goo

問題解決学習と系統学習

佐伯胖先生によれば、日本の教育界(特に1950年代から)には「問題解決学習か系統学習か」という論争があるという。

問題解決学習とは、子供の興味や関心を大事にして、子供たちの身近な生活経験を題材に教育すべきという考え方であるのに対し、系統学習は、学問や科学の体系に即したカリキュラムに沿って教育すべしという考え方である。

ゆとり教育の見直しにも表れているように、日本の教育体制は「系統学習→問題解決学習→系統学習」と揺れているのがわかる。

しかし、「教科内容として、「身近な生活経験での題材」にするか、「科学的・体系的知識の段階的な系列」にするかという問題にすり変えられて大論争になったのは、いささか的はずれといわねばならないだろう」(p. 202)と佐伯先生はおっしゃっている。

これに対し先生は、知識体系を文化的に味わい、理解し、納得し、さらにはそれをあらためて吟味し直すという「実践への参加」の観点から教育のありかたを考えるべきであるという。

子どもの教育に限らず、こうした「学び=appreciation(理解・感謝・賞味)」の考え方は、職場の学習にも応用できるのではないか、と思った。

出所:佐伯胖『「学ぶ」ということの意味』岩波書店
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 『「学ぶ」と... だれでも高ぶ... »