暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

灑雪庵 名残りの茶会のご案内・・・菓子茶事にて-2

2014年09月16日 | 茶事  京都編
               満開のオミナエシ  石峰寺にて

(ご案内-1)

数あるブログの中から「暁庵の茶事クロスロード」をご愛読くださり、
ありがとうございます! 
2、3年の予定・・・と主人を言いくるめて(?)来ました京都暮しも、
あとわずかとなりました。
 
・・・お招きをためらうような古家でございますが
縁あって3年ほど庵を掬ぶことになりました拙宅・灑雪庵にて
京都名残りの秋をご一緒にお過ごしいただけたら・・・と
下記の如くご案内申し上げます。

 10月31日(金)は満席になりました。
 11月1日(土)は引き続き、募集中です。(満席になりました)

京都散策の折にお寄り頂けたら嬉しく、お持ち申しております。

            
     記

 日時  平成26年   11月1日(土) 13時待合集合です。

 場所  拙宅・灑雪庵 (京都市左京区)
 人数  2名~5名さま(各日)
 会費  7000円  (恐れ入りますが・・・当日お持ちください)
 内容  菓子茶事にて
      (吸物・八寸(おしのぎ)・一献がでます。昼食は控えめ叉は無しでも・・)
      薄茶は茶籠を予定しています。お香も・・・。

               

お客さまへ
  参加ご希望の方は、
  ①御名前  ②御住所 ③メールアドレス  ④連絡先電話 
  ⑤簡単な自己紹介(初めての方のみ)  

 を書いて当ブログ記事のコメント欄(公開しません)へお申し込みください。
 追って、当方よりメールにてご連絡いたします。
 (メールアドレスをご存知の方は直接メールにて・・・)

 応募期間  9月9日(火)~9月30日(火)

    満席になりましたら応募は終了させていただきます。
    また、その旨を当ブログの追伸にてお知らせいたします。
    (万が一、連絡が間に合わず、お断りすることがあるかもしれませんが、
    何卒、ご了承くださいませ)

追伸) 9月16日 20時15分記
    11月1日(土)の席が満席になりました
    参加をご検討中の方には誠に申し訳ございません。
    引き続き、当ブログを宜しくお願い申し上げます。


石峰寺と伊藤若冲

2014年09月13日 | 京暮らし 日常編

       われもまた落葉のうえに寝ころびて
            羅漢の群に入りぬべきかな    吉井 勇

9月6日、TYさんに誘われて、石峰寺(せきほうじ)を訪ねました。

石峰寺は、江戸時代中期の画家・伊藤若冲(1716-1800)が晩年草庵を
むすんだ寺で、裏山に下絵を描いたという五百羅漢と若冲の墓があります。
禅境を好んだという若冲は、寛政12年9月10日に85歳の生涯を閉じました。
9月10日の若冲忌に合わせ、石峰寺所蔵の絵が特別展示されていたのです。

            

京阪「深草」駅から約5分、伏見街道から少し逸れた山側に
百丈山石峰寺はありました。
汗をぬぐいながら少し上ると、眼下に伏見や鳥羽の街並みが広がります。
山門にある扁額が読めず、お尋ねすると、「高着眼」とあり、
黄檗宗・禅道場として建立された寺なので、山門をくぐる心得を示したとか。

              
                    野趣豊かな石峰寺境内

絵の展示は約10枚、全て水墨画です。
鶏画が3枚あり、記された年齢が違いますが、しっかりとした筆の運びで、
水墨画を勉強中の主人を連れて来れば・・・と思いました。
毎年、同じテーマで正月に描いたのでしょうか、
最後の時まで絵筆をにぎっていた若冲の姿が浮かんでくるようです。

鶏の他にも大津絵の藤娘、意味不明の禅画、寒山拾得図などがあり、
なかでも最小限の筆で書かれたような、素朴な寒山拾得図と大幻賛の漢詩が
若冲の胸中をあらわしているようで、心に響きました。

     寒山巌畔居
     猶有空花落
     三子倦掃除
     坐来雲寂寞

 (読み下し)
     寒山巌畔居  猶 空花(くうげ)の落つる有り
     三子掃除に倦み  坐し来たれば雲寂寞(せきばく) 
   
 (訳・・・石峰寺パンフより)
     寒山の隠棲する巌のほとりにあっても猶、花が咲いては落ちるように
     すべてのものが移ろっていく。
     寒山拾得と豊干禅師の三人は掃除にも疲れて、座り込んでしまえば
     空の雲も寂しく流れていく。

             
                     石峰寺本堂

             
                  

本堂と若冲の墓にお詣りし、裏山へ。

裏山の五百羅漢は風化がすすみ、当初より数も少なっていますが、
仏世の霊境をこの世に表したいと若冲が願った通り、今なお健在で、
釈迦誕生から涅槃にいたる過程や、天上の霊界が菩薩や羅漢を配置して
具現されています。

