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映画「幸せへのキセキWe bought a ZOO ’11」劇場公開2012年6月

2012-12-29 11:00:30 | 映画

                 
 ベンジャミン・ミー(マット・デイモン)は、新聞社の突撃記者。防護服に身を固めているとはいえ雲霞のような殺人蜂に囲まれながらのレポートやハリケーンのど真ん中へ飛行機で突撃取材を敢行するという冒険野郎だ。

 そんなベンジャミンにも妻を亡くすという悲劇が訪れ、今朝も二人の子供たちに朝食を作ってやっている。ディラン(コリン・フォード)14歳。ロージー(マギー・エリザベス・ジョーンズ)7歳。

 ディランは難しい年頃でおどろおどろしい絵を描き邪悪な心を持っているのではないかと思うほどだ。学校はそんなディランを拒否して退学を宣告する。ベンジャミンも心機一転引っ越すことにする。
 娘ロージーと売り家を見て周り自然に囲まれた家が気に入る。しかも動物園つきだった。

 もともと冒険野郎のベンジャミン、えいやーと買ってしまった。当然、動物園のスタッフ込みだ。スタッフの長ケリー・フォスター(スカーレット・ヨハンソン)の心配をよそにだ。

 この映画を観ていると1930年代のアメリカ映画を代表する映画監督フランク・キャプラ(1897.5.18~1991.9.3)の作風を思い出した。楽天主義、アメリカンドリームとヒューマニズムが横溢した映画で心を明るくしてくれた。これはそんな映画だ。
 ちなみにこのモデルは、イギリスのダートムーア動物公園の実話が元になっているという。
             
             
             
             
             
             
             
             
監督
キャメロン・クロウ1957年7月カリフォルニア州パーム・スプリング生まれ。

キャスト
マット・デイモン1970年10月マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。 
スカーレット・ヨハンソン1984年11月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
コリン・フォード1996年9月テネシー州ナッシュビル生まれ。
マギー・エリザベス・ジョーンズ スタファニー・ショスタク
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映画「クロエCHLOE ’09」劇場公開2011年5月

2012-12-26 11:04:15 | 映画

                 
 大学教授デビッド・スチュアート(リーアム・ニーソン)とその妻キャサリン(ジュリアン・ムーア)は初老の夫婦で、キャサリンは市内で産婦人科を開業している。
 患者からの相談も受けていて「オーガズムを経験したことがない」の問いには「陰核への刺激で生じる。筋肉の収縮よ。謎めいた魔法のような現象じゃないわ」と的確に答える。

 それでいて自身はセックスに積極的でない。鏡を見て自身の老いに嫌悪を抱き自然に遠ざかってしまったのが実際のところだ。
 夫デビットはますます男盛りに見えるが、これも性の黄昏を迎えつつあった。デビッドの誕生日パーティの日、出張先からの飛行機に乗り遅れて次に便で帰宅した。勿論、パーティには間に合わなかった。

 翌朝、夫のスマートフォンが着信を知らせた。通りかかったキャサリンが見たのは、「ゆうべはありがとう ミランダより」おまけにツーショットの写真付だった。
 息苦しくなると同時に怒りも覚え夫の浮気を確信した。教え子に手をつけるなんて……。

 夫の人格を疑い始めたキャサリンは、娼婦のクロエ(アマンダ・セイフライド)を使って、誘惑にどんな反応を示すかを調べ始めた。これが意外な結果をもたらす。

 セリフもかなり直截的、「勃起」「イク!」……。しかも、クロエとキャサリンのレズ・シーンもサービスされている。いずれにしても女性の体の美しさを堪能できる。
 ともかく初老の夫婦にとって性的充足感がないと、あらぬ妄想に犯されやすいという警告と受け止めたが。
             
             
             
             
             
             
             
