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乗客数人、副操縦士、客室乗務員1人の証言を元に制作「ハドソン川の奇跡」

2015-11-28 17:39:23 | 映画

 アマゾン・プライムで鑑賞。これもドキュメンタリー・タッチの映画。2009年1月15日午後3時30分。ニューヨーク発シャーロット経由シアトル行きUSエアウェイズ1549便は、離陸後ほぼ1分半を経過するころカナダガンの群れに遭遇。その鳥がエンジンに吸い込まれ両エンジンがバードストラク。再始動が出来なくなり離陸から3分28秒後、ハドソン川に不時着水に成功する。乗員・乗客155人の命は救われた。

 乗員は、機長チェズレイ・サイレンバーガー57歳、副操縦士 ジェフリー・B・スカイルズ49歳、客室乗務員シーラ・ディル57歳、ドナ・デント51歳、ドリーン・ウェルシュ58歳、乗客150人。

 当時のニューヨーク州知事が「ハドソン川の奇跡」だと言ったのが定着した。映画は、乗客、副操縦士、客室乗務員の証言を元に再現されていて視点は乗客にある。乗客の不安や恐怖や焦燥は伝わってくる。

 コックピットの場面はごくわずか。本来こういう映画では機長の判断が重要になるがその部分は事務的といってもいいかもしれない。どういう描き方をしてもいいが、観る人次第でなにかしっくり来ない。どうも機長の証言がないせいかもしれない。

 ウィキペディアで調べると、この機長チェズレイ・サイレンバーガーは英雄視を好まない傾向で、映画の話に乗らなかったというのが真実かもしれない。

 この映画以上に期待したいのは、今年の6月ワーナー・ブラザーズがサイレンバーガー機長の著書「機長、究極の決断」を、監督クリント・イーストウッドで映画化すると発表。楽しみではある。

 この機長の人となりが垣間見える語録をウィキペディアから引用しよう。
「訓練してきたことをやっただけ、自慢も感動もない」
「急いでやらなくてはならないことの一つは、妻に電話して今日は夕飯はいらないと断ることだ」
   
             
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切られたザイル、不可能な生還「運命を分けたザイル ’03」劇場公開2005年2月

2015-11-26 17:37:59 | 映画

 アンデス山脈に聳える標高6600メートルのシウラ・グランデ峰西壁に挑んだジョー・シンプソンとサイモン・イェーツの二人のパーティが生死を分けるほどの体験をする。

 この体験をジョー・シンプソンは本にした。それをベースに’99年の「ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞したケヴィン・マクドナルドがドキュメンタリー・タッチで描いたもの。

 ジョー・シンプソンとサイモン・イェーツ両人も出演していて、当時の状況を説明する。登攀・下山の場面などは俳優が演じる。従って生還したのが分かっていて見ることになるので緊迫度は減殺される。

 それでも映像は緊迫した場面を描出し、孤高の存在感をかもし出すシクラ・グランデ峰西壁の美しさは些細なことを圧倒する。6600メートルの頂上から切れ落ちる垂直の壁には鳥肌が立つ。私のような登った山は、せいぜい3000メートルが一番高いという人間には見るだけの存在だ。

 頂上に向かって伸びる氷の壁。アイスアックスを両手に鋭い爪のアイゼンで蹴り込みながらの登攀。難所がいくつもあり恐怖に襲われることもある。闘志は頂上へと誘う。

 「事故は80%下山途中に起こる」エリックが呟く。その予見は的中する。「北稜が複雑でなければ歩くような調子で楽に下れると思った。だが、実際は難路だった。ゾッとした。西壁は垂直で雪庇(せっぴ)が張り出し、東壁は900メートル下まで急峻な雪ひだが続く。ショックだった。あまりにも危険で太刀打ちできないように見えた」とサイモン。

 雪庇を踏み抜いて落下。ジョーは右足の骨折という致命的なアクシデントに見舞われる。こういう場合、下山は難しい。一人が支点を確保して交互に降りるが、骨折状態では無理だ。

