柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

芋蔓

2006-07-25 08:39:43 | Weblog
群馬大学病院の医療事故、新聞やTV報道ではおそらくうまく理解できないものと思われます。「肝臓の手術の後に、どうして脊髄の麻痺なんだ?」「ヘパリン?」解説します、おそらくこういう経過です。術中および術後の疼痛管理(除痛)目的で、硬膜外麻酔と言って、背中から脊髄の周囲(硬膜外腔)に管(カテーテル)を挿入してそこから麻酔薬を注入する手法を、全身麻酔と併施します。手術が終わると、全身麻酔はやがて解けますが、背中には(脊髄周囲の硬膜外腔)管が入ったままです。術後の疼痛により薬剤を投与する目的です。で、新聞によると「術後の肺血栓などの合併症予防のために(毎日)」ヘパリンを投与したところ(血管内投与です、背中に入れたのではありません)、背中の管の回りに出血がおこって、それが脊髄を圧迫して、下半身麻痺が起こったというわけです。ヘパリンというのは血液凝固を抑制する薬剤です、だから血栓の予防薬になるのですが、それを通常の2~5倍量投与したというのです。で、思わぬ所に出血したという顛末です。新聞によると、当の移植を受けた本人(夫)は術後3ヶ月で感染症で死亡したそうです。ああ、なんたること。おまけに、大学、今初めて気づいたように肝移植の成績を公表して、他の施設より成績が悪いので調査する、らしいです。何たる偽善、ぶざま、隠蔽体質。総身に知恵が回りかね、の典型です。何のための移植だったのか。当該教室の教授は「重症患者が多かったので」なんて言い訳しています。これもなんとも保身意志がぎらぎら浮いています。そんな重症例に(三ヶ月後に感染症で死んでいるんです)手術の適応自体があったのかどうか、です。患者側の藁をも縋る思いに、医療側が一か八かで応えていては、悲劇が増えるばかりのことです。この教授の考え方は、自らの業績を高めるためかと疑われても仕方ありますまい。しかし、世の中の医療は概ねこの流れなのです。図体の大きな病院になればなるほど、誰の責任でもないマニュアルが一人歩きするわけです。諸兄、医者の言葉を丸呑みしてはなりませぬ。不審な点はどんどん聞いて下さい。専門バカの壁の一番高いのが医療界でありましょうから。
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