五百羅漢の趣きや表情は今まで見たどの五百羅漢より親しみと柔かさがあり、
朽ち果てていく石仏はこの世の条理を語っているようでもあります。
思わず亡き母の面影を探していたら・・・
一体、それらしき羅漢と逢えて、嬉しく安堵しました・・・

もう一つ、最近発見された(?)、マリア観音を刻んだ切支丹墓があり、
興味を惹きました。
こちらは写真を掲載しておきます(画と五百羅漢は撮影禁止)。

             
            マリア観音を刻んだ切支丹墓

春・八重桜の頃と若冲忌に行われる「特別展」の時がお勧めです。

   石峰寺  京都市伏見区深草石峰寺山町26             


     

灑雪庵 名残りの茶会のご案内・・・菓子茶事にて

2014年09月09日 | 茶事  京都編
               (大覚寺大沢の池にて  2014年9月7日)

    やんごとなき身にはあらねど 
          大沢の池に映せし 芋名月           


昨日は中秋の名月、今日は重陽の節句・・・
秋たけなわの候となりましたが、みなさま、如何お過ごしでしょうか?

いつも「暁庵の茶事クロスロード」をご愛読くださり、
ありがとうございます! 

2、3年の予定・・・と主人を言いくるめて(?)来ました京都暮しも
あとわずかとなりました。
 
それで・・・お招きをためらうような古家でございますが
縁あって庵を掬ぶことになりました拙宅・灑雪庵にて
京都名残りの秋をご一緒にお過ごしいただけたらと
下記の如くご案内申し上げます。

京都散策の折にお寄り頂けたら嬉しく、お持ち申しております。
            

     記

 日時  ① 平成26年年10月31日(金) 
       ②   同    11月1日(土)
 
      いずれも13時待合集合でお願いします。

 場所  拙宅・灑雪庵 (京都市左京区)
 人数  2名~5名さま(各日)
 会費  7000円  (恐れ入りますが・・・当日お持ちください)
 内容  菓子茶事にて
      (吸物・八寸・一献がでます。昼食は控えめ叉は無しでも・・)
      薄茶は茶籠を予定しています。


              
                   (伊藤若冲ゆかりの石峰寺にて) 
 お客さまへ
  参加ご希望の方は、
  ①御名前  ②御住所 ③メールアドレス  ④連絡先電話 
  ⑤簡単な自己紹介(初めての方のみ)  ⑥ご希望の日

 を書いて当ブログ記事のコメント欄(公開しません)へお申し込みください。
 追って、当方よりメールにてご連絡いたします。
 (メールアドレスをご存知の方は直接メールにて・・・)

 応募期間  9月9日(火)~9月30日(火

    満席になりましたら応募は終了させていただきます。
    また、その旨をブログでお知らせいたします。
    (万が一、連絡等が間に合わず、お断りすることがあるかもしれませんが、
     何卒、ご了承くださいませ)

追伸)  9月16日8時記
  10月31日(金)が満席になりました。
  
  11月1日(土)はまだ空きがございますので、ご検討下さいませ。
  お申し込みをお待ちしております。(満席になりました)


 

茶事 「Spiral in Summer」 ー2

2014年09月06日 | 思い出の茶事  京都編
             凌霄花 (のうぜんかずら)  金戒光明寺にて                           
(つづき)
ご亭主Yさまの茶室はマンションの一室です。
どんな設えや工夫がされているか、お伺いするのが楽しみでした。

玄関脇の小部屋が待合、そこから中廊下を通り、襖を開け茶室へ。
六畳和室を四畳半に改造し、壁床、網代天井、炉も切ってあるとか。

動線がとても良く、採光や通風も工夫されていました。
茶道口に一畳分の板の間があり、リビングを屏風で上手く仕切っていました。
二方(客入り口と茶道口)から入室できるのが、選んだ決め手
・・・というのも頷けます。

初座のお軸は
「清空 不妨 白雲飛」 (清空 白雲飛ぶを 妨げず)

「清空」とは悟りの境地でしょうか。
宇宙や空がお好きだというYさまが
白雲となって青く澄んだ空を自由に飛んでいる気がしました。

もう一度、お軸と風炉の炭を拝見して、中立しました。

              
                   田村草    季節の花300

後座の茶室へ入ると、楚々とした秋草が露に濡れて、濃茶へと誘います。
運ばれてきた魅力的な茶碗と茶入、美しく確かなお点前、
ふくいくとした茶の薫りに包まれるとすぐに、
「Spiral in Summer」の世界へ引き込まれました。

ほど好い濃さに練れた濃茶をたっぷり頂戴し、
何とも言えない充実感に満たされました。
濃茶は豊昔、池田市にある三丘園詰です。

茶碗は和田桐山作、八ヶ岳窯で制作されたものでした。
野趣豊かな風土を感じる茶碗は一目でお気に入りです。

手に取るとすっぽり入ってしまう、小振りの茶入は瀬戸。
形、姿、釉薬の色、なだれがなんともかわいらしく、
相客がこの茶入との再会を楽しみにしている様子でした。
銘「つばさ」の茶杓と紹鴎緞子の仕覆はご自作です。

