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映画「イリュージョン LA FEMME DU VEME ’11」劇場未公開

2012-06-30 12:52:30 | 映画

                
 サスペンスと言いながら観ていてちょっとしんどい(しんどいは関西方言で、疲れてだるいの意)。題名も幻想だからちとややこしい。

 大学で教鞭をとり作家のアメリカ人トム・リックス(イーサン・ホーク)はパリにやってきた。しかもストーカー法で愛娘クロエに接近を禁じられている。どうしてそうなったのかはまだ分からない。
 元妻の警察への通報でトムはバスで姿を消す。バスで居眠りの結果、キャリーバックを盗まれ手元に小銭しか残っていない。パスポートを担保に今にも崩れそうな部屋を借りる。

 ある書店で本を眺めていたとき、作家のトム・リックスだと店主に見破られ、作家たちの集まるパーティに招待される。そこで出会ったのがマーギット(クリスティン・スコット・トーマス)だった。
 夫を亡くしたというマーギットの部屋に入ったとたんキスもなしで、いきなりジッパーを降ろし一物を握ってきた。トムは喘いだ。それを眺めるマーギットは、男をたぶらかす表情。興奮の高まりが8割がたに達した頃、彼女は離れて行った。しばらくしてベッドに誘う声がした。

 トムの借りているアパートにカフェがあってそこの若いウェイトレス、アニア(ヨアンナ・クーリグ)は、トムに興味がありそうな風情。トムの書いた本のポーランド語訳を持ってきて楽しそうにしている。じっとアニアの目を見つめトムはキスをする。そして情交を結ぶ。

 大柄な黒人の隣人とはトイレの使い方で揉めたりする。なにしろ排泄物をそのままにして知らん顔の男だ。水を流せばいいものを。その男がナイフで刺殺された。事情聴取を受けるトム。アリバイを聞かれて、マーギットと会っていたと証言する。

 ところが警部は意外なことを言い始めた。「マーギット・カダルはすでに死亡している。1991年の自殺だ。H・デュプレという男がカダルの夫と娘をひき殺した。飲酒運転の信号無視。だが、書類の不備で放免された。カダル夫人は自ら報復した。警察が到着したときには、自分の胸にもナイフを……」

 男を殺した真犯人が逮捕されトムは放免された。真犯人はアパートの経営者だった。廊下で行き交うとき経営者は「ナイフはそいつのものだ」とトムを指差した。

 マーギットの部屋を訪ねた。応答がない。管理人はずっと空き部屋だという。マーギットの甘い囁き「永遠に一緒にいて!」アニアの寂しそうな目。トムは幻想のマーギットを選んだ。さて、マーギットと男を殺したのはトムだろうか? それを暗示している。

 正常に見えてもどこかおかしい。それなら娘への接近禁止も納得させられる。そういえば映画の中で電車の運行する音と共に、絶えず耳鳴りのような音が聞こえてくる。この映画は高度な表現技術なんだろうか。私にはよく分からない。
 アイルランド、ポーランド、イギリス合作のこの映画は、2011年トロント国際映画祭特別上映作品でもあり大方の評価を得ているようだ。しかし商業的には、特に日本では冒険かもしれない。配給元は未公開を選んだのだろう。
           
           
           
           
           
           
監督
バヴェル・バヴリコフスキー1957年ポーランド生まれ。

キャスト
イーサン・ホーク1970年11月テキサス州オースティン生まれ。
クリスティン・スコット・トーマス1960年5月イギリス生まれ。
ヨアンナ・クーリグ1982年6月ポーランド生まれ。
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映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近いExtremely loud and Incredibly close’11」

2012-06-27 15:39:55 | 映画

                
 何事においても頼りにしていた父(トム・ハンクス)を2001年9月11日のテロによるツィンタワー崩壊で失った少年オスカー(トーマス・ホーン)の心の軌跡を描いてある。

