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読書「千姫狂乱」早乙女貢

2012-10-30 21:10:17 | 読書

                
 関ヶ原の戦いのあと徳川家康は、秀忠と妻の江との間に生まれた千姫を、亡き秀吉の三男秀頼に嫁がせ地歩を固めるための手を打った。秀頼11歳、千姫7歳だった。

 大阪城下の町人は、まだ子供の夫婦の初夜を話題に載せてあれこれとうるさい。今まで読んできたこの時代の小説は、大体教科書的で作家の創造性が見られないものが多かった。この本は私の好みにぴったりだ。いわゆる人間のナマの生き様が描かれる。

 秀頼の母、淀君を馬鹿な女と切り捨て、秀頼もぶくぶく太った能無し男で11歳のくせに性的には早熟とある。なにしろ淀君の溺愛は、11歳にもなる秀頼を添い寝して勃起に驚くという具合。男の子は、最初に女を感じるのは母親だと著者もいう。その通りだと思う。

 千姫に付き添ってきた一人に松坂局、呼び名おちょぼがいた。千姫を大阪城から逃げる算段をしたり、再婚相手桑名藩主本多忠政の嫡男・本多忠刻の男色相手、宮本武蔵の養子・三木之助を誘惑して忠刻と千姫の夫婦円満を計ったりした。

 私は千姫より、このおちょぼに感情移入してしまった。それにしても戦国時代の女性ほど哀れなものはない。家中心の考え方の犠牲者ではあるが、おちょぼのようにけなげに千姫に仕え、機知を働かせて困難や危機を乗り越えていくしたたかさを持つ女もいる。
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映画「グッド・ドクターThe Good Doctor ’10」劇場公開2012年1月

2012-10-27 11:12:11 | 映画

                
 ドクター、先生、世間的には人のために献身的に奉仕する崇高な心の持ち主で、敬意を持って迎えられる職業の一つだろう。教会の牧師と同列に思う人もいるかもしれない。警官だって人のために働いているにもかかわらず、それほどの敬意を抱かないのは何故だろう。

 いろいろな理由があるかもしれないが、ドクターは人の命を救うと言う究極の神の領域に踏み込める唯一の存在だからかもしれない。
 そのドクター、マーティン(オーランド・ブルーム)が、担当の患者で好きになった女性ダイアン(ライリー・キーオ)が快方に向かい退院する。彼女には恋人がいて、「付き合いたくない男だ」と言いながらぐずぐずとその関係が引きずられている。
 ダイアンの両親から快癒のお礼にディナーの招待を受ける。その日もダイアンはいない。ダイアンを自分のほうに手繰り寄せるためにとった手段は、なんとダイアンの服用薬のカプセルに砂糖と入れ替えることだった。これによってダイアンは、病気を再発させ再入院となる。
 入院すればこっちのものとばかり点滴の薬を入れ替える。多分、病気の治癒を遅らせる薬かもしれない。何の薬かさっぱり見当がつかない。映画にはスリルもサスペンスもない。簡単に薬を入れ替える。人目をあまり気にする風でもない。

 とにかく二重人格のドクターを登場させながら、平凡な作品になってしまった。信頼するドクターが悪魔になるんだから、描き方のよってはものすごく怖い作品になったはず。
             
             
監督
ランス・デイリー出自など情報がない。アイルランド出身のみ。

キャスト
オーランド・ブルーム1977年1月イギリス、ケント州カンタベリー生まれ。
ライリー・キーオ1989年5月ロサンジェルス生まれ。祖父は、エルヴィス・プレスリー。
マイケル・ペーニャ1976年1月イリノイ州シカゴ生まれ。
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千葉ぶらり散歩「養老渓谷のトンネル」

2012-10-24 15:55:03 | 見て歩き

 ある日の朝日新聞夕刊の「幻風景」というコラムに「異世界行きトンネル」と題して千葉県大多喜町・養老渓谷にある勾配の違う二つのトンネルをつなげたのが紹介されていた。じゃあ、いって見よう。というわけで車を飛ばした。

