柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

態度

2009-01-12 07:05:45 | Weblog
エチオピアで武装勢力に拉致拘束されていた日本人女医がパリで「解放記念」記者会見しています。判断のポイントは二つですか、身代金はどうなったんだ?とこういう集団(いわゆる正義の集団、世に言う奉仕の精神で成立している集団)はそれほどに貴く上等で立派な「必要」なのか。所属のNGO「世界の医師団」の会長は身代金などは払っていないと言ってますが、どうかしら。じゃぁ何の為に連中が誘拐拉致したんだ?って話です。ハイジャック犯達がよく要求するような、例えばエチオピアで拘束されている政治犯の解放やらその他の便宜との引き替えだったんでしょうか。それならそれで報道がありそうなもんです。それこそちゃんとした交渉成立ですから。NGOが払ってないのなら、日本政府でしょうか。もう一人男の看護士が一緒だったんですね、この男の国と日本とで払ったんでしょうか。テロとは断固闘うなんて言いながらね、どこも闘ってないんですから。結局ドンパチやりあって、ミサイルじゃ何とかじゃぁを沢山打ち込み合う(勝てないですがねアメリカ)ゲーム、全面戦争の前段階にこういうゲリラ行為があるわけです。国際社会の決まりとか常識とかは反体制勢力、テロ組織には好都合この上ないモノでなんでしょう、こうやって誘拐すれば金ふんだくれるんですから。そして朝日が社説で教えてくれていますが、この手の世界規模のNGOの資金潤沢なこと。趣意に賛同する立派なボランティア精神溢れる人や団体が多いという証です。この女医のように、この手の活動に心動かされる人間もきっと後を絶ちませんから、世界中に募集かければ人材に不足することもないでしょう。インフラの足りぬ所へは技師や労働力を、医療の足らぬ所へは医師を。立派な行為です。と思います。でも、こうやって敵さんに資金を回していく仕組みでもあるということなのです。戦争のさなかでも病院船やら赤十字の旗は攻撃するななんて国際法(ちゃんと記載があるのかどうかは知りません)作って、それは偽善じゃないか、そんなことするなら戦争をやらねばいいことだという子供でもわかる、そして正しい理屈をいつも二の次に回してきた人類の歴史であらばこそ、さらに今次のイスラエルパレスチナ紛争の、日本に住んでいる者にはどうにも理解しがたい、シンパシーの湧かぬ理由を聞くにつけ、所詮は人は人との交わりにおいては命を的にした交渉で生きていくしかない、どこまで文化文明が進歩しても人間の本性は変えられないと知るわけです。なれば翻れば、正式な軍隊を持たず他国への攻撃行為を憲法で禁じている日本という国の特異性が際だちますか。もちろんアメリカの核の傘の下にいて、例えばどこか他国の侵略を受けた場合にはアメリカさんがやってきて代わりにやっつけてくれるというまことに空想以外の何物でもない制度のもと(これで安全が保障されているといういわば理論上の武装)、幸いこの六十有余年の間他国の侵攻を受けなかったのではありますが、昨今佐藤首相の書簡などからはより生々しい交渉、アメリカの言質を取ろうとする意図がはっきりしています、丸腰で大丈夫なんて進歩的文化人以外は、当の為政者達は考えてなかったのですが。日本人だけが例外であるはずもないことです。そしてこの女医の態度毅然たるところ。心配掛けて大事になって申し訳なかったなんてそぶりを見せません。こういうのも珍しいですか。自分のやっていること、エチオピアくんだりまでやってきてこういう顛末になった事自体は彼女にとれば非のないことなんでしょう。自己責任で対応するという心意気の表れともとれます。殺されるかと思ったと平気で言います、もっとも殺されなかったから言える台詞ですが。母親と兄がパリまで迎えに行って云々の報道。何だか釈然としないのはどうしてなんでしょうね。私が偏屈で天の邪鬼でボランティア活動というものに寄れない性分だからでしょう、それが第一。どうしてこんな危険な所に行こうと思うのか、それが理解できないから、いわば自分で入っていった災難にこれだけマスコミが大騒ぎする、しかも朝日の社説の如くこれでもかと賞讃して持ち上げる流れに合点がいかぬのが二つ目。それとやっぱりこの女医さんのしれっとした会見具合でしょうか。ああ、心配して損した、という感想。なかなかに人は勝手な思いを抱くものですでね。自分のこの気持ちの動きを考えるに、いつもの結論、言葉と態度には気をつけるべしと思い直すことです。
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