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サンドラ・ブロック、ヒュー・グラント「トゥー・ウィークス・ノーティス(‘02)」

2007-08-28 09:46:09 | 映画

              
 邦題は、原題TWO WEEKS NOTICEをそのまま持ってきたもので、二週間後に辞表を出すという意味らしい。あまりいいとは思わない。
 ラブ・コメディになくてはならない男優ヒュー・グラントが、相変わらずのプレイ・ボーイ振りを発揮する。環境保護活動家で弁護士のルーシー(サンドラ・ブロック)は、公民館保存を訴えるため、ウェイド社を経営し大金持ちのジョージ・ウェイド(ヒュー・グラント)に直訴する。
              
 ところが逆に会社の弁護士に雇われてしまう。いい加減で女たらしのジョージに愛想を尽かしTWO WEEKS NOTICEを突きつける。ここからが、正反対が惹かれ合うという原則が的中する。ハッピーエンド!

 それにしても女性はつくづく得だなあ! と思う。「ニューヨーク子供連盟」のパーティの席上には、ドレスアップした男女の群れで込み合っていた。
 ルーシーは、髪をアップにしてドレスを着こなす姿はジョージでなくても見とれるほどだった。この髪は、日本女性的な髪形と解説版でサンドラが言っていた。恐らくデザイナーが銀座のクラブなんかで見かけたのだろう。
       
 男はといえば、ダーク・スーツにネクタイしかない。男は女性の引き立て役ということなのだろう。
              
 この映画には、不動産王といわれるドナルド・トランプ本人が出演(ほんのチョット)やトランプの豪邸でロケも行なわれている。また、大リーグのメッツの試合場面で、背番号だけを見せた新庄や捕手のマイク・ピアツァが出てくる。これはご愛嬌。

 ラブ・ストーリーには、口説き文句が必要だが、この映画では、喧嘩別れしたあとで、スピーチ原稿の推敲を頼むという設定で次のようになる。

 “ある人に公民館を守ると約束したのです。僕をよく知る人は言うでしょう。いい加減な僕がなぜ今度だけと。
 理由は、この建物が歴史的建造物であり、人々が水泳や蘇生術を学ぶ場だからです。でも最大の理由は、超頑固者のその女性です。妥協をよしとせず、オシャレもしない。しかし、彼女は彼女の愛する公民館そのもの。
 外壁はデコボコでもよく見ると実に美しい。何者にも代え難いひどい言葉で追いやったのに、彼女の声が消えない。無視できないのです。無視したくない、
 公民館は保存します。彼女との約束です。地域との約束でもある”

 そして言う「ジューンとは寝てないよ。原稿にはないが加えたい重要な点だ」活字にすると気分が出ないが、映画では場面に合った音楽と俳優の表情によって、観るものをロマンティックな気分にさせる。こういう口説き文句は脚本家の腕の見せ所だろう。

 監督 マーク・ローレンス1959年10月ニューヨーク州ブルックリン生れ。もともと脚本家、この作品が初監督。
 製作 サンドラ・ブロック
 キャスト サンドラ・ブロック1964年7月ヴァージニア州生れ。母ベルが・グロック葉有名なオペラ歌手だそうだ。‘94「スピード」のヒットで人気女優に。
 ヒュー・グラント1960年9月ロンドン生れ。オクスフォード卒のラブコメディになくてはならない男優、肉体を誇示するわけでなく、普通の男を魅力的に演じる。
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読書 岡田 薫「捜査指揮=判断と決断=」

