暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

いちねん会  百花為誰開

2011年04月14日 | 七事式&いちねん会
七事式の勉強会「いちねん会}が4月10日(日)にスタートしました。

「いちねん会」は、一念発起のいちねん、七事式いつも1年生のいちねん、
そして諸事情のため1年(いちねん)の期間限定から名付けました。

会場のお宅に伺うと、
「百花為誰開」(ひゃっか たがためにかひらく)
というお軸が掛けられていました。
春になれば毎年変わることなく、たくさんの花が咲き乱れます。
花は誰のためでもなく自分の命のおもむくままに無心にただ咲いているのです。
・・・という意味ですが、なかなか奥が深い禅語(碧巌録)です。
無心に咲いている桜(私のサクラ)に時々涙しています・・・。

                   

第1回目は、仙遊之式、平花月、貴人清次濃茶付花月でした。
先ずはご挨拶、無事に会え、共に学べる幸せを素直に喜び合いました。
折据を廻し(右廻し)、菓子を食べ、札を開けて名乗り、互礼をします。
仙遊と且坐は花が東(花東 かとう)になることを申し合わせました。

仙遊之式は花寄せから始まります。
私は一の札を引き正客で、白椿一輪を古銅花入へ、
次客さんは貝母を織部花入へ、
三客さんは枝ものとしぼりの椿(肥後錦?)を萩の耳付花入に
主(亭主)は信楽一重切に若芽の枝と黄水仙、
半東は雪柳、寒芍薬、丁子桜を朝鮮唐津の筒花入に入れました。
花寄せでは毎回水を注ぎます。

満開の桜と競うように茶室がまさに百花繚乱(ひゃっかりょうらん)となりました。

                   
                   

香では次客さんが志野袋を忘れ、私のをお貸ししたのですが、
肝心の香りが今一つで、かえって申し訳なかったです。
前日にどんな香りか、確認しておけば良かった・・・と後悔しきり。
志野袋の扱い方、本香のたき合わせ方もポイントです。

炭は三客さんですが、本炭所望なのでほとんど半東がやってくれます。
透木釜だったので透木の扱いが入り、半東が一番お勉強になりますね。
でも、半東だけが出来ても他の人が出来ないとスムースに運ばないわけで、
ここが七事式の肝心なところでしょうか。
心を合わせ、修練を積み重ねることが要求され、普段のお稽古とは一味違う
面白さ、難しさ、心地よい緊張感を感じました。

炭も終わり、亭主が濃茶を練り、みんなで賞味しました。
濃茶は小山園の嘉辰の昔です。
「薄茶は花月で」と声が掛かり、いつも迷う後半になりましたが、
同じようなメンバーで回を重ねているせいか、この日はスラスラできて、大感激です!

むしろ、貴人清次濃茶付花月が難しく、宿題がでました。
誰かに頼るのではなく、各人が調べたことを持ち寄れれば・・と思います。
些細なことでもその方が身に付くと思うので・・・。
記録も持ち回りでノートにつけることになりました。

終わったばかりなのに、次回が待ち遠しい思いです。


                               



やっと満開です  相伝の稽古日

2011年04月12日 | 稽古忘備録

昨日はお稽古の日でした。
いつもより早めに起きたつもりでしたが
主人が先に起きていてマスターズ最終日のテレビを見てました。

主人を送り出して、すぐに「私のサクラ」の記念撮影です。
4月11日(月)、やっと満開になりました!
今年ほど「私のサクラ」が早く咲いてほしいと待ち望んだことはありません。
今年ほど太い幹に顔をあずけて話しかけたことはありません。
どうぞ、花の命、花の心をみてあげてくださいまし。

                                     

相伝稽古なので、気合いを入れて無地(江戸小紋)の着物を着ていきました。

以前お習いしていた稽古場では無地(できたら紋付)でないと相伝の部屋に、
たとえ見学でも入れない・・・という厳しい決まりがありました。
最初は驚きましたが、やがてその厳しさが当たり前になり、
緊張感を伴う相伝稽古が大好きになりました。

