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まるで若草物語「いつか晴れた日に」1995年制作

2016-12-31 15:58:54 | 映画

               
 映画「若草物語」はテレビ映画一度を含めれば、四度映画化されている。四人の姉妹が成長する物語。
 特に3度目の映画化になった1949年制作では、エイリザベス・テイラーの美貌にはしばらく放心状態なった記憶がある。世の中にこんな美女がいるのか? 一緒に行った彼女が凄くみすぼらしく思えたのは、私の傲慢だったと今は思う。しかし、彼女のほうも映画の中の男優を見ながら、私のことをみすぼらしいと思っていたかもしれない。そうであればお相子だが、ここはごめんなさいねとそのときの彼女に謝りたい。

 で、長女というのは、思慮深くて冷静で気品も備わっているというキャラクターは、「いつか晴れた日に」も生かされている。こちらは三人姉妹で長女をエマ・トンプソンが演じる。はっきりものを言う次女をケイト・ウィンスレット、お転婆の三女をエミリー・フランソワが演じる。こちらは成長物語と言うより婿取物語といってもいい。

 その婿になりそうなのは、アラン・リックマン、ヒュー・グラント、グレッグ・ワイズたち。娘三人を嫁がせるのは容易ではない。ましてや遺産相続の恩恵に浴していないとなれば尚更。笑わせ、ハラハラさせ、最後に涙ぐませる憎い作品となっている。

 私は二度目の鑑賞になるが、ストーリーは覚えていてむしろ背景音楽に気持ちが移った。音楽担当がパトリック・ドイルで、本作ではアカデミー賞の音楽賞にノミネートされた。

 それにヒュー・ローリーを見つけて、あの「ドクター・ハウス」の天才医師がパーマー氏としてちょこっと出ているのも、20年という時間は人を変えるもので、古い映画を観る一つの楽しみかもしれない。1994年制作の「若草物語」にしても、TVドラマ「ホームランド」の主役を演じるクレア・ディンズがベス役で出ているという具合。この映画も観たくなった。

 

 

 

 さて、ここで耳に優しい音楽を……サウンド・トラックからパトリック・ドイルの「The Dream」をどうぞ!
       
監督
アン・リー1954年10月台湾生まれ。2005年「ブロークバック・マウンテン」、2012年「ライフ・オブ・バイ/トラと漂流した227日」でアカデミー賞監督賞受賞。本作は1996年ベルリン国際映画祭で金熊賞受賞。

音楽
パトリック・ドイル1953年4月イギリス、スコットランド、アッディンストン生まれ。本作でアカデミー音楽賞にノミネート。

キャスト
エマ・トンプソン1959年4月イギリス、ロンドン生まれ。1992年「ハワーズ・エンド」でアカデミー主演女優賞受賞。本作では脚色賞を受賞。
アラン・リックマン1946年2月イギリス・ロンドン生まれ。2016年1月没。
ケイト・ウィンスレット1975年10月イギリス、イングランド、バークシャーレディング生まれ。2008年「愛を読むひと」でアカデミー主演女優賞受賞。
ヒュー・グラント1960年9月イギリス、ロンドン生まれ。
グレッグ・ワイズ1966年5月イギリス、ニューキャッスル生まれ。エマ・トンプソンは妻。テレビ界から映画に初出演。妻の威光を借りたか。
ヒュー・ローリー1959年6月イギリス、オックスフォード生まれ。
エミリー・フランソワ出自不詳。

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洒落た落ちがあるラブ・ストーリー「瞳の奥の秘密」2009年制作のアルゼンチン映画

2016-12-21 17:23:31 | 映画
                  
 銀行員の妻がレイプされ殺されたモラレス事件を通して裁判所勤務の男女の愛を、今時珍しい雰囲気で描く。今時珍しいと言ったのは、出会ってすぐに寝る男と女が多い中にあって、それとは無縁の男と女だから。

 裁判所をリタイヤしたベンハミン・エスポシト(リカルド・ダリン)は、意外な結末を迎えたモラレス事件を題材にイレーネ(ソレダ・ビジャミル)との愛を形にしておきたいと思った。その小説の中味を描いてみせたのがこの映画。