2007-08-23 10:36:53 | 読書

              
 著者あとがきに“文字にすると差しさわりのある部分もあるので、もともとは後輩の警察官の参考にと考えていたが、裁判員制度も始まるに当たって、捜査官だけでなく普通の人にもテレビや小説、報道で紹介されるものとは、一味違った「本物の捜査」の一端を感じて欲しいと思うに至った次第である”と書かれてあるように、読んでいて警察官が参考にするには格好の本である。
 それに警察小説を書こうとすれば参考にもなるだろう。ただ、あまり捜査の具体的な記述は、悪用の危険があるため避けられている。
 例えば、科学捜査の具体的記述はない。調書の書き方すら具体的でない。それに、マニュアル本と割り切れば納得できるが、一般の人にも対象を広げるのであれば、もう少し記述に工夫があってもよかったのではないか。
 つまり、読み物としての面白さを加味するということだ。こういう堅い本なればこそ、すこし遊びがあってもいいと思う。

 とはいうものの“事件現場に行ったときに、署の刑事、地域警察官、本部からは主管課だけでなく、現場鑑識、機動捜査隊が来ている。自分の所属のことならともかく、臨場警察官がそれぞれ、具体的に何をどうやったかを掌握しなくてはならない”というのが捜査指揮官の立場のようだ。
 これらは企業のトップや部、課にいたる責任者にも共通の問題だろう。この本は、警察官ばかりでなく、一般企業にも参考になる点が評価されてよい。
 ふと思ったが、わたしはアメリカン・ミステリをよく読むが、ある事件をまとめる立場の捜査指揮官を主人公にした本を読んだ記憶がない。ほとんど刑事や検事個人が多かったように思う。小説にするには地味な存在なのか。

 著者は、昭和23年(1948年)生れ。昭和47年(1972年)警察庁入庁。千葉・兵庫県警察本部刑事部長、警察庁鑑識課長、科学警察研究所総務部長、警察庁刑事企画課長、警察大学校特別捜査幹部研修所長、警察庁暴力団対策部長、警察庁刑事局長など、刑事警察の要職を歴任。そのほか、警視庁神田警察署長、山口県警察本部長、兵庫県警察本部長、警視庁副総監などで指揮を執った。
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スポーツ:大リーグ MLBがすべていいとは限らない

2007-08-19 13:03:20 | スポーツ

 長年の大リーグファンを自認しているわたしではあるが、どうもこれは戴けないというのもある。
 気になることは、特にキャッチャーがピッチャーへの返球がぞんざいなことだ。今日の(8月19日放送)ヤンキースVSタイガースの試合でも、ヤンキースのポサダは、山なりのボールを返していた。しかも、ピッチャーがキャッチする位置がいつもばらついている。彼はいつもそうだ。
 それに対し、タイガースのイワン・ロドリゲスは、強いボールをピッチャーに返していて、位置はほとんど肩のあたりか胸の近くだった。このロドリゲスは、12回もキャッチャーとしてゴールデン・グラブ賞を受賞している。こんなところに違いがある。

 かつて赤バットのスラッガーで鳴らし、王・長嶋を擁したジャイアンツのV9を成し遂げた川上哲治さんが言っていたのを思い出す。
“キャッチ・ボールは、決しておろそかにしてはいけない。それが野球の基本だからだ。そのキャッチ・ボールは、ただ相手と投げて捕ってというだけだはない。相手の胸の位置で補給できるように投げるのが大事だ”確かこのような意味だったと思う。

 この基本を忘れている人が多い。MLBでも内野手の送球に山なりで間に合わせているのが多い。観客から見れば、まさに矢のような送球の醍醐味を楽しみたい。 それに外野手のホームへの返球が下手なことだ。バックホーム返球の練習は、そう頻繁に出来るとは思えないので、外野フライでチェンジというとき、キャッチャーに向かって投げるというパフォーマンスがあってもいいように思う。観客は結構楽しむはずだ。肩の弱い外野手は、恥ずかしくて出来ないかもしれないが。
 どこかのチームがやってくれないかなあ! と暑さの影響なのか、そんなことを考えている。
ふー 本当に今年は暑いですね!
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読書 リック・ボイヤー「ケープ・コッド危険水域」