 行ってみて思い出した。それは2007年(平成19年)の12月初旬、この養老渓谷で紅葉狩りをしたとき帰路に通ったトンネルだった。いま10月下旬、養老渓谷はまだまだ紅葉のかけらも見られない。関東地方で一番遅い紅葉の場所だろう。最盛期には遅い紅葉を楽しむ人で渓谷は賑やかになる。2007年の写真と今回の動画も合わせて楽しんでください。
    




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読書「城を噛ませた男」伊藤潤

2012-10-21 12:49:59 | 読書

               
 短編五編からなる戦国時代の人間の生き様が活写されている。

「見えすぎた物見」見えすぎる物見の悲劇は、新しい幕府にとっては眼ざわりこの上ない。したがって城の取り壊しとなる。

「鯨のくる城」鯨漁の親方が夥しい水軍に鯨を追い込んで全滅させるという、奉行の頭では発想し得ない策だった。

「城を噛ませた男」城をはませた男と読む。野心の強い男が、裏切りの戦で完璧な戦いをやり遂げる。いつもは手柄を立てるのに苦労しているのに結果が出せない。裏切りだと負けていいわけだから大胆で的確な作戦が冷静に行える。だが、謀られた戦でもあった。

「椿の咲く寺」椿の花が満開の庭は、いつもと変わらない冬の日の午後。今福丹波守虎高の娘、妙慧尼の自害が哀れ。上質のミステリーに仕上がっている。

「江雪左文字」板部岡江雪斎の宝刀。江雪が父から名刀左文字を受け取るときに言われた言葉は、「刀は鈍いように見せておかねばならぬ。いざという時にだけ、その切れ味を見せればよいのだ」
 これは刀ばかりではない。人にも言えることだろう。切れ味の鋭い江雪ではあるが外様の宿命か、家康の使い走りに終わる。現代ではそれほど気にすることもないだろうが、仮の話としてすごく切れる部下を持った上司も複雑な心境に陥るのではないだろうか。
 戦国時代の武将も才知に長けた部下に、いつ寝首を掻き切られるかその差配に神経を使ったことだろう。いろんな教訓が含まれている本であるが、私にとってはもはや対岸の火事でしかない。
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映画「パーフェクト・センスPerfect Sense’11」劇場公開2012年1月

2012-10-18 10:48:27 | 映画

               
 暗闇、光、男と女、食料、レストラン、病気、仕事、交通、すべてが存在し誰もが知っている世界。そして悲しみや憎しみを併せ持つ世界。

 嗅覚を失ったと言う患者と対面する感染症専門医スーザン(エヴァ・グリーン)は、この病気の原因を掴めないまま病気はアジアからロシアに拡大しつつあった。重症嗅覚障害症候群と名づけられた。

 極度の悲しみがこの病気を引き起こすことは分かっていた。スーザンも恋を失い精神的に不安定な時期をやり過ごしている最中だった。彼女のアパートの下にレストランの裏口があって、そこのシェフ、マイケル(ユアン・マクレガー)と知り合う。

 やたらに食べているうちに味覚が失われ、憎しみで怒り狂うと聴覚を失う。やがてこの恐ろしい事態がスーザンとマイケルにも降りかかる。
 そして映画のナレーションは、「数週間で味覚は過去のものとなり、他の感覚が研ぎ澄まされた」一般的に言われる人間の五感、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のうち鋭敏になったのは視覚と触角になる。
 さあ、それが何を意味するのか分からないし、この映画の言いたいことがいま一つ分からない。あえてこじつければ、現代の世界は、悲しみ、憎しみ、怒りが充満していて、はけ口が見つからないと狂気による感覚の喪失につながるかもしれない。

 残る視覚と触角は、今以上にセックスへの傾倒を意味しているのかもしれない。この監督の映画は、’03「猟人日記」を観たがやはりセックスがテーマだった。この映画でも、セックス・シーンは入念に描いてある。しかも、キレイに……。悲しみがどうして嗅覚障害になるのか分からずじまいだった。SFだから論理的説明が要らないとでも思っているように思われた。
            
