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激動の1960年代のアメリカを背景に「アメリカン・バーニング」2016年制作

2017-11-27 16:34:48 | 映画

               
 「主として古い家系の白人男性に支配されていたアメリカは、1960年代にはそれまで表に出なかったグループあるいは従属的な地位にあったグループが、より積極的に主張をし、力をつけ始めた。それは、アフリカ系米国人、アメリカ先住民、女性、「新移民」の白人少数派の子孫、そしてラテン系米国人などであった。彼らを支持したのは、かつてない規模の若者人口であった。
 こうした若者たちは、これもかつてないペースで拡大する全米各地の大学で学んでいた。第2次大戦世代の親から生まれた子どもたちの多くは、「対抗文化」と急進的な政治思想を支持し、文化的・民族的多元主義を特徴とする新しい米国を推進した。これは親の世代にとっては不安なことであった」(アメリカセンター・ジャパンの記事から)

 そしてケネディ大統領暗殺後、引き継いだリンドン・ジョンソン大統領による1965年空爆から地上部隊投入へとベトナム戦争が拡大していく。ニュージャージー州の田園地帯で父から手袋製造会社を引き継ぎモデル出身で美人の妻ドーン(ジェニファー・コネリー)と愛娘メリー(ダコタ・ファニング)と幸せな時間を過ごしていたスウィード・レオヴォヴ(ユアン・マクレガー)。

 僧侶が抗議のための焼身自殺をする映像を見たメリーは、「誰も助けない」と言って泣き叫び夜も眠れない様子。そんな幼少時のメリーが成長するに従って急進的な思想に染まり、特に母親に反抗的なっていく。やがて家出。スウィードが探し求め居所を突きとめるがメリーは帰宅を頑として拒む。メリーの帰宅を待ち望みながら生涯を終えるスウィード。

 時代に翻弄され大事な娘に去られた男を描くが、メリーの描写が少なすぎて今一つ感興を与えてくれない。ユアン・マクレガーがいつまでも若く年をとらないのが気になる。ユアン・マクレガー初監督作品。興行収入アメリカだけで544千ドル、日本円で6千百万円。製作費不明だが採算合うのかな。2017年7月から8月開催の<カリテ・ファンタスティック・コレクション17で上映>
         
監督
ユアン・マクレガー1971年3月イギリス、スコットランド生まれ。

原作
フィリップ・ロス1933年3月ニュージャージー州ニューアーク生まれ。現代アメリカ文学を代表する作家の一人。

キャスト
ユアン・マクレガー 
ジェニファー・コネリー1970年12月ニューヨーク州生まれ。2001年「ビューティフル・マインド」でアカデミー賞助演女優賞受賞。
ダコタ・ファニング1994年2月ジョージア州生まれ。
ピーター・リーガート1947年4月ニューヨーク市生まれ。
ルパート・エヴァンス1976年3月イギリス生まれ。
デヴィッド・アトラザーン1949年1月カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
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心に傷を負った男(その2)「マンチェスター・バイ・ザ・シー」2016年制作 劇場公開2017年5月

2017-11-22 20:31:50 | 映画

               
 タイトルを見ると「海辺のマンチェスター」と思ってしまうが、実はそっくりそのまま町の名前だそうだ。マサチューセッツ州ボストンから39キロ北東にあるエセックス郡にある。実際、大西洋に面したものすごく小さい町。2010年現在の人口は5136人、うち白人が97.6%を占めるという。

 この町で育ち今はボストンで便利屋の仕事をしているリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)には、火事で子供三人を失い妻とは離婚という消すことのできない悲惨な過去がある。それが多分に性格へ影響しているのか、快活とはほど遠い暗い印象の男だ。相手の感情を逆なでするような物言いで不評を買っている。

 女性にも興味がなさそうで、バーのカウンターでビールを飲んでいる時、隣の女性が振り向きざまリーに当たりビールが飛び散る。恐縮する女性。女性は名乗ったがリーは知らん顔。そんなリーにチラチラと目を向ける男二人連れ。それがリーには不快なのか男たちにいちゃもんをつけて殴り倒す。まるで悪ガキ。

 そんな日常に兄死亡の訃報が届く。忌まわしい思い出の故郷マンチェスター・バイ・ザ・シーへ。兄の妻も変わった女で家を出ている。そして弁護士から告げられたのは、残された一人息子16歳のパトリック(ルーカス・ヘッジズ)の後見人にリーを兄が指名していることだった。