 サイモンが選んだのは、45メートルのザイルを二本結び90メートルにして片方をジョー、片方をサイモンに結べば90メートル下ろせる道理だ。支点が取れないので確保用のバケツを掘って体を支える。

 体感温度氷点下60度吹雪の中の下山。そんな中、ジョーは滑落して宙吊りの状態になる。25メートル下にはクレパスが口をあけていた。絶体絶命の危機。

 1時間半もジョーの反応を待ったサイモンは決断した。スイスアーミー・ナイフを取り出しザイルを切断した。映画のハイライトは、むしろここからだろう。

 巨大クレバスに落下しなかったジョーではあるが、上に登るという選択肢はない。下るとなればクレバスしかない。下りれば出口があるかもしれない。その目算は当たった。

 骨折した右足を引きずりながら這って行くのは地獄の苦しみだった。挑戦者や生き抜く人たちと言えども恐怖や諦めようという思いで自分を見失いそうになる。それを克服する手段はあるのか。恐怖は用心深さにとって代わり、諦めの思いは20メートル動こうと変化する。

 不可能の生還は、幸運をもたらす。もう誰もいないと思っていたベースキャンプにサイモンがいた。現地でのロケらしい。山の映像が素晴らしい。なお、シウラ・グランデ峰は、この二人の登頂後、だれも成功していない。
山の映像はこちらでどうぞ!
            
監督
ケヴィン・マクドナルド1967年10月スコットランド、グラスゴー生まれ。

キャスト
ジョー・シンプソン1960年9月マラヤ生まれ。
サイモン・イェーツ1963年イギリス生まれ。
ジョー役ブレンダン・マッキー北アイルランド生まれ。
サイモン役ニコラス・アーロン出自不詳
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アルカイーダの指導者オサマ・ビンラディン抹殺作戦「ネイビーシールズ:チーム6’12」

2015-11-24 17:20:44 | 映画

               
 拘束せよでなく殺せ! が作戦遂行の目的だった。アメリカの怨念はすさまじい。2001年9月11日の同時多発テロで、ニューヨークのツインタワーを旅客機によるカミカゼ攻撃で崩壊。多くの人が死んだ。全世界に流されたその映像は、人々の目に焼き付いているだろう。

 その首謀者がオサマ・ビンラディン。隠れ家の発見と抹殺作戦。この作戦を題材にした映画では、「ゼロ・ダーク・サーティ」がある。この映画は、ジェシカ・チャンスティン演じるCIA分析官の視点に立ったもので、’09年に「ハード・ロッカー」でアカデミー作品賞を受賞したキャスリン・ビグローが監督した。

 一方この「ネイビーシールズ:チーム6」は、作戦を遂行する特殊部隊に視点を置いている。そしてこの作戦の模様をホワイトハウスやCIAなどが映像を追っている。つくづく思うのは、戦争も変わったなあということだ。まるでテレビのライブ中継さながらだ。

 しかも、オサマ・ビンラディンが射殺されたとき複雑な空気が流れる。笑顔の人もいれば、抱き合って喜ぶ人もいる。一方、複雑な表情の人もいる。悪いヤツに違いないが人を殺すということの重大さも噛み締めているようだ。オサマ・ビンラディンを執拗に追っていた人々にとっては、ささやかな祝杯をあげたくなる気持ちも理解できる。

 そして再びフランスのパリで起こった同時多発テロ。国際社会はいわゆる「イスラム国」殺戮に向かう。「生かしちゃあおけねえ!」映画は、ドキュメンタリータッチで緊張もはらみながら淡々と進む。劇場公開2014年1月
          
          
監督
ジョン・ストックウェル1961年3月テキサス生まれ。

キャスト
カム・ジガンディ1982年8月ワシントン州生まれ。
アンソン・マウント1973年2月テネシー州生まれ。
フレディ・ロドリゲス1975年1月イリノイ州シカゴ生まれ。
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プレイボーイが真剣な恋をする。そのプレイボーイはリチャード・ギア「オータム・イン・ニューヨーク」

