イギリスとフランスを結ぶ鉄道用海底トンネル「ドーバー海峡トンネル」の中間点で死体が発見される。そこは保守点検用の自動車道で国境を意味する中間点。フランスの捜査官たちによってスーツ姿のマリー・ビルヌーブ議員と確認される。
現場に遅れてやってきたイギリスの刑事二人を見ながら、フランスの捜査官三人「フランス語で」と示し合わせる。イギリスの刑事カール・ローバック主任警部(スティーヴン・ディレイン)は、「ボンジュール」という挨拶はできるが、あとが続かず「英語は……」。
こういう場面でいつも思うのは、英語圏の連中の横柄さなんだよなあ。英語を神の啓示のように使うんだから。そうはいっても世界で標準語化されているから仕方がないか。
フランス語で押しまくろうとしたが、それに答えたのがフランスのエリース・ワッサーマン警部(クレマンス・ボエシー)。「遺体はフランス人だから私たちが捜査する」それを聞いたローバック刑事は、上司の許可をもらうと捜査車両に引き返した。
そんな時、フランスの検視官二人が遺体を持ち上げようとしたら、胴体からすっぱりと切られた下半身が転がり出た。フランス・イギリス双方の捜査官たちは、遺体を眺めるだけで頭の中では「これは一体どういうこっちゃ」と混乱しているはずだ。
エリースが死体解剖室で足首にウェールズとイギリスの旗の入れ墨があることから、イギリス人と断定。イギリスのカローバック刑事に連絡。その結果、23歳の娼婦と判明。
上半身はフランス、下半身はイギリスというわけで合同捜査となり、フランスのエリース・ワッサーマン警部とイギリスのカール・ローバック主任警部のコンビが誕生する。捜査とともに私生活にも触れカールは二度目の結婚で黒人の妻と子供二人、前妻との長男の家庭を持っている。
エリースはどうかと言えば、かなりの変わり者で人づきあいが苦手、人を励ますことや簡単なお礼の言葉も少ない。組織には向かないが、捜査という点では抜きんでている。
変わり者のもう一つの点は、セックスだ。エリースに恋人がいないため性欲のはけ口として、ホテルのバーテンダーを選んだ。しかもセックスが終われば、即仕事モード。まるで食事と同じで、お腹が空けば食べるという行為と同等に扱う。
それでもカールの人生経験が、徐々にエリースに影響を与え始める。というわけで凄惨な事件と人間関係の微妙な心の動きが描かれ、観る者に余情を与えている。
このドラマは、2011年のデンマーク・スウェーデン合作の犯罪ドラマ『THE BRIDGE/ブリッジ』をリメイクしたイギリス−フランス合作の犯罪ドラマとウィキペディアにある。私はシーズン1を観終わったが、シーズン3まであるのでもう少し楽しめる。
カール・ローバック主任警部役の スティーヴン・ディレインは、 1957年3月27日 生まれイングランドの俳優。2012年より2015年までHBOのテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に出演した。
エリース・ワッサーマン警部役のクレマンス・ポエジーは、1982年11月30日 生まれ、フランスの女優。2005年、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』にフラー・デラクール役で出演し一躍有名になる。同年、『レジェンド・オブ・サンダー』のメアリー女王役でFIPA(国際テレビ映像祭)ミニシリーズ部門の女優賞受賞。
ちなみに世界での鉄道用トンネルの長さで見ると、スイスの「ゴッタルド基底トンネル57km
」で1位、2位「青函トンネル53.9km」3位「ドーバー海峡トンネル50.5km」となっている。なお、ドーバー海峡トンネルは、列車に載せれば車での移動ができる。