監督
アトム・エゴヤン1960年7月エジプト、カイロ生まれ。

キャスト
ジュリアン・ムーア1960年12月ノース・キャロライナ州生まれ。’97「ブギーナイツ」でアカデミー助演女優賞受賞。’00「ことの終わり」でアカデミー助演女優賞にノミネート。
リーアム・ニーソン1952年6月イギリス、北アイルランド生まれ。’93「シンドラーのリスト」でアカデミー主演男優賞ノミネート。
アマンダ・セイフライド1985年12月ペンシルヴェニア州アレンタウン生まれ。
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映画「ザ・タウンThe Town’01」劇場公開2011年2月

2012-12-22 10:03:29 | 映画

                
 ザ・タウンというのは、ボストンのチャールズ・タウンのこと。この街で銀行強盗は職業のように父から子へ受け継がれる――FBI捜査官の言。

 ダグ(ベン・アフレック)もこのタウンで生まれ育った一人だった。今日も仲間と共に地下鉄駅「ハーバード」に近い銀行をどくろの仮面をかぶって襲った。
 若い女性支店長クレア(レベッカ・ホール)を人質に逃走。海岸近くで解放した。クレアには目隠しを、強盗団には仮面。素顔を見られる危険はない。しかし、FBIに事情を聴取されている以上彼女を見張る必要があった。

 その見張り役をジェム(ジェレミー・レナー)が引き受けるというが、この男、直情的なところがあって後先考えずに行動を起こす恐れがある。クレアに不審を抱けばすぐ殺しかねない。殺しだけは避けたいと思うダグは、自身がその見張り役をすると宣言する。

 彼女がコインランドリーに入ったのを見届けてゆっくりと入っていった。彼女から見えるところに座って新聞を読む。
「小銭持ってない? 両替機が故障してるの」顔を上げるとクレアだった。
「生憎持ってないよ」
「そう、じゃあ部屋で干すわ」

 この出会いで二人は親密になっていく。強盗稼業のアクションと普通の男を装う男と女のラブ・ロマンスが並行する。ダグには花屋のあるじが仕切る強盗を請け負わざるを得ないしがらみがあって、なかなかこの稼業から抜け出せないでいる。ダグにはこの街を出て普通の生活を夢見ているふしがある。

 そこへクレアとの出会い。ダグには心底クレアと生涯を共にしたいという思いが募る。そんな時花屋のおやじから強制されたのは、大リーグボストン・レッド・ソックスのホーム球場フェンウェイ・パークの売上金350万ドル強奪だった。

 FBIのSWATチームと壮絶な銃撃戦の末、生き残ったダグはクレアに電話をかける。それもクレアの部屋を双眼鏡で監視しながら。やっぱりFBIが後ろで待機していた。
「これまでのすべてを謝るよ。悪かった。1時間後に行く」と言って電話を切った。ダグは遂に現れなかった。FBIに「くそ食らえ!」というメモを残して。

 クレアは、趣味の園芸畑でボストンバッグを掘り出した。そこには大金とオレンジとメモが入っていた。
“クレア これを受け取ってくれ 君なら有効に使える。これを読む頃、俺は遠くへ……計画とは違ったが、俺は生まれて初めてこの街を出る。これでやっと過去から訣別できる。人生を変えようとも罪は消せない。俺の行く道は長い。でも、いつか会える。ここかあの世で……”
 フロリダの静かな風景を眺めるダグ。クロージングは、ベン・アフレックがいい格好しているようにも見える。

 どちらかというとラブ・ロマンスを重視しているように見えた。ベンの仲間を演じたジェレミー・レナーの存在感は強い印象を残す。むしろベン・アフレックを食っているのではないだろうか。
 それにベン・アフレックの口調が弟のケイシー・アフレックとよく似ているのはボストン訛りだと気づいた。あまり口をあけずに喋る。二人はカリフォルニア生まれ、ボストン育ちだから。
           
           
           
           
           
           

