ。鼻の下にドジョウのようなちょび髭を生やし目をしかめるような表情が女たらしを連想して嫌いだった。そのくせマリリン・モンローと共演した1961年「荒馬と女」を観るという勝手な私だったが、がらりとその意識を変える出来事があった。

 それは東京丸ノ内線地下鉄車内でのことだった。昼間の乗客の少ない時間帯で、外国人数人が座席に座っていた。その中にクラーク・ゲーブルにそっくりな男がいた。浅黒い肌ではあるが目鼻立ちが目を引いた。
 スクリーンを介在すると生身に欠けるせいか、も一つ臨場感がない。ところがこの車内ではリアルな感覚とともにクラーク・ゲーブルがいかにハンサムかも認識した次第。
  
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大げさに言えば、瞬きもせず凝視し続けた映画「たかが世界の終わり」

2017-09-28 16:20:40 | 映画

           
 12年ぶりに実家を訪ねる決心をしたルイ(ギャスパー・ウリエル)。作家として成功しているルイではあるが、ゲイでもある彼はエイズに侵され、死期が迫っていることを家族に知らせる旅でもあった。

 タクシーから降りてドアを開ける。よくある風景は、家族みんなが笑顔で迎えハグの応酬という場面。ところが口元は微笑んでいるが目は凝視するという感じ。妹のシュザンヌ(レア・セドゥ)は、小さかったから兄ルイを覚えていないと言いながら飛びつくように抱きついた。長い抱擁。

 母マルティーヌ(ナタリー・バイ)は、フランス式の両頬にキスをする仕草。ルイの兄嫁カトリーヌ(マリオン・コテヤール)は、初対面。紹介されて握手。

 その夫ルイの兄アントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)が渋面を作っている。心のこもった歓迎の言葉もなく気のないハグをするだけ。

 アントワーヌの態度にすぐ爆発するのはシュザンヌ。口数の多い母ともどもこの家族の感情の発露に馴れているのか表情も変えないカトリーヌ。そんな喧騒の中でルイの静謐な佇まいが異彩を放つ。

 いつ家族に告白すればいいか。「実は……」と言い始めても誰かの言葉で遮られる。母からは「お前は三言しか言わなかった。時には三言以上が必要だよ」と言われる始末。家族はルイがゲイであることにかなり気にしている様子だ。兄貴のアントワーヌが激しい。直接の言葉を投げかけないが、嫌味や感情をあらわにする。

 この映画の28歳と若い監督グザヴィエ・ドランの演出は、顔のクローズアップがびっくりするほど多い。ルイを見つめるカトリーヌ。カトリーヌを見つめるルイ。この時間が長い。二人が初対面で琴線に触れたのかと思うくらいだ。この二人に限らずすべての俳優に言える。こういう撮られ方をすると、演技力を試されているようだ。それでもみんな良くやったよ。

 家族のいさかいが絶えない中、鳩時計が4時を指す。鳩が部屋を飛び回り元の時計に戻る。ルイの今後を象徴するかのように……ルイは静かに去っていく。その背に投げかける歌詞は「果てしなく暗い闇 わずかな望みも朽ち果てて 誰にも届かない心の叫び ただ神だけが耳を傾ける どうしようもなく深い孤独……」

 感情をテーマとしただけあって何かと言えばいさかいだったし、心に思い重りを抱えるルイの対比がよかった。しかし、世間は甘くない。ウィキペディアには「カンヌ国際映画祭でのプレミア上映の際は観客及び批評家の反応は芳しくなく、『ヴァニティ・フェア』誌からは「カンヌで最も期待外れの映画」と評された。『ハリウッド・リポーター』からは「寒く、不満足」、『バラエティ』からは「しばしば耐え難いほど劇的な経験」と書かれた。一方で『ガーディアン』誌など高評価する批評媒体も存在した[。最終的にカンヌではグランプリとエキュメニカル審査員賞を獲得した」ではあるが私は素晴らしい映画だと思った。

