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クラシックとヒップホップの融合、楽しい音楽映画「ハート・ビート」

2017-03-31 20:28:01 | 映画

              
 中味は陳腐であまり見所がないが、クラシックとヒップホップの融合という点では新しい息吹きと言えるかもしれない。

 演技者は、まだまだ素人の段階。メインのバレリーナをキーナン・カンパが演じている。キーナン・カンパは、アメリカ人で初めてマリンスキー・バレエに入団しいくつか主役を務め本作で女優デビューとなった。

 相手役にはニコラス・ガリツィン。バレー学校で同室のジャジーを演じる東京都出身のソノヤ・ミズノ。ソノヤ・ミズノは英国ロイヤル・バレエ学校で学ぶ。本年のアカデミー賞で話題の「ラ・ラ・ランド」にも出演している。

 ニューヨークの地下鉄でヴァイオリンを弾き通行人からの喜捨で生活を送るジョニー(ニコラス・ガリツィン)とMCA(マンハッタン芸術大学)に入学したルビー(キーナン・カンパ)が出会い、恋をして学内コンクールで1位をとるまでをクラシックとバレエとヒップホップの融合で盛り上げる。

 キーナン・カンパを見ていて、誰かに似ているなあ。 と思っていたら、思い出した。ジャズ・シンガーでピアニストの「ダイアナ・クラール」だった。2015年制作 2016年8月武蔵野エンタティメントで公開
 

 
監督
マイケル・ダミアン出自不詳

キャスト
キーナン・カンパ1989年ワシントンDC生まれ。
ニコラス・ガリツィン1995年ロンドン生まれ。
ソノヤ・ミズノ1988年東京都生まれ。

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アマゾン・プライムで「鬼平」を楽しんでいます。

2017-03-29 17:06:05 | ドラマ

 ご存知、池波正太郎の「鬼平犯科帳」をアニメ化して、テレビ東京が毎週月曜日深夜2:05分から放送している番組。このシーズン1は、4月3日に最終回を迎えることになっている。

 それをアマゾン・プライムで観ることが出来る。アマゾンの紹介文を引用すると「時は江戸後期。暴虐の限りを尽くす盗賊たちが、「鬼」と呼んで畏れる男がいた。「鬼の平蔵」こと火付盗賊改方ひつけとうぞくあらためかた・長谷川平蔵その人である。

 火付盗賊改方とは、一種の特別警察。江戸市中内外の犯罪を取り締まるだけでなく、他国に出て犯罪者を捕らえることもできる機動性の高い組織。しかし平蔵は職務に忠実なだけの固い男ではない。時として罪を犯した者にも情けをかけることがある。平蔵が許さないのは、非道。《盗人三箇条》--殺さず、犯さず、盗まれたら潰れるような店からは盗まない--から外れ、人の道に背く者には一切容赦はしない。

 男気と人情にあふれ、毅然としながらもどこか色気を漂わせた佇まいで人を惹きつけるオトナ。そんな平蔵と彼を取り巻くクセのあるキャラクターたちが、江戸にはびこる非道を追い込み、叩き潰す」とある。

 実際のところ、平蔵のような男がいたらモテモテだろうなあ。アニメで描かれる平蔵は、心の広い優しい男。妻久栄をこよなく愛し、ほかの女には色目も使わない実直そのもの。これが一旦刃を抜き払えば、一刀のもとに切り捨てる。イヤー格好いいねえ。

 こういうのを観ながら考えると、当時盗賊もかなりの使い手も多かっただろうから、取り締まる方もそれ以上の力量がないと生きていけないというかなり厳しい時代を想像する。だから取り締まる方もかなり荒っぽい。

 第11話は「むかしの男」で、妻久栄の過去が浮かび上がる。「平蔵の留守中、久栄宛に手紙が届いた。『明日四ツ、護国寺、門前の茶屋よしのやまで…』と書かれ、差出人の名を見て久栄ははっとした。「むかしの男」、近藤勘四郎からだったのだ。一人で指定の場所に出向き、「長谷川平蔵の妻を、何用あって呼び出された」と毅然と応対した久栄だったが、勘四郎は「屋敷へ戻って、驚くなよ」と言い放ち去っていく。その後、役宅に帰ると予告通り、驚く事態となっていた……。」とあらすじがある。