 16歳といえば生意気盛り。この二人の関係がやがてリーにも変化が起きる。真冬から早春へ、マンチェスター・バイ・ザ・シーのロケで風景が満喫できる。その中でリー・チャンドラーを演じたケイシー・アフレックは、独特の口調で閉ざされた心を持つ男を好演、アカデミー賞主演男優賞受賞を手にする。

 こういう映画はアメリカの日常が見える。リーが便利屋ということでごみを捨てるが、立って人が入れるぐらいの大きなゴミ箱で、何でもかんでも投げ入れている。分別処理なんて考えてもいない。ちなみに千葉市のごみ処理は、分別だがペットボトルのシールまではがして出すことになっている。内心これはやりすぎじゃないかと思っている。ミシン目まであるトイレット・ペーパーともども外国では考えられないような日常が日本にはある。映画はいろいろ考えさせられる。

 製作陣にマット・デイモンの名もあり資金も出しているようだ。製作費850万ドル、興行収入7770万ドル。マット・デイモンにとって効果的な投資だったと言える。
      

      
監督
ケネス・ロナーガン1962年10月ニューヨーク市ブロンクス生まれ。

キャスト
ケイシー・アフレック1975年8月マサチューセッツ州生まれ。
ミシェル・ウィリアムズ1980年9月モンタナ州生まれ。
カイル・チャンドラー1965年9月ニューヨーク州バッファロー生まれ。
グレッチェン・モル1972年11月コネチカット州生まれ。
ルーカス・ヘッジズ1997年1月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
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心に傷を負った男(その1)「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

2017-11-17 16:20:14 | 映画

              
 原題は「DEMOLITION破壊」。興味を引くようなタイトルにするにはかなり苦労するだろう。それにしても長い邦題だ。車のサンバイザーを比喩に使った妻の気持ちということがのちに分かる。

 銀行員のデイヴィス・ミッチェル(ジェイク・ギレンホール)は、朝5時半に起きて妻ジュリア(ヘザー・リンド)の運転でマンハッタンに向かっていた。車中の会話は「冷蔵庫に水漏れがあるわ」という妻の言葉に「俺が直すのか」とにべもない反応のデイヴィス。子供がいない結婚生活の風化が感じられる場面。

 交通事故は予告もなく訪れ一瞬にして一人の人間の息を止める。救急治療室のベッドにはジュリアはいない。フロアーに血に染まった衣服が落ちているのがジュリアが存在した証明のようだ。

 ところがデイヴィスには、涙も悲しみも感じられない。人気のない病院の自販機のチョコレートが引っかかって出てこない。夜勤の男に出してくれと頼むが、業者が管理しているからできないという。日本では考えられない対応だ。しかし、映画のストーリー上これがないと後が続かない。

 葬儀の朝、泣く練習をしたが涙の一滴も出ない。葬儀の後のおもてなしの場でも戸惑いを感じながら、「チャンピオン社御中 聖アンドレ病院の自販機について。25セント玉を5っ入れB2を押したがピーナツのM&Mが出てこなかった。空腹だったので頭にきた。妻が死んだ10分後だったし、それは貴社のせいではない。交通事故だし僕は無傷、ただ状況を正確に伝えたいだけだ。ことの発端から……起床は5時半……」と始まり自分の職業や通勤電車内のこと、書類カバンは好きじゃないとかを長ったらしく書いていく。大体こういうときに苦情の手紙を書くのか。精神に若干の異常を表しているのだろう。

 ジュリアの父フィル・イーストマン(クリス・クーパー)は、「心の修理は車の修理と同じだ。点検するそして組み立て直す」という。思い出したように冷蔵庫の水漏れ点検でバラバラにしたのをきっかけに、自宅のパソコン、事務所のパソコン、2000ドルもするカプチーノ機がバラバラにされる。残念ながら組み立てができない。

 こんな状況に並行して語られるのは、チャンピオン社の苦情処理係のカレン・モレノ(ナオミ・ワッツ)からの1本の電話だった。カレンは生意気な息子クリス(ジュダ・ルイス)に手を焼くが、デイヴィスとは仲良くやっていて、家の破壊を手伝ったりする。白を基調とした高級感はあるが冷たい感じの家を惜しげもなく壊していく。カレンとの関係は、恋なのか単なる友情なのかそこのところは判然としない。

