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ハンフリー・ボガートが見たくて「マルタの鷹」1941年制作

2015-01-27 21:50:13 | 映画


2007年版アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)の歴代ベスト100で33位、ミステリー部門ではベスト10の6位となっていて、いわゆる名画の部類に入るのだろう。ハードボイルド・タッチの先駆者とも言われる監督のジョン・ヒューストンの作品。原作はダシール・ハメット。

私立探偵サム・スペード(ハンフリー・ボガート)のクールさが際立つといてもいい。海賊が強奪した黄金と宝石で出来ているという鷹の彫像を取り合うというお話。ほとんどがホテルやアパートの一室で舞台劇を映画化したような感じ。

もともとギャング・スターで売り出したボガートだが、この私立探偵役が転機となったようだ。あの有名な「カサブランカ」で地位を不動のものにした。ちなみに「カサブランカ」は歴代ベスト100の3位となっている。

劇中のサム・スペードはクールというか非情な男のようで繊細さも見せつける。もともと依頼人だったブリジッド(メアリー・アスター)は、見かけの上品さはウソもので根はしたたかな女と見抜くサム・スペード。そんな女に気を許すという甘ちゃんでもある。一応、女に手を出すのが早いと言われているが。

最後は冷酷な男に変貌する。ブリジッドがサムの同僚マイルズを射殺したのが分かり警察に突き出す前に吐く言葉。
「運がよけりゃ、20年もすれば刑務所から出られる。出たら来たまえ。そのかわいい首を吊らなけりゃいいがな。20年たてば釈放されるかもしれん。待っててやるよ。絞首刑になったら時々思い出してやろう」
「やめて、冗談にもそんなことを。びっくりしたわ。本気にするじゃない」
「本気だよ。君が犠牲になるんだ。相棒が殺されたら男は黙っちゃしない。君がどう思おうと関係ない。俺たちは探偵だ。相棒が殺されたら犯人は逃さない。それが探偵ってものさ。君が俺を愛しているかも、俺が君を好きかもしれん。俺の話が分からなければ忘れるがいい。だが俺は忘れない。忘れたいけどな。君はそれを計算に入れていたんだ」

この字幕、どうもしっくりこないんだよね。なんだかチンピラの言葉みたいで。それはさておき、未練たらしい言葉に聞こえなくもない。サム・スペードは女に弱いんだ。探偵業がうまくいくかな。まあ、きっちりとケジメはつけたようだ。

ハンフリー・ボガートの声は抜群にいい。それにしても喋るのが早い。セリフを棒読みしているみたいだよ。今どきの映画と比べると、ちょっと物足りない気がしないでもない。

1941年といえば和暦でいえば昭和16年。昭和16年といえば太平洋戦争勃発の年だ。そうした国際情勢が緊迫した中でも、私立探偵ものを撮っていたんだ。当時の映画人は戦争なんて関係ないよというのだろう。

面白いのは、日本では1月1日付けで映画館でニュース映画の上映が義務化されたという。軍部がしゃにむに戦争にのめりこんでいるようで振り返ると悲しくなる。




監督
ジョン・ヒューストン1906年8月ミズーリ州ネバダ生まれ。1987年8月没

キャスト
ハンフリー・ボガート1899年12月ニューヨーク生まれ。1957年1月没。
メアリー・アスター1906年5月イリノイ州クインシー生まれ。1987年9月没。
ピーター・ローレ1904年6月ハンガリー、ローゼンベルグ生まれ。1964年3月没。
シドニー・グリーンストリート1879年12月イングランド生まれ。1954年1月没。
ウォード・ボンド1905年4月コロラド州デンヴァー生まれ。1960年11月没。
コメント
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