暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「颯々の茶事」(立礼)・・(1)

2023年06月20日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

  (ボロボロになって風格を増した遍路笠と金剛杖・・・なかなか処分できません

   (仁王さまに「喝! 何しに参ったのか」と問われるようでした・・・)

 

令和5年6月11日(日)に「颯々の茶事」をしました。

5月27日(土)の「初風炉の茶事」に続いて2回目の立礼の茶事です。

約20年前のこと、途中で放り出していた茶の道を再び歩み出した頃に四国八十八カ所の歩き遍路へ出かけました。その後も茶の湯と四国遍路は続いていて、いつかその2つが私の中で密接に結びつき、大事なものになっています。

今回の茶事を「颯々の茶事」と名付けたのは、四国遍路中に聴こえてきた「颯々」(風が高らかに音を出して吹くさま)や「自然のサウンド」が今なお心に残っているからです。

時に風の音であったり、雨の音、波の音、台風、そして遍路杖をつくと鳴る鈴の音でした。それらの音はその時の心の持ちようによって、厳しくも、寂しくも、愉しくも、嬉しくも・・・聞こえて来るのでした。

そんな「颯々」を聞きながら御茶一服差し上げ、梅雨のひと時を愉しんでいただければ・・・と、S先生の東京教室で共に切磋琢磨しているI氏、Oさま、Iさまをお招きしました。

席入りは11時半、半東は暁庵社中のY氏、懐石は小梶由香さんにお願いしました。

 

 

待合いの掛物は雨に濡れる紫陽花と「滴翠」の画賛、玉瀧寺明道和尚の賛です。

蛍手の汲出しに白湯を入れてお出ししました。

席入りの頃には雨が上がっていましたが、びしょ濡れの腰掛待合や露地はあきらめて、玄関脇の蹲を使って心身を浄め、席入りして頂きました。

床の御軸は「洗心」、紫野・寛道和尚の御筆です。

長い歳月、波に洗われた流木を配してみました。幽かにでも潮騒が聴こえてくると嬉しいです・・・。

5年ぶりに再訪してくださったお正客I氏、いつも暁庵や社中の方の茶事を温かく応援してくださるOさまとIさま、嬉しくご挨拶を交わし、お茶と四国遍路のこと、なぜ四国遍路へ出掛けたくなるのか・・・などをお話ししたように思います。

 

 

梅雨の最中でもあったので、懐石は伏傘(ふせがさ)です。

十数年前に伏傘にはまったことを思い出したのですが、細かい点はもうすっかり忘れていました。それで、茶友に尋ねたり、ネット検索をして調べてみました。

伏傘は、梅雨時のうっとおしい時に懐石をできるだけ簡素にして、一番の眼目である濃茶へスムースに導く・・・と言う目的の他にも、亭主の負担の軽減策でもあります。

伏傘懐石の給仕や料理の説明は半東Y氏にお任せし、水屋で小梶さんの邪魔をしたり、美味しい懐石の御相伴を楽しみました・・・。 つづく

 

    (飯椀に2回分の飯を盛り、汁椀を蓋にして折敷に載せて出します)

 

 

懐石献立 (小梶由香作成)

 

飯   二回分

汁   豆腐 じゅんさい 辛子  ・・・2回分を鍋で出す

向付  讃岐サーモン 穂紫蘇 水玉きゅうり

椀物  枝豆真蒸 板蕨 青柚子

焼物  米茄子の鳥味噌餡

預鉢  炊き合わせ

    とり水無月 細竹 季節の青味 

飯器

(箸洗 ・・・省略)

(八寸 ・・・省略)

湯桶

香の物  沢庵 水茄子漬 長芋梅漬

酒   熊澤(茅ヶ崎市香川 熊澤酒造)

 

   (炊き合わせ・・・とり水無月 細竹 季節の青味)

 

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