 悲しみに沈むオスカーが父の部屋に入ったのは事件後初めてだった。ワイシャツ、ネクタイ、ガラクタもある。このワイシャツもネクタイももう付けることはない。ガラクタで一緒に遊ぶ日も来ない。誰よりも信頼し愛していた人の死が、これほどまでに自分を揺さぶり立ち上がれないほどの衝撃を受けるとは思っても見なかった。

 古いカメラを棚から下ろそうとして青い花瓶が落ちてきて割れた。そこに赤茶けた封筒があって開けてみると鍵が一個入っていた。封筒の表には「BLACK」とだけ書いてあった。
 これには何か意味があるのではないか。とトーマスは思いニューヨークの電話帳から、XXXX・ブラックと言う人名を拾い上げて一軒一軒訪ねて回るという難事業を開始する。

 おばあちゃんの部屋に同居する賃借人マックス・フォン・シドーとの同行訪問にはオスカーの心が動く。なにしろマックスは口が利けない。筆談だ。オスカーはあの事件以来地下鉄も恐怖の対象になっていて、マックスから長い距離を歩くのは無理だと言われて、しぶしぶ地下鉄に乗った。オスカーは、防毒マスクをかぶっていた。

 いろいろなブラックと言う人と出合った。やたらハグをする人、一言の下に拒否する人、話好きな人、同情する人、オスカーは鍵の秘密の答えを探しあぐねていた。しかし、人との交流を通じてオスカーに一筋の光明も見え始めていた。

 アメリカの9.11、日本の3.11は、激甚な喪失をもたらした。被害を受けた人々に、通り一遍の言葉を送るのは慎みたい。その人たちが望むときに望むような手を差し伸べること。これしか道はなさそうだ。脇役陣にも実力者が揃っていて見ごたえがあった。
            
            
            
       
            
            
            
監督
スティーヴン・ダルドリー1961年5月イギリス、イングランド生まれ。

キャスト
トム・ハンクス1956年7月カリフォルニア州コンコード生まれ。
サンドラ・ブロック1964年7月ヴァージニア州アーリントン生まれ。
トーマス・ホーン1997年生まれ。
マックス・フォン・シドー1929年4月スェーデン生まれ。
ヴァイオラ・ディヴィス1965年8月サウスカロライナ州生まれ。
ジェフリー・ライト1965年12月ワシントンDC生まれ。
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料理「土曜日の料理 Saturday night cooking とり胸肉のカツレツ シーザーサラダ」

2012-06-24 20:34:08 | 料理

  
 今週は、先週に引き続いてカツレツになった。このカツレツ、英語ではcutletで、フライまたはソテー用の羊や子牛の薄い切り身とある。肉なら何でもいいんだろう。

 今回は鳥の胸肉をやってみた。水曜日(20日)夜から海水ほどの塩水に漬け込んだものを、土曜日の夕方に取り出して使った。出来るだけ薄く切って、メリケン粉→溶き卵→粉チーズを混ぜたパン粉をつけてフライパンで大さじ一杯ほどのサラダ油で片面1分半づつ焼いた。
 それをじゃがいもを爪楊枝状にしたものを油できつね色に揚げた物を敷いた上にのせた。この爪楊枝状のジャガイモ料理を「ポム・パイユ」と言うらしい。わらのようなジャガイモと言う意味のようで大きなジャガイモを使ったほうがいいみたいだ。でも、家庭料理だから気にしない。

 それにシーザーサラダ。冷蔵庫にある野菜類でいい。レタス、きゅうり、アボガド、トマトそれにカリカリのベーコンとクルトンを散らし温泉卵を添える。料理時間が2時間。結構疲れる。家庭の主婦は大変だろうな、と思う瞬間だ。特に共働きの女性にとっては。たとえ料理時間が30分であろうとも。多くの女性から男の料理は、お金がかかり後片付けをしないのでありがた迷惑だという声も聞こえる。私はちゃんと後片付けをするようになった。と自分では思っている。

