暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

唱和式  尾花

2010年10月02日 | 七事式&いちねん会
ブータンから帰って27日が稽古日でした。
真之炭と大円之真をご指導頂き、いきなり全開モードになりました。

今日(9月30日)は月1回行われる花月之式稽古です。
科目は、唱和式、花寄之式、投げ込み花月でしたが、
唱和式に炭手前がないので、急遽、炭付花月が入りました。
床のお軸は、文浄和尚筆で「明歴々露堂々」です。

唱和式は昨年9月に続いて2回目ですが、
花寄、香、濃茶、薄茶(花月)、唱和(和歌を詠みあげる)という、
優雅な七事式の科目なので、とても楽しみにしていました。

             

全員が短冊を三つに折って懐中へ入れ、席入です。
亭主と客四名の五名で行いますが、今回は客五名でした。
亭主が花台を持ち出し総礼の後、花台を床前下座へ運び、
正客へ一礼して、亭主から花を生けます。

亭主(Kさん)が中央の青磁の花入に白のシュウメイギクを入れました。
水を注ぎ、水屋へ下がって香盆を茶道口に置いて控えています。
次いで、正客が染付の篇壺(へんこ)へススキとホトトギスを、
次客が虫籠にススキ、ワレモコウ、フジバカマを入れました。

いけた花に因む和歌を最後に詠まなくてはならないので
私は尾花(ススキ)の歌を心積もりしていました。
ところが、ススキが人気でして無くなりそうになり、あわてて
「ススキをどうぞお残しください・・・!」

三客(私)は萩焼の花入にススキと小菊を、
四客は翠撥(すいばち)の竹花入に水引草と秋海棠を、
五客は琉球焼の壷にオミナエシとリンドウを入れ、
それぞれ水を注ぎました。

「花入が離れている場合は、花を持って立ち、花入正面に座ります。
 水次も同様に一度立ってから取りに行きます」
と、先生からご指導頂きました。

外は雨が降っていましたが、いっぺんに秋の野の風情になりました。

             
             

薄茶(三服点て)が終り、亭主は重硯箱を運び出し、
正客より順に縁内で下から硯箱をとり廻しました。
墨をすり、短冊に和歌を書き付けます。
短冊中央に花の名前を書き、二行の頭を揃えて和歌を記し、
名前(宗名)を最後に書きました。

書き終わると硯箱を上に重ねて亭主まで廻し、
亭主は重硯箱を水屋へ引き、文台を正客前へ運び出します。
短冊を取り上げて、二度唱和して文台へ右から並べて行きます。

皆様、生活感溢れる和歌や俳句を詠いあげてくださり、
その時の情景が浮かんで来たり、作者の心境を想ったり、
心豊かな時間が過ぎて行きます・・・唱和式の一番好きな瞬間です。


   尾花   月出でて秋の寝床に沈むかな
         ブータン谷の尾花萩花        暁庵

                                   

   写真は上から
      「翠撥の竹花入に入れられたホオズキとフジバカマ」 
      「箱根仙石原の尾花(ススキ)」(季節の花300提供)
      「ブータン、パロ谷の秋景」
      「ブータン、パロ谷の尾花?」