 久栄の若い頃、隣同士だった近藤勘四郎と久栄は情を通じた過去がある。それでも妻に迎えた平蔵。牢屋にぶち込んだ勘四郎からいきさつを聞かされても、一瞬間があってかかと笑う平蔵に度肝を抜かれた勘四郎の哀れ。
 

 

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人は消えても場所は残る「ミモザの島に消えた母」2015年制作 劇場公開2016年7月

2017-03-28 15:53:27 | 映画

             
 今回はネタバレから入ろう。このミモザの島は、フランス、ヴァンデ県の大西洋岸のノワールムーティエ島のこと。冬にミモザの花が咲くことから「ミモザの島」と言われている。ミモザはマメ科の常緑高木で黄色の花も咲かせる。黄色のミモザの花言葉は「秘密の恋」。

 アントワン(ロラン・ラフィット)の母は、絵画教室の先生と同性愛の関係になり家を捨てる決心をする。まさに秘密の恋。ところが今から30年も前だから、叔母は同性愛を受け付けない。

 この島と本土をつなぐ、日に二度満潮を迎える4,5キロの道の砂州がある。その対岸のホテルに絵画の先生は宿を取っていた。叔母は絵画の先生宛に、母名義の断りの手紙を使用人に持たせた。それを知った母は、満潮を迎えた砂州に車を乗り入れた。干潮のとき乗り捨てられた車を発見したのは母の夫だった。

 妹アガット(メラニー・ロラン)と喧嘩しながらもアントワンは調べる。アントワンが最初に疑問を持ったのが、母の遺体が発見されたのが湾の対岸で10キロも離れているフロマンティーヌだったからだ。地元の漁師も、それはあり得ないという。

 離婚者のアントンの新しい恋。相手は死体安置所のアンジェル(オドレイ・ダナ)。妹のアガットにはボーフレンドがいるが、なにやら順調ではない様子。兄妹で訪れたミモザの島でも、まるで恋人同士のような雰囲気。夜、海岸に散歩に出るが兄の肩に頭を預けセーターの上からキスをする仕草。子供の頃の映像が出るが、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と慕っている様子が伺える。

 そして、最大のハイライトが祖母の葬儀の場面だった。別れの言葉を述べるアガット、最後に付け加えたのは、母の死の謎を解明した兄に「私は兄に敬意を表します」と言ってその行為を称えた。

 ロラン・ラフィットとメラニー・ロラン二人の俳優のさりげない演技のお陰で、キレイな風景と珍しい砂州を見ると行ってみたくなった。映画は、バイクを運転するアンジェル、後ろに乗るアントンが潮の引いた砂州を疾走する場面で終わる。

 アメリカ映画とは違う味わいのあるフランス映画、何に喩えればいいのだろう。その人によって違うだろうが、私はフランス料理のように幸せを感じる点だろうか。まあ、味わい深いといったところ。



監督
フランソワ・ファヴラ出自不詳

キャスト
ロラン・ラフィット1973年8月フランス、パリ生まれ。
メラニー・ロラン1983年2月フランス、パリ生まれ。
オドレイ・ダナ1977年9月フランス生まれ。


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超伝導リニアL0(エル・ゼロ)系車両で時速500キロを体験

2017-03-26 17:30:20 | 先端技術

 山梨県都留市にある山梨リニア実験線で待望の時速500キロを体験した。3月24日金曜日、幸い天気は快晴。東京でサクラの開花があったが、中央道の風景はまだ冬。

 3度目の応募で当選通知を受け取った。乗車予定は、一日に6便が運行され15時15分の5便目が体験乗車となる。それまで山梨県立リニア見学センターに立ち寄り予備知識を仕入れる。センターは老若男女で賑わっていた。スーツ姿の人も何人か見かけた。どういういきさつかは分からないが、企業研修の一環かもしれない。

 3階建てのセンターから走行試験が見られるが、早すぎてカメラに収めるのに苦労する。さて、L0(エル・ゼロ)は、LinearのLと新幹線と同様、営業線仕様の第1世代の車両を表す0(ゼロ)を意味している。