 グザヴィエ・ドランの「わたしはロランス」とギャスパー・ウリエル出演の「サンローラン」を観てみたいと思う。2016年制作 劇場公開2017年2月
    

  


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世間でほとんど例がない恋がテーマ「ウーナ13歳の欲動」2016年制作 劇場未公開

2017-09-25 17:08:26 | 映画

           
 調べてみるとこの「欲動」という言葉、精神分析学の用語で「人間を常に行動へと向ける無意識の衝動」とある。もっと詳しい説明があるが、ここでは割愛してこの映画がその表象を試みているのではないかとも思う。

 13歳の少女ウーナ(ルビー・ストークス)は、父親と同じ年代の隣人のレイ(ベン・メンデルソーン)と愛し合い性交渉を重ねる。発覚してレイは未成年者との不純交際で刑期4年の末、名前を変えて結婚し別の町で物流会社に勤めている。15年後のウーナ(ルーニー・マーラ)は、事務員をしながらまるで娼婦のような日常を送っている。

 ウーナにとって初めての男レイが忘れられず居所を突き止める。どのように調べたのか、映画はそこのところは描かない。突き止めた物流倉庫にレイを訪ねる。この映画常に何をするのだろうというミステリアスな画面が展開する。
 巨大な倉庫の一角にある従業員用のロッカーと数脚のテーブルとイス。そこが主なシーンだから、まるで舞台劇を見ているようだ。二人の過去をフラッシュ・バックを交えながら明らかになっていく。

 で、ウーナは何をしたいのか。レイに結婚を求めているのか。破滅なのか。精神分析学の範疇だから、われわれには理解不能な部分があってもおかしくない。普通は13歳でレイとのようなことがあっても、成人するに従って世間を知るし分別も備わり今を生きる術を手にする。ストーカーのように追い回すことはないだろう。

 ウーナは精神異常者としか思えない。ルーニー・マーラは、「キャロル」のレズ、本作の精神を病んだ女と意欲的に挑戦しているのが目を引く。この映画でも惜しげもなく素肌の胸をあらわにしている。
   
監督
ベネディクト・アンドリローズ出自不詳

キャスト
ルーニー・マーラ1985年4月ニューヨーク州生まれ。
ルビー・ストークス出自不詳。
ベン・メンデルソーン1969年4月オーストラリア・メルボルン生まれ。
リズ・アーメッド1982年12月イギリス、ロンドン生まれ。

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素直に感情移入できないラブ・ストーリー「3っの心あのときもしも」2014年制作 劇場未公開

2017-09-22 16:02:45 | 映画

          
 配給会社の営業マンもこの内容では劇場に掛ける値打ちがないと判断したに違いない。男と女が惹かれ合う公式はない。5分前に会って死ぬほど好きになる確率はどのくらいだろう。

 まして劇中の男マルクは、47歳。女シルヴィは6年後に40歳の誕生日だったから34歳ということになる。20代の若造でないことはハッキリしている。分別のある年代。後半に繰り広げられるのは分別も理性も喪失した男と女。

 そのマルクを演じるのはプノワ・ポールヴールド。額が広く禿げていて頭頂部が少し薄い。顔つきも特段に目を引くルックスでもない。

 税務署勤めのマルクは、出張先の最終電車に乗り遅れる。駅前の店じまいを始めたカフェでミネラル・ウォーターを飲んでいた。若い女性シルヴィ、

 これを演じるのはシャルロット・ゲンズブール。よくお目にかかる女優で、2009年「アンチクライスト」でカンヌ国際映画祭の女優賞を受賞した女優。すごい美人ではないが個性的と言ったらいいかも。

 そのシルヴィは、この店でたばこを買って出ていく。それを目で追っていたマルクは、すぐに追いかけて話しかける。「この辺にホテルはありますか?」「終電に乗り遅れちゃって」

