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『はじめてのスピノザ:自由へのエチカ』(読書メモ)

國分巧一郎『はじめてのスピノザ:自由へのエチカ』講談社現代新書

17世紀オランダの哲学者であるスピノザ。

彼の主著『エチカ』の内容を紹介したのが本書である。ちなみに、エチカとは倫理学(どのように生きるかを問う学問)のことらしい。

一番の前提は、「すべては神の中にあり」(p. 36)、「私たち一人一人は神の一部である」(p. 81)ということ。

だから、存在している個体はすべて、「それ自体の完全性」を備えている(p. 45)。この考えに感銘を受けた。われわれは神の一部であるとしたら、誰もが完全であるはずだ。

さらに、スピノザは「力こそ本質である」(p. 60)と考えていたらしい。神から与えられた能力の中に、つまり、一人一人の「強み」の中に本質が宿っているといえる。

ゆえに、個人の活動能力を増大させるものこそ「善いこと」なのだ(p. 50)。聖書には、神から与えられた賜物(能力)を発揮することの重要性が書かれているが、その考え方と一致する。

そのためには、個々人の活動能力を高められる場所や環境を整えることがポイントとなり(p. 61)、自分の力をうまく発揮できるそうした状況が「自由の状態」であるという(p. 95)。

適材適所」という言葉があるが、個人の能力を発揮できる場を提供することが「善」であり「自由」につながるのだ。

「我々は神の一部」→「だから完全」→「神から与えられた力を発揮する環境を整えると」→「善であり自由になれる」という流れがわかりやすかった。

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