現代車、トラックやバスも水素電気自動車のみを販売…
2年後に半額燃料電池を導入
大型トラック、バスなどの商用車は水素電気自動車のみを販売
2023年に半額の燃料電池を発表、水素自動車の価格を引き下げ
「地球の環境危機を解決するための最も強力で実用的な解決策は水素です」
現代自動車グループのチョン・ウィソン会長は7日、オンライン上で開催した現代自動車グループの「ハイドロジェンウェーブ(水素の波)」と題するイベントで、「来る2040年を水素エネルギー大衆化の元年にする」とし、上のように強調した。
世界各国の自動車メーカーは現在、米国のテスラなどからなる「バッテリー電気自動車」陣営と「水素電気自動車」陣営に分かれて競っている。環境にやさしい水素自動車陣営の代表走者こそ、ほかならぬ韓国の現代車と日本のトヨタだ。最近は、テスラのモデル3などのリチウムイオン電池を搭載した電気自動車が大きく普及し、バッテリー電気自動車陣営が勝機をつかむ雰囲気の中、現代車グループはこれまでに蓄積してきたコスト削減技術や新車などを大量に公開し、「水素懐疑論」に対抗したのだ。
チョン会長はこの日、「水素社会の実現を早めるため、今後の全ての大型トラック、バスなどの商用車の新車は水素電気自動車とバッテリー電気自動車のみを発売する」とし「2028年までに現代自動車が生産するすべての商用車に水素燃料電池システムを用いる」と述べた。
バッテリー電気自動車は、金属物質であるリチウムの化学反応を利用して、充電器を挿し込んだ時にバッテリーを充電するほか、走行中にも電気を発生させる方式だ。一方で水素電気自動車は、水素を車両に入れれば、発電機の役割を果たす車内の燃料電池が空気中の酸素と水素を結合させて電気を生産する。
両者とも化石燃料を燃やしてエンジンを回すものではないため、二酸化炭素を全く排出しないのが共通点だ。水素自動車は、価格は高いものの充電時間が10分以内と短く、走行距離が長いというのが長所だ。
現代車グループが一般乗用車ではなく商用車に焦点を絞っているのは、重い荷物を積んで走るトラックなどに水素技術を用いることには大きな利点があるからだ。長距離を走行する大型トラックに大きくて重いバッテリーを積むと走行距離の面で不利になり、積載空間も減るからだ。現代車は昨年、初の水素電気トラック「エクシエント」をスイスに輸出したのに続き、来年上半期には韓国市場にもエクシエントを供給する計画だ。
また、2年後の2023年までには「半額燃料電池システム」を量産し、水素電気自動車の価格を大幅に引き下げるとしている。このようなコスト削減を通じて、2030年頃までにはバッテリー電気自動車並みに価格を引き下げるという。
高性能水素スポーツカー、燃料電池や充電器などを搭載して緊急時に被災地やバッテリー電気自動車に電気を供給する救護車両、自律走行技術を用いてドライバーなしに車両の上に重いコンテナを積んで運搬するトレーラードローンなども紹介した。「ビジョンFK」と名づけられた高性能水素電気自動車は、現代車グループが投資したクロアチアの高性能電気自動車メーカー「リマック」と共同開発中で、停止状態から時速100キロに到達するのにかかる時間は4秒未満だという。
現代車グループが水素エネルギーの活性化をテーマとしたイベントを開いたのは、水素技術の商用化の可能性に対する市場の疑問を解消し、協力を引き出そうとの狙いがある。実際のところ、水素自動車や水素エネルギー技術が大衆化されるまでには、まだまだ時間がかかるというのが現状だ。今年上半期に世界市場で販売された水素電気自動車は1万台足らずだ。現代車が2018年に初めて量産を開始した水素電気自動車「ネッソ」の今年上半期の販売台数も5000台あまりにとどまる。水素ステーションなどのインフラが不足しているためだ。
ただし、ドイツや中国をはじめとする各国の政府や韓国の大手企業などは、水素電気自動車陣営の支援に乗り出している。今月中の発足が予定されている韓国の水素企業協議体には、チョン・ウィソン会長の他にSKグループのチェ・テウォン会長、ポスコグループのチェ・ジョンウ会長、暁星(ヒョソン)グループのチョ・ヒョンジュン会長らが参加する。各企業は水素の生産、保管を含む供給網にかかわっており、新事業を積極的に推進している。特に新再生エネルギーで作られた電気の貯蔵装置としての水素の可能性に注目している。太陽光、風力などで作られた電気は、電力消費の多くない時間には何らかの装置に保管しなければならないが、この電気で水を分解して水素を作れば、大量の電気を保存しやすいためだ。
チョン会長は「グローバルインフラ、特に水素ステーションの構築は、水素社会の実現にとって非常に重要な要素だ」とし「緊密な官民協力を通じて水素充填インフラを作るべき」と述べた。