2015-11-22 20:31:09 | 映画

                 
 2000年9月公開のラブ・ストーリー。アマゾンのプライム・ビデオの中の一本。リチャード・ギア当時の年齢51歳。ウィノナ・ライダー29歳。

 劇中のウィル(リチャード・ギア)は、48歳。シャーロット(ウィノナ・ライダー)22歳という設定。映画は、秋のセントラルパークでの別れの場面から始まる。ウィルは、別れ話を持ち出しながら池に浮かぶボートの美女に視線を流す。女の敵みたいな男。

 ウィルはレストランのオーナー。自分の店で見かけたボートの美女シャーロット(ウィノナ・ライダー)に巧妙な誘いをかけ引き寄せる。朝食の席でウィルは言う。「本当のことを言うと、この関係は長く続けないほうがいい。年齢も離れているし……」
ジャーロットが言う「私も本当のことを言うわ。心臓が弱くて長生きできないの」ウィルはショックを受ける。

 女性からの結婚の話を避けたい思惑が図らずも真剣に相手を思いやる気持ちになっていく。シャーロットの病気は、医師の話では「神経芽細胞腫」といわれ子供に多く発症する。危険な腫瘍という。

 この映画、レビューでは評判が良くない。シャーロットは手術もむなしく亡くなり悲劇かと思っていると、セントラルパークの池で乳飲み子にミルクを飲ませているウィルとリサ(ヴェラ・ファーミガ)。

 抱いている子供は、ウィルの子。このサイド・ストーリーも無理やり押し込んだ感じで、この中国人の女性監督は、一人が去り一人が生まれるという輪廻を示したかったのかもしれないが欲張りすぎな気がする。
            
        
 そうは言っても、私は美人女優が出ていれば文句はない。ウィノナ・ライダーがキレイだった。それにオープニングの音楽。ダイアナ・クラールが歌う「Let's fall in love」がニューヨークにぴったりだったのに中身の料理がまずかった。
ということで「Let's fall in love」をダイアナ・クラールでどうぞ!
           
監督
ジョアン・チェン1961年4月中国・上海生まれ。

キャスト
リチャード・ギア1949年8月フィラデルフィア生まれ。
ウィノナ・ライダー1971年10月ミネソタ州ウィノナ生まれ。
ヴェラ・ファーミガ1973年8月ニュージャージー州バサイク生まれ。
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日本人の表現力は、諸外国に比べて劣るのだろうか。

2015-11-18 17:25:20 | 社会


 先ほどのフランス・パリでの同時多発テロで、一人の男性が窓枠にぶら下がっていた妊婦を助け上げたと称賛されている。 とネットの記事にあった。

 その妊婦の知人男性は「狂気のさなかの小さな厚意が、素晴らしいことを成し遂げた」と話しているという。わが日本人でこういう「狂気のさなかの小さな厚意」なんて表現を聞いたことがない。政治家や官僚、大学教授、芸能人から一般市民まで。

 どうも日本人の表現が単調な気がしてならない。日本人にはスマートなユーモア感覚が欠如しているのかもしれない。早い話がお正月に帰省する人も多いが、テレビのインタビューで紋切り型の「楽しかった」が大半。特に欧米と比較すると顕著な傾向と言える。

 これを日本人の特性と片づけてしまっては、これからの将来に禍根を残すことになる。これから英語もますます必要度が増すが、この表現力を磨かないと白眼視されるのは必定。外国の可愛い女の子を、恋人にできない日本の若者にはなってもらいたくない。

 さてその表現とは「[名](スル)心理的、感情的、精神的などの内面的なものを、外面的、感性的形象として客観化すること。また、その客観的形象としての、表情・身振り・言語・記号・造形物など」と辞書にある。

さらにこの記事はこちらにリンクしてありますのでどうぞ!
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新聞記事から「カクテル・マティーニについて」

