柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

プロ

2007-04-10 08:39:50 | Weblog
昨日の読売新聞に731部隊の文字を見つけました。周知の如く、満州での細菌兵器開発部隊、その為の人体実験を繰り返したとされる陸軍部隊です。森村誠一が「悪魔の飽食」で書き、その他多くの関連本が出ています、よくご存知でしょう。敗戦時に当然この残酷残忍な行為が訴追処断されるべきものでしたが、これらの貴重なデータをソ連に渡してはならじとアメリカが石井部隊長以下関係した軍医達を罪に問わないかわりにデータをそっくり持ち帰ったというのが定説です。ありそうな怖い話です。実際にその後復員した当の軍医達の多くが戦後大学教授に居座ったと言う事実もご存知でありましょう。もちろん残酷な行為については口を拭ったままです。こんな問題ですから国も調べやしません、日本はそういう国です、そういう文化です、間違いを晒し暴く文化ではありません、自責の念に駆られた者が自害するとか辞職するとかで問題を闇の中に放り込んで解決してきた文化ですから。周りも真実の究明より責任の取り方如何で許してきた文化ですから。そこに実際に携わってきた人達、部下として実際に人体実験に携わり手にかけてきた人達が証言するわけです。数多の関連本の多くはそういう証言を元にして組み立てられています。それぞれの著者は皆、当時の上官、軍医達に聞きに行くわけですが、一切口をつぐむばかり。墓まで持って行くという事なんでしょう、敗戦当時の固い約束なんでしょう、それは直接自分の保身に繋がることでもあります。言うわけがありません。今回の記事は当時そこで実務に携わっていた人なんでしょう、衛生兵だった人(88歳)の証言です。ここに書いてあるだけでもえげつないこと。近々週刊誌やら、月刊誌に詳しく載りましょう。戦争終わって62年です。この人は62年間口をつぐんできたのです、これまたすごいこと。人の心の仕組み、人の社会の仕組み、考えさせられることです。
 昨夜BSで越路吹雪のショーに当たりました。これまたすごい、おもわず身を乗り出して見てました。この人の歌は多く知っています、両親の影響でしょう。元宝塚のスター、大柄な体躯、日本人離れした彫りの深い顔貌、そして上手いのやら下手なのやらわからぬ歌い口。ペコーやアダモのシャンソンを日本語で歌い煙に巻く感じ、そのうちに引き込まれていくわけです。訳詞は岩谷時子、この名前よく見聞きしましたよね。夫の内藤法美の率いるバンドを背に歌っています、そのドラマーがなんとジョージ川口、これまた若いこと!昔の映像見るのはこういう楽しみなんですねぇ、私は妙に好きなんです。歌にも慣れてきた頃に喋り(MC)です、これまたすごい迫力。カメラ見据えて、上品に、本当上品に、こういうのは身につくと言うより本来固有のものなんでしょうね、綺麗な日本語、綺麗な敬語であっさりとくどくど言わない。流し目がすごい、杉様もびっくり。シャンソンをひとしきり歌った後に、「では皆様のご存知の曲を」って振って、サントワマミー、ろくでなし、ラストダンスは私に、と続いて、最後は愛の讃歌、あなたの燃える手で~あれです。引き込まれるというのはこのことか、という感じでした。こんな歌手がいなくなったんでしょうね、平凡な謂ですが。演歌の世界でもあれだけ歌手がいるのに、美空ひばりを歌の巧さで誰も越えられない(天童よしみは上手いと思うのですが・・)。このジャンルは歌い手自体が少ないんでしょうが、誰も相手にならないでしょうね。大舞台でも十分に映える人なんでしょうが、ディナーショーなんかが一番似合う歌い手なのかもしれないと思うことでした。持っているモノの違いを見せつけられた思いでした。プロとはこうあらねばならぬものなんだと思いました。
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