監督
ベン・アフレック1972年8月カリフォルニア州バークレー生まれ。’02「ゴーン・ベイビー・ゴーン(未公開)」以来2作目の監督作品。

キャスト
ベン・アフレック 
レベッカ・ホール1982年5月イギリス、ロンドン生まれ。
ジェレミー・レナー1971年1月カリフォルニア州モデスト生まれ。’09「ハートロッカー」で全米批評家協会主演男優賞に輝き、さらにアカデミー主演男優賞にノミネートされた。
ジョン・ハム 
クリス・クーパー1951年7月ミズーリ州カンザスシティ生まれ。’02「アダプテーション」でアカデミー助演男優賞を受賞。
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映画「裏切りのサーカスTinker Tailor Soldier Spy’11」劇場公開2012年4月

2012-12-19 21:19:48 | 映画

                 
 なんともややこしく複雑に入り組んだ映画なんだろうね。ほとんどの人が一度観ただけではよく分からないと言う。確かにその通りだ。

 007のボンドのように派手なアクションやボンド・ガールの悩殺もない。1973年頃の英国情報部のサーカスという部署は、冷戦のさなか旧ソ連のKGBと張り合っていた。当然二重スパイも否定できない。

 サーカスにソ連のもぐらが潜んでいる言われ、そのもぐらたたきをジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が担う。画面もストーリー展開も徹底的に地味だ。季節が冬ということもあって暗い画面がいやに現実的に見える。本来のスパイというのは、こういう地味な動きをしているのかもしれない。古いくたびれたカバンの中の色あせた写真を見るように郷愁さえも漂う。

 原作者のジョン・ル・カレもMI6(Military Intelligence Section 6)に所属したこともあって臨場感にも不足はない。
           
           
監督
トーマス・アルフレッドソン1965年4月スエーデン、ストックホルム生まれ。

キャスト
ゲイリー・オールドマン1958年3月イギリス・ロンドン ニュークロス生まれ。
コリン・ファース1960年9月イギリス、ハンプシャー州生まれ。
トム・ハーディ1977年7月イギリス生まれ。
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読書「ラスト・チャイルド」ジョン・ハート

2012-12-16 11:44:57 | 読書

                
 “ノースカロライナ州レイヴン郡の一部が東部にかかったあたりは、完全な砂丘地帯でもなく完全な丘陵地帯でもなく完全な氾濫原でもない地域のものだ。州都ローリーからは2時間、海岸線からはおそらく1時間ほどの場所。
 郡北部は起伏に富んでいる。森があり沼地があり、30マイルにも及ぶ花崗岩の露出地帯ではかつて、金鉱石を採取するための坑道が掘られたという。
 北を源流とする川が郡を二分し、市街地から数マイルのところをかすめている。西はブドウ園や農場に最適な黒土。東は砂地で高級ゴルフコースの三角地帯となっており、そのさらに東には存続すら危ぶまれる小さく貧しい町がえんえんと連なっている”これが小説の舞台となる背景である。

 アリッサ・メリモン、ジョニー13歳のふたごの妹。行方不明になって1年。地元警察の刑事クライド・ラファイエット・ハントの捜査は行き詰まりを見せていた。
 一方ジョニーは、親友ジャックと妹を探し回っていた。そんなある日、ジョニーが橋のたもとの河原で昼寝をしていて目を覚ましたとき、橋の上でバイクと車の衝突事故で男が欄干から落下した。

 その男が言う「あの子を見つけた」そして「逃げろ」と。ここから事態が動き始め、縦糸と横糸が交錯して、著者の細かい状況描写と共に詩情を残しながら家族の愛や友情、それに男と女の情念がつまびらかにされる。ストーリーに全く瑕疵がなく余情も残り読後感はすこぶる良好だった。

 状況描写と言ったが、こんなのがある。“ヘッドライトを消し、割れたガラス瓶を踏み越えたところで車を止めた”このアンダーラインの部分は、あってもなくても文体の流れに関係ないように思われる。これは著者の癖かもしれない。こういう細部にこだわる描写が随所に現れる。