 普通の男なら店主に聞くだろう。何の意図があるのか。ただ一夜の女を求めているのか。判然としないが、ホテルのカウンターでサイン直前に「ちょっと待って」とホテルマンに、歩道で待つシルヴィに「もう少し話がしたい」。
 二人は一晩中歩き回り、とある公園から朝の燭光を眺める。二人にとっては意思疎通の濃密な時間だったのかもしれない。

 別れのプラットフォーム、マルクは電車のデッキから「パリのチュイルリー公園噴水脇の並木道で次の金曜日午後7時に会おう。いいかい?」シルヴィ「必ず行くわ」

 別れの場面を文章からロマンティックに想像できそうだが、私には「ええっ、また会うの?」という違和感が漂った。理由は簡単、マルク役の俳優に好感が持てないからだ。私には嫌いな男優が何人かいるんですよ。この俳優が一人追加となる。

 我慢して映画を観ていると、約束の時間にマルクは現れなかった。1時間も早く行って待っていたシルヴィ。このシルヴィもちょっと変わっていて、夫を振り切って出てきたにも拘わらずマルクが現れなかったために傷心の帰宅。夫にすがりついて「お願い助けて」なんのこっちゃ、ずいぶん身勝手な女。

 マルクが待ち合わせに遅れたのも、肉体は健康でもストレスのせいなのか心臓がパクパクと動悸が激しくなる自覚症状を抱えている。デートの日もその影響で時間に間に合わなかった。

 情熱を傾けた二人が会えないまま数年が過ぎた。その間、マルクは結婚して子供を授かる。妻ソフィ(キアラ・マストロヤンニ)は、実はシルヴィの妹。ソフィは母(カトリーヌ・ドヌーヴ)の経営するアンティーク店を手伝っている。

 時折、アメリカにいるシルヴィとチャットで近況を話し合うが、マルコの耳には聞き覚えのある声だった。ソフィが寝入った夜中に確かめてみるとまさにシルヴィだし、シルヴィも驚きの表情で見つめてくる。会話もなくマルクは逃げるようにその場を離れる。ここのところがどうしても理解できない。なんで逃げるんだ。時間に遅れた理由の説明に絶好の機会ではないか。

 そしてシルヴィの40歳の誕生祝いが行われる。食卓でも目を合わさないマルクのシルヴィ。ところがテラスに出るシルヴィを見て追っていくマルク。そして見つけた納屋にいるシルヴィ。無言の激しいセックス。

 なんでこうなるの? 手順を間違えていないかい? 身勝手な男と女がテーマ? いずれにしても理解できないところが多々あって、これでは劇場公開はムリ。共感を得られない。女優は揃えてあるが主役の男優が問題あり。素敵なラブロマンスに出来たのに……残念! 

 それにしてもカトリーヌ・ドヌーヴ、71歳にして他の女優を圧倒する美しさ。もっとカッコいい男優を配してカトリーヌ・ドヌーヴとの不倫も面白いかも。流れる音楽もミステリー向きで合わなかった。
  
監督
ブノワ・ジャコー1947年フランス、パリ生まれ。

キャスト
ブノワ・ポールヴールド1964年9月ベルギー生まれ。
シャルロット・ベンズブール1971年7月イギリス、ロンドン生まれ。
キアラ・マストロヤンニ1972年5月フランス、パリ生まれ。母カトリーヌ・ドヌーヴ、父マルチェロ・マストロヤンニ。
カトリーヌ・ドヌーヴ1943年10月フランス、パリ生まれ。


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どこの国も失業者には厳しい目、投げかける重いテーマ「わたしはダニエル・ブレイク」

2017-09-18 16:54:00 | 映画

           
 心臓病で医者に働くことを禁じられている大工のダニエル・ブレイク(ディヴ・ジョーンズ)は、これからの人生に光が見え始めた時、心臓発作で他界する。付き添ってきたケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)の号泣が哀れ。

