拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

ギネス・ジョーンズとルチア・ポップ

2012-04-17 14:55:57 | インポート
そういえば、私がギネス・ジョーンズの悪口を言ったとき、ソプラノ歌手のYさんが「だけど、ジョーンズはとってもきれい」と弁護してた。E君といい、Yさんといい、ジョーンズの弁護は別角度からそろっときます。ジョーンズ砲にKOされない方もいらして、昨日コメントを下さった方もそうだし、件のウィーン(現地)で、次の日の朝、ホテルの朝食室で、他の日本人客に「昨日のギネス・ジョーンズはすごかったですねー」と持ちかけると、なにやら冷めた目で「うん、元気がよかったね」と。お前は声がでかきゃそれでいいのけ?と暗に言われてる気がして、ちょっと下を向いた私。でも、ジョーンズは、実は細やかな表現もしっかりできる。数年後、ジョーンズのリート・リサイタルを聴いて、そう思いました。ヴァーグナー歌うとき、はりきりすぎちゃうんですかね。シェローのリングでブリュンヒルデを歌った頃から音が不安定だと批評されるようになったそうで。ずーっと前に、日本に来たときはドン・カルロのエボリ公女とか歌ってました。声のでかい話に戻って。DVDで観るクライバー=ミュンヘンオペラのバラの騎士の第3幕の三重唱、舞台に向かって左端にルチア・ポップ(ゾフィー)、真ん中がファスベンダー(オクタヴィアン)、右端が元帥夫人(ジョーンズ)の配置。で、何がすごいかっていって(たくさんありますが)、ポップが声量でジョーンズに負けてないってこと。三重唱の最後の部分、ゾフィー(ポップ)がhの音をhりあげて(すみません、だじゃれです。)、そのすぐ後に元帥夫人が同じ音をはりあげるのですが、二人の声の勢いが変わらないんです(ジョーンズは例によってジョーンズ砲を発射してそっくり返ってますが、ポップは逆に前のめり。)。前にも書きましたが、ポップは可愛い顔をしてるからフェイントですが、実は声量がある。だから、最後、ヴァーグナーに向かうのは自然の成り行きだったのでした。惜しかったですねー。