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『千曲川のスケッチ』(読書メモ)

島崎藤村『千曲川のスケッチ』新潮文庫

詩人で小説家の島崎藤村が、信州の小諸にある学校に教師として滞在していたときのエッセイ的な書。

やや上から目線で、のどかな自然や素朴な地域住民の暮らしが紹介されている。

実は、この本を読み通すのはつらかった。なぜなら、読んでいる途中で藤村が「問題のある人」であることがわかったからだ。

彼は、作家として独立後に、娘三人を栄養失調で亡くし、奥さんが亡くなった後に、家を手伝いに来ていた姪を妊娠させ、関係を解消するためにそれを題材とした小説を書いているのだ。

こんな事をしてきた人の本は読みたくなくなったのだが、藤村にとって、小諸時代が人間らしく生きることができた時だったのかもしれないということに気づいた。

人生遍歴を暴露されてしまう有名人も大変だな、と改めて思った。

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