 ケイティが弔辞を述べる。「朝9時は最も安いので“貧者の葬儀”と呼ばれています。でも彼は貧しくなかった。お金で買えないものを与えてくれました。彼の服からこんなものが、いつもの鉛筆書きです。申し立ての時に用意して読めませんでした。
 彼はとても愛情深く心の広い人でした。国の制度が早い死へと追いやったのです。読みます。“私は依頼人でも顧客でもユーザーでもない。怠け者でもたかり屋でも物乞いでも泥棒でもない。国民保険番号でもなくエラー音でもない。
 きちんと税金を払ってきた。それを誇りに思っている。地位の高い者には媚びないが、隣人には手を貸す。施しは要らない。私はダニエル・ブレイク。人間だ。犬ではない。当たり前の権利を要求する。敬意ある態度というものを。私はダニエル・ブレイク、1人の市民だ。それ以上でも以下でもない”ありがとう」

 ダニエル・ブレイクとケイティの出会いは職安だった。ケイティは、女の子デイジー(ブリアナ・シヤン)と男の子ディラン(ディラン・フィリップ・マキアナン)を伴って係りの女とやりあっていた。それに加勢したのがダニエルだった。ガードマンが出てきて追い出される。

 食うや食わずのケイティたちを見て食料を仕入れて送っていく。やっと入れた市のアパート。ダニエルは大工だけあって修理や棚を作るなどお手もの。ケイティ一家とダニエルとの日常の交流を描いていて脚本に瑕疵がない。きっちりと構築されたストーリーで飽きがこない。

 お役所仕事は、どこも同じで規則一点張り。まあ、税金を使うからある程度は仕方がない。ダニエルの場合、心臓病なのに就職活動をしろ、その証拠をみせろ、面接した企業のサインがいる。

 一連の流れの中で「医師の診断書」を提出というのがなかった。医者から労働を止められていて働きたくても働けないのも拘わらずにだ。こういうのは別途支給の制度があるはずなんだが。罰則もあるというから驚き。説明会に不参加、就職活動をしないが重なると罰則が待っている。
   
 さすがに日本ではないだろう。ダニエルがデイジーに聴かせる「Sailing By」がなかなかいい。さらにアマゾンが運営するIMDb(Internet Movie Database)で最新の美人女優TOP20はケイティ役のヘイリー・スクワイアーズが26位と健闘している。ちなみに1位は、テレビドラマ「ドクター・ハウス」に出ていた私の好きなオリヴィア・ワイルドだった。2016年制作 劇場公開2017年3月
   
それではThe Perryで「Sailing By」をどうぞ!

監督
ケン・ローチ1936年6月イギリス、ワーウィックシャー生まれ。本作はカンヌ国際映画祭2016年パルムドール賞受賞をはじめ毎年のようにノミネートされる常連。

キャスト
ディヴ・ジョーンズ生年不詳、俳優・スタンダップ・コメディアンで主にテレビ界で活躍。
ヘイリー・スクワイアーズ生年不詳、テレビ界で活躍。
ディラン・フィリップ・マキアナン出自不詳。
ブリアナ・シヤン出自不詳。

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スマホが隠れた秘密を暴く「おとなの事情」2016年制作 劇場公開2017年3月 イタリア映画

2017-09-13 16:50:52 | 映画

            
 誰でも一つや二つ知られたくない秘密を抱えている。それがスマホという小道具が明らかにしていく。料理やワインを持ち寄って開くホームパーティ。

 親しい友人たちが月食の夜、ロッコ(マルコ・ジャリーニ)とエヴァ(カシア・スムートニアック)夫妻のマンションに集まる。

 レレ(ヴァレリオ・マスタンドレア)とカルロッタ(アンナ・フォリエッタ)夫妻。この夫妻は、ティラミスを持参。エヴァの「リコッタチーズ?」の問いに「マスカルポーネよ」ティラミスにはこれが一番合うらしい。

 新婚ホヤホヤのコジモ(エドアルド・レオ)とビアンカ(アルバ・ロルヴァケル)夫妻が持参したのは、ビオワイン1本だけだった。ロッコから「1本だけ?」「25ユーロもするんだぞ」とコジモ。