            
            
            
監督
デヴィッド・マッケンジー1966年5月イギリス、スコットランド生まれ。

キャスト 
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。
エヴァ・グリーン1980年7月フランス、パリ生まれ。
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映画「スーパー・チューズデー The Ides of March ’11」劇場公開2012年3月

2012-10-15 11:46:14 | 映画

                
 スーパー・チューズデー、日本人の私たちにも耳慣れた言葉になった。2月か3月の初旬の大統領予備選挙で、一日で最大の代議員を獲得する日になる。

 この映画では、3月オハイオ州となっている。この予備選挙の裏側で展開される実に生々しい騙し合いと脅迫。選挙は、頭脳戦とも言え相手陣営の優秀なスタッフをどのように切り崩すかが勝敗を左右する。いうなれば、日経平均株価の動きを予知できれば大儲け出来るのと似ている。
 予知能力は誰にでもあるものではない。選挙参謀にそういう資質を持った男がいたらと誰もが望む。民主党の大統領予備選を戦っているマイク・モリス知事(ジョージ・クルーニー)の参謀ポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)の下にスティーヴン・マイヤーズ(ライアン・ゴズリング)がいる。スティーヴンは優秀で事務所のインターンに適切に指示し結果を残すことを求められている。その信頼は厚い。

 そのスティーヴンを引き抜きにかかったのは、相手陣営の参謀トム(ポール・ジアマッティ)だった。映画は、ここからスリリングな展開になる。選挙運動を題材にしたサスペンスで上出来じゃないだろうか。
 私の読書や映画の評価基準が、「眠くなった」か「眠くならなかった」のどちらかで、この映画は眠くならなかった。観て損はない。
             
             
             
             
             
             

監督
ジョージ・クルーニ1961年5月ケンタッキー州レキシントン生まれ。

キャスト
ライアン・ゴズリング1980年11月カナダ、オンタリオ州ロンドン生まれ。
フィリップ・シーモア・ホフマン1967年7月ニューヨーク州フェアポート生まれ。
ポール・ジアマッティ1967年6月コネチカット州ニューへヴン生まれ。
マリサ・トメイ1964年12月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
ジェフリー・ライト1965年12月ワシントンDC生まれ。
エヴァン・レイチェル・ウッド1987年9月ノースカロライナ州生まれ。
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映画「マーガレット・サッチャーThe Iron Lady ’11」劇場公開2012年3月

2012-10-12 13:02:42 | 映画

                
 ソビエト連邦当時の国防省機関紙「クラスナーヤ・ズヴェーズダ」が、1976年1月24日号でマーガレット・サッチャーを「鉄の女」と呼び非難した。サッチャー自身も気に入ったらしく、以後サッチャーの代名詞として定着した。(ウィキペディアより引用)
 マーガレット・サッチャーは、1979年から1990年にかけて初の女性首相として英国をリードした。その政策には賛否半ばするようだが、強い信念に基づく決断は評価すべきだろう。

 そのマーガレット・サッチャーを演じるのは、ハリウッドで一番の演技派メリル・ストリープだ。見るからに老いたという風姿の女が食料品店のカウンターに牛乳パックを置いた。この老女を演じるのは、メリル・ストリープであり、現役の首相を演じるのもメリル・ストリープである。声のトーンやしぐさにも演技派の風格が漂う。メリル・ストリープの独壇場だ。他を見る必要もないように思わせられる。

 この作品は、アカデミーメイクアップ賞も受賞しているので、それも見ものに違いない。というのも完璧なメイクアップだからだ。人間が老いるということは、体全体が老いていくということ。顔の皺の数を増やせばいいというものではない。
 70代の後半にもなると首筋が痩せてくる。そこがきちっとメイクアップされているのはさすがと言える。初期段階の認知症のサッチャーが、亡き夫と会話をしながら思い出を語るという設定だ。作品としては特段の注目点はない。メリル・ストリープを見るだけで十分ではないだろうか。