現在の稽古場ではそういう決まりもなく、着物も自分の気持ち次第です。
(先生はいつもきちんと着物を着ていらっしゃいます)
その日は襟を正して、相伝をご指導頂きたい・・と思い、
その気持ちを無地の着物という形で表わしてみました。
1年ぶりの真の稽古だったせいかもしれません。
先生は私の気持ちをしっかりと受けとめてくださいました。
これを機に相伝の時は無地(できたら紋付)の着物で・・と密かに思っています。

                   

Kさんが真之行台子、私が真之炭手前と大円之真をご指導いただきました。
真之炭手前から始まりました。
釜は加藤忠三郎造の真形・和歌の浦文、火箸は鴛鴦の頭です。
香合は形物香合の瑠璃雀で、瑠璃色の美しさに心惹かれました。
動物の香合は顔を自分の方へ向ける(真正面ではなく少し振る)ので、実は苦手なのです。
湿し灰は11回に分けて撒きますが、湿し灰はいっぱい灰器に盛った方が好く、
撒き残してよい・・・とご指導がありました。

次はKさんの真之行台子です。
相変わらず素晴らしい真之行台子の点前を拝見できて、シアワセでした。
天目茶碗は前田家伝来の梅花天目、天目台は尼崎台です。
茶入は南部家伝来の珠光文琳(写)、仕覆は有楽緞子です。
濃茶が熱く美味しく、小山園の慶知の昔でした。

大震災で3月の相伝の稽古が4月へ延期になったため
もう一度、炉の相伝の稽古があり、科目がKさんと入れ替わります。
それに・・・真之炭手前は順番を追うのがやっとなので
炉を塞ぐ前にもう一度稽古しなきゃ・・・です。

                                 




春の雨  稽古三昧?

2011年04月09日 | 稽古忘備録

      わが背子が衣はる雨ふるごとに
           野べの緑ぞいろまさりける    紀貫之 (古今集)

久しぶりの春の雨です。

我が家の裏の公園にある一本を「私のサクラ」と名づけて愛でていますが、
「私のサクラ」がなかなか咲いてくれません。
「今年は気がすすまないの・・・」とばかりです。
今日も雨の中で記念撮影をしましたが、五分咲きでしょうか?

いつもは桜見物に出歩く時期ですが、
大震災のあとなのでその気になれず、家で稽古をしたり本を読んだりしています。
今はその方が気持ちが落ち着くようです。
たまにはこんな時期があっても好いなあ~と前向きに考えています。

雨が降っていると、さらに落ち着いてお茶の稽古に集中できます。
なんせ明日から予定が詰まっていますので、今週はひたすら稽古に励んでいます。

                  

何が大変かと言いますと(半分、泣きが入っています・・・)
明日10日はいよいよ花月の勉強会のスタートです。ばんざぁーい!
第一回目の科目は、仙遊之式、貴人清次濃茶付花月、平花月。
先生宅の花月の稽古で、貴人清次濃茶付花月の貴人仕舞が
宿題のままだったのを思い出し、分からない箇所を確認したり・・しています。

それに11日(月)は、相伝の稽古日で
私は真之炭手前と大円之真をご指導頂くことになっていて、
これもやっております・・・が、きれいさっぱり忘れていました。

それにもう一つ、廻り炭です。
廻り炭は17日に行う五事式に備えて、
身体がスムースに動くようになれば・・・と回を重ねています。
茶事をご一緒に学ばせて頂いた、懐かしい先輩方をお招きしているので、
私にとって卒業式または入学式のような気持ちでいます。
でも、まだ卒業は無理みたい・・・。
何回稽古しても、どこかで何かを忘れてやり直しばかり・・・情けないです。

でもねえ~。
もしこの状態で稽古をしなかったらどうなるのかしら?
そう考えると、怠け心に鞭打って、やるっきゃない!
それにわからなかったことが解ったとき、雲間が晴れてスラスラ出来たときの
爽快感、満足感は何とも言えませんよね。

                                      

    写真は、「私のサクラ(真ん中の一本)五分咲き」 (平成23年4月9日9時頃撮影 雨)
          「私のサクラ 開花しました」        (平成23年4月4日9時頃撮影 晴)
                              