 そのL0にセキュリティ・チェックをうけ、まるで飛行機の搭乗口を思わせる入口から乗り込む。車両に運転席の窓がないからすべて自動運転なのだろう。スピーカーから音声案内が流れる。時速140キロから150キロの間からタイヤ走行から超伝導リニアの作動でふわっと少し浮く感じがあって騒音が消え静かになる。スピードはぐんぐん上がり500キロに達すると、さすがに振動や騒音が強くなる。

 私の感じでは、快適時速は350キロ前後かな。この中央新幹線と名づけられるリニア専用線は、東京・大阪間を1時間ちょっとで結ぶことになる。完成はかなり先のこと。私なんかとてもじゃないが、開業を目にすることは出来ないはず。

 従って体験乗車が唯一の手段となった。想像でしかないが、このリニアが開業すれば、リニアそのものが終夜運転の可能性もあり周辺の交通機関への影響も大いにあるだろう。そして働き方や遊び方が変わっていくだろう。
 

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地球外生物の息子を彼らに返そうとする両親と友人「ミッドナイト・スペシャル」2016年制作 劇場未公開

2017-03-25 16:25:55 | 映画

              
 「アルトン・マイヤー8歳、白人、青い目、茶色の髪、身長142センチ。ロイ・トムリンという男が誘拐犯」テキサス州セントラル地区で起きた事件をテレビは報じている。

 それを眺めながらライフルや拳銃で武装したロイ・トムリン(マイケル・シャノン)と元州警察官のルーカス(ジョエル・エドガートン)それにアルトン・マイヤー(ジェイデン・リーバハー)が何食わぬ顔で夜明けのモーテルを出る。観る者はアルトン・マイヤーが誘拐されたという気配がないのに戸惑う。

 車で走り去るトムリンたちを眼で追っていたモーテルの女性が、やおら電話機を持ち上げる。一方新興宗教の教祖(サム・シェパード)の説教中、大挙してFBIが乗り込んでくる。FBIから経典の数字の意味を問われ、アルトン・マイヤーの特殊能力の言葉だと答える。FBIは、極秘情報が含まれていると言う。従って、教団もFBIもアルトン・マイヤーを追うことになる。

 事件の経過と共にある目的地に急ぐトムリンたちの実態が分かり始める。アルトンの特殊能力やトムリンの妻サラ(キルステン・ダンスト)が見せる養子アルトンへの愛情。しかし、ある時限までにアルトンを届けないと命に係わる。それはアルトンとの永遠の別れを意味する。

 この地球外生命体を題材にするとき、いつも思うのは人類の想像力と創造力の乏しさだ。この映画も同様、ピカピカと光りながら姿を現すがこれが巨大な前衛オブジェを思わせる建築物。球形の建造物のほうがまだましか。よく見ると植栽まである。しかも生き物の姿はない。アルトンは人間の形をした謎の物体か。

 人間は現実から未来を見つめるから、宇宙の情報が乏しいこともあって不可思議な描き方になるのも致し方ないかも。一番印象に残ったのは、アルトンを演じたジェイデン・リーバハーが実に可愛い男の子。劇中キルステン・ダンストが「ずっと見ていたい」と言ったが、意味が違うかもしれないがそんな気にさせる。前半はなかなか面白かった。
 

 


監督
ジェフ・ニコルズ1978年12月アーカンサス州リトルロック生まれ。

キャスト
マイケル・シャノン1974年8月ケンタッキー州キシントン生まれ。
ジョエル・エドガートン1974年6月オーストラリア、メルボルン生まれ。
キルステン・ダンスト1982年4月ニュージャージー州ポイントプレザント生まれ。
ジェイデン・リーバハー ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。
サム・シェパード1943年11月イリノイ州フォートシェリダン生まれ。

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世の中、カネで解決しないものもある「ベネファクター/封印」2015年制作 劇場未公開WOWOWで放送

2017-03-22 16:30:36 | 映画

               