 さて、問題は出来上がった料理の味だ。とり胸肉のカツレツは、肉が柔らかくパサパサ感がないのがいい。しかし、胸肉そのものは味がない。何度も作りたい代物ではなさそうだ。肉にチーズを挟んでフライがよかったかもしれない。
 それにシーザーサラダの温泉卵。黄身がもう少しトロリとすればよかったと思う。まだ、残りの胸肉があるので、陰干しのあと燻製にしようと考えている。ワインを飲みながら、ふと考えていた。食欲がある限り今しばらく生き続けるんだろうなあと……。今回は、一番美味しかったのはフランスパンだった。
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映画「ザ・バンク 堕ちた巨像 The International’09」劇場公開2009年4月

2012-06-21 10:55:29 | 映画

                 
 巨大銀行がミサイル誘導装置を購入? 国際的巨大銀行IBBCの不穏な動きを追っているインターポール(国際刑事警察機構)捜査官サリンジャー(クライヴ・オーウェン)は、ベルリン中央駅前で同僚捜査官の突然の死を目撃する。何者かに殺害されたのは間違いない。

 ニューヨーク検事局のエレノア(ナオミ・ワッツ)との連係プレイだったが、地元警察の協力が薄い中リヨン、ルクセンブルグ、ニューヨークへIBBCを追う。このニューヨークと言う都市、ヨーロッパの各都市に比べ頻繁に題材に取り上げられ見慣れているせいかクライム・サスペンスでは存在感を示す。

 正義や善意や悪意をも併せ呑む底なしの巨大都市に潜む狙撃者。それを狙う謎の殺戮集団。美術館での派手な銃撃戦は、ほとんどケリがついたあと、NYPDのパトカーがサイレンを鳴らしながら到着するという間抜けな場面もある。
 不要なものを捨てるように、人も消されていく。サリンジャーとエレノアがラブ・ロマンスに発展しない骨太な男臭い映画となっている。それにIBBCを追うには、司法の範囲内では不可能で枠外に出ないとならない。そういう結末だった。気晴らしには格好の映画。

 それにインターポールのホームページを覗いてみると日本人の指名手配犯が男女取り混ぜて16名いた。日本国からの捜査依頼にはなっていないようだ。カナダ、アメリカ、中国、タイなど。犯罪の種類は、詐欺、誘拐、性犯罪が主なところのようである。

 もう一つ、知りえたのはインターポールには逮捕権がないということだ。各国の警察機構へ情報の提供を行うのが任務と言う。しかし、実際面はどうなんだろう? 想像するに犯人を追い詰め地元警察の対応次第で犯人を取り逃がす懸念がある場合には逮捕するのかもしれない。それが現実的に思えるが。あらぬ心配は必要ないだろけど……。
            
            
            
            
            
            
            

監督
トム・ティクヴァ1965年5月ドイツ生まれ。

キャスト
クライヴ・オーウェン1964年10月イギリス、コヴェントリー生まれ。
ナオミ・ワッツ1968年9月イギリス、ショアハム生まれ。
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映画「グレイティストThe Greatest’09」劇場未公開

2012-06-18 16:18:38 | 映画

                 
 最愛の息子ベネット(アーロン・ジョンソン)を交通事故でなくしたあと、その恋人ローズ(キャリー・マリガン)が妊娠したといって家に転がり込んでくる。
 ベネットの父アレン(ピアース・ブロスナン)母グレース(スーザン・サランドン)弟ライアン(ジョニー・シモンズ)ともどもなんとなくローズを受け入れる。
 この辺は古い日本人としてはよく分からないところだ。ローズの家庭環境も分からないし、今は亡き恋人の家に転がり込む目的も分からない。

 グレースは息子を失った痛手から精神的な落ち込みがひどい。グレースだけではない。表面的には日常と変わらないが、アレンもライアンも気持ちの整理に戸惑っている。そんな家庭に無神経にも転がり込むという設定がよく分からない。かなり乱暴な構成に思えてならない。
 このローズを演じるキャリー・マリガンが結構可愛いいので観ている方もなんとなく許してしまう。映画は予想通り女の子が生まれてハッピーエンドと相成る。
劇場未公開は妥当なところだろう。
            
            
            
            
            
            