 目が主要なテーマとなれば、カメラは執拗に目の表情を追う。25年前の最初の出会いは、新しく配属されてきたイレーネを見たエスポシトの目はイレーネを見つめて動かない。「コーネル大よ」というイレーネの瞳も聡明で微笑んでいた。

 事件の犯人は苦労の末、逮捕にこぎつけた。一旦は刑務所に収監されたが、事件課の行政命令により釈放された。イレーネとエスポシトは、担当のロマーノに抗議するが、このしたたかな男は「服役中にわれわれに協力し始めた。ゲリラの情報を掴んだりした。いい仕事をした。何か不満かね」
「事態を理解してます? 殺人犯なんですよ」とイレーネ。
「かもしれん。だが賢い勇敢な男だ。家に侵入し仕事をする。彼の私生活に関心はない。破壊分子を捕らえるほうが先だ。悪人も役に立つ」

 さらにエスポシトに向かって「なぜイレーネと来る。自分を守るためか? 彼女はお前とは関係ない。彼女は法学博士だがお前は高卒だ。金持ちと貧乏人。価値のある人間とない人間。彼女は守られている。お前は違う。生きる世界が違うんだ。俺に文句があるなら、一人で来い」なんともはや、なけなしのプライドをずたずたにされたエスポシト。

 心の動揺が収まらず廊下で出会ったイレーネに「私を避けないで、同じ世界の人間よ」と言われても「だといいが」アルゼンチンが階級社会なのかどうかはまったく知らないが、そんな風にも思える。いうなれば富裕層のイレーネ、労働者階級のエスポシトという図式。

 酒飲みで酔っ払いの同僚パブロ(ギレルモ・フランカーヤ)が、エスポシトと間違われて射殺されたのをきっかけに、イレーネはエスポシトをブエノスアイレスから1500キロ離れた遠隔地フフイ州の裁判所に転勤させる。ロマーノの指示で動く悪党にパブロは殺されたと信じているからだ。

 別れのプラットホームの場面は大メロドラマ。軽くハグで別れようとするが、お互いの感情はキスを求めた。だが、エスポシトは頬と頬を合わせただけで「さよなら」と言って列車のデッキに立った。

 BGMはロマンティックなピアノの旋律。やがて列車は動き出す。イレーネの感情は激情と化す。列車を追いかけ窓に手のひらをくっつける。それに重ねるエスポシトの手のひら。列車は速度を上げる。最後尾に走りよったエスポシトは、駆け続けるイレーネを凝視する。ここで私は思った。さっさと降りてイレーネを抱きしめろよと。イライラするけど脚本はわざと観客をイラつかせるつもりらしい。

 25年後の二人は、エスポシトの家で小説の原稿をイレーネが読んでいる。エスポシトは感想をせっつく。
イレーネ「男がフフイへ旅立つところよ。男は涙を流し、女は最愛の人を見送り、汽車を追う。二人は窓越しに手を合わせ、女は涙をこぼす。まるで未来は灰色であるかのように。まるで最大の愛を告白できなかったように」
エスポシト[その通りじゃないか」
イレーネ「だとしたら、なぜ一人で去ったの? いくじなし」
エスポシト「男はその後、高原でリャマを教えて暮らす。君は検事に昇進、2児の母、そう書いて欲しい? 男はフフイの美人と結婚し首都に帰る。いい女だった。だが愛せなかった」
イレーネ「後味の悪い小説ね」
エスポシト「最悪だ。いいか、同じ過ちを繰り返したくない。何とかしたい。25年間自問自答を繰り返してきた。忘れろ、すべては過去だ。考えるな。だが出来ない。過去じゃない。今も続いている。知りたい。この虚しさは何だ。この空虚をどう生きればいい。どうすればいい」イレーネは無言だった。