 ベネファクター(Benefactor)つまり後援者フラニー(リチャード・ギア)は、頭の髪と髭をぼうぼうと伸ばし、まるで世捨て人のような日常を送っている。

 5年前、病院経営者フラニーは息子のボビー(ディラン・ベイカー)とその妻ミヤ(シェリル・ハインズ)、娘オリビア(ダコタ・ファニング)ともども広大な屋敷に住んでいた。オリビアはフィラデルフィアの大学にいくためこの屋敷を出ることになっている。

 荷造りのオリビアを置いてボビーとミヤそれにフラニーが車で出かけたとき、フラニーがボビーにふざけ横から来た車に気づかなかった。生き残ったのはフラニーだけだった。

 以後、精神的に落ち込み交通事故で受けた体の痛みを和らげるモルヒネを常用するようになる。暗い部屋に閉じこもり一日をやり過ごす。古風な電話の鳴る音が朗報をもたらした。

 オリビアが結婚して夫ルーク(テオ・ジェームズ)をフラニーの病院に押し込み帰って来るというものだった。俄然、元気が出るフラニー。髭を整えワイシャツを着てスーツをまとう。オリビアを溺愛していたフラニーにとって、また生き甲斐ができたというものだ。そうなると徐々に現すのは本来のフラニーだった。

 オリビアとルークには、オリビアとかつて一緒に生活した広大な屋敷を譲り、ルークの奨学金まで返済するというお節介ぶり。ルークは、貧しい出ではあっても一人前の男だ。ありがた迷惑と思うのは当然。

 フラニーの手持ちのモルヒネがなくなった。近所の薬局では医師の処方箋がいる。薬剤師に強引に出させようとするが失敗に終わる。では、ルークだ。

 ルークは医師としての倫理に背くことは出来ないという。フラニーは、病院に入れてやったんだぞ! 給料も出しているだぞ! 金持ちの嫌な性格が出てきた。

 そして偽の処方箋を書く医者がいない。全員クビにするわけにもいかず、ようやく自分の間違いに気づき、リハビリを宣言するという劇場未公開が妥当な結末だった。観ても観なくてもいいというのがわたしの結論だった。
 

 
監督
アンドリュー・レンツィ1984年10月ワシントンDC生まれ。

キャスト
リチャード・ギア1949年8月ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。
ダコタ・ファニング1994年2月ジョージア州生まれ。
テオ・ジェームズ1984年12月イギリス、イングランド、オックスフォード生まれ。
ディラン・ベイカー1959年10月ニューヨーク州シラキュース生まれ。
シェリル・ハインズ1965年9月フロリダ州マイアミビーチ生まれ。


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贈り物も度重なると怖くなる「ザ・ギフト」2015年制作 劇場公開2016年10月

2017-03-19 17:36:12 | 映画
 
              
 声をかけられるまで記憶から抜け落ちていた高校時代の同級生ゴード(ジョエル・エドガートン)から、転居祝いに始まり何かにつけて理由もなく贈り物が玄関に置かれ始める。宅配便でなく本人が置いていく。

 シカゴからカリフォルニアに転職で家を探しているサイモン(ジェイソン・ベイトマン)とロビン(レベッカ・ホール)夫妻は、不動産販売員の女性から「ミッドセンチュリーモダンの広々とした間取りです。採光が素晴らしくとても大きな暖炉があるの」の説明通り全面ガラス張りの部屋は、眼下に広がる眺めは言うことなし。

早速、街で家具の購入に出かけて代金を支払っているときにゴードが話しかけてきた。それからというものゴードは、ガラスクリーナーを届けるは、池の鯉も留守中に入れてあるという具合。サイモンの留守中にも訪れてくるから夫妻は気味が悪くなる。度が過ぎるというのはこういうこと。

 そして徐々に分かり始めるのは、高校時代いじめっ子がサイモンで、いじめられたのがゴードという図式が表れる。ゴードが怖いと思っていたロビンだが、自分の夫サイモンの実態が明らかになるにつれ「あなたの家には帰りたくない」という始末。

 さて、物語の行く末は……観てのお楽しみ。ゴード役を演じたジョエル・エドガートンが監督・脚本・制作を担当、製作費5百万ドル(約5億6千万円)が世界での興行収入を5千8百9十万ドル(約66億5千万円)の実績を上げる。アメリカでの初週の統計では、観客の大半が25歳以上、女性が58%を占めたという。その評価は、平均7,5点、支持率は93%だった。