監督
シャナ・フェステ1976年8月ロサンジェルス生まれ。この作品のほかに’10「カントリー・ストロング」があるが、これも劇場未公開になっている。

キャスト
ピアース・ブロスナン1953年5月アイルランド生まれ。
スーザン・サランドン1946年10月ニューヨーク市生まれ。’95「デッドマン・ウォーキング」でアカデミー主演女優賞受賞。
キャリー・マリガン1985年5月イギリス生まれ。’09「17歳の肖像」でブレイク。
アーロン・ジョンソン1990年6月イギリス生まれ。
ジョニー・シモンズ1986年11月アラバマ州モントゴメリー生まれ。
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料理「土曜日の料理 Saturday night cooking ポテトのサーモン包み ミラノ風カツレツ」

2012-06-17 06:42:55 | 料理

       
 レシピは勿論ネットから取り入れ、自分の食べたいものを選ぶ。それも出来るだけ少し手間のかかるものにする。どうしてかと言うと、たまにしか料理をしないのに、簡単なものでは食材や食器に悪い気がするから……。
 かと言って本格フランス料理なんてとても無理。それらしきもので満足するしかない。しかし、食べて美味しければ、まあ納得というわけ。

 さて今宵の食材は、スモークサーモン、豚ロース肉、アンチョビソース、パセリ、ケーパー、レモン、ルッコラ、粉チーズ、オリーヴオイルと塩・コショウ。

 さて出来上がった「ポテトのスモークサーモン包み」は、悪くない。自分で言うのはナンだけど、美味しかった。熱いジャガイモをつぶしてマヨネーズ適量(勿論、市販のマヨネーズ)とアンチョビソース適量(キューピーの製品)に塩を少し加えて冷蔵庫で寝かせる。適量と言うあいまいな表現なんだけど、それは自分の好みと言っていいい。本当に適当に入れたよ。このアンチョビソースが効いたのかコクのある味なった気がする。
 たまねぎを細く切って水にさらし洋からしと砂糖、塩、こしょうにレモンと酢、オリーヴ油を混ぜたドレッシングもgood。パセリとケーパーを散らせばお金が取れるかもね。
 ああ、蛇足ながらサランラップにサーモンを載せてその上にポテトを丸めて置いて茶巾絞りにすれば格好良くできる。

 「ミラノ風カツレツ」はどうか。豚ロース肉をラップに包んで2倍ぐらいに薄く伸ばす。とんかつの要領でメリケン粉、溶き卵をくぐらせて粉チーズを混ぜたパン粉をつけて、フライパンで大さじ二杯程のサラダ油で揚げ焼く。肉そのものは塩・コショウだけのあっさりしたものだが、一口大のトマトにニンニクと塩をふりかけ、しばらく寝かしたものにオリーブ油とルッコラを混ぜる。肉とこのルッコラを一緒に口に入れると独特の風味が肉を引き立たせる。

 これに白ワインがあれば何も言うことはない。むしろ一挙に50年ほどタイムスリップして考えられないほど若くなる。色白で笑顔の可愛いい彼女。「ああ、ずいぶん昔のことだなあ!」そういう空想に満たされる。こういうときにはやはりBGMが必要。私はやっぱりビル・エヴァンスを選ぶ。曲はロマンティックなのがいいから、「My foolish heart」かな。その曲をどうぞ!
Bill Evans-My Foolish Heart

 なお、レシピは、gooのグルメ&料理から「(料理教室)予約制ランチ・レストラン ニシノ」と「モン アトリエ」を使いました。
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映画「ラブ・アゲインCrazy, Stupid, Love ’11」劇場公開2011年11月

2012-06-15 14:15:10 | 映画

                
 どたばたコメディを象徴するような、馬鹿げていて愚かであっても最後に愛は笑う。ウィーバー家の子守ジェシカ(アナリー・ティプトン)は、この家の主人キャル・ウィーバー(スティーヴ・カレル)に片思いを寄せる。この年上のジェシカにキャルの息子ロビー(ジョナ・ボボ)が恋心を抱いている。