 小説の書き始めに夜中に飛び起きてメモした紙が残っていた。それには「Temo怖い」とある。本人もなにが怖いのかよく分からない。リタイヤ後初めてイレーネの検事室を訪れたとき、古いタイプライターをくれた。そのタイプライターには「A」が欠けているとも言った。

 小説の原本を綴じているとき、そのメモを取り上げてAを加え「TeAmo愛してる」に変えた。Aは欠けていたものを補うと言うエスポシトの心の現われ。

 検事室のドアを開けた。「話がある」エスポシトの目を見てイレーネは理解した。愛を告げに来た。「簡単じゃないわよ」「構わない」イレーネの瞳に浮かぶ万感の思い。[扉を閉めて」

 この二人が若くして結婚していたら幸せだっただろうか。学歴の差や出自について腫れ物のように扱いづらかったかもしれない。今、老境に近づいて今のイレーネ、そして今のエスポシトそのものが大事で余計な履歴は必要ない。それを認め合う二人がここにある。久しぶりにずしりと思い愛の形を観た。2009年アカデミー賞外国語映画賞を受賞。ちなみにアルゼンチンでは大ヒットしたという。

  
 

  
 
  
 
  

監督・脚本ファン・ホセ・カンパネラ1959年7月アルゼンチン生まれ。TVドラマ「Dr Houseドクター・ハウス」シーズン1~6を監督。最近では二コール・キッドマン、ジュリア・ロバーツの2015年「シークレット・アイズ」のオリジナル脚本を担当。

キャスト
リカルド・ダリン1957年1月アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。
ソレダ・ビジャミル1969年6月アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。
パブロ・ラゴ1972年9月アルゼンチン生まれ。
ハビエル・ゴディーノ1978年3月スペイン・マドリード生まれ。
ギレルモ・フランカーヤ1955年2月アルゼンチン生まれ。
カルラ・ケベド1988年4月アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。

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あっ! と声を出した衝撃のラストは忘れられない「或る終焉CHRONIC」2015年制作 劇場公開2016年5月

2016-12-17 16:45:15 | 映画

               
 背景に流れる音楽が一切ない。鳥の鳴き声、車のエンジンをかける音、車の走行音、ウィンカーの音、水が流れる音、足音、テレビ放送の音、食器を揃える音など日常の生活音だけ。考えてみると私たちの生活そのものが、そういう音に囲まれている。ロマンティックな音楽が流れているわけではない。物凄くリアルで自分が演じているような錯覚を覚える。

 オープニングはまるでミステリー。車のフロント・ガラス越しに、ある家の駐車場の車を誰かがじっと見つめている。朝なのか鳥のさえずりだけが聞こえる。やがて出てきた若い女性がエンジンをかける。エンジンの音は、ちょっと古い車のようだ。バックで出した車は通りを走り出す。

 監視していた車も追尾する。カメラは徐々に運転席に移動する。運転しているのはデヴィッド(ティム・ロス)だ。前の車はウィンカーを出して右折する。

 そこでぱっと画面が変わりデヴィッドの後姿。デヴィッドはパソコンでナディア・ウィルソンの写真をスライドショーで眺めている。後でわかることだがこのナディア・ウィルソン(サラ・サザーランド)は、デヴィッドの娘だった。デヴィッドは妻や娘と別れ、息子の死と共に疎遠となり今は一人暮らし。

 次の場面に移るとやせ細った女性が全裸で浴室の縁に腰掛けている。目をつむり頭は壁に寄りかかっている。この女性は、サラ(レイチェル・ピックアップ)という。

 水が蛇口から流れる音がする。男がその女性の体を洗っている。男は、デヴィッドだった。デヴィッドは末期の患者の世話をする看護師だ。

 寡黙で献身的なデヴィッド。多くの信頼を得ているが、ジョン(マイケル・クリストファー)の家族は違った。セクハラで訴えると所属の会社に通告があったという。男同士の気安さでジョンにポルノ映像を見せていたのが家族の顰蹙を買ったのかもしれない。家族はデヴィッドがジョンを操っていると思っているらしい。如何に献身的であっても、家族以上の親密さは誤解を招く。デヴィッドは解雇される。