 そして、この作品を映画化すればいいかもしれないとも思う。クリント・イーストウッドあたりが監督すればいい作品になりそうだ。
 ちなみに、本書はアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞、英国推理作家協会賞最優秀スリラー賞を受賞している。
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映画「闇の列車、光の旅SIN NOMBRE’08」劇場公開2010年6月

2012-12-13 12:42:45 | 映画

                 
 908-555-0187。この電話番号は、サイラ(バウリナ・ガイタン)が父からいやというほど暗記を強要されて憶えたものだ。なぜならアメリカに着いたとき唯一の命綱だったからだ。

 不法移民の群れは、グァテマラからメキシコに入り列車の屋根に乗ってある地点まで行き、リオグランデ川を渡ってアメリカ合衆国に入国する算段である。この中にサイラの父と伯父も含まれている。

 メキシコの格差社会では、大学を出ても高給を望めず勢いアメリカあたりに職を求める。それ以外の若者は貧しさに耐えるかアメリカに不法移民となるか、メキシコでギャングとなるかのどちらかだ。

 リルマゴ(テノッチ・ウェルターメヒア)を首領とするギャング一味の一員にカスペル/ウィリー(エドヴル・フローレス)がいた。ウィリーには組織に内緒のマルタ(ディアナ・ガルシア)という恋人がいた。
 ある日、リルマゴから「身が入ってない。不満も出てる」と言われる。公園の片隅で会合を開いていたとき何気なく近づいてきたマルタに眼をとめたリマルゴは、二人で話があると言って離れて行った。

 あとでウィリーがちゃんと送り届けてくれたのかと聞いたとき「悪魔がさらって行った」と言う返事だった。つまり死んだと言うことだ。リマルゴがレイプをしようとして揉み合いマルタを突き飛ばして石に頭を強打したせいで死亡した。

 このギャングどもは非情にも不法移民の群れにも襲いかかっていく。リマルゴ、ウィリー、スマイリー(クリスティアン・フェレール)の三人がその実行犯だった。ところがリマルゴの悪癖が出た。サイラを見たリマルゴは、俄然欲情してレイプに及んだ。貨車の屋根にもかかわらず。とんでもない男だ。

 マルタを殺されたウィリーは、前後の見境もなく咄嗟に牛刀でリマルゴの喉を掻き切っていた。これで全国の組織から追われる身になったウィリー。サイラは危機を救ってくれたウィリーに仄かな恋心が沸き起こる。
 ウィリーの数々の犯罪行為を聞かされてもサイラの純粋な心に何の陰りも見当たらない。リオグランデ川を渡るためのタイヤにしがみついていた時、追っ手のギャングがウィリーを見つけ、ためらいなく射殺した。

 陽光のまぶしいアメリカの大地、父も恋人も亡くしたサイラは、広大なスーパーマーケットの駐車場の片隅にある電話ボックスから踊るような相手の声を聞いていた。

 どうやらこの監督はリサーチもしたらしいから、こういう話も事実らしい。日本にいると想像もできない現実がある。しかも、なにもできない現実が悲しい。
             
             
             
             

監督
キャリー・ジョージ・フクナガ1977年7月カリフォルニア州オークランド生まれ。

キャスト
エドガル・フローレス ホンジュラス生まれ。
バウリナ・ガイタン1992年2月メキシコ・シティ生まれ。
クリスティアン・フェレール 
テノッチ・ウェルターメヒア 
ディアナ・ガルシア1982年1月メキシコ生まれ。
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映画「アパルーサの決闘APPALOOSA’08」劇場未公開

2012-12-10 12:51:14 | 映画

                  
 アメリカ、マサチューセッツ州出身の作家ロバート・B・パーカー(1932,9,17~2010,1,18)のエヴェレット・ヒッチ・シリーズ最初の作品をエド・ハリスが映画化。西部劇ではありふれたストーリー。

