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映画「もう終わりにしよう I'm Thinking of Ending Things」2020年Netflix配信

2022-01-27 14:35:26 | 映画
 この人とは「もう終わりにしよう」と思いながら言い出せないなか、雪が降る中を彼が運転する車に乗って彼の両親に会いに行く。

 「もう終わりにしよう」と思っているのは、ルーシー(ジェシー・バックリー)。その相手の彼は、ジェイク(ジェシー・プレモンス)。

 道中はぎこちなさもうかがえるが、会話を続けてジェイクの両親の家に。両親も愛想はいいが普通の人と少し違う。ジョイクが突然怒ったり、両親が急に老け込んだり、若返ったりという不思議な現象が起こる。

 雪がますます降り続く中、夜遅くジェイクの実家を辞去した。ジェイクは思いもしないところへ連れていく。それはジェイクが通った高校だった。深夜でも明かりは煌々と点り、高齢の男が廊下でモップ掛けをしている。

 ジェイクを呼んでも返事がない。そうこうするうちにある教室からジェイクが出てくる。出てくるがすぐに若い男に変わる。ルーシーはその男とバレエを踊る。

 静寂が訪れる。モップ掛けの男が、仕事を終えて帰宅の車に乗る。しばらくして、その男が素っ裸になり外へ出る。そしてジェイクがパーティで歌を歌う。一台の車がすっぽりと雪をかぶっているシーンで終わる。

 どういうことかさっぱり分からなかった映画だ。原作を読み何度か映画を観てブログにアップにした人がいる。その人の見方が納得するかな。ここでは種明かしはしません。URLを下記しておきます。
 ただし、この映画を観た後にしてください。観ていないとこの人のブログも理解できないでしょう。

 この映画で注目したのは、ルーシー役を演じたジェシー・バックリーなのだ。バレエを踊るシーンの体の柔軟性のある動きが素晴らしい。さらに、カントリー歌手を目指すという映画「ワイルド・ローズ」の歌唱も素晴らしいといわれる。この映画はぜひ観たい。当然この「もう終わりにしよう」の演技も称賛されている。ジェイク役のジェーシー・プレモンスの評価も高い。

監督
チャーリー・カウフマン1958年ニューヨーク州ニューヨークで生まれる。独特のストーリー展開が持ち味。

キャスト
ジェシー・プレモンス1988年テキサス州ダラス生まれ。俳優を10代から続けているベテラン。

ジェシー・バックリー1989年アイルランド生まれ。王立演劇学校出身

トニ・コレット(ジェイクの母)1972年オーストラリア生まれ。

デヴィッド・シューリス(ジェイクの父)1963年イギリス生まれ。「ハリー・ポッター」シリーズのルーマス・ルービン役で知られる。

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読書「惜別の賦Beyond Recall」ロバート・ゴダード著

2022-01-25 10:31:46 | 読書
 「無実の人間が死刑になり、その息子は自殺に追い込まれ、娘は本名を名乗れぬ哀しき逃亡者の身に落ちている。そのすべてを踏まえ、わたしはただ一つの質問に答えなければいならない」
 一家の驚きの真実を知ったわたし、クリス・ネイピアの答え探しの調査が続く。

 34年前、イギリスのコーンウォール地方にある港町トゥルーロの大資産家ジョシュア・カルンウェースが殺された。クリスの大伯父に当たり、アラスカで財を成したといわれる。
 犯人として死刑に処せられたのが、クリスの友人だったニッキー・ランヨンの父マイケル・ランヨンだった。

 時は移ろいクリスの父の屋敷で姪の結婚披露宴が行われた。その会場に34年ぶりに現れたのがニッキーだった。父マイケル・ランヨンの無実を切々と訴えるが、クリスにしてみればすべてが決着のついた話であり真剣に受け取らなかった。ところが翌朝、敷地に生える大きな木に首をつったニッキーを発見したのがクリスだった。
 ショックを受けると同時に同情の気持ちも沸き起こる。そしてニッキーの言葉が頭から離れなくなる。ニッキーのために出来ることとして、真実の調査に乗り出す。
 結果は、クリスの祖母がある男に目撃証言を偽装させたというものだった。したがってマイケル・ランヨンは、無実で処刑された。