 そしてマーサ(ロビン・バートレット)の介護を引き受ける。彼女はガンが腸に転移していて深刻な事態だ。化学療法の効果も薄く、マーサは継続的な治療を拒む。そしてデヴィッドに「あなたの息子さんのように私を逝かせて!」とマーサ。ここで妻や娘と別れた理由が判明する。

 しかし、一旦は断るデヴィッド。車で追っていって医学部に通う娘ナディアに声をかける。妻とも会話が復活する。かつての息子の部屋で佇むデヴィッド。そこでマーサの意志を受け入れる決断をする。

 きちっとした服装で横たわるマーサ。腕から薬物を注入するデヴィッド。会話はまったくなく、薬物を袋から出す音と終わった後、マーサの脈を見てカバンのファスナーを締める音だけ。外に出てカバンを自分の車に放り投げて、携帯でどこかへ「マーサは、心停止した」と告げる。

 患者の身になって痛みの分かるデヴィッドならではの結論だろう。この安楽死は、アメリカでは法的に認めている州もあるというから、単なる医療行為として描かれているのだろう。やがて衝撃的な結末へと導かれることになる。重いテーマではあるが意外に暗さが感じられない。原題の「CHRONIC」は長患い。

 

 

監督
ミシェル・フランコ1979年メキシコ生まれ。2015年カンヌ国際映画祭で本作が脚本賞を受賞。

キャスト
ティム・ロス1961年5月ロンドン生まれ。
サラ・サザーランド1988年2月ロサンジェルス生まれ。父はTVドラマ「24」で有名なキーファー・サザーランド。
レイチェル・ピックアップ1973年7月ロンドン生まれ。
ロビン・バートレット1951年4月ニューヨーク市生まれ。
マイケル・クリストファー1945年1月ニュージャージー州生まれ。

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アパラチアン・トレイルを老境に入った男二人が行く「ロング・トレイル!」2015年制作

2016-12-15 16:00:25 | 映画

               
 ノンフィクション作家ビル・ブライソンの紀行本「ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験 北米アパラチア自然歩道を行く」が原作。

 州都アトランタのジョージア州スプリンガー山を南端とし、州都オーガスタのメイン州カタディン山を北端とした全長約3500キロの長距離自然歩道アパラチアン・トレイルを歩こうと思い立ったのがビル・ブライソン(ロバート・レッドフォード)。

 そのきっかけと言うのは、知り合いの葬儀から帰宅したビルが散歩をしてくると言って森の道をブラブラと歩いていた。「アパラチアン・トレイル」の標識が目に入った。右スプリンガー山2830キロ 左カタディン山495キロとある。ビルの口元がほころぶ。「本の原稿も書かないし、人生最後の挑戦がいいかも」と思ったのかもしれない。

 ビルが住んでいるのは、ニューハンプシャー州ハノーバーという町。この町をアパラチアン・トレイルが横切っている。案の定、妻キャサリン(エマ・トンプソン)は猛反対。凶暴な熊が出るだの、怪しいばい菌に犯されるだの、怪我も怖いと悲観的なメモを机に並べる。

 ビルの意志が固いと見て「一人ではダメ」ということでビルは友人・知人に誘いの電話をかける。トレイルを歩こうと思う男は誰もいない。ある日突然電話をかけてきたのは、ヨーロッパで600ドルの貸しがあるスティーヴン・カッツ(ニック・ノルティ)だった。

 こうして二人は、ジョージア州から北上することになった。高齢と言ってもいい二人だから、歩き始めて400メートルと行かないうちによろよろとして危なっかしい。あとから小学生の団体が走るように登って行く。「クソガキめ!」と二人は悪態をつく。この気持ちはよく分かる。自分の体の退化をはっきりと見せられて、鬱憤を「クソガキめ」に託したと言うわけ。