2015-11-13 21:52:55 | お酒

               
 先日の読売新聞夕刊に作家の藤原智美さんのコラムが載った。冒頭を引用すると「バブル期、ホテルのバーである女性とデートした。私は初めてマティーニを注文。アルコールの強さに舌がしびれたが何とか飲み干し、グラスに残るオリーブを口にした。小さな種を口からグラスにもどしたとき、彼女はあきらかに不快な表情をした。
 そして唐突に上司の話をし始めた。その男はおしゃれで酒も強い。マティーニが出てくると、スティックに刺さったオリーブをグラスから取り出し、カウンターの上に置く。それから初めて口をつける。同じように3杯、4杯と飲み干すと、手元にオリーブのスティックが扇状に並ぶ。男はそれを残したまま席を立つ。「それがかっこいいのよ」と彼女。私はキザで下品な男に思え、彼のことをうっとりと語る彼女が、たちまち嫌いになった」

 彼女の言葉は、藤原さんの行為をやんわりと批判しているようで嫌いになった気持ちもわかるし、その男に嫉妬しているようでもある。

 まあ、ちょっと洒落心のある男なら、女性を口説く場所は心得ているだろう。ホテルのバーなんかは、最高にいい場所に思える。そこでビールを注文して無粋にならないような配慮も必要。ミステリ好きな彼女ならギムレットもいいかも。

 さて、私はそのマティーニをバーやホテルで飲んだことがない。自宅で作って飲んだだけ。なんとも無粋でお話にならない。マティーニの作り方は、サントリーのホームページがいいかも。その口上に「マティーニほど数々の逸話に彩られたカクテルはほかにない。カクテル中のカクテルとして「カクテルの帝王」といわれる。映画「7年目の浮気」ではマリリン・モンローが、007ではジェームス・ボンドが好んだ」とあり、最近ではフランス映画「間奏曲はパリで」のレストラン・シーンでもマティーニが登場した。年齢的には中年の男女というのが定番のようだ。

 ビーフィーター・ジン48ml、チンザノエクストラ・ドライ12mlを混ぜてカクテル・グラスに注ぎ、デコレーションのオリーブをグラスのふちに刺すか、カクテルピンにオリーブを刺してグラスにさし渡して完成。これでアルコール度25度以上になる。

 カクテルピンのオリーブは、食べるか食べないかはお好みでと言いたいが、あれの食べ方を考えると躊躇する。藤原さんの文でも、口から直接グラスに戻したのを見た彼女が皮肉を言ったのだろう。確かに後始末を考えないと汚さが残る気がする。デコレーションということなら、食べないほうが無難かも。

 ちなみにギムレットは、レイモンド・チャンドラーの小説「長いお別れ」で「ギムレットには早すぎる」という名セリフで一躍有名になったという逸話がある。マティーニは辛口であるが、ビーフィーター・ジンとライムのギムレットは、中甘辛口ということで飲みすぎには注意が必要。泥酔して彼女と文字通り長いお別れなんて洒落にもならない。
                
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ホームレスを演じるリチャード・ギア「ロスト・イン・マンハッタン~人生をもう一度」劇場未公開

2015-11-10 16:25:11 | 映画

               
 はじめはこのDVDを観る気がしなかった。なにせホームレスの映画だし、物語の展開も想像がつくし、しかも121分と長い。ただサブタイトルの「人生をもう一度」となるとホームレスからの成功物語かもしれないと思い込んで鑑賞と相成った。残念ながら成功物語ではなかったが、中身は示唆に富んでいた。

 運転免許証も社会保障番号カードも水道や電気の領収書もないホームレスは、公的機関の援助が受けられない。その辺をつぶさに描き、捨てる神あれば拾う神ありと諦める必要はないという。

 その張本人は、ジョージ・ハモンド(リチャード・ギア)。白くなった短髪とよれよれのコートにマフラー、だぶだぶのズボン。典型的なホームレス・スタイル。

 過去は多くを語らないが、荒れた生活だった。離婚した後、元妻はガンで死去。12歳の娘マギー(ジェナ・マローン)を元妻の両親が養育してくれた。元の職業などは分からない。