 チーズにしてもワインにしても気になるのは値段。イタリア産サネッティ・マスカルポーネ・チーズ、イオンで250g540円、ビオワインはネットで調べると1本3000円が最低といったところ。このチーズとワインは、自然栽培が肝心なところで健康志向の強い人の支持があるそうな。

 最後に一人で現れたのがペッペ(ジョゼッペ・バッティンストン)で、ワイン2本を抱えていた。銘柄不明。合計7人の大人が集い飲み食べ笑い楽しい時間となる予定だった。

 空気が変わり始めたのは、エヴァの提案でスマホをテーブルに置いて、着信はみんなが聞こえるようにスピーカーにするというゲーム。なんでもない仕事上の会話でも、みんなに聞かれるというのは丸裸にされたようで落ち着かない。逡巡しながらも全員が賛同する。

 夫婦関係、浮気や不倫、家庭の事情、ゲイなど知られたくないことが次々とあらわになる。監督のジェノヴェーゼによれば「健康やお金」も興味深いテーマではあるが、今回は男女関係に絞ったという。普段はこれらのことが隠れていて、秘密を抱えながら生きていく。

 とりわけ家庭の事情を抱えるロッコ・エヴァ夫妻の思春期の娘ソフィア(ベネデッタ・ポルカローリ)が母親とうまくいっていない。したがってなんでもパパ頼り。パーティの席にソフィアから電話がかかる。そしてみんなが聞いたのは

ソフィア「グレゴリオが今夜は親が留守だから泊まりに来てほしいって」
ロッコ「それで?」
ソフィア「行きたいと思うけど心の準備ができなくて、でも断ったら彼が怒るかも」
ロッコ「彼が怒るからというだけで行くのか?」
ソフィア「もちろん違う」
ロッコ「当然パパとしては喜べない」
ソフィア「そんな……」
ロッコ「だが、これだけは言わせてくれ。一生忘れることのない大切な瞬間になる。話のネタにするようなものじゃない。将来振り返った時、笑顔になれると思うなら行っておいで。だが確信がなければやめなさい。急ぐ必要はない」
ソフィア「ねえ、パパ」
ロッコ 「何だ」
ソフィア「何でもない」
ロッコ 「言ってみろ」
ソフィア「今日コンドームをくれた時は恥ずかしかった」
ロッコ 「使えとは言ってないぞ」
ソフィア「勘が働いたんだね。今まで持たせたことないでしょ。もしも、行くと決めたらママには言わないで」
ロッコ 「言えばどうだ?」
ソフィア「何を?」
ロッコ 「事実だ」
ソフィア「私はイヤよ」
ロッコ 「話し合えと言ったろ」
ソフィア「ママは話も聞かず怒るだけだもん」
ロッコ 「少し我慢してやれ」
ソフィア「少しどころじゃない」
ロッコ 「かなりだな。だが話す価値はある。頑張ってみろ」
ソフィア「パパはママがどれほどひどいか知らないのよ。もう切るね。ありがとう」
 ソフィアがどのような決断をしたのかは分からないが、映画は一つの方向性を示したと思う。ロッコは娘を自立した女性に育てたいとの思いが伝わってくる。ボーイフレンドの誘いの決断とママとの対話を進める点だ。普通の父親なら「行くな」と「ママにお前のことはよく言っておくよ」でその場をしのぐだろう。

 結構楽しめた映画だった。それにマスカルポーネ・チーズを使った「ポテトサラダ」を作ってみた。ジャガイモ、一口大に切ってゆでる。塩味がしたほうが美味しいから水に一つまみに塩を入れる。きゅうりを乱切り、青臭さを抜くために塩を少し降っておく。ボールに入れたジャガイモときゅうりにマスカルポーネを適当に入れて混ぜる。エビを茹でてアクセントにする。チーズそのものの味が薄いから出来上がりに一つまみの塩をふる。あとは盛り付けを工夫すればいい。わが家人からは「コクがあって美味しい」