 男が二人、木々に囲まれた坂道を喘ぎながら登るが、口からついて出てくるのは愚痴めいたことや過去の女の話。カッツが顕著。カッツは太った女が好きで沿道のモーテルに泊まっていたとき、コインランドリーで太った女性から「パンティが絡まったからとって」と言われ引き抜いたがボロボロになった。
 これが縁で待ち合わせた。ところが現れたのが夫同伴、その夫に追いかけられることになった。ほうほうの体で逃げ出した二人。

 それでも疎遠だった二人が言葉を交わすうちに親密度が増す。「600ドルの借りはいずれ返す」とカッツ。カッツはバスに乗って去っていった。自宅に戻ったビルを迎えたのは力任せに抱きついてきた妻のキャサリン。

 途中で断念したアパラチアン・トレイルではあるが、グリズリーを撃退したり、口やかましい女から逃げたり、一枚岩からの素晴らしい眺望も楽しんだし、滑落して断崖の上での想い出の一夜などの体験で生気を取り戻したビルがパソコンの画面に「A Walk in the Woods」とタイプした。書かないと言っていた本のタイトルであった。

 アパラチアン・トレイルにはこんな標識もある。「Please pee in the woods。Not in the Outhouse!」

 それでね。登山者はネコや犬の排便始末に使うような小さなスコップを携帯している。用足しにはトイレットペーパーとスコップが必需品。

 こういう映画を観ていると登山に熱中していた頃を思い出す。登りは苦しかったなあとか、下りは足が痛かったなあだよ。それでもまた行くんだからね。

 そしてもう山は充分、海を見ながらのんびりがいい。茫洋とした太平洋もまた味わいがある。 と思っているのは最近の私。劇場公開2016年7月

 

 

 



監督
ケン・クワピス1957年8月イリノイ州生まれ。

キャスト
ロバート・レッドフォード1936年8月カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。1980年[普通の人々」でアカデミー賞監督賞を受賞。
ニック・ノルティ1941年2月ネブラスカ州オマハ生まれ。1998年「白い刻印」でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。
エマ・トンプソン1959年4月イギリス、ロンドン生まれ。1992年[パワーズ・エンド」でアカデミー賞主演女優賞受賞。

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007ジェームズ・ボンドを真似たかのような「トランスポーター ザ・シリーズ」2012年制作のTV映画

2016-12-13 20:17:05 | 映画

                
 2002年リュック・ベッソン脚本、ジェイソン・ステイサム主演の「トランスポーター」のテレビ向けリメイク版。

 ボーイッシュで魅力的なカーラ・ヴァレリ(アンドレア・オズヴァルト)の軽快なキータッチで、ある人物の過去・現在をトランスポーターいわゆる運び屋フランク・マーティン(クリス・ヴァンス)に的確に伝えると共に行くべき方向まで指示してサポートをする。

 [契約厳守」「名前は聞かない」「依頼品は開けない」に付け加えれば、運ぶ荷物の種類を問わない。秘密は固く守る。定刻に必ず届ける。運ぶ運賃はかなり高額。したがって一般の庶民はお呼びじゃない。

 金持ちかあるいは裏社会の怪しい連中の依頼が多くなる。一話毎のパターンは決まっていて3代目アウディS8が疾走する場面から入る。

 アウディS8は、520馬力、8速AT,最高速度250Km/h、価格1580万円という高級車を惜しげもなく無茶苦茶走らせるという痛快な映画。主役はこのS8じゃないかと思わせられる。

 カーブを曲がるときや180度方向転換には必ずドリフト走行。で、昔読んだ本を思い出した。その本には、山中の車幅ぎりぎりの道で方向転換する場合、サイドブレーキを引きながらクラッチ操作とハンドル操作で瞬時に180度転換できるとあった。本当かなぁ? 私は怖くて出来ないが、この映画でもそれはない。AT車はムリなのかも。

 フランク・マーティンは、特殊部隊出身で銃の扱いや格闘技に秀でていて、ネコのようにマンションのベランダを登る。そして必ず怪しい奴らに追っかけられる。ギャングもあればCIAもあるという具合。

