goo

『新しい風土記へ』(読書メモ)

鶴見俊輔編著『新しい風土記へ』朝日新書

鶴見俊輔さんによる、中村哲さん、上野千鶴子さん、姜尚中さんなど9名の方々との対談集である。

鶴見さんが、対談の中でよく言っているのが「一番病」。

一高で一番になり東大に進み、官僚から政治家になったお父さん(鶴見俊輔)の話しがやたら出てくる。

「おやじは、学校の成績をとても重大に思っているわけ。姉は父の娘ですから一番。小学校から、最後、プリンストンで博士になるときも一番でね。長女が一番だと、兄弟というのはもう一番になりたくない」(p. 204)

「私個人でいえば、不良少年出身なんだ。小学校を出るときにビリから六番だった」(p. 203)

小学校を出てから、(お父さんの助力で)15歳で渡米し、ハーバード大学を卒業した鶴見俊輔さんだが、お父さんの一番プレッシャーが重くのしかかっていたようだ。

戦後、京都大学の助教授になったものの、うつ病を発症したという。

「『みんなにばかにされている』というコーラスが、自分の内部にあるんだ。だから、京大のキャンパスを歩いていると、幻聴みたいなのが起こってくる。つまり、俺はおやじがこうで、じいさんがこうだから、今こうなっている、とね」(p. 205)

ちなみにこの対談が行われたのは鶴見さんが88歳くらいのときである。

人生における親の影響の大きさを感じた。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 『レス・ザン... 人に憐みをか... »