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海外実録ドキュメンタリー「リーマン・ブラザーズ最後の4日間」2009年BBC

2020-03-29 15:47:18 | 映画
 リーマン・ブラザーズが倒産したのは、2008年9月12日金曜日。2007年の住宅バルブ崩壊がきっかけとなってサブプライム住宅ローン返済不能が拡大、不良債権化していった。負債総額約6千億ドル(約64兆円)という史上最大の倒産となった。金融危機は、株価の暴落を招いた。ドラマは、それに至る四日間を描く。

 政府は早々と救済措置はしない意志を表明、仲間内で助け合えという態度。仲間の金融機関も大なり小なり住宅ローンの不良債権を抱えているとなれば、誰も泥を被りたくない。結局人工呼吸器を止められるように、リーマン・ブラザーズが息を引き取る。

 日本では和製英語の「リーマン・ショック」で表現される。今現在、新型コロナウィルス蔓延で、リーマン・ショック以上の経済危機と言われる。

 このドラマは、緊張感もなければ、スリリングでもない。このドラマが言いたかったのは、エンディング・ロールのナレーションで「ヒトは、99%が動物で1%がヒト」動物は本能で動くがヒトは損得で動くと言える。この1%がリーマン・ブラザーズ最後の四日間なのだ。新型コロナウィルス・ショックが過ぎ去れば、BBCはドキュメンタリー映画を手早く制作するかもしれない。

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海外テレビドラマ「警部補ジョアン・ペーテルス シーズン1The Break」2016年Netflix

2020-03-24 15:59:38 | 映画と音楽と
 ベルギー、アルデンヌ地方の人口数千人と言われる町ハイデルフェルドを流れるスモア川から、19歳のアフリカ人ドリス(ジェレミー・ザグバ)の遺体が発見される。
 アフリカからやってきてハイデルフェルド・フットボール・クラブのサッカー選手としての夢を抱いていた。

 その捜査を担当するのはジョアン・ペーテルス警部補(ヨアン・ブラン)。このジョアン・ペーテルス警部補も心に闇を抱えている。どうやら都会の警察でペーテルスが判断を誤って妻の刑事も部下も失った事件が原因のようなのだ。

 それを逃れるように生まれ故郷のハイデルフェルドの警察に職を求めた。森林や牧場に囲まれたこの町に娘カミール(ソフィー・ブライア)と移り住んだが、金のないサッカー・チーム、怪しげなコーチ、頭がいかれているとしか思えない外交官の息子、村長の奔放な娘、ナチス崇拝のアパートの大家、そして中国人はサッカー・チームを狙う。

 ペーテルスは、幼馴染のイネス(アンヌ・コエサン)と親しくなる。容疑者は、浮かぶがすぐに消える。そして思いもしない恐ろしい結末が待つ。陰鬱な雰囲気のドラマだ。

 村長の息子と殺されたドリスが面白い会話をする。村長の息子「フランスの女がいい。ベルギーの女は太ももが太い」確かに息子の村長の母親も太ももはでかい。

 トヨタのRV車がめずらしいこの地方、家も平屋で広い部屋がありプールまである。ベルギーは、九州ほどの広さで、人口約1100万人、一人当たりGDP約48,000ドル。日本は45,000ドル、たった3.000ドルの差だがベルギーには豊かさを感じる。日本は貧困率が世界の上位らしいので、それが原因かもしれない。世界第3位の経済大国と言われる割には、住宅の質が見劣りする。
 出演の俳優たち、美男美女でなく、その辺にいる人たちという感じだった。

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海外テレビドラマ「リバー~刑事リバー 死者と共に生きる」2015年Netflix

2020-03-20 16:45:38 | 映画と音楽と
 リバー刑事を演じたのは、スウェーデン生まれの出演当時65歳ステラン・スカルスガルド。身長2メートルという長身、スーツとネクタイ姿は見栄えがする。

 ドラマは、パートナーの女性刑事スティーヴィー(ニコラ・ウォーカー)とドライブスルーでハンバーガーを買うところから始まる。車の中でお互い軽口を叩くが、スティーヴィーは殺されていて他人からはリバー刑事だけが見える。

