暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「枝頭の春の茶会」へ招かれて

2018年02月18日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

      京都左京区吉田山近くにある「東北院」の「軒端の梅」


1月30日、Rさまの「枝頭の春の茶会」へお招きを受け、京都へ戻りました。
「暁庵さまの京都在住中には仕事が忙しく、我が家へお招きできなかったので、この機会に是非いらしてください」と嬉しいお声掛けがありました。
Rさまと御一緒した京都の思い出が懐かしく頭をよぎります。
「道成寺」など観能のお誘いや、吉田兼好ゆかりの吉田神社、茂庵や金戒光明寺(熊谷直実や平敦盛の供養塔がある)を散策したり、灑雪庵へもいらしてくださいました。

京都在住の茶友Yさま
と社中Fさんと3人で、いそいそと北区のお宅を訪ねました。
藤紫の着物に紺の袴姿のRさまにお会いするのは3年ぶりでしょうか、
「ハイカラさんみたいで袴姿がお似合いですね」とFさま。
お会いできて懐かしく、こちらも暁庵がこだわっている家庭茶事でした。
玄関の小上がりが寄付になっていて、玄関土間が待合兼腰掛待合、椅子が3つ並べてありました。
おしぼりで手を清め、温かな生姜湯を頂き、茶室へ席入りしました。

そこは新席みたいにピッカピカの四畳半の茶室、床は台目で下座床です。
床の御軸をお読み上げ頂くと
「梅花 枝頭春」(ばいか しとうのはる)妙心寺弘雲(?)和尚筆だそうです。
「お坊さまが春を探し求めてあっちこっち出歩いて帰ってみたら、我が家の梅の枝先にほころびを見つけた」と伺って、ユーモラスなお話の中に「看脚下」の厳しさを感じました。
本当に心して見ないと、見ているけれども見えないものがたくさんあり、
「いったい私は毎日何を見て、何をしようとしているのか」と時々自分に問いかけています。

     
     神社の水仙 (季節の花300)

水仙が清楚にいけられていました。
竹花入の入船が「京都へお帰りなさい」の意味と知り、大感激でした。
床に和綴じの物語香合。
蓋を開けると練香が上側に飛び出て置かれているのが珍しく、物語を紡ぎ出すお仕事のご亭主にぴったりです。

阿弥陀堂釜と炉中の趣きが素敵でした。
最初はわからなかったのですが、後で電気炉とわかりびっくり!
炉灰も入っていて、まるで炭火が熾っているかのようにあかあかと美しい景色です。
唐銅薬缶が使いたくって選ばれたという山雲棚に白磁の水指がすっきりと置かれ、天板の棗と風炉先屏風が後ほど素晴らしい物語を・・・。

ご挨拶のあと、すぐに朱膳に乗せられた点心が運ばれました。
仕事がお忙しそうなご亭主は料理が苦手らしい・・・と勝手に思い込んでいたのですが、
お手づくりの点心と煮物椀、それらの一つ一つが美味しく刺激的でした。
点心、煮物椀、主菓子の珠光餅、全部手づくり・・・のようで私も頑張って作らなきゃ!と刺激を頂きました。
「珠光餅」を早速試作してみたのですが、食感が今一つ違いました・・・。

     

上賀茂神社の御神水を汲み、御自作の黒楽茶碗で点ててくださった濃茶、初めていただく濃茶「長安」は練り加減よくまろやかで美味しゅうございました。
能面や古寺瓦の干菓子など、京都や奈良の珍しいものをご用意いただき、続き薄茶ではご連客のYさま、Fさま共々和やかにお話が飛び交いました。

槍の鞘茶入(鬼丸碧山造)や粟田焼・安田氏の茶碗も印象に残っていますが、棗の物語が素敵でした。
それは源氏香がデザインされた中棗で、蓋裏にイニシャルが入っています。
結婚○○周年記念にご主人から贈られたとか(・・・う~ン!うらやましい・・・)、作者は岩淵祐二氏でした。
もう一つ、インパクトのあるユニークな茶杓の銘(「春待つ日」だったかしら?)と作者がどうしても思い出せずにいます・・・。

     

温かい手づくりのおもてなしが京都の寒さを吹き飛ばしてくれました。
Rさま、ありがとうございました! 

たまには関東地方へも出没のご様子、どうぞ暁庵の茶事にておもてなしをさせてくださいませ。
またお会いできますように・・・。  


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