 自嘲気味に我々は無だとほざく。金さえあれば、アルコールを呷る。寒い日には病院の待合室に籠るが、気温1度だと追い出される。そしてシェルターで一夜のベッドを確保して無料の食事で生きつなぐ。

 同じマンハッタンの街角にあるバーで、娘マギーが働いているのを知っている。ある夜、店の前で見知らぬ男に古びた写真をマギーに渡すよう頼んだ。別の日、コインランドリーでマギーと再会。マギーは冷たい。お金を手渡して「もう、こないで!」

 映画を観ていて、エンディングはどうするんだろうと考え始めた。そしてエンディングは、ハイライトとなった。リチャード・ギアとジェナ・マローンの二人の演技の見どころだった。リチャード・ギアは当然として、ジェナ・マローンも卓越した演技だった。

 まだ明るい時間にやってきた父ジョージ。ビールを注文する。娘マギーは迷惑そうだ。言葉もぞんざい。マギーは険を含んだ声で「何かほかにあるんでしょ?」
ジョージは取り出した一通の書類を手渡す。マギーは声に出して読む。
「関係者各位 私はハモンド氏の代理人である。ハモンド氏はホームレス施設に住み、収入が見込めない、よって食事券と生活保護の受給に加え、受給者証の交付を希望する]
「出生証明書のコピーが要るんだ。どうしてもだ。だから……お前に会いに来た」とジョージ。
マギー「分かったわ。飲んで、これは私がおごる」
「もう1杯」とジョージ。マギーの逆鱗に触れる。「ダメよ。もう行って」
「どうして?」
「だって」
「何だ?」
「お店のルールだから」
「私にだって権利はあるだろう」
しばし沈黙。マギーは「それで私は何をすればいい? 教えて。今まで精いっぱいやってきた。だって普通の家庭なら両親が子供の面倒を見てる。それが当然だわ。でしょ? どこに住んでいるって? あきれた、どうして?」
ジョージのアップ「平気だ。心配するな。お代は払わせてくれ」
「要らない。今すぐ出て行って。行って」マギーは従業員専用のドアに消えた。(この部分は音だけ)
そして涙を流すジョージ。誰もいないカウンターに一言「すまない」と言って外に出る。あてもなく歩道を遠ざかる。

 しばらくして娘マギーが飛び出してきてジョージを追う。マギーに一体何が起こったんだろう。恐らく、父親を否定して見捨てたとすれば、父が自分を見捨てたのと同じことになる。マギーが軽蔑し憐れんでいる父親と同じではないか。過去は取り返しがつかない。むしろ見つめるべきは、これからの未来だ。過去を清算する時が来た。 とマギーは考えたと思う。

 マギー役のジェナ・マローンがなかなか顔立ちがよく好感の持てる女優だと思う。で調べてみると子役時代から演技に定評があったようで今や期待の女優らしい。

 リチャード・ギアがこんな地味な映画に出るとはと思ったが、ダライ・ラマの信奉者で人道主義者だった。それなら納得がいく。
          
     
          
          
          
          

監督
オーレン・ムーヴァーマン出自不詳。作風としては、ドキュメンタリー・タッチを特色としているようだ。

キャスト
リチャード・ギア1949年8月ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。
ベン・ベリーン1946年10月フロリダ州生まれ。
ジェナ・マローン1984年11月ネヴァダ州スパークス生まれ。
キーラ・セジウィック1965年ニューヨーク市生まれ。
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朝目覚めたら、横に見知らぬ男「リピーテッド ’14」劇場公開2015年5月

2015-11-08 20:44:53 | 映画

               
 昨日のことは翌日には思い出せない記憶喪失のクリスティーン(ニコール・キッドマン)が目覚めると隣に横たわる男がいる。夫のベン(コリン・ファース)だと言う。毎朝、同じ質問に対し昨日と同じ回答。

 「君は事故にあったんだ」とベン。ナッシュ医師(マーク・ストロング)が言う「10年前、君は工業団地で倒れていたのが見つかった。頭を強打されていた」夫の説明とは全く違う。疑念が急速に広がっていく。