 ランダル・グラッグ牧場の牧場主(ジェレミー・アイアンズ)を始め牧童たちのアパルーサの町での狼藉振りには眼に余るものがあった。付けの代金は払わないし、暴力行為はしょっちゅうだし、女をレイプするし町の世話役は困り果てていた。

 そこへ二人のガンマン、エヴェレット・ヒッチ(ヴィゴ・モーテンセン)とヴァージル・コール(エド・ハリス)がやってきた。コール流の掟で町の治安を維持するという条件で保安官職を引き受ける。当然ランダル、グラッグと対立する。

 そんなある朝、駅に降り立ったのは、ピアノ弾きのアリソン・フレンチ(レネー・ゼルウィガー)だった。ホテルのダイニングで顔を合わせたヴァージルは関心を寄せた。後でヴァージルが言うには、「娼婦や先住民の女としか寝たことがない俺にはきれいな言葉遣い、身ぎれいな服装、美人だしピアノを弾き料理も得意、しかも清潔好き食べ方も上品だ。そんな彼女が好きだ」

 ところがアリーは恋多き女で男なら誰とでも寝たがる女だった。多分彼女の持つ恐怖感がそうさせるのかもしれない。「常に怖くて仕方がない。何もかも。独りになるのが、間違った男を選ぶのも。お金がないのも。住む家がないのも」

 ランダル牧場の若い牧童が駆け込んできて、逮捕に来た保安官三人を殺したのがランダル・グラッグだと告げた。裁判で証言することを確約させエヴェレットとヴァージルは早朝グラッグを逮捕する。巡回裁判は有罪となり刑務所へ移送することになった。
 ところが列車が給水停車のとき人質にとられたアリーが現れた。グラッグを解放しろという。

 さあ、この話はどこへ行くのだろうか。最近は西部劇が極端に少なくなった気がする。あっても劇場未公開になってしまう。それにしてもいつも思うのは、西部劇になくてはならないテンガロン・ハット、あのつばの広く大きな帽子だけど日本人にはどうしても似合わない気がする。野田総理を想像してみよう。日本人ばかりでなく韓国の大統領李明博、前中国国家主席胡錦濤、誰もグッドとは思われない。むしろ寒けがするだろう。アジア人でもまだ女性のほうがましかなあ。

 さて、この映画の結末は、グラッグが証拠不十分で自由の身となり、どこで金を調達したのかアパルーサの町でホテルを経営する。ピアノ演奏をアリーが受け持つ。
 そんな状況にエヴェレットはヴァージルに問いただす。ヴァージルはアリーとこの町で生涯を終えたいらしい。ところがアリーは、グラッグに気持ちが移っていてヴァージルを捨てようとしていた。

 エヴェレットはヴァージルと別れる潮時だと判断した。グラッグに決闘を申し入れた。表に出てこなければ乗り込んで殺してやる! 出て来たグラッグを一発のもとに倒したエヴェレット。馬に乗って一頭を引きながら帽子のつばに手をかけてうなずき、何夜かベッドを共にした女に別れの挨拶を送る。そして荒野へと去っていった。

 「これでヴァージルの職は安泰だ。アリーともやり直せる。少なくともしばらくの間は。先のことは分からない。それは俺にも言えることだが……沈む夕日を見ながらゆっくりと西へ向かった。長い旅になるが、急ぐ理由もなかった」最後はちょっとした哀愁が漂っていたなあ。
            
            
            
            
            
監督
エド・ハリス1950年11月ニュージャージー州生まれ

キャスト
ヴィゴ・モーテンセンニューヨーク市マンハッタン生まれ。
エド・ハリス
レネー・ゼルウィガー1969年4月テキサス州ケイティ生まれ。’03「コールド・マウンテン」で助演女優賞受賞。実生活でも恋多き女。
ジェレミー・アイアンズ1948年9月イギリス、ワイト島生まれ。
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映画「ファミリー・ツリーThe Descendants’11」劇場公開2012年5月

