goo

『ヨーロッパ文化と日本文化』(読書メモ)

ルイス・フロイト(岡田章雄訳注)『ヨーロッパ文化と日本文化』岩波文庫

1563年に、イエズス会宣教師として来日し、1597年に長崎で亡くなるまで、日本で布教したルイス・フロイトの手記。

われわれの間では~だが、日本では~である」というメモ的な記述なのでちょっと退屈だが、当時の日本の状況を理解することができた。

「ヨーロッパでは未婚の女性の最高の栄誉と貴さは、貞操であり、またその純潔が犯されない貞潔さである。日本の女性は処女の純潔を少しも重んじない。それを欠いても、名誉を失わなければ、結婚もできる」(p. 39)

えっ!この時代に?」と思ったが、訳注を書いている岡田先生によれば「この時代には処女の純潔や貞操を重んずる観念は薄かった」らしい(p. 3)。

意外である。

「われわれの間では普通鞭で打って息子を懲罰する。日本ではそういうことは滅多におこなわれない。ただ[言葉?]によって譴責するだけである」(p. 64)

これも意外だった。

「われわれはすべてのものを手をつかって食べる。日本人は男も女も、子供の時から日本の棒を用いて食べる」(p. 92)

これには驚いた。

岡田先生によると「ヨーロッパの場合、食卓でフォークを用いる慣習は十七世紀になってから始まったもので、それまでは手づかみであった」(p. 92)

「われわれの間では誰も自分の欲する以上に酒を飲まず、人からしつこくすすめられることもない。日本では非常にしつこくすすめ合うので、あるものは嘔吐し、また他の者は酔払う」(p. 99)

ふーむ。このころからイッキ文化があったのか。

「われわれの間では財産を失い、また家を焼くことに、大きな悲しみを表わす。日本人はこれらすべてのことに、表面はきわめて軽く過ごす」(p. 177)

これは今も指摘されていることであるが、岡田先生いわく「わが国は地震などの災害が多いために、そうした国民性が培われたとも考えられる」(p. 177)

ということで、日本文化を理解する上で、貴重な本であった。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« たとえ闇の中... 人にしてもら... »