2007-08-18 09:20:51 | 読書

              
 “小さめの部屋部屋の天井は、梁がむきだしで低い。リビング・ルームの書斎コーナーで、グリーンのガラスの笠をかぶった真鍮製電気スタンドの下にすわり、波に砕ける音、雷のとどろきを聞いていれば、何時間でも、いや、何日でも、時のたつのを忘れる。
 天窓つきのキッチンには、ワインラックと銅鍋がならび、コーヒー、焼き肉、魚のフライ、クラム・チャウダーの匂いが漂う”
 
 マサチューセッツ州ケープ・コッド、イースタムにあるこの小説の主人公ドクことチャーリー・アダムスの別荘の描写である。海に面した崖の上にあって、アメリカ映画の場面を思い浮かべる。
 チャーリー・アダムスは、ボストン近郊のコンコードというところに住んでいて、生まれつきの上顎前突症の少女を、メスとノコギリとノミと木槌の下の四時間で、きれいな顔に変えたという腕のいい口腔外科医である。
 親しいダイバーの溺死を調べているうちに、気がつけばとんでもない事件を抱え込んでいた。満身傷だらけになりながらも、持ち前の好奇心を抑えることが出来ない。もう五十に近い男でありながら。

 1982年の作品で、吸引力のある展開は時を忘れる。著者は、1940年イリノイ州エヴァンストン生れ。この作品で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞を受賞。
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読書 ジョー・R・ランズデール「テキサスの懲りない面々」

2007-08-14 15:57:57 | 読書

              
 この人の作品はいくつか読んできたが、心に残るものや人間の冷たい心、それに人生や性を語るものに加え西部劇調の気楽なものまで多彩な面を見せる。
 この作品は、下品な言葉のジョークの波に襲われる。そして、殺されかたのむごいことは、気持ちが悪くなる。それでも読者を飽きさせない。出張のとき乗り物の中で読むには格好の作品だ。

 下品といえばこんな会話。ゲイの男に言う
「つまり、まだバリバリのホモってこと? あたしのアソコを見ても、心の中に女もいいなという気分は芽生えないわけ?」
「みたいだな」と男は言う。

 気持ちの悪い殺されかたは、「指はすべて根元近くで叩ききられており、両手の皮膚はひじまで削がれていた。シャツは着ておらず、胸にいくつもやけどの跡があった。
 目は、クリスマスのプレゼントに欲しかったものをもらった瞬間のように見開かれていたが、ふくれてぽっかりと開いた口からは、古いレバーのような舌が突き出ていた。
 ズボンの両膝の部分に大きな血のしみが広がっていて、坐った状態の時には、下の椅子まで血がしたたっていたようだ。靴はなくなっていた。爪先もだ。ふくらはぎまで脚の皮がはがされていた」なんともおぞましい!
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スポーツ:大リーグ チームのホームページを覗いてみれば

2007-08-10 22:00:09 | スポーツ

 MLBの各チームがインターネットのホームページで、ファンのために情報を発信している。フロントページにそのチームの顔といえる選手の写真も掲載されている。まったくないチームもあるが。例えばドジャースやデビルレイズなど。

 ヤンキースは、ジーター、リベラ、ポサダの生え抜きの三人。A・ロッドや松井はない。ヤンキースはかなり保守的なチームカラーで、ランディ・ジョンソンやデイモンの長髪や濃い髭面をそぎ落としずんべらぼうにしてしまう。

 マリナーズは、イチロー、イバニエス、ヘルナンデスとなっているが、なぜヘルナンデスなのかよく分からない。J・J・プッツがいるではないか。

 レッドソックスは、シリング、ウェークフィールド、オルティス、ラミレス、バリテックで、松坂は今年の出来次第なのだろう。イチロー以外はまだチームの顔にはなっていない。

 8月9日(現地時間)のレッドソックスのホームページに岡島投手サイヤング賞候補? クェッションマークつきの記事があった。松坂以上に評価されているのだろう。
 プレイオフのレッドソックスの行方が気になる。ワイルドカードでヤンキースが出てくれば俄然面白味が増す。さて、どうなることやら!