 そのウィーバー夫妻、キャルとエミリー(ジュリアン・ムーア)はレストランでメニューを睨んでいた。キャルの服装は、ニューバランスのジョギング・シューズと体に合わないジャケットと言う出で立ち。全く垢抜けしない野暮天スタイル。
 料理が決まらないので二人同時に注文しようということになった。1,2,3……「あなた、離婚して欲しいの?」エミリーが言った。

 キャルはびっくり仰天。洒落たバーで野暮な服装のキャルは、大きな声で愚痴っていた。それに気持ちを動かされたのがジェイコブ(ライアン・ゴズリング)だった。
 ジェイコブは、父の莫大な遺産で悠々自適の独身男で、暇を見つけては女を引っ掛けているプレイ・ボーイ。暇に任せて一肌脱いでキャルに持て男に変身させようと企む。

 まあ、この手の話は途中でドタバタがあっても最後はハッピーに終わるのがいつものこと。出てくる美女を眺めるだけでも良しとしないとね。何にも残らない映画が多いが、これもその一つ。キャルの浮気相手が息子ロビーの学校の教師ケイト(マリサ・トメイ)や隣人で親友のバーニー(ジョン・キャロル・リンチ)との喧嘩や、それにジェイコブの結婚相手となるキャルの長女ハンナ(エマ・ストーン)に妻エミリーの浮気相手にデイヴィッド(ケヴィン・ベーコン)など目まぐるしい。
         
         
         
         
         
         

監督
グレン・フィカーラとジョン・クレア

キャスト
スティーヴ・カレル1962年8月マサチューセッツ州生まれ。’05「40歳の童貞男」がヒット
ライアン・ゴズリング1980年11月カナダ、オンタリオ州ロンドン生まれ。
ジュリアン・ムーア1960年12月ノースキャロライナ州生まれ。’97「ブギー・ナイツ」や’02「めぐりあう時間たち」などの実力女優。
エマ・ストーン1988年11月アリゾナ州生まれ。
ジョン・キャロル・リンチ1963年8月コロラド州ボールダー生まれ。
マリサ・トメイ1964年12月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
ケヴィン・ベーコン1958年7月ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれ。
ジョナ・ボボ1997年1月ニューヨーク市生まれ。
アナリー・ティプトン1988年11月ミネソタ州ミネアポリス生まれ。
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映画「J・エドガーJ. Edgar’11」劇場公開2012年1月

2012-06-12 14:48:25 | 映画

                 
 アメリカ連邦捜査局(FBI)に48年の長い在職期間を持つJ・エドガー・フーバーの伝記を映像化したのがクリント・イーストウッドだ。映画は、J・エドガーが回顧録を口述筆記のそれぞれの場面に沿って若い時代を描いてある。

 図書館員時代、本の検索をスピーディに行う方法を考えたりして現状をよりよいものにしようと言う意欲に溢れていた。FBIの組織を見直して効率化したり、科学捜査の手法も取り入れたりした。反面、盗聴などの違法行為で有名人や政財界の自分と敵対する人間を恫喝していた。
 同じ人間が好ましい進歩的な面と暗い闇のような心奥を併せ持つ様をじっくりと描き込んである。

 FBIというと派手な逮捕劇を想像するが、この映画ではそれがかなり抑えられていて、単に説明のための一齣に過ぎない。J・エドガー・フーバーをマザコンであり同性愛者であったことも、それに生涯の友クライド・トルソン(アーミー・ハマー)の言う「君の口述原稿を読んだ。カービス逮捕は君じゃない。デリンジャーを殺したのは君じゃない。パービスだ。君が栄誉を独り占めした。“マシンガン”ケリーは、“撃つな、Gメン”とは言わなかった。君の創作だ」これは自己顕示欲の表れなのかもしれない。