花簇々錦簇々

2011年04月05日 | 稽古忘備録
昨日は四月最初のお稽古日でした。
先生宅へ向かう道に枝垂れ桜があります。
二週間前には樹全体が紅色になっていて
今にも咲きそうな勢いでしたので
もう散っているのでは・・・と心配でした。

枝垂れ桜はちょうど満開でした。
幾重もの花振袖が風にゆらいで、一本だけ咲く姿に孤高の美しさを感じます。
しばし眺めてから写真に収め、先生宅へ急ぎました。

床には「花簇々錦簇々」(はなぞくぞくにしきぞくぞく)。
柳生芳徳禅寺の紹尚和尚の筆です。
「簇々」(ぞくぞく)は重なり合うことで、
花(桜)が重なり合って咲く様子は、まるで錦のようだと言っています。

禅語には花に関するものが多く、その中でも特に好きな禅語の一つです。
自然のありように悟りを求める禅宗では
「花」は悟りの一つの到達点だったのでしょうか?

                    

その日は四畳半台目で向切本勝手を
初炭、濃茶、後炭、薄茶と、茶事の流れを踏まえての稽古でした。
向切は本当に久しぶり(数年ぶり?)で、Kさんも同様でした。
Kさんが初炭、濃茶、薄茶を、私が濃茶、後炭、薄茶をご指導頂きました。

一番難しかったのが太鼓襖(たいこぶすま)の所作でした。

太鼓襖とは(茶道大辞典 淡交社より)
茶室に使う太鼓張襖のことで、太鼓張りとも言います。
框(かまち)を見せず両側から紙を貼ったもので、
引手をつけずに切引手とします。
切引手は組子の一小間を下方へ斜めに張って手がかりをつくる手法で、
両面とも塵落し(ちりおとし)になるよう引手の位置を段違いにします。

                    

太鼓襖の両面にある引手の位置が段違いになっていて、
先生宅は水屋側が高くなっていました。
(この構造上の特徴も今日の稽古でやっと解りました・・・)

水屋から席へ入るときは近い方の手で開け閉め、
席へ入ってからは逆に遠い方の手からになります。

席(本勝手)へ入って閉めるときは右手で水屋側(裏側)の引戸に手を掛け、
手が抜けるほど(10センチ?)開けて閉め、
左手で引手の右端をつまむように持って閉めます。
開けるときは左手で引手右端を持って10センチ位残すまで左へ引き、
右手人差し指横を下から24センチ位上へ当てる感じで最後まで開けます。

Kさんと二人で苦闘しました。
本格的な茶室は太鼓襖なので、
この所作を自然にできるようになれたら・・・と思ったことでした。

                               



円相棚

2011年04月01日 | 茶道具
稽古の帰りに時々立ち寄るリサイクル店があります。
電化製品、家具、骨董、着物などいろいろ扱っていますが
茶道具コーナーもあり、最近茶道具が増えている気がします。

茶道具コーナーの奥にその棚はありました。
見たことがない棚でしたので一度は行き過ごしました。
でも、気になり改めて見ると、なかなか風雅な造りです。
横にある丸い窓から水指がさぞや映えることだろう・・・と思いました。
正札に「円相棚」と書いてあります。

「円相」について茶道大辞典(淡交社)を調べてみると、
 「 禅は座禅三昧の行によって悟りを開き、
   さらに悟りを深めていく教えである。
   その悟りの当体を這箇(しゃこ、或るいは、こやつ)と呼び、
   また仏性、本来の面目などと名付けて、
   円形をもって形象化した。 これを円相という。」

                 

その日は買わずに帰りましたが、どうにも気になります。
それで、電話をして棚を購入するので
次の稽古日まで預かっていてほしいと頼みました。
東北関東大震災が起こって、棚のことを忘れていました。

稽古が再開された日に寄ってみると
奥の方に売約済みの札をつけた「円相棚」が待っていました。
「待たせてごめんね・・・」

                 

「円相棚」について調べてみましたが、よくわかりません。
「宗固好みの円相棚」という記載がブログにありましたが、
上田宗固または宗固流と関係があるのでしょうか?
どなたか「円相棚」について、お教えくださると嬉しいです。

                               

    写真は上から、「卜伴(ぼくはん)椿  散歩道にて)
              「柳の新芽のシャワー」
              「円相棚」