 ちなみにイタリア語の原題は、「PERFETTI SCONOSCIUTI」 完全なる見知らぬ人と辞書にある。なお、本作はイタリアのアカデミー賞といわれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の作品賞と脚本賞を受賞している。
  

  
監督
パオロ・ジェノヴェーゼ1966年8月イタリア、ローマ生まれ。

キャスト
ジュゼッペ・バッティストン1968年7月イタリア、ウディネ生まれ。
アンナ・フォリエッタ1979年4月イタリア、ローマ生まれ。
マルコ・ジャリーニ1963年4月イタリア、ローマ生まれ。
エドアルド・レオ1972年4月イタリア、ローマ生まれ。
ヴァレリオ・マスタンドレア1972年2月イタリア、ローマ生まれ。
アルバ・ロルヴァケル1979年8月イタリア、フィレンツェ生まれ。
カシア・スムートニアック1979年8月ポーランド生まれ。
ベネデッタ・ポルカローリ出自不詳

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20年経っても変われない男たち「T2トレインスポッティング」2017年制作 劇場公開2017年4月

2017-09-10 15:40:50 | 映画

              
 1996年「トレインスッポティング」の続編。20年前の悪ガキの一人、マーク・レントン(ユアン・マクレガー)がオランダから故郷エディンバラへ帰ってくる。

 ユアン・マクレガー46歳。男としては30代後半から40代中ごろが一番魅力のある年代だろうか。しかし、イギリスを代表する俳優ながらこの映画では今一つ存在感に欠けるかな。

 スパッド(ユエン・ブレムナー)、サイモン(ジョニー・リー・ミラー)、ペグビー(ロバート・カーライル)たちの人間としてほとんど成長していない下種な野郎ばかり。

 薬物依存のスパッドとサイモン。刑務所から逃げ出したペグビー。ところが一番のワルがマークだった。分配金を持ち逃げして舞い戻った。強烈に怒ったのがペグビー。マークをロープでぶら下げて殺そうとする。逆にスパッドに便器で殴られ気絶。マーク、スパッド、サイモンの三人は、ペグビーを車のトランクに押し込めて知らんぷり。

 サイモンがおれの女だというベロニカ(アンジェラ・ネディヤルコーヴ)がマークに「サイモンとはしていなよ」「本当? 気になってた」あとはご想像通り。

 ごちゃごちゃとした映画だったが、題名が気になる。ネットから拾ってみると「スコットランドの首都エディンバラの北部にリースと呼ばれる地域がある。現在はショッピングセンターとして再開発されている場所に、かつては鉄道の操車場があった。そこは廃線になって放置されていたが、いつのまにかヤク中たちが集まり、ドラッグを売買したり吸引する場所として有名になった。エディンバラのリース地区のジョークで「奴らはトレインスポッティングだ」と呼ぶようになったということらしい。本来の意味は熱心な鉄道ファン」地元のジョークが題名に取り上げられた。
     
監督
ダニー・ボイル1956年10月イギリス、マンチェスター生まれ。2008年「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー監督賞受賞。

キャスト
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。2017年10月から日本で放送のテレビドラマ「ファーゴ3」に出演。
ユエン・ブレムナー1972年1月イギリス、スコットランド、エディンバラ生まれ。
ジョニー・リー・ミラー1972年11月イギリス生まれ。
ロバート・カーライル1961年4月イギリス、スコットランド、グラスゴー生まれ。
ケリー・マクドナルド1976年2月イギリス、スコットランド、グラスゴー生まれ。
アンジェラ・ネディヤルコーヴ出自不詳。

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長期計画がムリな年代は過去に固執する「ブロークン過去に囚われた男」2014年制作 劇場未公開