2012-12-07 13:32:24 | 映画
                 
 常夏の島ハワイ。楽園のハワイ。昔から日本人にとっても憧れの島であり、不幸な出来事、太平洋戦争の発端となった島でもある。
 今ではそういう歴史に立ち会ったことのない人たちの行って見たいところの一つなのだろう。

 オアフ島に住むカメハメハ大王の末裔マット・キング(ジョージ・クルーニー)にとっては、楽園でもなんでもない。生活の拠点に過ぎない。
 カウアイ島には先祖からの広大な遺産を一族が受け、7年後には手放さないといけないらしい。そこで早めに売却しようという話が持ち上がって不動産専門の弁護士マットに取りまとめ役が回ってきた。

 そういう頭の痛い案件処理を抱えた上、不幸にもボート事故で妻のエリザベス(パトリシア・ヘイスティ。映画の中では、ずーっと寝たきりの意識不明の役)が意識不明でベッドに横たわっていた。

 マットには、長女アレクサンドラ(シェイリーン・ウッドリー)と次女スコッティ(アマラ・ミラー)がいた。アレクサンドラは、反抗期でいつも口答えをするが、ある時ママの浮気の現場を見たといい始める。驚くと共に相手の男をとっちめようと、父娘の共同作戦が開始される。

 数多くのハワイアン・ミュージックを背景に、美しい景色の中を人間の愛憎が駆け抜ける。結局、エリザベスの生命維持装置のスイッチが切られ、ワイキキの海に父娘三人が遺灰を撒いて永遠に別れを告げた。
 妻の浮気を憎んでいた父が、それを許す姿を見たアレクサンドラも一段と成長したようだし、リビングに座ってアイスクリームを分かち合いながらテレビを観る父娘の表情は明るかった
             
             
             
             
             
             
             
             
 この映画は、ハワイアン・ミュージックが楽しめるし、風景もまた行きたくなるような雰囲気がある。YouTubeにもアップしてある曲は下記。

1. Ka Makani Ka 'ili Aloha
2. Kalena Kai
3. Hi'ilawe
4. Ulili
5. Ka Loke
6. Auwe
7. Leahi
8. Hawaiian Skies
9. He'eia
10. 'Imi Au Ia 'ue
11. Kauai Beauty
12. Wai Oke Auiani
13. Paka ua
14. Hapuna Sound
15. Deep in an Ancient Hawaiian Forest
16. Mom

その中で、「Ka Makani Ka 'ili Aloha」をどうぞ!
01 Ka Makani Ka'ili Aloha - The Descendants Soundtrack OST (HD)

なお、この作品は、2011年アカデミー脚色賞受賞。作品賞、主演男優賞、監督賞、編集賞はノミネートされた。

監督
アレクサンダーペイン1961年2月ネブラスカ州オマハ生まれ。’02「アバウト・シュミット」や’04「サイド・ウェイ」が印象に残っている。

キャスト
ジョージ・クルーニー1961年5月ケンタッキー州レキシントン生まれ。
シェイリーン・ウッドリー1991年11月カリフォルニア州シミバレー生まれ。
アマラ・ミラー出自不明。
パトリシア・ヘイスティカリフォルニア州サクラメント生まれ。
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読書「無罪INNOCENT」スコット・トゥロー

2012-12-04 11:02:19 | 読書
                

 朝起きてみれば、妻が横で死んでいた。頚動脈に指を当ててみると拍動がない、完全に死んでいる。州上訴裁判所首席判事ラスティ・サビッチは、救急車や警察への通報を24時間後に息子ナットにせかされて行った。検死の結果、自然死と判定された。

 しかし、この行為によって多くの疑惑を招くことになる。小説も映画と同様に、オープニングで読者や観客を引き付けないとならない。その常套手段であることに間違いない。「えっ、どうしたんだろう?」そう思ってくれれば半ば成功したも同然。

