goo

こうありたいという気持ち

友情や家庭愛などヒューマニズムに満ち溢れている『ヒューマン・コメディ』だが、解説を読み少し驚いた。

なぜなら、作者のサローヤンは、家庭内暴力をふるい、離婚を繰り返し、賭博癖があった人物だからである。

訳者の小川さんは次のように述べている。

「彼の代表作とされる初期作品の多くが示すのは、純粋無垢な少年像であれ、愛に満ちた家庭像であれ、思い出というよりは見果てぬ夢の結晶であり、実人生の欠落をおぎなう想像力によってこそ像を結ぶ抒情的陰画なのである」(p.344)

これは研究者についてもいえる。

顧客志向のない人がマーケティングを研究し、人材育成が苦手な人が人材育成を研究するケースもあるからだ。

自分ではできないが「こうありたい」という気持ちが創造の源になることもあるのだろう。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 『ヒューマン... この世の取る... »