ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

拉致問題についての私の勝手な考え

2009-03-11 23:59:11 | 北朝鮮・拉致問題


昨日の記事を読んで、北朝鮮による拉致被害者及び拉致被害者家族に対して私が冷たい人間だなんて考えた方もいるかもしれませんが、(私の主観的な考えでは)それは誤解です。ただ私は、「拉致被害者の親だからといって、他人に対して傲慢無礼な態度をとっていいわけではない」と考えているわけです。それは、最終的には拉致問題にとってもマイナスです。

さてさて、北朝鮮に拉致されて金賢姫の教育係をつとめたとかいう話の田口八重子さんのお兄さんと息子さんが韓国の釜山で金賢姫と面談しました。大いに結構なことです。何はともあれ、会っていろいろな話ができたことは本当によかったと思います。このことによって田口さんの帰国について何がしかの進展があるとも考えにくいものがありますが、しかし聞きたいこと、話したいことはいろいろあるわけで、それが実現したことは有意義だと思います。

しかしそれにしても、拉致問題も基本的になんら進展しませんよねえ。それは当然です。なぜなら、根本的に進展なんか望めない構図になっているからです。

北朝鮮側は、2002年9月の小泉首相の訪朝の際、「5人生存、8人死亡、2人未入国」という回答をしています。それに対して日本政府は、現在では「全員の生存を前提とした」交渉をするという方針です。こんなん話がかみ合いませんよねえ。だってこれって日本側が北朝鮮に向かって「お前たちはうそをついている」と言っていることですもんねえ。そんな敵対するスタンスをとったら交渉なんか成立しっこありません。「北朝鮮は日本に散々うそをついていたのだから、そのくらいのことは当然だ」とお考えの人もいるでしょうけど、まあ北朝鮮側から「申し訳ございません、実は・・・」なんて形で死亡、未入国の人たちが帰ってくるなんてことはないでしょうね。

今は、2009年3月です。つまり北朝鮮側の回答があってから6年半経ったわけで、これは2002年より格段に情勢は厳しいといわざるを得ません。北朝鮮から彼(女)らが帰ってこない理由は、北朝鮮で死亡もしくは未入国(たぶん北朝鮮に入国する前に殺されたのでしょう)という北朝鮮側の説明が事実であるか、もしくは、北朝鮮側でその拉致被害者を日本に返すわけにいかない非常に特殊な事情があるかのどちらかです。10人の人たち全員にそのような事情があると考えるのは、相当な無理があります。

前にも同じことを書きましたが、横田めぐみさんの(元)夫は、2006年に韓国から北朝鮮を訪問した身内と面談した際、新しい奥さんとその奥さんとの(でしょう)子供をつれていましたよね。2006年の段階で、だいたい10歳くらいだったでしょうか。つまり、たぶん90年代の半ばくらいには、今の奥さんと(元)夫は結ばれていたということになります。それから以降のめぐみさんの消息は・・・。はて、めぐみさんはそれから優に10年を超える年月を今も北朝鮮のどこかで暮らしているのでしょうか、それとも・・・・。彼女の生存している見通しは絶望的に暗いと思います。

それに対して、日本側が公式には持ち出していない(あるいは把握していない)拉致された(あるいはグレーゾーンの)人が日本に帰ってくる可能性はあるかもしれません。でも、今の日本政府の態度や家族会、支援団体のスタンスを見ると、これまた極めて現状では厳しいですよね。さすがに日本政府はそこまでは主張していないと思いますが、拉致被害者(家族)支援団体である「救う会=巣食う会」などは、特定失踪者数百人を返せとまで要求しています。そんなん返ってくるわけないじゃんねえ。返したって、巣食う会はまたべらぼうな要求をするだけです。できもしないことを要求するというのは、まともな人間のすることではありません。

巣食う会は、拉致問題が何はともあれ「解決」したら自分たちの存在意義がなくなりますから、徹底的に話を引き伸ばそうとします。で、連中の愚劣な方針に共鳴してしまう拉致被害者家族がでたり、ついていけないものを感じながらも昔から支援してくれた義理や引っ込みがつかなくなったというような感情から、ずるずると関係を続けてしまってる人もいます。