 犯人を見ているのは、クリスティーンだけ、ただ思い出せないだけ。自分が何者で、置かれた状況が定かでない不安は戦慄を覚えるが、よくある題材で目新しさはない。

 俳優のイメージというのはかたくなで、人相から見て医師のナッシュ役のマーク・ストロングが怪しいと思ったりする。コリン・ファースは、善良な男のイメージが強くとても犯人と思いきれない。ナッシュでなければ、別に犯人が存在すると固く信じて観ていたが……

 それにしてもアカデミー主演女優賞や男優賞受賞の俳優でも、こんなB級作品にも出るんだ。出演料も弾まれたんだろうなあ。ニコール・キッドマン48歳。コリン・ファース55歳。そろそろ峠にさしかかってきたかな。
         
         
         
         
         

監督
ローワン・ジョフィ1972年生まれ。その他の出自不詳。

キャスト
ニコール・キッドマン1967年6月ハワイ生まれ。
コリン・ファース1960年9月イギリス、ハンプシャー生まれ。
マーク・ストロング1963年8月ロンドン生まれ。
アンヌ=マリー・ダフ1970年10月ロンドン生まれ。
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久しぶりに感動の涙があふれた映画「オーケストラ '09」劇場公開2010年4月

2015-11-06 20:55:32 | 映画

               
 2010年4月の公開でちょっと古いかもしれないが、アマゾンプライムでラインアップされていたのを鑑賞。父と娘の生涯の出会いをテーマに、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が彩を添える。

 アンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコフ)は、ボリショイ劇場の清掃員をしている。ときどき、舞台の楽団員の練習にあたかも指揮者のように腕を振って陶然とする。この日もモーツアルトのピアノ協奏曲第21番第二楽章アンダンテを気持ちよく夢の世界をさまよっていた。フィリポフは、かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者として知られていた。

 突然、携帯電話が鳴った。妻からだった。電話をするなといっても後の祭り。仕事をしないで何たることかと支配人に怒られる。支配人の机の下で拭き掃除をしているとファックスが動き出した。ファックスはパリの劇場からで、キャンセルした楽団の代わりを至急送ってほしいというものだった。それを見るなり頭の中で、30年前にユダヤ人排斥政策に従わなくて解散に追い込まれた団員を集めて、パリに乗り込もうと思い立った。

 そして細部を詰めていきヴァイオリンのソリストとしてアンヌ=マリー・ジャケ(メラニー・ロラン)を指名した。これには訳があってアンヌ=マリーは知らないが、フィリポフの実の娘だ。
 アンヌ=マリーと食事をしながら語るフィリポフ。「コンサートはいわば告白なんだ。一つの叫び。音符の一つ一つに命がある。音符それぞれがハーモニーを探している。幸せを探している」

 それに対しアンヌ=マリーも「ひとつ告白してもいい? 私は素敵な女性に育てられたの。ギレーヌ(ミュウ=ミュウ)よ。リハーサルに来ていた。母代わりでマネジャーで友達でもあるんです。私、親を知らないの。ごめんなさい」

 この綾がチャイコフスキー、ヴァイオリン協奏曲の中でアンヌ=マリーのヴァイオリンが亡き母と同じテクニックで旋律を奏でる。団員たちは即座に見破る。やっとフィリポフは娘と会えた。そして笑みが浮かぶ。
         
         
         
         
         
              

 指揮をするフィリポフをじっと見つめるアンヌ=マリー。演奏が終わって観客のブラボーの声が響き渡る。父、娘の抱擁に涙する私だった。音楽というのは絶大な効果を発揮する。

 映画製作者は、観客の琴線に触れようとこの協奏曲もいいとこどりしている。それは致し方のないことだろう。効果的に音楽を使う方法だから。メラニー・ロランにも魅了された。それでは映画のクライマックス・シーン、チャイコフスキー、ヴァイオリン協奏曲をどうぞ!
          