 そしてジョエル・エドガートンは、スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀男優賞を受賞している。さらに撮影期間が25日間という早撮り。主にカリフォルニア州ロサンゼルス郡の映画スタジオが林立し、アダルト・スタジオも多くポルノ産業の聖地としても知られるサンフェルナンド・ヴァレーで撮られた。

 余談ともいえるお話をすると、ロビンがゴミ捨てに出て隣の奥さんに出会う。その奥さんが「私に家にも来てください。お茶しましょう」という。このお茶しましょうの翻訳が、実は「a Glass of Wine」と聞こえた。

 そういえばアメリカのミステリー小説を読んだとき、女性二人が午後白ワインを飲む場面があった。アルコールに強いアメリカ人は、紅茶やコーヒーでなくワインが挨拶代わりの飲み物という訳か。この映画、結構面白かった。
 

 
監督
ジョエル・エドガートン1974年6月オーストラリア、メルボルン生まれ。

キャスト
ジェイソン・ベイトマン1969年1月ニューヨーク州生まれ。
レベッカ・ホール1982年5月イギリス、ロンドン生まれ。
ジョエル・エドガートン

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フランス風味の切ない恋「5時から7時の恋人カンケイ」2014年制作 劇場未公開WOWOWで放送。

2017-03-16 18:41:20 | 映画

               

 なんとこの映画、劇場未公開だ。どうして? と思いたくなるほど心に沁みる作品。要するに不倫映画は受けないということかな。それはちょっと早計だな、と私は思う。

 今は亡きアントン・イェルチンが売れない小説家ブライアンを、人妻のアリエルをフランス女優の魅力的なベレニス・マルローが軽妙に演じる。いわゆる不倫の行く末のお話ながら、ヤング・ラブストーリーのような爽やかさと、二人が一緒に年輪を重ねられない切なさもただよう。

 二人の出会いと言うのが面白い。ニューヨークのセントラル・パークに面したホテルの前の歩道でタバコを吸うアリエルに気づき会話を始めたのがきっかけになった。なんで自分の部屋で吸わないのだろうと訝ったが、そんなことはどうでもいいと気づいた。

 とにかく年上で子供二人を持つ人妻のアリエルと年下のブライアンも5時から7時までのデートを繰り返す。フランスでは「5時から7時」を不倫の代名詞に使うというのがこの映画で分かった。

 アリエルの夫ヴァレリーというのが浮気性で妻に貞淑を求めないという男。したがってお互いに大っぴらに不倫ができるというわけ。こうなったら不倫と言えるのかどうかと考え込んでしまう。というわけでアリエルもブライアンとの関係も夫に話す。

 ブライアンは、ヴァレリーがイースト77丁目173番地の自宅への招待を受ける。そのパーティで紹介されたのは、アメリカの指揮者でアラン・タケシ・ギルバートで、父親はニューヨーク・フィルハーモニックの白人の元ヴァイオリン奏者マイケル・ギルバート、母親は同楽団の日本人ヴァイオリン奏者建部洋子との間に生まれた。

 次いで、米公民権運動の草分けと言われ、全米黒人地位向上協会の会長ジュリアン・ボンド。ボンドは2015年8月15日に75歳の生涯を閉じている。さらにニューヨークのフランス料理界の巨匠ダニエル・ブリュー。この三人は、本人自らの出演だった。

 ヴァレリーとアリエルの夫婦にはどんなに不倫をしても、家庭を壊すことはしないという不文律があったようだ。完全に燃え上がったブライアンの心は、ひたすらアリエルを求め結婚を申し込む。一旦は、婚約指輪を受け取ったアリエルだったが、ドアマンにブライアン宛の手紙を託してホテルの部屋を引き払う。

 それを受け取ったブライアンは、掃除機が唸りを上げる部屋を空しく眺めながら手紙を読む。長々とした手紙ではあるが、要するに「あなたに情熱のすべてを捧げたが現実は厳しく私を忘れて!」として婚約指輪が入れてあった。その空き封筒にリングを入れてドアマンに「アリエルが来たら渡して」彼はそこを去った。

