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読書 ビル・プロンジーニ「幻影」

2008-04-20 10:51:00 | 読書

               
 名無しの探偵シリーズ二十四作目。正直言って退屈した作品だった。元私立探偵のパートナーだったエバハートが胸に銃弾を撃ち込んで自殺する。名無しの探偵わたしは、自殺の原因が気になり調べ始める。
 一方アイラ・アースキンというコンサルタント会社経営の男から失踪した妻を捜す依頼を受ける。このアースキンも、モーテルで死んでいるのが発見され、警察は拳銃自殺と考えている。
 名無しの探偵わたしが調べていくと、この二人の男はいずれもDV(ドメスティックバイオレンス)の加害者で、妻に対する暴力を振るうという残忍性を持っていた。そして二つの事件とも元妻が引き金を引いていた。
 ここで名無しの探偵わたしは悩む。元妻たちの置かれていた状況を理解すると法に忠実に従い司法にゆだねるか、あるいは良心に従うか。名無しの探偵わたしは、己の良心に従って胸の内に収めることにした。
 著者は、1943年カリフォルニア州生まれ。さまざまな職業を経ながら作家を目指し、名無しの探偵シリーズのほか多数の著作がある。
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映画 マット・デイモン「ボーン・アルティメイタム(‘07)」

2008-04-14 13:54:32 | 映画

               
 この映画はひどく疲れる映画だった。ロシア・モスクワの路上を駆け抜けるシーンから始まり、ニューヨーク・イースト・リヴァーに飛び込むまで、画面を見るのに目が回るほどの忙しさ。                                                 
 ストーリーはきっちりと組み立ててあって、デヴィッド・ストラザ-ン(グッドナイト&グッドラック)、スコット・グレン(羊たちの沈黙)、アルバート・フィニー(エリン・ブロコビッチ)、ジョーン・アレン(ニクソン)たち脇役の存在感のある演技のおかげで、アクションとサスペンスの融合が見られた。
               
 映画サイト「allcinema」の書き込みには投書者全員が褒め称えているのには驚いた。賛否両論が並存するのが通常なのに。私は疲れて脱力感が残ったが、これは歳のせいなのだろう。甘いラヴストーリーを観るのが無難かもしれない。
 マット・デイモンの相手役女優ジュリア・スタイルズは、3部作に全部出演しているが本作で一番出番が多い。顔の一つ一つの造作、目がきれいで印象的でもないし鼻筋がすっきりと通っているわけでもない、また唇がセクシーでもないのにどこか魅力的に見える。不思議な女性だと私は感じた。
               

 監督ポール・グリーングラス1955年8月イングランド生まれ。‘02実在の事件を徹底したドキュメンタリータッチ手法で撮り上げた「ブラディ・サンデー」が高い評価を受け、ベルリン国際映画祭で見事金熊賞を受賞、一躍注目の映画監督となる。’04には「ボーン・スプレマシー」の監督に抜擢されヒットを放つ。
               
 キャスト マット・デイモン1970年10月マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。‘97「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー脚本賞を受賞。同作で俳優としても主演男優賞にノミネートされる。ボーン・シリーズで骨太のアクションを披露。
               
 ジュリア・スタイルズ1981年3月ニューヨーク生まれ。コロンビア大学卒。ボーン・シリーズ全作に出演。
               
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読書 ポール・リンゼイ「応酬」

2008-04-10 10:47:06 | 読書

               
 交通事故による深い傷を顔に持っていた。水平に走る二本の長くて薄い傷跡に向かって皮膚が陥没している。一本の傷は髪の生えぎわぞい、もう一本は目のすぐ下にあリ、そこが溶けた蝋で出来たような印象を与える。
 ヴァンコーは人々の目に好奇と恐れを同時に浮かぶのを何度となく見てきた。その顔をまともに見て何の感情も表さないシーラ捜査官や一癖あるほかの捜査官たちで構成されるFBI組織犯罪捜査班。
 その捜査班や敵対するマフィアのファミリーのサイドストーリーが重なりながら収斂していく。マフィアをこんなに面白味を出して描いてあるのも珍しい。
 何しろキャンプをするんだから。しかもボーイスカウトたちとも仲良くなる。それというのも古い地図を頼りに巨万と富を探そうというわけだった。最後の予想外のオチににやりとする。
 著者は、シカゴ生まれ。現役FBI捜査官のときに発表した『目撃』でデビュー。NYタイムズ・ブックレビュー紙上でパトリシア・コーンウェルが「妻を愛し、自己の信念に忠実に生きる特別捜査官デヴリンは、さわやかなヒーローだ」と絶賛。デヴリン捜査官シリーズの続編として『宿敵』『殺戮』を上梓。他の著書にやはりFBI捜査官が主人公の『覇者』『鉄槌』がある。
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読書 ブラッド・メルツァー「運命の書」

2008-04-05 14:22:05 | 読書

               
 七月四日の独立記念日、フロリダ州デイトナで行われるNASCAR(全米自動車競走協会)の伝統のレース、ペプシ400のスタートの旗を振るマニング大統領の補佐官として随行していたウェス・ホロウェイは、生涯にわたる心と顔に傷を負う。
 大統領の側近で友人のロン・ボイルが暗殺者の狙撃の流れ弾に当たる。この原因がロンを無理に大統領専用車に乗せたためだとウェスは心に悔恨を抱える。
 それに加え流れ弾は、ウェスにも顔の神経をずたずたにして笑顔すら浮かべることが出来ない奇怪な跡を残す。ところが8年後のマレーシアで、死んだはずのロン・ボイルを見る。顔は整形のため違っているが、目は確かにボイルだと確信する。
 急に浮かんだ謎を解明するウェス。謎に包まれたザ・スリーは、CIA、FBIそれにシークレット・サービスの構成員からなっていた。現代は如何に最新で確実性の高い情報を得るかが重要な課題となっている。
 ここにある情報があるとする、CIA,FBI,シークレット・サービスがそれぞれ調査をして確実性を確認すれば正に情報は高価なものになる。ザ・スリーはまさしくでっち上げた情報を売り込み、国家から金を掠め取る陰謀を持っていた。
 おまけにフォー、四番目の人物として驚愕の大統領夫人が明らかになる。筋書きはエンタテイメント性が高く興味は尽きないが、出来栄えはそれほどでもない。散漫という印象が強い。著者の作品「最高裁調査官」「好敵手」「大統領法律顧問」といずれも読み手に満足感を与えたので期待したが。
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