 それにゲストに迎えた女優とは必ず寝てしまうというジェームズ・ボンド張りの女たらし。魅力的なアンドレア・オズヴァルトと車の疾走音、銃撃の音が目と耳に残るくらいのさっと見てさっと忘れる映画だなあ。電車の中でタブレットで観るのもいいかも。アマゾン・プライムで観られる。
 

 
製作総指揮
ブラッド・ターナー2001年「24」、2011年「Homeland」などで知られる。

原案
リュック・ベッソン1959年3月パリ生まれ。「二キータ」「レオン」「TAXI」など娯楽作品を手がける。

キャスト
クリス・ヴァンス1971年12月ロンドン生まれ。
アンドレア・オズヴァルト1979年4月ハンガリー、ブダペスト生まれ。
チャーリー・ヒューブナー1972年12月ドイツ生まれ。

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気弱な額縁店店長がガンマンになるというお話「コールド・バレット凍てついた七月」2014年制作

2016-12-11 16:07:52 | 映画

              
 ミステリー分野で名高いジョー・R・ランズデールの原作「凍てついた七月」を映画化。額縁店の店長リチャード・ディン(マイケル・C・ホール)は、夜中に不法侵入者を射殺する。拳銃に弾を込めるのも手先が震えるほどおびえるマイケルだったが、犯人に懐中電灯を向けられとっさに引き金を引いた。壁とソファに血痕が飛び散る。

 通報でやってきた警部は「フレディ・ラッセルというとんでもないヤツだ」という。フレディ・ラッセルの父ベン(サム・シェパード)も犯罪者で出所したあとリチャードにつきまとい始める。

 警察の掲示板でフレディ・ラッセルの指名手配書を見たリチャードは、「私が射殺したのは別人ではないか?」と問いただすが「いや、フレディだよ」と言って譲らない。どうしても納得のいかないリチャードは、その夜警察の駐車場に車を停めた。そこで見たものは警部と二人の警官がベンを車に押し込むところだった。その車のあとをつけたところベンを泥酔を装って轢死させようとしていた。

 こういう風にストーリーにひねりが加えられ、颯爽と現れたのが真っ赤なコンヴァーチブルにでかい雄牛の角をフロント・グリルに飾り、ナンバープレートには「Red Bitch赤いあばずれ女」が輝くジム・ボブ(ドン・ジョンソン)。

 ドン・ジョンソンと言ってもほとんどの人は知らないかもしれない。名前を聞いてにやりとするのは老人だけかも。このジムが現れてからは、警察の陰謀も霞んでしまい、ベンの骨肉相食む壮絶な銃撃戦へと雪崩れ込む。

 このジム・ボブが面白い。養豚業の傍らテキサスのヒューストンで探偵業もやっているという男。テキサス男の見本みたいで大きなテンガロン・ハットにカウボーイ・シャツとカウボーイ・ブーツ。ガンベルトが腰に巻きついていればまるでジョン・ウェイン。

 養豚場で焼いたあのでかいベーコンには驚いた。でも、旨そうだった。前半は重々しい雰囲気のミステリー、後半はど派手な西部劇。最初拳銃に弾を装填するのも手がぶるぶると震えていたリチャードも、銃撃戦に突入すればショット・ガンでいっぱしのガンマンになってしまった。結構面白かったなあ。どうして劇場未公開なの? 劇場未公開 
 

 
監督
ジム・ミックル出自不詳

キャスト
マイケル・C・ホール1971年2月ノースカロライナ州生まれ。
サム・シェパード1943年11月イリノイ州フォートシェリダン生まれ。
ドン・ジョンソン1949年12月ミズーリ州フラットクリーク生まれ。1985年「マイアミ・バイス」で大ブレーク。

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1960年代ロンドンを支配した双子のギャング一代記「レジェンド 狂気の美学」2015年制作

2016-12-09 16:02:59 | 映画

               
 この映画を観て「人生の終わり方」を考えさせられた。苦しみながらとか消えるように息を引き取ったとかの現象ではない。

 この映画の実在したギャングは獄中死だった。異論があるにしても、人生は選べると言える。レジー・クレイとロン・クレイ(トム・ハーディが演じる)の双子の兄弟の軌跡がそれを物語る。

