暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

熊野の旅-4 紀伊勝浦でお茶を・・・

2014年12月16日 | 
              紀伊勝浦・・・ホテルへ向かう船の桟橋から
(つづき)
新宮からバスを乗り継ぎ、一番行きたかった「那智の滝」を目指しました。
那智山でバスを下り、表参道の石段を登り、熊野那智大社へ詣でました。
主神は熊野夫須美大神、太古の自然崇拝では「那智の滝」そのものが御神体です。

樹齢800年の「那智の樟(くす)」(天然記念物)が聳えていました。
老樟は御神木(樟霊社)として崇められ、根幹に大きな洞(うろ)があります。
ナニナニ・・胎内潜りをすると願いごとが叶うとか、早速、護摩木に願いごとを書いて洞へ入ると、数人が寝れる広さがありました。
手塚治虫の漫画「ブラックジャック」の中に道路建設で切られようとしている老樹の物語「緑の想い」があり、DVDを見て以来、いつか老樹の洞で一夜を明かしてみたい・・と願っているのですが・・・(DVD「緑の想い」お勧めです)。

   
   樹齢800年の「那智の樟(くす)」          老樟から見た景色

隣の那智山青岸渡寺は西国三十三所第一番札所で、如意輪観音が祀られています。札所の持つ独特の雰囲気があり、四国遍路を思いだし離れがたかったのですが、那智の滝が控えていました。

先ほどから見え隠れする那智の滝へ一歩一歩近づいていきます。
飛瀧(ひろう)神社へ到着し、一番近くで見上げると、
落差133mの瀑布は畏敬の念を感じるほど見応えがあり、
いつまでも時を忘れて眺めていたい那智の滝でした。
来てよかった・・・来れてシアワセです。


            いつまでも見ていたい「那智の滝」

晩秋の陽射しは短く、これから大門坂を下るのでやっと腰を上げました。
今回の旅は熊野古道を歩かなかったので、せめて熊野古道の面影を残す大門坂を歩きたかったのです。
大門坂は杉の大木が多く、樹齢800年の夫婦杉を眺めながら、滑らないように石畳を注意深く踏みしめて行きました。
私たちは下りでしたが、那智大社や那智の滝を目指し、最後の力を振り絞って登ってくる老若男女の参詣者が目に浮かぶようでした。
登ってくる若いカップルに出会い、エールを交わしましたが、4時をまわっていたので他にすれ違う人は居らず、バスの時刻に合わせてゆっくり下りました。

           
            晩秋の大門坂を下る

再びバスに乗り、紀伊勝浦へ向かいました。
その日の宿は紀伊勝浦温泉・中の島ホテルです。
潮騒の聞こえる露天風呂が素晴らしく、こちらでも3回湯船に浸かりました。

翌日、ホテルへ送っておいた和服を着て、桟橋で茶友Aさんと待ち合わせました。
最終日にAさん宅で薄茶一服頂きたく・・とお願いしたのでした。

             
                 桟橋で茶友と待ち合わせました     

「茶事ではないし、洋服でよいかしら?」
迷いましたが、8月の暑い最中の茶事にAさんが着物で来てくださったことを思い出し、ホテルへ着物一式を送ることにしました。
桟橋まで車で迎えに来てくださったAさんはステキな着物をお召しでした。
「着物にしてヨカッタ!・・・」

最初にAさんの終の棲家を建てる予定地へ連れて行ってくださいました。
そこは海が近く、静かな住宅地の一画です。
老後の暮らし方に合わせて、どんな家にするか考慮中だとか・・私まで楽しみです。

            

ご自宅へ案内されると、ついキョロキョロ。
「えっ!どうして別宅を建てるの??」
私には申し分のない「素晴らしいお茶環境」に思われたのですが・・・。
順不同ですが、おしゃべり、初炭、昼食、濃茶、薄茶とフルコースで、
お弟子のSさんと一緒にアツイおもてなしをしてくださいました。

紀伊勝浦ならではの生マグロ丼や伊勢海老が入った汁椀に舌鼓を打っていると、
炉に掛けられた釜に煮えがついてきて、Aさんのお点前で濃茶を頂戴しました。
表流の濃茶点前に見惚れ、ご縁があって集まったという茶道具の話に聞き惚れ、
二人で濃茶を頂いたのも好い思い出です。

続いてSさんのお点前で薄茶を頂戴し、お尋ねしたいことがいっぱいあったので
茶談義に花が咲きました。
熊野詣の最後にお茶一服とお話を愉しむことができ、もうもう大感激でした。
Aさん、Sさん、ありがとうございました!

帰りは、新宮の丹鶴城や神倉神社を探索した主人と紀伊勝浦駅で待ち合わせ、JR特急で京都へ帰りました。特急で約3時間半、さすが疲れて遠く感じました・・・。
                                 

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