監督
ラデュ・ミヘイレアニュ1958年4月ルーマニア、ブカレスト生まれ。

キャスト
アレクセイ・グシュコフ1958年5月ポーランド生まれ。
メラニー・ロラン1983年2月パリ生まれ。
ミュウ=ミュウ1950年2月パリ生まれ。
ドミトリ・ナゼロフ1957年7月モスクワ生まれ。
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スポーツ映画のような音楽映画「セッションWHIPLASH ’14」劇場公開2015年4月

2015-11-04 20:33:52 | 映画

               
 音楽映画でこんなにスリルとサスペンスがあるとは思わなかった。107分が瞬く間に過ぎてしまった。それにしてもこの若手監督、目が離せない存在になった。1985年生まれだから、まだ30歳。2013年に「グランドピアノ狙われた黒鍵」というユニークな視点の脚本を書き、この「セッション」を脚本・監督を務めた才人と言ってもいいのではないか。べた惚れしてしまった。

 シェイファー音楽院の秋学期、1年生でドラム専攻のニーマン(マイルズ・テラー)は、フレッチャー指導教官(J・K・シモンズ)の嫌がらせとも思えるしごきを受ける。ドラマー3人を競わせニーマンは落とされる。頭に来たニーマンは、「殺してやる!」と言って掴みかかる。

 指から血がしたたり落ちるほど練習したドラム・セットも納戸に放り込んだ。ドラムからの決別だった。しかもかつての教え子が交通事故で亡くなったと涙ながらの教室での話が嘘だと判明する。

 そんなある日、街角のジャズ・カフェでかつての指導教官テレンス・フレッチャーが特別出演してピアノを弾いていた。何気なく足を踏み入れたが、フレッチャーに目ざとく見つけられて、密告があって学院を追われたという。
 別れ際に、いまさらこんなことは言えないがと言ってJVCのジャズコンサートでプロのバンドを編成してカーネギーホールで演奏する。曲目は「キャラバン」と「ウィップラッシュ」だ。これに慣れたドラマーが見当たらないから、よかったら出てくれ。

 この2曲はニーマンが必死で練習した曲だった。納戸からドラムセットが引っ張り出された。カーネーギーホールでドラムセットの前に座っているとフレッチャーが近づいて「私をナメるなよ。密告者はお前だな?」あっけにとられるニーマン。

 フレッチャーはマイクに近づいて新曲の「アップスウィンギン」を演奏すると言う。ニーマンは楽譜を探したがない。「殺してやる!」という言葉を忘れていないフレッチャーが、ニーマンの人生を破壊しようとしているとしか思われない。

 演奏が始まったら案の定メンバーから罵声を浴び、とどめは「お前は無能だ」のフレッチャーの言葉。どこまでも意地悪で陰湿なフレッチャー。

 一旦は舞台を降りたニーマンだが、思い直して再びドラムセットの前に座る。ここからは痛快な二人の男のバトルが展開される。フレッチャーがマイクで言い終わらないうちにニーマンは得意の「キャラバン」を叩きだす


 まるで怨念が乗り移ったようなスティックさばき。不満顔のフレッチャーも次第に乗ってくる。この場面は圧巻だ。やがて静かに曲が終わる。二人の顔に笑みが浮かぶ。

 この笑みは和解の笑みではない。フレッチャーにしてみれば、今日はやられたが、いずれみていろの思いだろう。ニーマンは、この欺瞞に満ちたくそ親父と心を通わせるつもりは毛頭ない。ドラムを叩けと言われれば叩いてやるが、過去は許しはしない。と私は受け取った。甘い感傷的なエンディングでないのがいい。二人の男の極端な対比が映画を面白くしている。
           
           
           
           

その圧巻の場面の「キャラバン」をどうぞ!
    
  
監督
デイミアン・チャゼル1985年1月ロードアイランド生まれ。

キャスト
マイルズ・テラー1987年2月ペンシルベニア州生まれ。
J・K・シモンズ1955年1月ミシガン州デトロイト生まれ。
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