(待合に「灑雪庵」のお軸を掛けました)
2020年1月18日(土)は暁庵の茶道教室の初釜の会でした。
昨年は箱根湯本の旅館・玉庭の茶席・仁庵でしたが、今年は令和になって初めてのお正月なので我が家での開催です。
初釜の数日前から雨の予報が続いていたので、早めに準備に取り掛かりました。
先ずは庭の落ち葉の掃除です。そういえば、暮れから庭へ降りていません。
開門落葉多・・・蝋梅の黄ばんだ葉が落ち、黄色の花が咲き、甘い芳香を放っていました。
当日晴れることを期待して、蹲や黒石もせっせと洗いました。長時間作業すると腰や膝が痛くなるので作業時間を1時間と決め、2日に分けてしています。
もう一つは、花の採取です。
「利休のかたち」展を見た折、展示場に設えてあった待庵写しの床に一輪の梅がいけられていました。
うす暗い床の中、凛とした一輪の白梅にしばし見惚れ、シンプルな尺八(利休作「竹尺八」のような・・・)が削ぎ落された美を引きたてていました。
実は、この梅は本物ではなく、須田悦弘氏の木彫作品と知り、直島のベネッセハウス・ミュージアムにある彼の作品「雑草」を思い出しました。
そして、初釜の床には梅一輪を・・・と、早咲きの梅を探し歩きました。
散歩道の帷子川添いに目指す梅の木がありました。花は小さめですが、びっしりと蕾を付け、ほころび始めている花もあり、2枝を持ち帰りました。
でもね・・・煩悩が多い暁庵は、梅一輪に徹する覚悟が足りませんで、椿一輪も足しました。
初釜の床の花(白梅と椿)
床の正月飾りに欠かせない「結び柳」、注文し忘れて困っていましたが、暮れにN氏から立派な柳が届けられ、間に合って一安心(いつも助けてくださって有難う!)。
「結び柳」があれば、あとはお軸とお花でシンプルな床飾りにしたいと思いました。
「結び柳」の由来について利休居士が
「人の門出の茶の湯ニ、鶴の一声ニ柳を結で入シハ綰柳条(わんりゅうじょう)の故事カ」
と述べた茶会記録が「茶道四祖伝書」にあるそうです。
綰柳条の故事とは、中国の漢の時代、西へ旅立つ友を長安郊外の覇橋まで送り、柳の下枝を折って輪にして手渡したことを言います。綰柳と呼ぶ環に結んで、旅に疲れた心が体から放逸しないように繋ぎ止め、一日も早い帰還を柳の環に託しました。
本席のお軸は、「応無処住而生其心」(金剛経の一節、前大徳 泰道老師の御筆)です。
いつの間にか身にくっついている煩悩を無くし、清浄無垢の真心でやるべきことに丁寧にあたりたい・・・と、自分に言い聞かせる禅語です。
あれやこれや、道具類の設え、外腰掛用の大火鉢の用意、濃茶点前の稽古など準備にいそしんでいましたが、どこか気持ちにゆとりがありました。それは昼食を懐石ではなく、松花堂弁当を外注したからでした・・・これも時々は必要ですね。
天気予報ばかり見て、初座の席入りに晴れてくれたら・・・と願っていました。(つづく)
初釜の会 in 2020・・・(2) へつづく