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スポーツ:大リーグ ジーター、A・ロッドや松井ばかりではないヤンキース

2007-08-09 13:23:50 | スポーツ

 何かといえば松井やA・ロッドそれにジーターに注目されるが、台湾出身の王建民投手27歳(Chien-Ming Wang),ドミニカ共和国出身のロビンソン・カノー二塁手25歳(Robinson Cano),同じくドミニカ共和国出身のメルキー・カブレラ外野手23歳(Melky Cabrera)の成長と活躍はヤンキースの今の状況の象徴ともいえる。
 この三人はいずれも2005年にMLBデビューを果たしていて、王建民は、右肩上がりに調子を上げ昨年は、アメリカン・リーグ最多の19勝を挙げた。今シーズンもこれまで13勝をマーク、防御率も3.49と好調を持続している。
 8月8日(現地時間)のブルージェイズとの試合は、早々とノックアウトされたが、期待の星に変わりはない。それに好印象を持つのは何事も動じないというクールさが素晴らしい。マウンド上でもベンチでも表情を変えない。ヤンキースの中でも異色の存在だ。

 その反対にロビンソン・カノーとメルキー・カブレラのドミニカ組は、めっぽう陽気で身体能力に優れていて、難しいゴロやフライを難なく捌き打率も3割台で頭角を現してきた二人だ。
 松井もうかうかしていると乗っ取られるかもしれない。その松井は、ブルージェイズとの試合でホームランを打ったが、打席の松井を見ているとチョット積極性に欠ける気がする。
 この日の解説者の高橋直樹は、ボールをよく見て自分の打てる球を選んでいるというが、絶好球を見逃しているように見えて仕方がない。打率3割がなかなか保てない原因かと思うが?
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スポーツ:大リーグ マリナーズのお粗末な守備

2007-08-06 15:02:37 | スポーツ

               
 8月5日(現地時間)マリナーズの本拠地セーフィコ・フィールドで行なわれたボストン・レッド・ソックスとの試合。イチローは、指名打者で城島はお休み。センター守備にはジョーンズがついたが、イチローなら簡単に捕ったフライをミス。
 また、8回表レッド・ソックスの攻撃では、送りバントの処理を誤った。ピッチャーが捕って一塁に投げたがセーフ。これは明らかに二塁手ロペスの一塁に入るのが遅れた。ロペスはピッチャーを見ながらとろとろと走っていた。これでは間に合わない。高校野球以下のプレイ。
 マリナーズのセットアッパーを務めた長谷川氏が、ロペスは動きが散漫だとコメントしていたことがあった。それを思い出したが、プレイオフを狙うチームとしてはお粗末過ぎる。
 
 もっといえばマリナーズには、イチローや城島、クローザーのJ・J・プッツ以外に魅力的な選手が見当たらない。かつて勢いのあった頃、エドガー・マルチネス、ブレット・ブーン、ジョン・オルルッドに混じり、イチローが溌剌としていたのが懐かしい。気のせいか最近イチローに溌剌さが見えないように思えてならない。GMが魅力的なメンバーを揃えることを願う。
 
 この試合には、ボストンからのファンが大勢いた。夏休みで見所の多いシアトルやワシントン州のアウトドアを楽しんでいるのだろうか。それにしてもボストンからシアトルまでコンチネンタル航空で8時間から11時間かかり(時間帯による)、料金も一人約1,200ドルの出費というから野球見物も馬鹿にならない。
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スポーツ:大リーグ ボンズ755号、A・ロッド500号おまけに松井秀喜3安打

2007-08-05 13:17:13 | スポーツ
8月4日土曜日(現地時間)は、歴史に残る日となった。

バリー・ボンズ
 サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズは、サンディエゴ・パドレスとの試合で本塁打を放ち、ハンク・アーロンの持つ大リーグ本塁打記録755本に並んだ。今シーズン中にもう一回歴史的な日が来る筈だ。ボンズが756号を放ったときだ。それは間もなくだろう。
              