 そして前半は興味深い展開が待っていた。最高裁判事を目指そうという60歳のサビッチも男だった。
“私は彼女を見下ろす。唇と唇が、舌と舌が触れ合う。私はうめき声を漏らし、「ラスティ、ああ、ラスティ」と、彼女が囁く。私の手は夢想の中で何千回となく触れた彼女の胸へ伸びる。そこはたとえようもなく柔らかい。彼女は上体を反らせて私を見つめる。私も見返す。彼女は美しい。表情はおだやかで、迷いの色はない。彼女はそこで口を開き、私を高みへと一気に押しあげる一言を口にする。この奔放で、艶麗な娘が、「もう一度キスして」と、言ったのだ”

 娘の名前は、アンナ37歳。ラスティつきの上席調査官で職場内不倫といったところ。ラスティの内なる声は、「こんなことはやめるべきだ」と囁く。しかし、ラスティはアンナの求めを拒否できない。これからの生涯、もうこういうことにめぐり合えることはない。この恋情は捨てることが出来ない。したがって、彼女からのメールは、捨てられずにパソコンに保存したままだった。これがとんでもない結末へと流れる元になる。

 後半は、ラスティの妻殺しの容疑で公判にかけられる法廷劇が繰り広げられる。見事な比ゆとユーモアに翻弄されながら、一気に読了した。
 
 検事局のトップ、トミー・モルトの容姿についてこんな記述がある。“人が変わったようだ。すっかり老け、もう老人の顔に近い。わずかに残る髪の毛はすべて白くなり、目の下には使ったあとのティーバッグのような肉のたるみがある”

 そしてこんなこともアンナに言う。「若者より老人のほうが見た目が良くないのにはわけがある。生殖能力のある若い女に、つがう相手を識別させるためだ。私みたいな助平な年寄りがきみたち相手に年齢を二十も偽ってうまくやることが出来ないようにするためさ」

 それに今まで思いつかなかったものに、すみれ色のネクタイがある。ラスティのお気に入りで、頭の中で想像すると真っ白いワイシャツ、明るい紺のスーツに紫がかったすみれ色は、なかなかお洒落な気がする。助平な年寄りでも気品のある男に見えるかもしれない。
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映画「ブレイクアウトTrespass’11」劇場公開2012年6月

2012-12-01 12:41:21 | 映画

                 
 家族の冷え切った関係が思わぬ強盗事件に遭遇して、再び家族の絆が強固なものへと結ばれていく。昔からよくある題材で新味はない。

 ダイヤモンド仲買人カイル・ミラー(ニコラス・ケイジ)の豪邸の書斎の壁には頑丈な金庫がしつらえてある。この広い家に妻のサラ(ニコール・キッドマン)、娘のエヴリー(リアナ・リベラト)と住んでいる。

 カイルは出張が多く家庭をかえりみる暇もない。妻のキスもイヤイヤながら受けるし、娘は勝手に遊びまわっている。今日も顧客訪問の予定がある。わけのわからない弁解の言葉を並べていると、玄関のチャイムが鳴った。モニターには、警備会社のバッジが映っていた。 
 ドアを開けたとたん銃を構えた男たちが踊りこんできた。戸惑うカイルとサラに男たちは金庫を開けろという。じっと考え込んでいたカイルは、「断る!」。いろんな手を使って開けろと言っても拒否を続けるカイル。何故だろう? という疑問が一つ。

 もう一つ描かれるのは、サラの浮気の疑惑だった。二つの謎をじっくりと描き出すことによって、観客を画面に引きずり込む。私は結構楽しんだ。美しいニコール・キッドマンのファンだから。
              
              
              
              
              
              
              
              

監督
ジョエル・シューマカー1939年8月ニューヨーク生まれ。’02「フォーンブース」が印象に残る。

キャスト
ニコラス・ケイジ1094年1月カリフォルニア州ロングビーチ生まれ。
ニコール・キッドマン1967年6月ハワイ州ホノルル生まれ。
リアナ・リベラト1995年8月テキサス州ガルベストン生まれ。
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