 芸の細やかさはぴか一で、着付けをしてもらって胸の谷間もちらりと見えるドレスを、手で乳房をゆすって納まりを良くするというしぐさにも彼女らしさが見える。現実のマーガレット・サッチャーも87歳になり認知症で記憶も薄れてきているそうだ。
            
            
            

監督
フィリダ・ロイド1957年6月イギリス、イングランドブリストル生まれ。

キャスト
メリル・ストリープ1949年6月ニュージャージ州生まれ。この作品でアカデミー主演女優賞を受賞。
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映画「最高の人生をあなたとLate bloomers ’11」劇場公開2012年2月

2012-10-09 17:16:10 | 映画

                 
 日本に限らず世界中で老後の人生の意義を見出そうとして躍起になっている現実がある。高齢者を老人ホームに閉じ込めて厄介者扱いにするか、年代を超えた共生の仲間として扱うのか。実はこの映画の根底にはその問題意識があるように思われる。一組の夫婦が老いと向き合う様がなんとなく侘しさが漂う。

 その夫婦というのが夫アダム(ウィリアム・ハート)と元教師の妻メアリー(イザベラ・ロッセリーニ)で、共に60代を超えた年齢だ。メアリーは物忘れが気になりだした。アダムは実年齢を認めたがらない。建築事務所のオーナーから老人ホームの設計をやれといわれるが気が向かない。

 オーナーの描く老人ホームは老いも若きも一緒に住むという共生の館だったが。アダムは若い連中と美術館の設計に余念がない。服装も若ぶってTシャツにレザーの上着という出で立ち。
 一方メアリーも友人の医者から趣味を持って運動も積極的にしたほうがいいといわれる。スィミングスクールへ行きブラウスの胸もとを少し開いて見たりもした。いじらしいほど老いに反発する行為に他ならない。

 誰しも老いは避けられないし無視もできない。毎日の洗顔や髭剃り化粧にと鏡の中の自分と対面して、白髪が増えたとか首も周りが痩せたとか嫌でも老いは攻撃の手を緩めない。外に出れば歩く速度が遅くなり階段を降りるのが怖く感じたりする。

 アダムがメアリー言った言葉に「君といると年を感じる」は、実に残酷で許しがたいがこれはお互いに感じるものではあるまいか。
 この60代というのは一番危険な年齢ではないだろうか。要するに精神的にも肉体的にも最後の徒花が咲く時期だからだ。

 アダムもメアリーも浮気をした。メアリーの母の死が現実を確認させたという意味で、二人に転機をもたらした。ベッドの中で騎乗位のメアリーが言う「誰に習ったの?」
アダム「何のことだ?」
メアリー「こんなの初めて」
アダム「昔は若く体も柔らかかった。今はすぐ体中がけいれんを起こす だからこうする」
 メアリーの満足げな愉悦が漏れた。原題のlast bloomer(遅咲きの花)そのままの60代。
            
            
            
            
            

監督
ジュリー・カヴラス 

キャスト
イザベラ・ロッセリーニ1952年6月イタリア、ローマ生まれ。映画監督ロベルト・ロッセリーニと女優のイングリッド・バーグマンの娘。
ウィリアム・ハート1950年3月ワシントンDC生まれ。
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映画「おとなのけんかCARNAGE’11」劇場公開2012年2月

2012-10-07 12:49:25 | 映画

                
 久しぶりにおとなの映画を観た。そんじょそこらの産毛の髭を生やした若い男や舌足らずな甘えた声を出す少女っぽい女の出る幕じゃない!! と思っていたが。
 成熟して見識もある男と女が我が子の暴力行為の後始末に顔を合わせる。その行為というのは、相手を棒で殴ったというものだった。
 被害者の息子の両親ペネロペ・ロングストリート(ジョディ・フォスター)とマイケル・ロングストリート(ジョン・C・ライリー)の家に加害者の両親ナンシー・カウマン(ケイト・ウィンスレット)とアラン・カウマン(クリストフ・ヴァルツ)が訪れる。