2017-09-02 16:21:14 | 映画

                   
 2014年当時アル・パチーノは74歳、そのまま役柄にはめ込んだ鍵屋のアンジェロ・マルグホーンは、遠い昔に別れたクララという女性を忘れることが出来ない。寸暇を見つけて手紙を書く。その手紙はいつも蜂が群れるポストに、受取人不明なのか受取拒否なのか判然としないが戻ってくる。

 書く文章は「親愛なるクララ、ああクララ。君に会いたい。君を思わない日は1日もない。君の手をとり希望に満ちた瞳で世界を救えそうだ」とか「君は今どこにいるのだろう。どこで何をしているのか知りたい。明日はまた訪れるが、その明日に希望が持てない。毎日がただつらいだけ。君との美しい想い出がよみがえる。でもそれが毎日私を苦しめる。君ほどの人はどこを探してもいない。覚えているかい? 寝る前に将来の夢をささやく君が好きだった。君は未来を占い、私の心を読む。そんな君に私は支配されている」愛惜の言葉の羅列。

 毎週金曜日は、地元の銀行へ行ってコーヒーとドーナッツにありつき窓口のドーン(ホリー・ハンター)と愛猫のファニーが元気だとかドーンの飼い犬の話とかチョットした軽口を交わす。

 そして転機が訪れる。マルグホーンとドーンがレストランで夕食を摂っている。ドーンが聞く「食事のあと映画にでも行かない?」マルグホーンは「猫のファニーがいるから」と曖昧な返事。さらに「じゃあ、一緒にお風呂に入ってもいいのよ」ここまで言われても反応が薄いマルグホーンは、クララのことを話す。

 「あんな女性には二度と会えない」ドーンの前でドーンが見たこともない女性の話しを聞かされても興ざめでしかない。当然のごとくドーンは怒り心頭、椅子を蹴って立ち去る。残されたマルグホーンはというと、ドーンが残した料理を食べ始める。

 これじゃ見込みがないなあと思っていると、郵便受けにクララに出した手紙が返っていた。小さなキッチンの奥にある部屋が映し出される。観客は初めて見る場所。そこには何百通というクララ宛てで返ってきた手紙がぎっしりと棚に詰め込まれている。写真や想い出の品々。

 金庫の中の手紙を改めて読む。「アンジェロ ごめんなさい あなたは長い間私を遠ざけた。一方的に説明もなく理由も分からない。残された私は困惑するばかり」そうマルグホーンは、どうしようもない自分勝手な男だった。

 何十年経ってやっと気づいたマルグホーンは、過去を清算する。すべてを趣味のセーリングのボートに積み上げ廃船置き場へ。ドーンの前に現れたマルグホーンは、詫びを入れてドーンを褒め称える。そんなことで許されるはずがない。
 「証明して」とドーン。「分かった。120%証明するよ。また金曜日に……」去りかけて「明日も来るよ」本来女性はこんなに甘くない。絶対に許せない人が多い筈。

 マルグホーンは、孫に詩を語って聞かせる。「風は誰にも見えない あなたにも私にも でも枯葉が頭を垂れるとき 風は通り過ぎる」孫はそんなのどうだっていいという風に「絵ではくるくると描かれているよ」秋の公園での点描。孫に接するときは、誰でもやさしく心の広い人になる。マルグホーンも心優しい男になれるんだ。

 今回は、ネタバレ一杯だった。最後に褒め言葉。二人が食事している場面。クララの話を聞きながら徐々に表情を変化させていくホリー・ハンター。何気ないゼスチャーを混ぜて素知らぬ顔で延々と喋るアル・パチーノ。あらゆるところで年季を感じさせる二人だった。
  
監督
デヴィッド・ゴードン・グリーン1975年4月アーカンソー州リトルロック生まれ。

キャスト
アル・パチーノ1940年4月ニューヨーク市サウスブロンクス生まれ。1992年「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」でアカデミー主演男優賞受賞。その他に主演・助演が7本ノミネートされている。
ホリー・ハンター1958年3月ジョージア州生まれ。1993年「ピアノ・レッスン」でアカデミー主演女優賞を受賞。

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