国連平和維持活動の裏に世にも汚い人身売買に手を染めていたとは信じられない。これはその告発の映画だ。
ネブラスカ州リンカーンで警官の職ついているキャシー(レイチェル・ワイズ)は、離婚して夫のもとに一人娘を残していて、娘の近くの警察署への転勤を希望していた。しかし、州の裁定はノーだった。
上司に苦情を言っていたとき10万ドルの報酬の話があるといわれる。それが国連平和部隊への転進だった。
この国連部隊は、イギリスに本拠がある民間の軍事会社が組織したものだった。キャシーは、ボスニアへと旅立つ。お馴染みのブルーのベレー帽と白色塗装のジープに黒くUNとペイントされているのは善意の部隊のはずだった。
ところがボスニア・ヘルツェゴビナ・サラエボでは犯罪者集団といってもいい状態だった。
キャシーが調査のファイルを密かにイギリスに持ち出しBBCにすべてを公開した。映画は少し暗い印象で進んでいく。銃撃やカーチェイス、爆発などのアクションは一切ないが、観る者を捕らえて離さない。事件が公になった後も関係した人間のうち一人も訴追されなかった。それは、国連の訴追免除の規定のためなのだろう。
国連の現地高等弁務官(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)の国連部隊員の免責ではないという主張も届かなかった。これが劇場公開に至らなかったのは何故なのか。訴えるものがあると思うが。
監督
ラリーサ・コンドラキ トロント生まれの女性監督。
キャスト
レイチェル・ワイズ1971年3月ロンドン生まれ。
デビッド・ストラザーン1949年1月サンフランシスコ生まれ。
ヴァネッサ・レッドグレーヴ1937年1月ロンドン生まれ。