 「私の人生から消えてほしくなかった」と思う女性に裏切られ、怪しげなニッキーの義父が現れたり、クリスの姉パムの夫トレヴァーに妖しげな写真の出現、クリスの自動車修理工場の全焼、実家の部屋がメチャクチャに壊され、裏切った謎の女に最後まで付きまとわれるという複雑なストーリー展開に振り回されることになった。

 クリスの父メルヴィンの大罪にどう対処するのかが問題ではあるが、ニッキーの妹ミケーラ(今はエマと名乗っている)とも出会い、彼女の純粋さに「私の人生から消えてほしくない」と思い始めるのが、心地よい響きとなって彩を添える。

 この辺を本から抜粋しよう。『ランズ・エンド岬から眺める大西洋の果てしなく広がる景色に感動したエマ。このあと行くところを聞いたエマ、リザード岬と聞いて「もう気に入ったみたい」と言って立ち止まり、丘のほうを振り返った。城壁が日を受けて輝き、その向こうの海が優しい光を放っている。彼女はふたたびこちらを向き、一瞬真顔でわたしを見つめた。
「どうしたんだい」
「なんでもない」彼女は微笑むと、わたしに身を寄せてキスをし、すぐに何事もなかったように土手道を歩きだした。わたしは立ち尽くしたまま、数秒間その後ろ姿を見守った』
海はロマンティックな気分にさせるのである。

 著者は、1954年イギリス、ハンプシャー生まれ。「彼の書くミステリーは、多くの場合イギリスの地方の都市や町の歴史的な要素を物語の背景とし、ストーリーは極めて複雑な様相を見せ、例えば何らかの形で主人公が長く秘密にされていた犯罪や謀議に巻き込まれ、日記やあるいは人から人へと手がかりを追ううちに、徐々に全貌が明らかになって行くというものが多い」とウィキペディアにある。

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映画「パワー・オブ・ザ・ドッグThe Power of the Dog」劇場公開2021年11月

2022-01-23 20:12:04 | 映画
 高く評価されるこの映画、私が観たのはNetflixで。パソコンでドラマや映画を楽しむのは午後9時ごろからで、夕食時のアルコールのせいもあって観ているときに居眠りも多い。したがってこの映画も二度観になった。

 まずタイトルに迷う。犬の力? 犬は出てくるがさして重要でもない。最初に頭に浮かんだのは、メキシコの麻薬カルテルのお話、ドン・ウィンズロウ著「犬の力」だった。欧米人が「犬の力」という言葉を使うには何か意味があるのではないか。 と思い調べてみた。

 聖書では、犬は汚らわしいものとなっていて、旧約聖書に犬の力の表現があるそうな。その意味するところは、汚らわしい犬から転じて、傲慢、意地悪、嫉妬、不埒、聖書の詩篇「私の魂を剣から、私の命を犬の力から救い出して下さい」から採られており「犬」は邪悪を意味していて、その邪悪を演じるのはフィル・バーバンク(ベネディクト・カンバーバッチ)。

 物語は1925年モンタナの牧場。経営しているのはバーバンク兄弟。兄フィルはイエール大学出で、カリスマ性と威圧的な態度でカウボーイたちをまとめる牧童頭を務める。

 弟ジョージ(ジェシー・プレモンス)は口下手ではあるが誠意のある態度を示し、きちっとした服装でいわゆる営業と会計を担っている。

 弟のジョージは、街でレストランを経営するローズ(キルスティン・ダンスト)に思いを寄せている。それをフィルは、「あんな女と付き合うな」と一蹴している。それでもジョージはローズと結婚した。

 ジョージの大きな家に移り住んだローズと息子のピーター(コディ・スミット=マクフィー)に嫌がらせで攻撃するのがフィルだった。ローズは酒浸りになるし、およそ男らしさに欠け中性的な外科医志望のピーターも、カウボーイから、からかいの対象にもなる。

 落ち着かない日々が続くが、フィルがピーターに乗馬を教えはじめてから雰囲気が変わっていく。お互いに信頼を得たとき、フィルは怪我の悪化で死亡する。この怪我は去勢手術の時負ったもので、炭そ菌に感染したものだった。