 小春日和のニューヨーク、マンハッタン区アッパー・イーストサイド、ブライアンとアリエルが最初に訪れたフランク・ロイド・ライト設計のソロモン・R・グッゲンハイム美術館前の歩道でぱったり出会ったアリエルの家族とブライアンの家族。他愛ない挨拶の中に、えも言われない感情の揺れが、アリエルとブライアンの表情に表れる。ここは二人ともうまく演技したと思うよ。

 アリエルは、手袋から右手を出してリングを嵌めているのをブライアンに見せる。「あなたとの想い出は生涯忘れない」というサインだった。心地よい音楽に乗せて、やがて二組の家族は別れを告げる。ブライアンの家族はグッゲンハイム美術館に向かう。アリエルは、書店のウィンドウで見たブライアン・ブルーム著「マーメイド」で描いた二人の関係を思い出して笑みがこぼれる。
      

 音楽もセリフもよかったし、爽やかな不倫映画といえる。フランス語の歌曲も挿入してあって洒落たフランス風が味わえる。その中の「Le Ciel Dans Une Chambre」をTerra Naomiが歌う。

監督
ヴィクター・レヴィン1961年生まれ。もともと脚本家でこの映画が初監督。

キャスト
アントン・イェルチン1989年3月ソ連、レニングラード生まれ。2016年6月交通事故でロサンゼルスで亡くなる。
ペレニス・マルロー1979年5月フランス、パリ生まれ。
オリヴィア・サールビー1986年10月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
フランク・ランジェラ1938年1月ニュージャージー州生まれ。
グレン・クローズ1947年3月コネチカット州グリニッチ生まれ。
ランベール・ウィルソン1958年8月フランス生まれ。


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勿体ない「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」2015年制作 劇場公開2016年10月

2017-03-12 17:32:25 | 映画

               

 「華麗なるギャツビー」のF・スコット・フィッツジェラルドや「老人と海」のノーベル賞作家アーネスト・ヘミングウェイ、「天使よ故郷を見よ」のトーマス・ウルフなどの作家を見出して文壇へ送り込んだ編集者パーキンズがトーマス・ウルフとの係わり合いを描く作品。

 パーキンズをコリン・ファース、トーマス・ウルフをジュード・ロウ、5年間に渡り不倫を続けた舞台演出家のアリーン・バーンスタインをニコール・キッドマン、パーキンズの妻ルイーズをローラ・リニー、F・スコット・フィッツジェラルドをガイ・ピアース、アーネスト・ヘミングウェイをドミニク・ウェストというキャストは豪華と言ってもいい。アカデミー賞受賞者やノミネートされた俳優がメインを固める。

 ところが、編集者を題材にしたせいかドラマ性に欠けた印象が強い。パーキンズは、トーマス・ウルフの献辞を「編集者は黒子」だとして一旦は断った経緯もあり、個性的なトーマス・ウルフをメインに、アリーンとの関係を掘り下げながらパーキンズを描いたほうがよかったかもしれない。

 ただ、実話と言うことでトーマスがアリーンを金銭面の利用価値としていたかもしれない。売れっ子作家になったトーマスがアリーンを疎ましく思い始めることも明らかで、ニコール・キッドマンの配役はミス・キャストに思えてならない。

 あんな美人を疎ましく思うかと観る人は思うかもしれない。悪いがも少し普通の女優がよかったのではないかな。この映画を監督したマイケル・グランデージは、テレビ界の人間のようで、こんなそうそうたる俳優を使いこなしていない印象だ。

 ある批評にはこんな指摘がある。「全米図書賞を受賞したA・スコット・バーグの原作、一流の脚本家であるジョン・ローガン、大物の役者たちと、正しい素材を揃えてはいるが、調合が失敗している」
途中で眠くなったなあ。
 
監督
マイケル・グランデージ1962年生まれ。

キャスト
コリン・ファース1960年9月イギリス、ロンドン生まれ。2010年「英国王のスピーチ」でアカデミー主演男優賞受賞。
ジュード・ロウ1972年12月イギリス、ロンドン生まれ。2003年「コールドマウンテン」でアカデミー主演男優賞にノミネート。
ニコール・キッドマン1967年6月ハワイ州ホノルル生まれ。2002年「めぐりあう時間たち」でアカデミー主演女優賞受賞。
ローラ・リニー1964年2月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。2007年「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」でアカデミー主演女優賞にノミネート。
ガイ・ピアース1967年10月イギリス生まれ。
ドミニク・ウェスト1969年10月イギリス、イングランド生まれ。


