柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

保障

2010-09-23 10:55:15 | Weblog
天声人語が叩いてましたが、今回の検事の大不祥事、例えば容疑否認してる被疑者の髪の毛を現場に持って行ってでっちあげるというとんでもない事態に匹敵します。DNA万能時代にあればこういう実に単純な操作で物語は捏造できます。現代の技術知見から遡れば極めて粗雑なDNA鑑定で冤罪被された彼の人は記憶に新しい(いまだによくTVに露出していますが)ことですが、私達は裁判とは、裁判官をはじめとして検察官とか弁護士とかは真実を探し当てるのが仕事であると認識してますし、その役割や使命遂行については一点の疑いもなく委ねてます。TVドラマに出てくるのは正義の味方ばかりですから。そればかりか社会正義に沿ったことであれば、社会常識に合ったことであれば、大岡裁きを許し賞讃してきた国柄、国民柄です。日本人は民族固有に性善説を備えているのでしょう、よく言われるように。ああいう仕事に就いている人は悪いことはしない人達だという思い込み。こういう有難い「根本的」な信頼を我々は傲慢にも壊し続けていているわけです。我々と書きました、医者もこういう仕事の一つです、というか筆頭です。医者が社会からの信用信頼を年余失ってきていることは説明の要らぬことと思いますが、敬意を持って、敢えてこちらの身を一段低く置いて貴く据えてもらえている職に就く者は、それに数倍する社会に対する義務があるわけです。イギリス紳士の心得としてよく言われることですが、ノブレス・オブリッジです、高地位高収入で迎えられる者は社会国民のために身を賭ける義務がある。そうです。この心意気がまず必要なのです。医者の話で言えば、若い医者が勤務時間とか労働条件とかを四の五の言うことからして間違いのです。死ぬほど働け。そお前にはそれに相当する社会的地位と給料があてがわれているのだ。と、こういう単純さで済ますべきことなのえすが、これにも落し穴は多くあります。朝に夜に同じことを繰り返して行くと人は注意が散漫になります、パターンで認識します、個人を見なくなります。つまり病気でで分類してその人を診なくなります、これはよく指摘されていることですね。そして傲慢になります、謙虚さが失われます、同時進行します。所詮「弱い者いじめ」が本態の仕事はよほど本人にそういう認識がなければ居丈高、横柄、生意気、高圧的、独善的、閉鎖的に容易に流れます。医者と患者、容疑者と検察、弁護士、先生と生徒、坊主と遺族。役人と住民、議員と選挙民の関係もそうですか、こちらはどちらが弱い方になるかは相対的なことですが。検察や弁護士なんてのはやりたい放題なんでしょうね、なんせ相手はお縄のかかった連中ですから。密室内という意味ではどれも同じです、医者も先生も密室内での悪事ですから。でも、逮捕者相手というのはかなりの心理的に優位なバイアス生むでしょうね、何やってもいいんだ的な。そこでもって証拠物件にまで手をつけるのも、出来事としてはありそうなことです、司法試験に受かったお偉いさんがまさかそんなことはやるまいと勝手に皆思いこんでいるんですから。そこをやらない(当然ですが)。そういう矜持というか厳格な職業意識は少なくとも持ち合わせないと、という凡な非難になってしまうのですが、そうじゃないクズ野郎までが試験に通れば検事様であり弁護士様であり裁判官様なのです。三権分立した近代法治国家日本に生きている我々は安心だ、なんて能天気言ってるとこうなるというわけです。司法試験に通ること、医師国家試験の通ることと、人格保障、能力保障、人間性保障とは全くの別物なのです。思えばおっかない社会に生きているということではあります。仇討を許したらどうですかね。個人的報復を法的に認めたらどうなりましょうか。公的な正義の味方が悪事を働くなら、私的な誰かに頼むしかありませんもの。こんな事態はきっと三権分立という近代の象徴と掲げられている制度に根ざしているんだと思います。日本に対して最終的に責任を取る者がいないのです。管轄外、越権行為などというごまかしですべてがうやむやになって来たからです。独裁を招くとやら政治の腐敗を招くとやら不利益ばかりを並べるばかりです。政治経済のみならず文化衛生道徳規律等々、国を保つために全責任を持つ者がいないのですね。責任を持つということは権限を持つということです。優れモノが全権を掌握する。もっとも理想的な国家統治体制はやはりこれなんでしょうね。議員の給料や数を自分たちで決めさせる、罪のあるなしを決定する立場の者が悪事する、こういう理に合わぬことを制度上仕方ないと放置している所に間違いの根があるのでしょう。優れモノよ出でよ!そう願うばかりです。
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