 最初は、お互いの立場を理解しあって息子達に仲直りをさせようと話がまとまりかけるが、ふとした言葉の綾にゆっくりではあるが空気が変質し始める。何度か玄関ドアとエレベーター・ドアを往復するにつれ、ますます空気はひりひりと神経を撫でる。
 その間、弁護士というアランの携帯は鳴りっぱなし、話の腰を折るのでイライラが募る。その電話が緊張した空気をいっときではあるが和らげる効果もあったが。

 そんな時、ペネロペが自分で作ったというケーキを出した。美味しい美味しいと食べていたが、そのうちナンシーが胸がむかついて吐きそうと言い出した。ペネロペが生ぬるいコーラを持ってきて、「コーラが利くわよ」と言った。ところがそうはならなかった。
 リビングでナンシーは嘔吐の大パフォーマンス。雑巾やモップやバケツを持って大騒ぎ。ペネロペに至っては絶版になった美術史の本がゲロまみれでナンシーを放ったからし。

 一段落したあとマイケルは、取って置きのスコッチを取り出した。徐々に酔いが回り言葉も過激になってきた。両家の誹謗中傷から、相手の夫や妻に矛先が向かう。とうとう夫婦喧嘩も始まり、挙句の果てにアランの携帯電話をナンシーが花瓶に投げ込んだ。水没する携帯電話。
 それを取り出してドライヤーで乾かすマイケル。そんな状況で女二人は笑い転げる。確かにこの場面は面白かった。遂に男と女の対立に発展。

 成熟して見識もある大のおとながまるで子供のような喧嘩をする。どこにでもある風景だろう。その子供達はとっくに仲直りして公園で遊んでいた。馬鹿を見るのはおとなのほう。
 舞台劇を映画化したらしいから、たった四人の出演者で室内だけ。それでも1時間半ほど退屈させずに見せるとはポランスキーの腕は冴えている。

 酒に酔っ払ったケイト・ウィスレットもよかったし、青筋立てて怒りの言葉をはじき出すジョディ・フォスターもぴったりだったし、携帯電話で忙しいクリストフ・ヴァルツや携帯電話をドライヤーで乾かすジョン・C・ライリーもそれぞれ個性を出してよかった。この映画の原題が、Carnege(大虐殺)とは言い得て妙だ。ユーモアセンスも抜群。
 ただ、このポランスキー、1977年に少女をレイプしたかどで追われている身なのだそうだ。その辺を曖昧にしている点が玉に瑕かな。
             
             
             
             
             
             
             
             
             
監督
ロマン・ポランスキー1933年8月フランス、パリ生まれ。’02「戦場のピアニスト」でアカデミー監督賞を受賞したが、追われる身のため会場には姿を見せなかったらしい。

キャスト
ジョディ・フォスター1962年11月ロサンジェルス生まれ。’88「告発の行方」’90「羊たちの沈黙」でアカデミー主演女優賞受賞。
ケイト・ウィンスレット1975年10月イギリス、イングランド、バークシャレディング生まれ。
クリストフ・ヴァルツ1956年10月オーストリア、ウィーン生まれ。’09「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー助演男優賞受賞。
ジョン・C・ライリー1965年5月イリノイ州シカゴ生まれ。
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旅「11日間のスリランカNo 11」

2012-10-05 17:06:16 | 旅行

 成田国際空港の駐車場への通路を歩きながら、スリランカの空港ではビールが飲めなかったのを思い出した。成田はどうだろうか。心配は要らなかった。レストランの入り口にある料理見本の中にジョッキに入ったビールが置いてあった。

 ではなぜスリランカの空港ではビールが飲めないのか。ゴールへの道すがら地元の食堂では、アルコール類は売っていなかった。飲酒の習慣が一般的でないかもしれない。それに、Mrチャンナの話では、スリランカ人はアルコールを飲むといざこざを起こすと言っていた。
 Mrチャンナの店もアルコールを出そうと思っているが、会員制にして選別しようと思うとも言っていた。ハッキリした理由は分からない。

