暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

花簇々錦簇々

2011年04月05日 | 稽古忘備録
昨日は四月最初のお稽古日でした。
先生宅へ向かう道に枝垂れ桜があります。
二週間前には樹全体が紅色になっていて
今にも咲きそうな勢いでしたので
もう散っているのでは・・・と心配でした。

枝垂れ桜はちょうど満開でした。
幾重もの花振袖が風にゆらいで、一本だけ咲く姿に孤高の美しさを感じます。
しばし眺めてから写真に収め、先生宅へ急ぎました。

床には「花簇々錦簇々」(はなぞくぞくにしきぞくぞく)。
柳生芳徳禅寺の紹尚和尚の筆です。
「簇々」(ぞくぞく)は重なり合うことで、
花(桜)が重なり合って咲く様子は、まるで錦のようだと言っています。

禅語には花に関するものが多く、その中でも特に好きな禅語の一つです。
自然のありように悟りを求める禅宗では
「花」は悟りの一つの到達点だったのでしょうか?

                    

その日は四畳半台目で向切本勝手を
初炭、濃茶、後炭、薄茶と、茶事の流れを踏まえての稽古でした。
向切は本当に久しぶり(数年ぶり?)で、Kさんも同様でした。
Kさんが初炭、濃茶、薄茶を、私が濃茶、後炭、薄茶をご指導頂きました。

一番難しかったのが太鼓襖(たいこぶすま)の所作でした。

太鼓襖とは(茶道大辞典 淡交社より)
茶室に使う太鼓張襖のことで、太鼓張りとも言います。
框(かまち)を見せず両側から紙を貼ったもので、
引手をつけずに切引手とします。
切引手は組子の一小間を下方へ斜めに張って手がかりをつくる手法で、
両面とも塵落し(ちりおとし)になるよう引手の位置を段違いにします。

                    

太鼓襖の両面にある引手の位置が段違いになっていて、
先生宅は水屋側が高くなっていました。
(この構造上の特徴も今日の稽古でやっと解りました・・・)

水屋から席へ入るときは近い方の手で開け閉め、
席へ入ってからは逆に遠い方の手からになります。

席(本勝手)へ入って閉めるときは右手で水屋側(裏側)の引戸に手を掛け、
手が抜けるほど(10センチ?)開けて閉め、
左手で引手の右端をつまむように持って閉めます。
開けるときは左手で引手右端を持って10センチ位残すまで左へ引き、
右手人差し指横を下から24センチ位上へ当てる感じで最後まで開けます。

Kさんと二人で苦闘しました。
本格的な茶室は太鼓襖なので、
この所作を自然にできるようになれたら・・・と思ったことでした。