 エンジン・スターターを捻るとラジオから、ティナ・チャールズが歌う「愛の輝きI Love to Love」が流れる。ティナ・チャールズは、1954年生まれで1976年に「I Love to Love」がNo1ヒットとなった。その曲に合わせてスティーヴィーも歌う。

 リバーは、スティーヴィー殺害の犯人を追う。ときどき現れるのが、スティーヴィーだし、リバーが追いかけてベランダから飛び降りて死んだ容疑者の亡霊などが出てくる。

 警察署内でも問題視され精神科医ロサ(ジョージナ・リッチ)の診断を受ける。6話から構成されアメリカ映画のような派手さはないが、イギリスの味とでも言える落ち着きのドラマだ。

 ラスト近くティナ・チャールズの「I Love to Love」に合わせてディスコ・ダンスを踊るステラン・スカルスガルドとニコラ・ウォーカーが楽しい。2メートルの身長ながら軽やかな動きを見せる。

 最後に抱き寄せ「I love you」と言う。彼女が生きているときに言いたかったが、手遅れかもしれないがきっと彼女は分かってくれる。これでこれからの人生、彼女とともに送れる。これはラブ・ストーリーでもある。
   

 
それでは、ティナ・チャールズの「I Love to Love」を聴いてみましょう。
 
監督
リチャード・ラクストン、ティム・ファイウェル、ジョシカ・ホッブス

キャストス
テラン・スカルスガルド1951年6月スウェーデン生まれ。

ニコラ・ウォーカー1970年5月イギリス生まれ。

ジョージナ・リッチ出自未詳


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海外テレビドラマ「コミンスキー・メソッド」2018年Netflix

2020-03-15 16:27:16 | 映画と音楽と
 ヒトは70歳を過ぎるころから頻繁に死を意識し始める。身辺がそのようになってくる。親戚や友人の死、最もつらいのが伴侶の死でそれが一層死が身近に思えてくる。

 このドラマで描かれる高齢者は一見恵まれているように見える。それは物質的に恵まれているのであって、精神的には金持ちもそうでない人も共通の悩みを抱えている。

 元俳優で今は演技指導のスクールを運営するサンディ・コミンスキー(マイケル・ダグラス)74歳。彼にはスクールの雑事を受け持つ独身の娘ミインディ(サラ・ベイカー)がいる。

 サンディの親友ノーマン・ニューランダー(アラン・アーキン)84歳は、エージェント会社を経営している。かつてノーマンには、サンディを俳優として成功させた実績がある。そういういきさつもあって、今では唯一の親友という関係なのだ。

 ノーマンの直近の悩みは妻の死だ。葬儀にはバーブラ・ストライザンド(本人ではない。それらしき装いの男らしい)が歌う1974年「追憶The Way We Were」が悲しみを増幅させる。
想い出は私の心の隅を照らす
遠い日の記憶は淡い水彩画
笑顔で写っていた忘れかけた写真
お互いに微笑みあった
遠い日の想い出

その頃はとても純粋でいられたの
それとも そう思い込んでいただけかしら
チャンスがあったら もう一度やり直せるかしら?
ね。~どう…できるかしら?
想い出は…美しくそれでいて
辛い想い出は ただ忘れたいだけ
そう笑いながら 思い出すでしょう
いつでも思い出せるわ
私たちの遠い日の想い出を
遠い日の想い出を

 これを聴きながらノーマンは涙ぐむ。慰めるサンディ。サンディも離婚して今は独身。二人とも悩みを持っている。サンディは、前立腺がんと肺がん。前立腺がんは、進行が遅いし薬物注射でPSA値が抑えられる。肺がんはちょっと厄介で行く末はシーズン3に委ねられる。

