MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

病院で感じること

2006-04-26 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
日本の医療現場が欧米諸国に比べて遅れているだとか、優しくないから外国人も使いにくいというような意見を聞くことがあります。でも、それは本当でしょうか。また、医師や看護師の個人的な資質や個々の病院の体制によるものなのでしょうか?実際に病院に行ってみて、けっしてそのようには感じないのです。

特に大きな病院だと多くの患者さんが並んでいます。これを見ただけでも、効率よく、できるだけたくさんの人を診療しなければいけない現実が見えます。
たぶん、いくら言葉ができないから、習慣がわからないからといって、外国人患者を特別扱いする余裕はないと思います。それどころか、そうした制約の中でも、精一杯のコミュニケーションをとってくださっていることに頭が下がる思いをすることが多いのです。

病院に同行する時に痛感するのは、通訳者が未熟で、時間がかかったり、診察の流れを止めることがないように、できるだけの準備をして望みたいということです。
熟練した通訳者がはいれば、診察時間短縮され、意思疎通もスムーズになるということは、実は熟練した通訳者を使ったことのある医療機関なら知っています。通訳者は診察の阻害要因にはならないのです。
しかし、未熟であったり、謙虚さのない通訳者が同行すれば、その逆のケースが発生します。医師の言ったことが伝わらない苛立ち、患者が聞きたいことに答えてくれないもどかしさ、通訳者が自分の見解や意見をさしはさんだり、批判したりするといった倫理に反することが、通訳者によって行われた場合、医療現場の通訳に対してのイメージは悪くなり、診察を阻害するものとして疎まれてしまいます。

医療通訳が、まだ定着していない今の段階では、私たち通訳者の一人ひとりが「ショーケース」の役割を果たしています。通訳者を使えば、こんなにスムーズに診察が進みますよということを医療現場にわかっていただくために、がんばらなくてはと思っています。逆に、二度と通訳者なんて要らないといわれないように気をつけなければなりません。

医療通訳研究会の研修システムは、年会費だけですべての講座を聴講可能としています。勉強がしたい、勉強しなくてはならないという危機感を抱え、がんばっている人たちに、より多くの講座を提供できるようにしています。
医療通訳研究会は2004年に会員募集をはじめて、今年で3年目になります。3年続けて下さっている方々は、少数言語か現場をかかえている方々です。そうした声に答えられるように、今年も充実した講座を企画していきたいと思います。

最新の画像もっと見る