 兄レジーは、恋人フランシス(エミリー・ブラウニング)がギャングでない普通の人を望んだため、ナイトクラブの経営に取り組む。愛するフランシスのためにこの人生を選んだ。

 ところが弟のロンは精神的にもおかしなところもあり薬を飲まないと常軌を逸してしまう。提携しているアメリカのマフィアからもロンを消せないかと言われる始末。勿論、レジーは断る。

 事態はますます悪化を辿る。簡単に言えばこんなお話でトム・ハーディの性格の違う双子の兄弟を見事に演じて見せた。トム・ハーディの独り舞台。

 恋人役になったエミリー・ブラウニングがキレイだなと思うときもあるが、総じて平凡に映った。ミスキャストとまでは言わないが、ほかに女優がいないの? と言いたい。

 1960年代ということもあってオールディーズが花盛り。その中でも「教授のおかしな妄想殺人」にも使われたラムゼイ・ルイス・トリオの「The in crowd」も流れる。劇場公開2016年6月
 
監督
ブライアン・ヘルゲランド1961年ロードアイランド州プロビデンス生まれ。1997年{LAコンフィデンシャル」でアカデミー賞脚色賞を受賞。

キャスト
トム・ハーディ1977年9月イギリス、ロンドン生まれ。
エミリー・ブラウニング1988年12月オーストラリア、メルボルン生まれ。

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13年前に同僚の娘が殺された事件を追う「シークレット・アイズ」2015年制作 劇場公開2016年6月

2016-12-07 15:51:12 | 映画

              
 この映画を監督したのが脚本家のビリー・レイ。2013年制作のトム・ハンクス主演「キャプテン・フィリップス」がアカデミー賞脚色賞にノミネートされた実績を持つ。

 ところがこの映画では犯人を追うというシチュエーションでは意外性もあっていい。しかし、男女の恋愛感情表現となるとどうもしっくり来ないし違和感もある。

 その事件を追うのはFBIのレイ・カステン(キウェテル・イジョフォー)で協力者に旧友のLAPD刑事ジェシカ(ジュリア・ロバーツ)と検事補クレア・マローン(ニコール・キッドマン)。

 追う犯人がテロ組織の情報提供者という設定で、レイの捜査の壁として立ちはだかる。この辺は斬新な気もする。で、恋愛感情表現になるとやや精彩を欠く。

 クレアはどうもレイに気があったみたいで、それとはなしのセリフが出てくるが、二人の関係の説明不足でしっくりこない。それにレイの持つ雰囲気もそぐわない。ニコール・キッドマンの相手役としてキウェテル・イジョフォーはバランスが悪い。抱擁もキスもなし手を握るだけになった。

 それに引き換えジュリア・ロバーツのやつれた顔はどうしたことか。邪推をするとキウェテル・イジョフォーだけでは観客動員に限界があるため、ニコール・キッドマンとジュリア・ロバーツを持ってきた気がする。

 二人の女優の魅力を引き出しているとは思えない。失敗作ではないかと私は思う。ネタバレになるから詳しくはいえないが、意外性のある結末とは言える。それでも文句を言いたい部分もあるが言わない。
 
監督
ビリー・レイ出自不詳

キャスト
キウェテル・イジョフォー1974年7月イギリス、ロンドン生まれ。2013年「それでも夜は明ける」でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。

ニコール・キッドマン1967年6月ハワイ州ホノルル生まれ。2002年「めぐりあう時間たち」でアカデミー賞主演女優賞受賞。

ジュリア・ロバーツ1967年10月ジョージア州生まれ。2000年「エリン・ブロコビッチ」でアカデミー賞主演女優賞受賞。

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幽霊話の「JUKAI樹海」2016年制作

2016-12-05 16:17:03 | 映画

              
 松本清張のロマンティック・ミステリー「波の塔」で青木ヶ原樹海が有名になり、1974年「波の塔」を枕にした女性の白骨死体が発見されて「自殺の森」とも言われるようになった。

