暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

はじめての初香席

2010年01月15日 | 茶会・香席
茶友のIさんの初香席へお招きいただきました。
私は勿論、香席が始めての方がほとんどでした。
それで、別席で資料が渡され、ご説明頂きました。

先ず、香木の分類や鑑賞の基本になる
「六国五味(りっこくごみ)」をお話してくださいました。
六国とは、香木の産地や品質によって
五味とは、味によって香りの違いを分類するそうです。

  (1) 伽羅(きゃら)    苦味  ベトナム
  (2) 羅国(らこく)     酸味  タイ
  (3) 真那伽(まなか)  甘味  マラッカ
  (4) 真那蛮(まなばん) 甘味  カンボジア
  (5) 佐曾羅(さそら)   酸味  産地不明
  (6) 寸聞多羅(すもたら) 自然の味  スマトラ

一つの香木が一つの味という訳ではなく、いくつもの味があるので、
ゆっくりしっかり三回聞いて毎回の特徴をメモするようにとのことでした。

次の資料には「香道○○流 組香中十種 三夕香」とありました。
茶友の集まりなので、三夕の和歌より香銘がつけられています。

  一.浦の苫屋   二チュウ
  二.鴫立つ沢   二チュウ
  三.真木立つ山  二チュウ

  各一チュウ宛試み 残三チュウの内二チュウを選び本香とす
  焚かれざる一チュウを名乗り紙に記す

 名乗り  一.花も紅葉も
       二、心なき身にも
       三.その色としも

七事式の茶カブキと似ていて、最初に試みの香三種を聞きました。
「浦の苫屋」などの香銘を朗々と述べて次の方へまわします。
その後で本香を二種聞きました。

本香の一番目は「出香(しゅっこう)」、
二番目は何も言わずにまわします。
焚かれていない名乗りの香銘(例えば 花も紅葉も)と名前を
名乗り紙に書き、盆に掛けてまわしました。

本当は記録調書の方がいて、各自の名乗りを奉書に書き、
全当り者に「秋の夕暮」を添えるとのことです。
幸運にも「秋の夕暮」を頂戴しました。

一は伽羅、二は羅国、三は真那伽を焚かれたそうで、メモを見たら
「①バニラ 松の香 くせ弱し ②くせやや強し 樟脳系
 ③男の汗の匂い くせあり・・・」
とあり、ご指導のメモが役にたったのでした。

それからが大変。
Iさま心づくしの昼食をみんなでワイワイと賞味した後で
濃茶、薄茶を点て合って新春の一時を過ごしました。

ご亭主に感謝しつつ裏山に狸が遊びに来るというI邸を辞しました。
素晴らしい一日でした!
                        

                   新古今  藤原定家
   見渡せば 花も紅葉もなかりけり
          浦の苫屋の 秋の夕暮れ

                  新古今  西行法師
   心なき 身にもあはれは知られけり
          鴫立つ沢の 秋の夕暮れ
   
                  新古今  寂蓮法師
   さびしさは その色としもなかりけり
          真木立つ山の 秋の夕暮れ