 いずれにしてもこの母と子との巡り合いは組み立て過程に役立った。しかも、日差しのキツイ日、サンバイザーを下ろすとメモが張り付けてあった。そこには「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」とあり、ジュリアは晴れたに日しか使わないサンバイザーに託して心の内を明かしている。ハッと気がついたデイヴィッド。愛は伝えないと返ってこない。自身の不甲斐なさに涙するデイヴィッド。組み立て完了。目玉がぎょろっとした特異な風貌のジェイク・ギレンホールが風変わりな男を演じて異彩を放つ。
  
監督
ジャン=マルク・ヴァレ1963年3月カナダ、モントリオール生まれ。2013年「ダラス・バイヤーズクラブ」、2014年「わたしに会うまでの1600キロ」などの作品がある。

キャスト
ジェイク・ギレンホール1980年12月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
ナオミ・ワッツ1968年9月イギリス、ショアハム生まれ。
クリス・クーパー1951年7月ミズーリ州カンザスシティ生まれ。
ジュダ・ルイス出自不詳。俳優・脚本家のマーク・ルイスの息子。
ヘザー・リンド1983年3月ペンシルベニア州生まれ。ジェイク・ギレンホールの妻としてすぐに死んでしまう役どころ。こういう役をどんな気持ちで受けているのだろうと思ったりする。競争の激しい世界だからオファーがあるだけよしとするんだろうか。2015年制作 劇場公開2017年2月
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男は仕事を離れても存在感を示せるか「ファミリー・マンある父の決断」2016年制作 劇場未公開

2017-11-14 15:57:12 | 映画

             
 ヘッド・ハンターを業とする会社で一、二を争うディン・ジェンセン(ジェラルド・バトラー)は、ライバルの女性責任者ともども社長エド(ウィレム・デフォー)に社長室に呼ばれた。「実権はしばらく渡せないが実績で勝ったほうを総括部長にする」と二人を競わせる。

 ときには不正行為や強引な駆け引きやウソも平気な、いわゆるやり手の男だった。仕事第一で家庭の行事、クリスマスやハロウィン、感謝祭の親戚の集まりなどを疎かにする。

 それに我慢ならないのは妻のエリース・ジェンセン(グレッチェン・モル)だった。どの国の男も同じで「高い生活水準、外国車や広い一戸建てなんかは俺がしゃにむに働いているからローンなどの返済もできる。今の仕事から変わった時、君も働くことになる。仕事のスキルがないと就職は難しいだろう」

 これに対してエリースは「あなたの言うことはよく分かる。でも、優先順位は分かっていないようね」夫婦は今、息子のライアン(マックス・ジェンキンズ)が急性リンパ性白血病、いわゆる小児がんで病床にあることで気が立っている。

 この事態は、ディンの成績に影響し社長からクビを宣告される。それを聞かされたエリースは、微笑む。息子も快方に向かい、入社時に取り交わした「競業避止契約書」の破棄の手紙をもらい自宅で得意のヘッド・ハンター業を開業。映画としては可もなく不可もなくといったところ。暇な時にちらりと見る程度がよろしいかと。
   
監督
マーク・ウィリアムズ出自不詳

キャスト
ジェラルド・バトラー1969年11月イギリス、スコットランド、グラスゴー生まれ。
グレッチェン・モル1972年11月コネチカット州生まれ。
マックス・ジェンキンズ出自不詳


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息を呑むほどリアルな戦闘場面「ハクソー・リッジ」2016年制作 劇場公開2017年6月

2017-11-09 20:57:33 | 映画

             
 「汝殺すことなかれ」を信念に戦場で人を助けようと衛生兵に志願するデスモンド・ドスという人の真実の物語。「ハクソー・リッジ」は米軍での呼び名。首里城にある中央司令部から約4キロ、標高120~140メートルの樹木に覆われた急峻な崖で「山田高地」と日本側は呼んでいた。今は浦添城址として残されている。

 ウィキペディアから引用してみよう。「規模は、東西約380メートル、南北約60ないし80メートルで、北は急崖をなしているが、南は緩斜面となっている。その防衛に適した地形から沖縄戦では首里周辺の重要拠点として重視された。日本軍は防衛拠点に位置づけ死守に拘ったため、米軍との間で前後11回にわたる激しい争奪戦、攻防戦が約3週間の間繰り広げられた。陣地攻略を指揮していた米軍第24軍団長のホッジ少将は「(この砦を)一寸刻みに爆破していく以外に、日本軍を追い出す方法は無いと思う」と述べたとされる」とある。