 ノーマンには、奔放な娘と険悪な状態が続くが、やっと和解の目途が見え始める。そんな悩みを抱えながら、サンディが持つ1970年代頃だろうと思えるベンツ(ドアを開けるとき鍵穴にキーを差し込んでいる)にノーマンを乗せたり、ノーマンはトヨタのレクサスのハンドルを握る。信号待ちしていたミニバンにあわや追突、自動ブレーキが利いて事なきを得た。(これトヨタも制作費を出してPRかな)

 「なんでこんなところに止まってるんだ!」とノーマン。「信号で止まっているんだよ」とサンディ。高齢者は往々にして自己中心になる。これが高齢者の欠点だろう。何かいい方法がないか。それがあるんだよね。

 どういうわけか、昔の恋人や付き合っていた女性が現れるんだ。サンディには、リサ(ナンシー・トラヴィス)57歳、ノーマンにはマデリン(ジェーン・セイモア)67歳。いずれも17歳違い。17歳から20歳という年齢差が高齢男性にはいいかもしれない。悩みは尽きないが、興味の湧く女性が身近にいることの幸せはまた格別。このドラマ、シーズン2までだが、シーズン3もあるようなのだ。

 年を重ねるごとに一つひとつ共鳴できる高齢者向きのドラマなのだ。高齢者向きと言っても爺むさくはない。ノーマンはいつもスーツにネクタイ、サンディはくだけた洗練されたスタイルで老いぼれてはいない。カッコいい高齢者と言える。

 それに付け加えれば、演技スクールの生徒の魅力的な若い女性。サンディは、そんな若い人に囲まれている幸せ者だ。




 それではノーマンが泣きたくなるほどいい曲「追憶」をバーブラ・ストライザンドでどうぞ!

企画
チャック・ロリー1952年10月ニューヨーク、ロングアイランド生まれ。

キャスト
マイケル・ダグラス1944年9月ニュージャージー州生まれ。1987年「ウォール街」でアカデミー賞主演男優賞受賞。

アラン・アーキン1934年3月ニューヨーク生まれ。2006年「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー賞助演男優賞受賞。

サラ・ベイカー出自未詳 

ナンシー・トラヴィス1961年9月ニューヨーク生まれ。

ジェーン・セイモア1951年2月イギリス、生まれ



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海外ドキュメンタリー「ガブリエル事件~奪われた小さな命」2020年Netflixリミテッドシリーズ

2020-03-10 16:16:11 | 海外テレビ・ドラマ
 アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡パームデールで、それは起こった。

 「息子が浴槽で倒れた」という911へ救急通報があった。心肺停止状態を救急隊の蘇生処置でアンテロープバレー救急病院に搬送されてきた。その様子をベテランの看護師が語る。
 「頭蓋陥没骨折、喉が焼かれ、顔はアザと切り傷だらけ。目の周りやペニスにも。足は引きずられたような傷、足首には縛られたような痕、肺と鼠径部にはエアガンに使うBB弾が撃ち込まれ、体じゅうにタバコの火を押し付けられた痕が見られた。こんな状態は初めて」

 その子の名前は、ガブリエル・フェルナンデス8歳。救急病院から小児病院へ移された後、ガブリエルは死亡する。母パールとその恋人イサウロ・アギレが逮捕される。人種的には、名前からもヒスパニック系といえる。

 この事件がきっかけでお役所のご都合主義と無能ぶりが明らかになる。そのお役所とは、児童家庭サービス局(DCFS=Department of Children and Family Services)なのだ。ここが十分な機能をはたしていれば、ガブリエルが死ぬことはなかった。
 ガブリエルが通っていたサマーウィンド小学校の女性担任教諭の証言からも明らか。

 DCFSの責任者が「各ソーシヤルワーカーが持つ案件は、30件にもなる。手が回らないのが実情だ」というのも理解できるが、納得はできない。語られる証言からは、真剣さが見られないからだ。地方検事は、DCFSの職員数人を起訴した。

 虐待死させたイサウロ・アギレとパールを起訴するのは当然として、陪審員裁判が行われ、陪審員は第1級殺人罪か第2級殺人罪のどちらを適用するのか評議する。第1級殺人罪は、死刑か終身刑のどちらかになる。