 駐車場から新空港自動車道に乗り入れたとき、私の車がまるで高級車のように静かで滑らかな動きを見せた気がした。それほど、道路がいいと言うわけだった。あのがたがた道の揺れが体に沁み込んでいたせいかもしれない。
 改めて、日本再発見を実感した。日本の嫌なところもあるが、食べ物や道路や交通事情などは幸せを感じていた。

 ところが、このブログを書き進めているうちに、果たして日本は何でも良くていい国なのだろうか。と言う疑問が浮かんできた。
 日本国民は、多種多様な食文化の恩恵にあずかり、交通法規はきっちりと守るし、電車は1分でも遅れると乗客にお詫びのアナウンスを流すし、住宅地の角にも信号がついている。路線バスは、エアコンが入り扉はきちっと閉められている。すべてが管理された国だ。

 反対にスリランカは、無秩序で我がままで決して豊かとはいえない生活環境に生きている。交通事情だけに絞ってみても、歩道なんて見なかったし、交差点に信号機の無いところが多いし、割り込みはしょっちゅうでバイクは中央分離帯を逆走してくる、自転車も中央分離帯に沿って走っているし、クラクションの音が途切れることもない。
 横断歩道があるがそこには信号がなく、道路を横断するには適当なところで渡っていく。そして割り込んだからと言ってドライバー同士が大喧嘩していることもない。大きな事故も見なかった。

 おそらくスリランカ人は言うだろう。「おれたちは、信号や標識が無くても結構うまくやってるよ。本来道は人間のものなんだから、どこを歩いたって構わないだろう? 車のほうが避けりゃあいいんだ。電車が少々遅れたって死ぬわけじゃないしね。食文化は先祖からの伝統だし、慣れてもらうしかないね。えっ、住宅地の中に信号? そりゃ費用の無駄遣いってもんだなあ。この国にもいろいろ問題があるけど、おれたち気楽にやってるよ」

 Mrチャンナは言う。「スリランカはあくせく働かなくても生きていける国だ。もし、人生で成功したければ日本人のように働き、日本人のようなサービスを提供すればいい。日本でやっていることを普通にやればいいだけだ」他国の人間がとやかく言うこともないが、公平に見て日本はなにかにつけて管理され過ぎと言ってもいいかもしれない。そして、スリランカは人間らしく生きていけるような気もする。

 Mrチャンナのターゲットは、外国人観光客とスリランカの富裕層だという。それも一つの選択だろう。
 さて、ついでながら「CHANNA」の店のアドレスを書いておこう。もし、スリランカへ行く機会があれば、ぜひ立ち寄っていただきたい。

 =B7. Kandy Road Meepitiya. Kegalle. Sri Lanka 電話番号は、海外からは94(国番号)-35-222-1009スリランカ国内では035-222-1009=

 もう一つ気がついたことは、車にしろテレビにしろ、今や韓国製に日本製が押されているのが現状だろう。ただ、スリランカのホテルで見たテレビの韓国製と日本製の性能に明らかに日本製が勝っていると言うことだ。日本製のテレビは、パナソニックとサンヨーだった。韓国製は、LG製だった。

 あるホテルでは、大型テレビがLG製、中型がパナソニック製だった。その画面を見比べたときパナソニックが鮮明だった。スリランカの電波は、まだアナログだと言っていたから、画面の鮮明度はテレビの性能によるところが大きい。このように技術的には日本が勝っているが、安閑とはしておれないのは確かだ。

 私たちの留守中、飼っているオスとメスの二匹の猫を動物病院ヘ預けてあった。ゲージに11日間放り込まれていたせいなのか、オスの猫はしばらく私たちを恐怖の目で眺めていた。今はいつもの甘えん坊になっている。
 それから、Mrチャンナの店を手伝っている息子は、私たちが持っていったハーブ類の種を空き地で育てるらしく種をまいたらしい。コリアンダ、イタリアンパセリ、パセリ、ルッコラ、クレソン、タイム、レモンバームそれに三つ葉、赤じそ、青じそで、いずれ料理の飾りにお目見えするはず。ただしうまく育てば……。(おわり)

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