暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

ご近所さんと重陽の茶会

2015年09月24日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会

遅くなりましたが、9月7日の「ご近所さんと重陽の茶会」をアップします。
茶席は暁庵、余興(?)の墨絵とランチと〆の珈琲はツレ担当で、二人の共同茶会でした。

10時30分にお客様がいらっしゃいました。
お客様は茶会をリクエストしてくださった数軒隣のTさん夫妻常連のIさん、Mさんの4名さま。
Mさんは以前茶事のテーマに合った短冊や色紙を書いてくださった友人です。
数か月前に手術を受けられたとか、その快気祝いも兼ねてお招きしました。

                               

菊の節句なので、待合に菊の水墨画と京都・法輪寺の茱萸袋を飾ります。
Iさんの打つ板木の音で、冷茶に「もって菊」を数片入れてお出しし、私も相伴しました。
茶事では客が揃うと板木を打って水屋へ知らせることをお話しし、Tさん夫妻に人数分打って体験してもらいました。

「どうぞ、お席の方へお入りください」
お茶をされていない方ばかりなので、客席は立礼席です。
亭主床ですが、床前一畳を除けて点前座(丸畳一畳)を設え、初炭手前から始めました。
皆さま、緊張されて固唾を呑むように、されど興味深けに所作を見守っています。

香を焚き、香合をT氏へお持ちし、拝見して頂きました。
「香合は「初雁香合」、雁は二季鳥とも言って、秋には月を慕って北から渡ってきますが、
春になるとこれから咲く花(桜)を見捨てて北へ帰っていきます。
今は秋なので雁の向きを北から飛んでくるように使っています」

                   

そんなお話がきっかけに緊張もほぐれ、いろいろな質問ラッシュが・・・。
「床のお軸はなんと読むのでしょうか?」(心清寿年長、西垣宗興師筆)
「お花は?」(ススキと吾亦紅を有馬籠へ)
「どうして床の間の前を開けているのですか?」
点前座についてT氏から鋭い質問が・・・、亭主床のことを説明し、今日は末席の方にも点前が見えやすいように、いつもと違う位置にしたことなどをお話ししました。

炭が熾る間待合へ戻り、菊の墨絵を描き(ツレが指導?)、王維の漢詩を朗読したり、しばし清遊タイムです。
遊びに時を忘れそうになって、あわてて茶室へ案内し、菓子と薄茶を差し上げました。
菓子は練きりの「玉菊」(寿々木製)、薄茶は「清浄の白」です。
「もう一服、少な目でいただけますか」
お口に合ったようで、喜んで二服目をお点てしました。

                    

拝見の薄器と茶杓を丁寧に興味津々で見ています。
薄器は菊と秋草の蒔絵がお気に入りなのですが用途不明の見立てで、江戸時代の化粧道具かもしれません。
骨董屋の女主人小林芙佐子先生の伯楽で求めたもので、ステキな仕覆付きです。
茶杓は坐忘斎家元お好みの形、銘「虫の音」です。

再び待合へ戻り、ツレの郷土料理・日向飯のランチです。
食後の珈琲を飲みながら楽しい会話と笑顔が溢れました。
・・・私たちも一緒にワイワイ楽しんだ「ご近所さんと重陽の茶会」とランチでした。