おまけに日本政府も、世論が怖いのか、家族会と支援組織に遠慮しているのか、全員の生存を前提とするというきわめて現実味の乏しい方針を変えません。蓮池透さんは、自分が北朝鮮に場合によっては行ってもいいという旨のことを話しています。もちろん単独ではなく、日本政府の一員としての(オブザーヴァーとしての)参加ですが、なにか新しいことをしないと進展は望めません。他にもともかく(あまり期待は持てませんが)横田さんご一家がお孫さん(姪御さん)に会うことが必要でしょうね。北朝鮮の調査が信用できないというのなら、それしか
とる方法がありませんからね。

しかし、増元照明氏は、

>既に帰国した被害者の家族の言葉を利用し、「話し合いでの解決」を家族会の言葉として受け取られることは心外である。
 横田御夫妻の訪朝を促しているようであるが、それに対する横田家の反応は冷ややかなものであることを言っておきたい。
 横田家のある方は、「孫に会いに行け」という言葉に対して、「全く論外であり、筋違いであり、余計なお世話である」と明言している。


主張します(2009年3月9日の記事より)。彼と横田家の発言は、蓮池透氏を念頭に置いたものですが、正直このような重大な問題に関するものとしては、とてもよろしくないコメントと思います。増元氏も、もう少し考えていただけませんかねえ。横田家の人たちが北朝鮮に行かないのを喜んでいるのは、けっきょくのところ安倍とか櫻井よしことか日本会議とか巣食う会の人たちですよね。

つまりは、拉致問題については、北朝鮮から金銭で補償してもらうことしかありません。そのことによって「解決」します。はなはだよろしくない解決の仕方ですが、それ以外の可能性は非常に乏しいものがあります。そんなことはわかっているのにそのことを誰もが口にしない。中小ブログの管理人だから言えるのですが、けっきょくなんら進展のないまま拉致被害者のご家族全員がお亡くなりになるってことになります。悪いことはいいませんから、家族会の人たちは、安倍とか巣食う会とかとは縁を切ったほうがいいんじゃないんですかねえ。あんな連中とかかわっていると、ご家族はたぶん墓参りすらできません。昔は世話になったのかもしれませんが、もう連中に対する義理は十分に果たしたと思います。

余談:今日映画『チェンジリング』を見て、アンジェリナ・ジョリーの母親が拉致被害者家族とだぶって仕方ありませんでした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 横田さんの奥さんは、ちょっ... | トップ | 追憶のスタジアム »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
理想論原理主義の産経が珍しく (Elekt_ra)
2009-03-12 02:49:49
黒田ソウル支局長が、韓国で拉致被害救済が今ひとつ盛り上がらない現状を伝えています。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090311/kor0903111918014-n1.htm
まあ、前政権が親北的(親北であることを否定はしません)で「腫れ物に触りたくない状態」であったのは想像に難くないのですが、身近に重大な人権侵害の疑いが強い国(地域)があって同じ「韓民族」だからという背景を理由に救済の機会を毀損し続けていたとしたら、韓国人・政府の人権意識はまだ道半ばなんだろうなとも感じます。

キムヒョンヒが「北朝鮮のプライド」を会見中語っていましたが、拉致にしろ人権救済にしろ、すぐに硬直しやすい「体制」のプライドを壊さずに(それこそ金銭のバラマキだって考慮に入れていいと思います、っていいますかそれが一番効果的でしょう)いかに懐柔させ進展させるか、今のところはそれしか方策はないように思いますね。
返信する
>Elekt_raさん (Bill McCreary)
2009-03-12 22:56:16
共同通信の配信記事だったと思いますが、蓮池透氏が、会うにしてもこのように大袈裟にして北朝鮮を非難してどうするのか、そっと会う方がいいのではないかという趣旨のことをコメントしていました。たしかに、今回はマスコミも大騒ぎしましたが、そしてそれは日韓両政府の作戦ですが、たしかにこれが良いのかというとどうかと思います。私的行為ではありませんが、かといって大々的に報じるのもどうかと。

金賢姫の「プライド」ということをいうのなら、今回の面会はやや問題があったように思いました。

>それこそ金銭のバラマキだって考慮に入れていいと思います、っていいますかそれが一番効果的でしょう

秘書逮捕問題で吹っ飛びましたが、小沢一郎氏が言った(と伝えられる)ことも、小泉首相のやり方も、けっきょくはそれなんですよね…。
返信する