 ローズとジョージは、ほっとした雰囲気だが、ピーターは悲しみに暮れていた。聖書の「剣と犬の力から、わたしの魂を解放したまえ」という文言をじっと見つめるのだった。

 第78回(2021年9月)ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に出品され銀獅子賞を受賞した。

監督
ジェーン・カンピオン1954年4月ニュージーランド生まれ。映画界で世界的に成功した女性監督の一人といわれる。

キャスト
ベネディクト・カンバーバッチ1976年7月ロンドン生まれ。
キルスティン・ダンスト1982年4月ニュージャージー州うまれ。
ジェシー・プレモンス1988年4月テキサス州ダラス生まれ。。
コディ・スミット=マクフィー1996年6月オーストラリア・メルボルン生まれ。

 追って、ジョージ役を演じたジェシー・プレモンスは「もう終わりにしよう」という映画で賞賛されている。これは難解な映画である。

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映画「マッドバウンド~哀しき友情Mudbound」2017年制作 Netflix配信

2022-01-10 13:22:35 | 映画
 1930年代、ミシシッピ州の白人の男と黒人の男の友情物語。農業を営む白人の兄ヘンリー(ジェイソン・クラーク)は、すべてがうまくいくという信念の持ち主。弟のジェイミー(ギャレット・ヘドランド)は、兄に忠実で裏切らないと心に決めていた。

 とはいっても性格は、全く異なっていた。ヘンリーは寡黙でやや強圧的な態度を見せる。ジェイミーは、その反対で陽気で多弁。ヘンリーの妻ローラ(キャリー・マリガン)は、夫を愛していないが従順な態度をとっている。そして心の奥深いところでは、ジェイミーを求めていた。こう書くとロマンティックなラブロマンスと思うかもしれないが、そうではない。

 1941年12月7日ラジオから流れてきたのは、大日本帝国(エンペラー・オブ・ジャパン)が真珠湾を攻撃したというニュースだった。

 ヘンリーの近くに黒人で小作人のジャクソン一家が住んでいる。一家の長ハプ・ジャクソン(ロブ・モーガン)とフローレンス(メアリー・J・ブライジ)夫妻は、土地を買って独立したいと思っていた。

 そんな中、第二次世界大戦の影響で長男のロンゼル(ジェイソン・ミッチェル)とヘンリーの弟ジェイミーも召集される。
 戦場ではロンゼルが軍曹で戦車隊を率いている。ジェイミーは戦闘機のパイロット。欧州戦線では、進軍に伴い黒人でも大歓迎された。ジェイミーは、乗員二人を失いながら生き延びたとき、機体を並べてきた黒人パイロットから祝福を受け、ともに戦った仲間として人種差別意識がなくなっていた。

 戦いは終わった。帰国した故郷は何も変わっていなかった。白人至上主義者のKKK(クー・クラックス・クラン)の跋扈、相変わらずの黒人蔑視、封建的な家父長制を持つ一家という中で、戦友としてジェイミーとロンゼルは親しくなっていく。しかし、周囲は悪化を続け悲劇が待ち受けていた。余情が残り満足感に満たされた映画だった。

ヘンリーの妻ローラを演じたキャリー・マリガンは、1985年イギリス生まれ。二度のアカデミー主演女優賞ノミネートがある。

ヘンリー役のジェイソン・クラークは、1969年生まれオーストラリア出身。

ジェイミー役のギャレット・ヘドランドは、1984年ミネソタ州生まれ。声が素晴らしくいい俳優だ。

 この作品で高く評価されたのが、黒人一家を支える主婦フローレンスを演じた メアリー・J・ブライジと長男ロンゼルを演じたジェイソン・ミッチェル。

 メアリー・J・ブライジは、白人から卑下され反抗もできない当時の女は、表情を変えずただ言われたことに従う境遇を見事に演じていた。

 ジェイソン・ミッチェルも同様に、黒人の悲哀を遠慮がちに演じていたのが印象的だった。ちなみに メアリー・J・ブライジは、R&Bの歌手でもありクイーン・オブ・ヒップホップ・ソウルとも称されている。この映画の挿入歌「Mighty River」を歌っている。1971年ニューヨーク、サウスブルックリン生まれ。

