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意図せざる結果

大原孫三郎といえば、倉敷にある大原美術館を思い出す人が多いかもしれない。

しかし、孫三郎は、この美術館に対し、次のように語っている。

「心血注いで作ったと思っているものが案外世の中に認められず、ほかのものに比べれば、あまり深く考えなかった美術館が一番評判になるとは、世の中は皮肉なものだ」(p.165)

大原美術館の絵画は、友人である画家・児島虎次郎が中心となって収集したものであり、孫三郎はその資金的援助をしていたにすぎなかったのだ。

自分が重視していた仕事よりも、ついでの仕事が脚光を浴びたという点では、経済学者のシュンペーターも同じである。

彼は、最新の数学を駆使して、偉大な経済学理論家として認められたいという野望を抱いていたが、歴史に残ったのは、一般向けの「読み物的な本」であった。

後生に残る仕事は、本人の意思とは別に、意図せざる形で決まるのかもしれない。

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