A・ロッド
 今か今かとファンが待ち望んだ500号が、ロイヤルズとの試合第一打席でレフトスタンドに打ち込まれた。きのうの試合から、ヒットが出始めたので、500号は時間の問題だと思っていた。
 この日のニューヨークは、よく晴れて気温が33度にもなっていたが、スタンドは超満員だった。試合は16-8とヤンキースが大きくリードしたこともあって、終盤はスタンドに空席が目立っていた。
 それにしても32歳で500本の本塁打を打ったA・ロッドは、バリー・ボンズの記録を抜き去る有力な選手であることは将来楽しみになった。あと10年毎年30本の本塁打を打ち続ければ800本も可能だろう。怪我や病気がなければ。


松井秀喜
 A・ロッドのあとを打つ松井にとって、A・ロッドの打席が歓声とざわついた雰囲気が尾を引いて、きのうの試合では無安打に終わっていた。
 ところが500号のあとは難しい低めのボールをうまくライト前にヒットした。結局この試合では、3安打した。これからは落ち着いて打っていけるだろう。

               
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読書 ローラ・リップマン「チャーム・シティ」

2007-08-04 13:54:57 | 読書

              
 メリーランド州ボルチモアのニック・ネームは、チャーム・シティと言うそうな。大リーグのオリオールズやフットボールのコルツが本拠地としている。
 この都市のことを“ボルチモアは失敗者の多い街だ。ボルチモアをめぐる大きな不運だけでもいろいろと思い当たる。69年のオリオールズ、84年のコルツ。96年のアメリカン・リーグの優勝決定シリーズでは、大きなグローブをはめた12歳の少年のために優勝を逸するという事件もあった。
 それでも、ボルチモアは驚くべき街だ。敗れてもうなだれたりすることはない。ボルチモアは負けても不思議に希望を失わずに歩みつづける”
 と著者の言う街を舞台にプロバスケットボール・チームを誘致しようとしていた実業家が、自宅ガレージの車の中で、遺体で発見される。
 この実業家について公私とも問題が多いとしていた記事があった。新聞社ではその記事の公表を控えていたが、何者かがコンピューター操作によって新聞記事となって世間が知ることになる。

 主人公のテス・モナハンは、コンピューター犯罪の調査を引き受ける一方伯父のスパイクが何者かに殴られ意識不明の状態になるという事態に見舞われる。犯罪調査を追うかたわら伯父の事件がテスを巻き込んで危機が迫る。
 やたらに多い比喩とややのんびりとしたテンポで、スリルとサスペンスに欠ける嫌いがある。わたしとの相性はよくないみたいだ。

 一つ気になることがある。“手首を効かせてシェーカーを振り、いかにもバーテンらしい手つきでマティーニを注ぐ”とある。
 サントリーのホームページで、マティーニの作り方を見ると、ステア(材料と氷をミキシング・グラスに入れ、バー・スプーンでかき混ぜる)することになっている。まあ、混ざればシェイクしても問題はないだろうが。
 あるいは、ボルチモア特有のやり方か。ちなみに自宅でマティーニを作ったが、強い酒で飲めないし美味しくなかった。
 これらのカクテルは夜、洒落たバーで美女を伴って飲むのが最良なのだろう。仮にそういうことがあったら奇跡としか言いようがない。

 エピローグで、テスのミュージシャンの年下の恋人クロウが歌うバラード「IT NEVER ENTERED MY MIND(by Lorenz Hart. Richard Rodgers)」は、フランク・シナトラ、マイルス・デイヴィス、ジョージ・シアリング、ジュリー・ロンドン、ジューン・クリスティ、ナンシー・ウィルソンなどが歌い演奏している。いい曲だ。
 また、本書は、アメリカ探偵作家クラブ賞及びアメリカ私立探偵作家クラブペイパーバック賞を受賞している。

 著者は、ノースウェスタン大学でジャーナリズムを専攻し、卒業後は二つの新聞社で記者として働く。1994年以降は《ボルチモア・サン》紙で特集記事の担当記者として活躍している。
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