 陪審員の評決は、「アギレに対しては第1級殺人罪で有罪」だった。ここロサンゼルスでは、量刑まで陪審員が評決する。結果は、「死刑」宣告だった。

 こういうドキュメンタリーを観ていて、当然わが日本に思いをいたすことになる。まだ記憶に残り多くの人に衝撃と憐憫で心を震わせた「船戸結愛ちゃん事件」がある。船戸雄大とその妻優里が犯した罪で、事件名が「保護責任者遺棄致死、傷害、大麻取締法違反被告事件」でどこにも殺人という文字は見当たらない。

 2019年10月15日東京地裁は、検察の求刑18年に対し懲役13年だった。軽いのか重いのか? 庶民感覚では軽いと受け止める人が多いのではないだろうか。いわゆる専門家では重いらしい。それは庶民は殺人事件と捉えているが、専門家たちは事件名に基づいた判断だからと言える。

 いずれにしても、犯人二人アギレも船戸雄大も心が壊れているのは確かだ。なんの反応も示さないという法廷での態度も共通している。日米の判決を比較するとなんと隔たりの大きいことか。

 このドキュメンタリーで、「西欧諸国で死刑制度があるのはアメリカ合衆国だけだ。いうなればアメリカは、慈悲の国でもあり報復の国でもある」日本もかつては、さらし首や市中引き回しのひどい刑罰もあったが、いつの間にすましたお人よしになったのか。

 アマゾンが運営する映画サイトIMDb(Internet Movie Database)には書き込みがあり、そこには「こういう事態を招く責任も私たちにもある。より良い解決策を見出す必要がある」社会全体で支えていこうという意見に元気づけられる思いがした。

 これらを制作したのは、プロデューサー・脚本家のブライアン・ナッペンバーガーとローウェル・バーグマンの二人。

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海外テレビドラマ「ゴッドレス神の消えた町」2017年Netflix7話完結のリミテッドシリーズ

2020-03-08 16:27:37 | 映画と音楽と
 壮絶な女の戦いの西部劇。ニューメキシコ州ラ・ベル。鉱山の町ラ・ベルは、崩落事故により男たちのほとんどが犠牲になった。残された女たちは途方に暮れる。そんな女たちを助けるという口実の偽善者が表れる。その偽善者が派遣する用心棒たちが町を牛耳り女を手籠めにする。

 町はずれの荒野で野生馬の牧場を営むアリス・フレッチャー(ミシェル・ドッカリー)のところへ、無法者のロイ・グッド(ジャック・オコンネル)が転がり込む。ロイ・グッドは無法者の育ての親フランク・グリフィン(ジェフ・ダニエルズ)から、大金を盗んで逃げ出したのだ。怒り狂うフランク。

 フランク・グリフィンは、30人の部下を従えて皆殺しをいとわない悪党。その悪党を追う連邦保安官ジョン・クック(サム・ウォーターストン)。

 町を守る保安官ビル・マクニュー(スクート・マクネイリー)と助手ホワイティー・ウィン(トーマス・サングスター)。ビル・マクニューの妹メアリー・アグネス・マクニュー(メリット・ウェヴァー)が陰で兄を助ける形になっている。メアリーは、男装でガンファイトも助手のホワイティーの腕を上回る。

 ロイ・グッドを追ってフランク・グリフィンがラ・ベルの町に近付く。騙され虐げられた女たちが立ち上がる。女の持つライフルの銃口は、建物の二階から無法者を待ち構える。

 完全な勧善懲悪劇であるが、ニューメキシコ州サンタフェで撮影され、雄大な大自然と疾走する馬の美しさに魅了された。30頭の馬が川を渡渉する水しぶきは圧倒的だったし、平原を横切るショットも砂塵を巻き上げながらの怒涛の疾走もいい。

 人間の方はというと、個性的な俳優揃いで大自然や馬に引けを取らない。1960年フロリダ生まれの脚本家・映画監督・プロデューサーのスコット・フランクによる。ロサンゼルス・タイム紙は、ハリウッドで最高の脚本家の一人と絶賛している。




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