 この崖は樹木に覆われているが、映画では垂直に切れ落ちた崖になっている。おそらく撮影上の都合なのだろう。木々に覆われている崖にすると観るほうからは山中の戦闘としか映らない。上陸作戦で歩兵が軍艦から縄梯子で降りていく場面があるが、それをこの垂直の崖に持ってきた。

 1919年2月7日バージニア州リンチバーグという自然に囲まれた地で生まれたデズモンド・ドス(アンドリュー・ガーフィールド)は、周りの友人たちが戦場へ行くのを見て、自分は衛生兵になって「殺すのではなく助けるのだ」という信念で兵役に志願する。

 いわゆる山育ちのドスには、障害物を乗り越えたり地を這う訓練は大した問題ではなかった。問題は射撃訓練だった。殺人の道具、銃には手も触れないという信念で拒否する。軍隊組織では、一人の反逆が全体の責任に転嫁され30キロ走の罰を受ける。この30キロ走もジョギング・スタイルではなく戦闘スタイルだからかなりキツイ。当然仲間からはいじめにあう。

 上官の命令に背いたと軍法会議にもかけられる。軍法会議はドスの父が第1次大戦に従軍した時の上官の判断で無罪放免となり、衛生兵としてハクソー・リッジの戦闘に参加する。

 縄梯子で登った戦場は凄惨を極めていた。内臓が飛び出した死体、両足を吹き飛ばされた死体、イチジクを叩きつけたようなぐちゃぐちゃの頭、それらを踏み越えて前進する兵士。日本軍の頑強な抵抗にあい次々となぎ倒される兵士たち。

 米軍の火炎放射器の猛炎は、地下壕を這いまわり地獄と化す。リアルな戦闘場面は息を呑む。やがて日本軍の総反撃。追い詰められる米軍。退却して梯子を下りた米軍。誰もいない戦場に残ったのはドスだった。負傷して息のある兵士を次から次と崖から降ろし始める。こうしてドスは、75名の負傷兵を助けた。この中に二人の日本兵も含まれる。

 後に良心的兵役拒否者として初めて勲章を受章するが、その行為は称えるべきものだろう。しかし、同時に自ら銃を手にしていなくても、他の兵士の銃に守られていることも確かだ。極めて異例の存在としか思えない。アカデミー賞に作品賞もノミネートされているが受賞には至らなかった。しかし、興行的には成功で製作費4千万ドル、興行収入1億7千万ドルだった。
  

  
監督
メル・ギブソン1956年1月ニューヨーク州生まれ。本作はアカデミー賞の監督賞にノミネートされる。

キャスト
アンドリュー・ガーフィールド1983年8月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。本作でアカデミー主演男優賞にノミネート。
サム・ワーシントン1976年8月オーストラリア、バース生まれ。
ルーク・ブレイシー1989年4月オーストラリア、シドニー生まれ。
テリーサ・パーマー1986年2月オーストラリア、アデレード生まれ。
ヴィンス・ヴォーン1970年3月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。


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トランプ大統領からは想像できない娘、キレイなイバンカ大統領補佐官

2017-11-03 21:06:23 | 政治

 来日中のイバンカさん、父親の大統領からどうしてこんなに美人が生まれるのか。大統領が美人の妻をとっかえひっかえしたせいでもあるが、トランプ自慢の愛娘であるに違いない。

 フジテレビ系で「異例の好待遇のもてなし」とあって、それへのコメントは「いろんな意味で当然だ」というのが大勢。今夜、安倍首相と夕食を共にするそうだ。安倍首相も男だ。酔っぱらう昭恵夫人と食事しても面白くもない。美人のイバンカさんと食事して、日本の歴史や伝統文化やしきたりを話して聞かせるのも無駄ではないだろう。

 韓国もイバンカさん招待に血道をあげていたそうだが、残念ながら都合により4日に帰国とのこと。日本びいきの人たちを増やすのも外交だ。それにしても白人系女性はキレイだな。特に横顔を見るとよく分かる。私の好きなショットを4枚ばかり。
    
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