ジェイソン・ミッチェルは出自不明。

それではメアリー・J・ブライジの「 Mighty River」を聴きましょう。

                   
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読書「自白 The Confession」ジョン・グリシャム著

2022-01-03 16:23:13 | 読書
 アメリカ南部テキサス州にあるハンツヴィル刑務所の処刑室に、そのニュースが届いたのは午後5時40分。
 連邦最高裁判所が死刑囚ドンテ・ドラムに対する心神喪失を理由としたものと、ボイエット請願による上訴受理を求めた二つの案件が却下された。

 これで完璧に生きる道を閉ざされた。処刑予定時刻、午後6時。ドンテ・ドラムの死刑判決の要因は、1998年テキサス州東部スローンという街に住む17歳のニコル・ヤーバー失踪事件の殺人犯として起訴され死刑判決を受けた。

 根拠となったのは、同級生の目撃証言と本人の自白によっている。物的証拠は何もない。さらに根強く残る差別意識。ドンテは黒人、ニコルは白人でテキサス東部では今も白人と黒人の交際がタブーの一つとされている。
 白人の捜査官や検察官、判事それに白人の陪審員となれば、微妙な感情の揺れは無視できない。

 収監されたのち、「俺はヤッていない。自白は強要された」とドンテ・ドラムは言う。9年間のこの叫びも徒労に終わった。午後6時が過ぎて刑務所長の合図でThree Drug Cocktail(スリー・ドラッグ・カクテル)と呼ばれる薬剤の注入が始まる。

 初めに強めにした麻酔薬のチオペンタルナトリュームが静脈に注射される。全身麻酔の経験があれば、数を3まで数える間もなく意識がなくなるを知っている筈。二番目に呼吸を止める筋弛緩剤の臭化パンクロニウムを、三番目には心臓を止める塩化カリウムで再び日の目を見ることはない。6時21分死亡が宣告された。

 上記のボイエット請願というのは、カンザス州トピーカにあるセント・マークス教会に氷点下の気温の中、薄いジーンズとサマーシャツ、履きこんだ作業ブーツ、薄手のウィンドブレーカーという格好で牧師に面会を求めたのはトラヴィス・ボイエットという男。
 そして示唆したのは、ドンテ・ドラムが殺したとされるニコル・ヤーバーの真犯人はこの俺だという。

 話を聞いたキース・シュローダー牧師は死刑執行まで二日という状況に成り行き上、テキサス州スローンまで30万キロも走った四駆のスバルにトラヴィス・ボイエットを助手席に乗せて疾走する。
 未遂も含めて4件のレイプ事件を起こして刑務所生活を送った男を同乗させたのは、生涯で初めてで最後となるであろう。
 そしてドンテの弁護士ロビー・フラックの手によって提出されたのが「ボイエット請願」なのだ。

 ドンテ・ドラムが処刑されたあと、ニコルを埋めたという場所から、ニコルの白骨死体が見つかる。鑑定の結果ニコルに間違いないと断定された。さらに目撃証言も、噓だったことが分かる。無実の人間を殺したという司法の失態。

 この死刑をめぐって州知事、判事、検事、弁護士、白人、黒人の私利私欲や人種的対立の根深さといったアメリカの抱える負の遺産と死刑問題が提起されている物語といえる。

 アメリカの処刑方法は薬殺で日本は絞首刑となっているが、絞首刑を行っている国はウィキペディアによると、韓国、北朝鮮、マレーシア、エジプト、イラン、ヨルダン、イラク・パキスタン、バングラデシュ、シンガポール他となっている。いずれにしても絞首刑は、残酷といえる。

 さらに驚く統計がある。2020年の死刑執行数だ。断然、多いのは中国で3000人と言われる。次に多いのはイランで、推定246人となっている。これだけを見ても、いかに中国がトサツ場と化しているかが分かる。恐ろしい国だ。ちなみにアメリカ17人、日本0人。

コメント (2)
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