 彼は母親(ジュディ・デンチ)から常に「エドガー、強くなりなさい」と言われ続けていた。従って盗聴と言う行為も強くなるためのパワーとして利用したのかもしれない。生涯独身だったエドガーではあるが、最初に出会ったヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)を口説いたとき、ヘレンから「結婚に興味はない」と断られたが、「じゃあ、私の秘書になってくれ」と言う言葉からエドガーの死後まで忠実な秘書を勤め上げた。
 エドガーが生涯信頼したのは、クライド・トルソンとヘレン・ギャンディの二人だった。一体このエドガーとヘレンの男女の感情はどういうものなのだろうか。エドガーは、同性愛者だから二度と求婚しないのはわかるが、ヘレンの感情はどうだったのだろう。

 ヘレン役のナオミ、・ワッツのインタビューでは、ヘレンの資料が少なくて恋愛感情があったのかどうかも判然としないという。映画の印象からは、ナオミ・ワッツは恋愛感情があったとして演技していたように思う。そのせいなのか膨大な極秘資料をシュレッダーにかけるラスト・シーンは余情の残るものになった。
             
             
             
             
 クリント・イーストウッドのもう一つの興味に取り上げる音楽がある。この映画でも導入部にピアノ曲が流れるが、イーストウッドの作曲なのだろう。エンディングでは、なんと「Red sails in the sunset夕日に赤い帆」ではないか。私もこの曲が好きで聴いているとなんとなくロマンティックな気分にさせられる。そうでしょう? 想像してくださいよ。風も穏やかな夕暮れ。一艘の赤い帆を揚げたヨットが滑るように海面を流れる。落日の黄金色が若い二人に纏わりつきそっと口づけを交わす。そんな平和なため息の出る風景が浮かんでくる。

 この曲は、1935年ビング・クロスビー、ガイ・ロンバード、ジャック・ジャクソン、マントヴァーニなどが演奏している。イーストウッドがこの曲をとりあげた意図はよく分からないが、彼が生まれたのが1930年だから、この曲が世に出たときは5歳になっている。両親がこのレコードをかけていて印象に残っているのかもしれない。その曲をジョニ・ジェイムズでどうぞ!
"Red Sails in the Sunset" Joni James


監督・音楽
クリント・イーストウッド1930年5月サンフランシスコ生まれ。

キャスト
レオナルド・ディカプリオ1974年11月カリフォルニア州ハリウッド生まれ。
ナオミ・ワッツ1968年9月イギリス、シュアハム生まれ。
アーミー・ハマー1986年8月ロサンジェルス生まれ。
ジュディ・デンチ1934年12月イギリス、ヨーク生まれ。’98「恋に落ちたシェイクスピア」でアカデミー助演女優賞受賞。
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映画「幸せの行方All good things’10」劇場公開2012年1月

2012-06-09 10:38:42 | 映画

                 
 実話がベースのミステリー。デイヴィッド・マークスは、折角愛する女性ケイト(キルステン・ダンスト)とヴァーモント州で健康食品の店「All Good Things」を開いたのに、強引な父スタンフォード(フランク・ランジェラ)の説得によりニューヨークで父が経営する不動産業を手伝うことになった。

 祖父の時代には農場だったところにアパートやビルを建てて不動産業を営むマークス家は、ニューヨーク屈指の富豪の一角だった。しかし、小ぎれいなビルが立ち並ぶなかで、マッサージ店、のぞき小屋、ポルノ劇場などマークス所有のビルはいかがわしいものだった。

 勤め始めるが徐々にデイヴィッドは変わりつつあった。妊娠を喜ばないうえ堕胎を選び、精神の不安定さも現れてくる。やがてケイトが家を出て行方不明になる。映画は、実話のケイトが今も行方不明なのが、思い切った結末を示せないでいる。
 デイヴィッドの手によって殺したのかもしれないという仄めかしをするしかないのが限界だろうか。ゆっくりとしたテンポで画面は流れていくが、いま一つ吸引力に欠ける気がする。
こういう題材の扱いは難しいのかもしれない。
          
          
          
          