最後にもう一つ、「Supiral in Summer」の極め付けを。
それは薄器でした。
黒大棗に不思議な蒔絵が描かれています。

「つぼつぼ」が竜の様に長く繋がって、
雲や波が描かれた空間を漂っているように見えました。
一瞬、銀河鉄道を駆け上がっていく長い列車を連想し、
広大な宇宙へ乗りだそうとしているYさまを思いました。

お尋ねすると、岩淵祐二作の大棗で銘「つぼつぼの道」、
注文主はYさまですが、岩淵氏と茶友Hさまが相談してデザインされたとか。

              
                        田宝(でんぽ)
「つぼつぼ」とは、
三千家家元の替紋のことで、
伏見稲荷を信仰していた玄伯宗旦が初午の土産物の田宝(でんぽ)を
紋にしたと言われています。
裏千家では茶名を拝受すると、つぼつぼ紋を使うことが許されます(紋許)。

茶道を志す者が歩む「つぼつぼの道」へ分け入ったという、
Yさまの覚悟のように思われ、先ほどのお軸「清空 不妨 白雲飛」が
もう一度、頭をよぎっていきました。

「つぼつぼの道」いいですね!
きっと茶友Hさまも岩渕氏も応援していることでしょう。
私たち客一同も心からエールをおくります。

新鮮な刺激をたくさん頂戴した茶事「Spiral in Summer」に深謝します。

                                
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茶事 「Spiral in Summer」-1

2014年09月05日 | 思い出の茶事  京都編
                (満開の木槿  季節の花300)

葉月も終わる31日にYさまの正午の茶事へ招かれました。

相客のKさまやSさまから伺っていた通り、
ご亭主のほんわかとした雰囲気に心温まる、素敵なお茶事だったのですが、
なにか、新鮮な衝撃(サプライズ?)が残り、今なお心を騒がしています・・・。

いったい、何故なのでしょう?
もう一度、心を真っ新にして思い出してみました。

                    
                 (オミナエシ  季節の花300)

それは腹鼓を打った懐石後の炭手前から始まりました。

籠の平炭斗は見立て。
オーロラを見にアラスカへ行ったときに出合った、
白樺で編んだイヌイットのバッグでした。

炭斗に続いて、背の高い香合と灰器が同時に持ち出されました。
手に余るほどの香合は、前田酒店お別れ茶会の鶉香合以来なので
嬉しくってワクワクしました。

あとで拝見すると、12センチほどの銅鐸(どうたく)でした。
銅鐸は弥生時代に製造された釣鐘型の青銅器です。

ご亭主に勧められて、振ってみると、高音の鐘の音がします。
「当てずっぽうでごめんなさい・・・韓国の銅鐸でしょうか?
 喚鐘のような高音だったので・・・」
すると、
「滋賀県野洲市の「銅鐸博物館」で購入したもので、
 日本で出土した一番小さな銅鐸の写しです。
 鐘のように楽器に使われていたと云われています。
 下の香受けは陶器で、茶友が手びねりで作ってくれました」

銅鐸を香合に使うなんて! アイディアが愉しく、ステキです。

             
           袈裟襷文銅鐸 浜松市出土(東京国立博物館蔵)

初炭が終わって、主菓子が銘々皿で運ばれました。
透明の葛が乗せられた菓子を一口頂いて、
「こっ、これは?」 
小豆の味わいが幽かにあるものの、独特の甘味や食感に全く覚えがありません。

濃茶になってお尋ねすると、
「デーツを基に、茹で小豆を混ぜて漉し、成型した自製の菓子です。
 Kさまが砂糖を断っていると伺っていましたので、
 全て天然の甘味を使ってみましたが、如何でしたか?」

「デーツを知らなかったので、初めて食べる甘味でした。
 干し柿でもレーズンでもなく、濃厚で、不思議な美味しさです・・」と私。

デーツはナツメヤシの果実(ドライフルーツ)です。
北アフリカや中東で栽培され、シロップ、ジャム、菓子に加工され、
日本でも輸入され、大型スーパーで見かけるようになったとか。

             
                      「デーツ」
 
菓子銘をお尋ねすると
Spiral Summer Version」(スパイラル サマー バージョン)
「えっ! スパイ・・??」 

「Spiral(スパイラル)」とは、
コンピューターのシステムを構築するときの手法の1つで、
螺旋(スパイラル)のように少しずつ上を目指して進んで行く・・・
そんな意味が込められていて、ご亭主お気に入りの言葉(手法)でした。

きっとこの次の菓子「Spiral」は、さらにバージョンアップしていることでしょう。

                                      

           茶事 「Spiral in Summer」-2へつづく