 青木ヶ原樹海が舞台の映画は今年2本ある。マシュー・マコノヒーと渡辺謙の「追憶の森」に続く本作である。こちらは完全におどろおどろしい怪奇映画。

 DVDレンタル店の分類では「ホラー」に属す。もともと私はホラー映画は嫌いでほとんど観ないが、本作はアマゾン・オリジナルのドラマ「スタートアップ」を企画したベン・ケタイが脚本を書いている。「スタートアップ」が面白かったのでベン・ケタイにつられて観ることになった。

 幽霊映画をまともに評価するのも大人気ない気がする。暗い夜道で突然「わぁー」という大声に驚くというレベルでいいのでは。

 青木ヶ原では磁石が利かないとか、携帯電話が使えないとか、事実に反するのが平気で使われている。お話というのは、双子の姉妹の妹サラ(ナタリー・ドーマー)が姉のジェスを青木ヶ原に探しに行くというもの。

 青木ヶ原で自殺する人がいるのも事実で、首吊りが一番多く次いで薬物摂取の自殺らしい。この映画でも首吊り死体が出てくる。画面を見ていて地面に溶岩の露出がないので不審に思っていたが、案の定ロケはセルビアのタラ国立公園の森らしい。

 いずれにしても、富士山周辺の日本有数の観光地青木ヶ原樹海が、俗評にまどわされこういう作品が出来るのはあまり歓迎できない。暗いイメージを世界に流布させる。

 実際、青木ヶ原に行って見ると遊歩道もあって明るい印象を持つだろう。ちなみに溶岩の持ち帰りは、森林法違反で罰せられるからそのつもりで……
 
監督
ジェイソン・ザダ出自不詳

脚本
ベン・ケタイ出自不詳

キャスト
ナタリー・ドーマー1982年2月イギリス、イングランド生まれ。
テイラー・キニー1981年7月ペンシルヴェニア州ランカスター生まれ。
小澤征悦1974年6月カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
オーエン・マッケン1983年2月アイルランド生まれ。

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アマゾン・スタジオ・オリジナル新作「スタートアップ シーズン1」2016年制作

2016-12-02 18:05:56 | 海外テレビ・ドラマ

              
 主な登場人物は、マイアミの銀行員ニック・タルマン(アダム・ブロディ)。キューバ系で女子大生のイジー・モラリス(オトマラ・マレロ)。ハイチ系のギャング、ロナルド・ダーシー(エディ・ガデキ)。FBI捜査官フィル・ラスク(マーティン・フリーマン)の四人。一見して何の関連性も無いように見える。しかし物語の流れは見事に四つの駒の接点が描かれる。

 事の発端は、FBI捜査官フィルがニックの父親アンドリューに220万ドルの半分をよこせと脅迫したのが始まり。アンドリューは、この金が目減りすれば返済できない。そうなると命が危ない。どこかへ隠してくれ。ニックはいやいやながら預かったUSBメモリー。

 そんな折、ニックの勤める銀行にイジー・モラリスがプレゼンに訪れる。イジーは、暗号通貨ジェイコインの仕組みを説明した。銀行側は懐疑的で否定的だった。

 ニックは、220万ドルを隠すのにいい機会と踏んでイジーと会う。マイアミにはハイチ系、プエルトリコ系、キューバ系のギャングが勢力争いをしていた。そういうギャングの抗争や冷酷なFBI捜査官フィルが殺人まで犯すし、ジェイコインを狙ったロシアン・マフィアの出現まで目が離せない展開。セックスシーンも生々しいし暴力シーンも数多く家族で観る作品ではない。ただし、大人が楽しむにはかなり面白い。
 
企画
ベン・ケタイ出自不詳 脚本家 映画も監督している。12月2日発売のDVD「JUKAI樹海」富士山麓の青木が原樹海が舞台。結構面白いらしい。

キャスト 
アダム・ブロディ1979年12月カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。
エディ・ガデキ1979年3月ケニア、ナイロビ生まれ。
オトマラ・マレロ出自不詳 
マーティン・フリーマンイギリス・イングランド生まれ。


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