監督
アンドリュー・ジャレッキー詳細不明

キャスト
ライアン・ゴズリング1980年11月カナダ、オンタリオ州ロンドン生まれ。’04「君に読む物語」でブレイク。
キルステン・ダンスト1982年4月ニュージャージー州ポイントプレザント生まれ。
フランク・ランジェラ1938年1月ニュージャージー州生まれ。
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映画「ヒトラーの贋札 DIE FALSCHER(The Counterfeiter)’07」劇場公開2008年1月

2012-06-05 13:26:19 | 映画

                 
 第二次世界大戦が終わったモンテカルロの海岸。一人の男が何かに思いを寄せながらタバコを吹かしていた。その男、サロモン・ソロヴィッチ通称サリー(カール・マルコヴィックス)という。偽造パスポートほか偽札作りの名人と言われている。

 パリ・ホテルに部屋を取り散髪と新しいスーツで見違える男に変身。カジノのポーカー・ゲームで大金を巻き上げる。一人の女(ドロレス・チャップリン)と目が合い部屋で一夜を過ごす。翌朝、陽光輝くホテルのテラスで過去に思いをめぐらす。

 ザクセンハウゼン強制収容所でポンド札の贋造に従事していた。特別待遇を受けたその道のプロ、印刷や絵描き彫師たち。ナチスは贋札で英国の経済を混乱させようと「ベルンヘルト作戦」を画策し実行していた。そして、英国の銀行での鑑定は本物と保証された。

 ヒトラー総統の御意に報いて喜びをあらわにするヘルツフォーク親衛隊少佐(デーヴィト・シュトリーゾフ)は、気前がよかった。仲間の中に贋札製造に批判的な男もいた。
「命を賭して正義を貫くべきだ。この作業が終われば我々は殺されるんだぞ!」
「 いや、生きてこそいずれ正義を貫ける。今の銃殺よりあとのガス殺を選ぶよ」とソロヴィッチが言う。

 それぞれの苦悶を抱えながら一日一日をやり過ごす毎日。やがてドル札の贋造に取り掛かる。親しくしている美術学校出の若者が結核にかかった。同房の医師から薬のリストをもらい、呼び出しを受けた親衛隊少佐の家に赴き、そこでドル札製造をせっつかれる。
 ソロヴィッチはドル札完成と薬の交換を条件として応諾する。完璧なドル札が完成した。しかし、若者は親衛隊兵士によって射殺される。
 その兵士は、「感染を防ぐためにやったんだ。お前たちのためにな!」。畜生あの少佐が口外しやがった! とソロヴィッチは悔しがる。やがて連合軍の砲撃音が身近に感じられるようになった。
 そんなある夜、ソロヴィッチはドル札を持ち逃げしようとしたヘルツフォーク少佐を追い詰める。こいつのために若者が殺されたんだ! 

 そしてモンテカルロのカジノ。ポーカーではプロ級の腕を持つソロヴィッチは負けることがない。しからば、ルーレットはどうか。滅多やたらにチップを置きまわる。それでも金が増える一方だった。あの忌まわしいドル札をすべて使い果たそうとしているがうまく行かない。
 ソロヴィッチは席を立った。「換金なさいますか?」ディーラーの言葉に「君たちが取っておけよ」 

 再び夜の海岸。昨夜会った女が言う「不運な人 大金を……」女を抱き寄せ浜辺でタンゴを踊る。女が未練たらしく「あんな大金を……」「金は造れる」波の音と夜風が頬を撫でる。エンディングのナレーションは、「偽ポンド札は、1億3200万造った。英国外貨準備額の4倍だ。ドルを小額に抑えたのは彼らの手柄だ。ベルンハルト作戦は、史上最大の贋造であった」
 多分ソロヴィッチは、その後の生涯で偽札は作らなかっただろう。本作は、2007年アカデミー外国語映画賞を受賞している。
           
           
           

監督
ステファン・ルッォヴィッキー1961年12月オーストリア、ウィーン生まれ。

キャスト
カール・マルコヴィックス1963年8月オーストリア、ウィーン生まれ。
デーヴィト・シュトリーゾフ1973年10月ドイツ生まれ。
ドロレス・チャップリン、チャールズ・チャップリンの孫娘。
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