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アウシュヴィッツ強制収容所所長ルドルフ・ヘスの告白「ヒトラー最後の代理人」2016年イスラエル制作

2017-03-10 18:14:41 | 映画

            
 余計なもの、セリフやBGMが徹底的に削られている。その代わり歩く靴音、ドアの開け閉めの音、咳や話し声、パイプでタバコを吸う音、タイプライターの音、話し声、コーヒー・カップを置く音が入る。

 そして、ルドルフ・ヘス(ロマノス・ファマン)と判事(マチェイ・マルチェフスキ)が、薄暗い部屋で机をはさんで尋問が続く。オープニングから映画の特異性が表れる。光源を絞った薄暗い玄関だろうか、それが映し出されしばらくすると足音が近づき判事が現れる。別の部屋で誰かの咳が聞こえる。ちょっと思案して判事は出て行く。

 判事は上司から言い含められている。「クラクフ(ポーランド南部の町)へ行け。尋問が行き詰っている。ドイツ人が協力を拒んでいる。ドイツ語を話せる人物が必要だ。だから君を呼んだ。彼から完全な自白を取れ、暴力は加えず生かしたままで行え。すでに囚人は殺されかけた。彼は君に任せる。君の責任で守ってくれ」

 判事にしてみればかなり気の重い仕事だ。ルドルフ・ヘスは、淡々と事実を述べヒトラーの命令は絶対で反抗なんて出来るわけがない。積極的に協力したが心の中では葛藤していた。家族ともしっくり行かない。一人になりたかった。

 ルドルフ・ヘスも一皮向けば、怒りや悲しみの分かる普通の男だった。多分、判事もヘスの気持ちを汲み心をざわつかせていたのだろう。

 ある夜、酒場のカウンター席でウィスキーを飲む。男が弾くピアノからは、ベートーヴェンの「ピアノソナタ第14番嬰ハ短調月光第1楽章」が流れてくる。酒場でベートーヴェン? ちょっと面白いと思ったが意図は分からない。
 カウンターから振り向くと、男と女が楽しそうに語らう。そしてホテルの部屋。裸の女の前にスーツ姿の判事。これ以上書かないが、これも特異なセックスシーンだった。

 判事は助手席、ヘスは後部座席で手錠をはめられて座っている。判事が振り向いてヘスを見る。ヘスも目を合わせるが、すぐに流れる景色を眺める。ヘスは処刑場に向かっていた。

 ウィキペディアから引用してみよう。 『彼は1947年2月に手記を書き残している。その中で最後の締めくくりに「軍人として名誉ある戦死を許された戦友たちが私にはうらやましい。私はそれとは知らず第三帝国の巨大な虐殺機械の一つの歯車にされてしまった。その機械もすでに壊されてエンジンは停止した。だが私はそれと運命を共にせねばならない。世界がそれを望んでいるからだ。」
 「世人は冷然として私の中に血に飢えた獣、残虐なサディスト、大量虐殺者を見ようとするだろう。けだし大衆にとってアウシュヴィッツ司令官はそのような者としてしか想像されないからだ。彼らは決して理解しないだろう。その男もまた、心を持つ一人の人間だったということを。彼もまた悪人ではなかったということを」と書き遺した』とある。

 ヘスの自白には250万人をガス室に送ったと書いてあるそうだが、通説では約100万人らしい。いずれにしても償いきれないのも確かで、人は飽きもせず過ちを繰り返すのだろうか。

 この映画の評判はよくない。しかし、私にはなぜか心に残る映画になった。単調な画面ではあるが、眠くならなかったのは不思議だ。2017年1月より開催の(未体験ゾーンの映画たち2017)で上映。
 
監督
エレズ・ペリー出自不詳

キャスト
ロマノス・ファマン1963年11月ドイツ生まれ。
マチェイ・マルチェフスキ1979年6月ポーランド生まれ。


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