ローマ法王:「表現の自由にも限度」他者の信仰侮辱を戒め
毎日新聞 2015年01月16日 13時07分(最終更新 01月16日 13時34分)
イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載した仏週刊紙「シャルリーエブド」が襲撃された事件について、アジア歴訪中のフランシスコ・ローマ法王は15日、テロを厳しく非難する一方、「他者の信仰を侮辱したり、もてあそんだりしてはならない」と述べ、「表現の自由」にも一定の限度があるとの考えを述べた。AP通信などが伝えた。
スリランカからフィリピンへ向かう機中で、同行記者団の取材に応じた法王は、事件について「神の名をかたって行われる悲惨な暴力は断じて正当化できない」と非難。表現の自由は基本的権利であるとした上で、信仰の自由と対立する場合には制限があると主張した。
法王は隣の側近にパンチをする仕草を示しながら、「私の良き友人である彼でも、もし私の母の悪口を言えば、パンチが飛んでくるのは明らかでしょ う」とユーモアを交えながら説明。「宗教の悪口を言って喜んでいる人は、(私の母の悪口を言う人と)同じことをしている。それには限度がある」と話し、一 方的に信仰心が侵害されることがないよう自制を求めた。
保守的でメディアでの発言に慎重だった前法王のベネディクト16世と異なり、フランシスコ法王は海外訪問時の機中で取材に応じてきた。就任後初の 外遊となった2013年7月のブラジル訪問では、帰国時の機中で「私は神を探し求めている同性愛者を裁くことはできない」と言及。同性愛者を排除してきた カトリック教会トップとしては異例の発言で世界を驚かせた。
【中西啓介】