拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

拍手のタイミング

2012-04-18 21:38:07 | インポート
ルチア・ポップとギネス・ジョーンズの声量が同じだったことについて、「元帥夫人がアンサンブルをリードしなければならないのにリードできなかった」(某評論家)、「ポップは顔が可愛いのに声がでかい」(私)。前者はネガティブ、後者はポジティブ。このように、同じ事象についても視点によって言うことはバラバラ。評論なんてのはそんなもんです。で、ジョーンズでフィデリオを聴いたウィーンの話に戻って。フローレスタンのアリア(歌ったのはジェームズ・キング)が終わって後奏が鳴ってるさなかに拍手がおきて。で、指揮者(ラインスドルフだったと思う。)がそっちを向いて手を振ってだめだめと。で、後奏が静かに終わってから同じとこを向いて、いいよ、と。ご親切。私、拍手をしたのはアメリカ人に違いないと勝手に思ってる。メトのライブビューイングを見てても、とにかく幕がしまり始めると、ばっちんばっちん拍手が始まる(日本も似てる。)。こないだWOWOWで見た蝶々夫人、ものすごい幻想的な演出で息をのむような美しい映像・・と思ったら、幕がピクッと動いただけでばっちんばっちん。第1幕の最後、音楽もとってもきれいなのに(あのカラヤン嫌いの評論家のU先生が、蝶々夫人はカラヤンがいいとのたまったその音楽。)、ぶちこわし。だけど、ケース・バイ・ケース。イタリア・オペラでアリアが「キャーーーーーッ」と決まったら後奏鳴ってても拍手はあり。オペラ愛好者のFさんから聴いた話。Fさんのお師匠さんがノルマを歌って。で、第1幕の有名なアリア((階名で)ミ、ミー、ミー、ミー・・ミばっかりですが、オペラ好きはあのアリアだと分かる。)の後半、つまりカバレッタの部分で、歌手が歌い終えた後、Fさんをはじめとして、教養のある方ばかりが聴衆だったらしく、後奏が鳴ってる間、拍手をしなかった。ところが、「清らかな女神よ」のカバレッタの後奏は、ボソ、ボソで終わるんです。で、とうとう誰も拍手をしなかったんだと。フローレスタンのアリアも、ボソ、ボソ、で終わるんだけど、こっちはドイツオペラだから、ボソの後の拍手はあり。でも、イタリア・オペラでは、歌がきえーーーって決めた後で拍手しないとしそびれます。パヴァロッティが中国でボエームのロドルフォを歌ったときは、ハイCを決めた直後に(まだロドルフォの歌が残ってるのに)すごい拍手がおきた。それから、パヴァロッティが故郷でやっぱりロドルフォでデビューしたとき、ハイCを決めた直後、客席がざわついた(CDがあります。)。で、歌い終わったら、「ルチャーノー、ルチャーノー」と大騒ぎ。1960年台前半だからまだおひげはなかったことでしょう。1970年台の始めもおひげはなかった。