MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

コミュニティ通訳の医療分野

2013-12-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先日「医療通訳」という言葉について議論する機会がありました。

考えてみれば「医療通訳」を社会的に認知してもらうためには
名称というかその行為・活動を示す言葉がどうしても必要であり、
そのためには本来どういう言葉をあてるかという議論が不可欠なのですが、
医療通訳の場合は、とにかく活動が先に始まっていたので
Medical Interpreterの翻訳としての「医療通訳」が定着してきた気がします。

私たち「医療通訳研究会(MEDINT)」ができたのが2002年
連利博先生編集の「医療通訳入門」が発行されたのが2007年
「医療通訳士協議会」ができたのが2009年
それ以外にももっと前から様々な場所で「医療通訳」という言葉が使われてきました。

「パブリックサービス通訳(医療)」や
「ヘルスケア通訳」、「保健医療通訳」などの候補はありましたし、
病院、医療現場だけでなく、地域・福祉と医療が連携していく時代に
医療に限定する通訳を作ってしまっていいのかなという気もします。

個人的なことをいえば
私にとって「医療通訳」は
「コミュニティ通訳の医療分野」という認識が一番しっくりきます。

コミュニティ通訳は、
地域に住む外国人が司法、医療、行政などの公共サービスを利用する際に使う通訳と定義されていますが、
実際に通訳をやっているとその切れ目というか境目というものがはっきりしていません。
当たり前のことですが、専門機関はそれぞれに分かれていますが、
利用者の方は同じ一人の人なので、
通訳を使う場合はそれらが連携したり、入り混じるということはごく自然のことなのです。

病院を出たとたん、ではこれで「医療通訳」は終わりです、
保険の手続きについては「行政通訳」に頼んでください・・・というわけにはいけませんし、
DV被害者なら、治療(医療)→相談(行政)→保護命令(司法)という流れの中で
通訳者が頻繁に変わるというのも
その都度通訳者と信頼関係を作らねばならず精神的に大変と言われます。

現在、パブリックサービスの中で
議論され、大きく動いている「医療通訳」ですが、
医療だけが突出するのではなく、コミュニティ通訳全般を
議論していくことが実は大切だということも忘れてはいけないと思います。

PS:でも今は「医療通訳」をすすめる時期だと確信していますが・・・

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